がいじんトーク

人生、迷ってばかり。死ぬまで迷っているのかもしれない。

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「一人での帰省」

 妻や子供たちを連れずに帰省するのは、いつ以来だろう。学生の頃以来かもしれない。
そうだとすると35年以上前になる。あの頃は、仙台の街を我物の顔でかっ歩していたが、今はもう知らない街になってしまった。駅ビルのS−パルも2度の震災で変わってしまっているに違いない。
 最近は家族で帰省する時はマイカーばかりで、街は通過点。実家へ行くのが優先になり、着くなり、そこでゆっくりしてしまう。子供たちは勝手に仙台の街に出て帰省中を満喫している。今は、私より仙台の街を良く知っているかもしれない。
 今回は、その知らなくなった街での弟との待ち合わせで2泊3日の始まりになる。
今回の帰省は両親にはサプライズで、S−パルで弟と食事をして、その日は弟の家に泊まり、次の日弟と二人で実家に行き、両親を驚かせる予定にしている。
 今回、実はもう一つの大きな「一人で帰省」した理由がある。
それは「詫び」と「今の心境」を両親に伝えたくて帰省を決行した。
詫びは、宮城を離れて40年来の親不孝と就職時に書いた手紙の実行が出来ない事の詫びだ。最近こそ、年に一度は家族で帰省しているけど、その前までは、仕事と子供のことを理由に数年に一度帰省する程度の親への対応。それと就職時に書いた手紙に「今は名古屋で就職するけど、将来いつかは宮城に戻ること」を誓った手紙を書いていたが、今この歳になってそれが実現出来ない事へのお詫びをすることがメインだ。
それに伴い、今後発生するだろう両親の相続が起こった場合の私の考えを伝えておきたくて、両親とたった一人の弟が同席する場面が必要だった。
 
 今年、長男に男の子が出来た。長女が結婚をする。子供たちは、それぞれ名古屋で生活の基盤が出来始めている。両親が生きている間は宮城に帰省することがあっても、その後は、宮城に戻ることはないだろう。だったら私にしかできない決断をしなければならない。
両親と私と弟だけの席で。
 
「両親からの相続の辞退。相続の一切を弟に譲ること」の宣言をしておかなければならない。私の身に何かがあってからだと、相続権のある子供たちが「父が長男」であることを理由に弟と僅かの財産を争うようなことがあってはならない。身内の争いなんてあってはならない。両親の面倒も看ることも出来ない長男の子供が権利だけを主張しては、世間的にも見っとも無い話だ。今出来る事として、親としてのケジメをつけておきたい。
 
 両親と私と弟。親子水入らず。昼ごはんを食べながら、昔話でもしながらゆっくりと時間を過ごしたい。今回ばかりは他人に邪魔はされたくない。
不動堂
 それでいいのだろうか?
 
 普通の生活をしていて、「幸せ」なんて言葉尻にも出てこない。なんとか今日をやり過ごして、明日を迎えることが精一杯の毎日を過ごしている。生活は十分とは言えないけれどもこの生活に不満を言ったら罰が当たるのではないか。そんな日々を過ごしている。
 
そんな小市民の暮らしを笑うかのようにどっかの大国は戦争の準備を着々としている。それは小市民のための戦争なのだろうか。大国の国民の支持を取りたいがために、大義名分を神輿に戦争の準備をしている。中東の西はずれで戦争をしても、アジアの東はずれで戦争をしても大国は安全だ。兵隊以外、被害を受けることはない。隣国はそうはいかない。表の舞台になってしまう。「窮鼠猫をかむ」の例えもある。無差別に攻撃してくるのをどう迎え討つのだろうか。間違いなく被害が出る。長引けば長引くだけ被害は大きくなる。戦争難民も押し寄せるだろう。一度戦争がはじまったら、落ち着くまでには相当長い年月が必要になるだろう。大震災のように。
 
食糧やお金を争って戦いをしていた頃、エネルギーを争って戦争をしていた時代。いつの時代もそこにはたくさんの犠牲と悲しみが遺された。喜んでいたのは当事者じゃなく、遠くの武器商人たちだけだった。
武器商人たちは、ベトナムの時も中東の時も、イラクの時も定期的に戦争当事者双方に囁き始める。
大国は武器の在庫整理をするかのように古い武器を使い捨てる。南北戦争の時から続いている。その繰り返し。
 
 人間は、生まれも育ちも違えば、まずその環境に適そうと求めるものが違う。一番に求めるものの違いが意見の違いになり、争いの原因になる。80億もの人間がそれぞれ意見を持っている。それは自分たちが今の環境に適して生きて行こうとする「生きる性」である。それを責めることは出来ない。意見の相違や大事なもの優先順位の違いが皆違うことを前提に話し合いをしなければならい。それは容易なことではない。そこから妥協や協力する姿勢を導き出していかなければ争いは無くならし、戦争は起きるべきして起きてしまう。それが一部の金儲けの道具に利用されていることが残念である。こんな理屈は誰もがわかっているはずである。誰もが戦争は避けたい、したくないと思っている。
武器を開発しているのは誰?武器を売りさばいているのは誰?誰が誰にお金を支払っているのか。武器を開発しているのも、売りさばいているのも、お金を払っているのも受け取っているのも皆、同じ人間なのだ。私は、そこが理解に苦しむのだが。
不動堂

「ワン吉とそら」

 「おじさん、どうしていつもベランダで寝ているの?」とワン吉そらに問いかけた。
 ワン吉から見ると自分の身体の倍以上あるそらに友達にでも話すかのように尻尾を振りながら寝ているそらを起こした。そらは小僧の話しかけには気づいたが、気付かないふりをして昼寝を続けている。それにはお構いなしにワン吉は「おじさん、この間はシマシマたちを追い払ってくれてありがとう。おじさんは、どうして彼らのように外へは出掛けないの?僕はフェンスがあるから出られないけど、おじさんは自由に出られるでしょう」
 
 ワン吉は、3キロしかないポメラリアン。そらは、8キロもあるアメリカンカール。シマシマは、雑種で年齢体重不詳のクロネコ軍団の隊長。クロネコ軍団には、特攻隊長のクロネコとシマシマの子(尻尾だけがシマシマ)がいる。二人ともシマシマより一回り小さい。クロネコ軍団はこの辺を縄張りとして、いつもうろついている。嫌われ者たちである。
 
 ワン吉がしつこく話しかけてくるので、半分根気負けをしてしまいそらが口を開いた。
「小僧よ。いつも元気だな。俺の昼寝の邪魔をするなんていい度胸しているじゃないか」
「やっと、起きてくれたね。ありがとう」
「ところで、お前のところの娘さん、もう時期嫁ぐらしいな。我が家でそんな話をしていたぞ」
「嫁ぐ?って?・・・・」
「お嫁さんに行くということだよ。つまりお前の家から出て行くということだよ」
ワン吉は、ハトが豆鉄砲くらったような顔をして固まってしまった。
「あれ?お前はまだ知らなかったのか?近々らしいぞ。俺の方から言わなかった方がよかったかな」
小さなワン吉の頭では理解できなかった。お父さんとお母さん、そしておねいちゃんがいる家族が当たり前で、誰かがいなくなるなんてワン吉には考えられないのである。よりによって一番仲良しのおねいちゃんが家族でなくなることが。
「聞かなかったことにしてくれと言っても、もう遅いか・・・・小僧にとっては相当のショックだったようだな。俺を恨まないでくれよ」と昼寝を決め込んだ。
 
ワン吉の頭の中は、「お父さんが帰ったら聞いてみよう。おねいちゃんが帰ったら確認してみよう」とそのことばかりで一杯になってしまった。
その夜、いつもと変わりない家族とのやり取りで、ワン吉がいくら尋ねようがお父さんは、「今日はやけに元気いいな」と言われ、おねいちゃんは、「ワン吉、お利口さんだね」と抱っこしてくれるだけだった。ただテーブルの片隅に置いてある「グランダルシュウエデングヒルズ」のパンフレットだけが気になった。         不動堂
出会わなければならない人がいる。その人に会うまで生きなければならない。
 
自分自身で決められない事は、生んでくれる両親を選ぶことはできない。また生まれる時代も自分自身ではどうしようもない。自分で決められないもので、もしかしたら、その時点で人生の運命のほとんどが決まるのかもしれない。そのあとは努力で多少は変わっても落ち着くところに落ち着いてしまうのが人の一生なのかもしれない。誰もが他人に憧れる。自分自身にないものに魅力を感じてしまう。だからと言って皆が皆、その憧れる他人のようになるために努力をするかと言えばしないのが現実。努力しても途中で挫折。そんなもの。「人生とは挫折と妥協」の上に成り立っている。
ここまでは人生に不満な考えの人の屁理屈に過ぎない。もうひとつ自分自身で決められないものがある。それは「出会い」である。新たなる出会いは、時間移動出来ない人間にとっては未知数なもの。はじめの二つとは違い、これこそが運命を変えていくキーになる自分自身ではどうにもならないものだ。そのことに気づいている人は幸せを手にしている。
「人」と「人」が出会うことは1+1ではない。一つの薬品が必ずしもAにもBにも同じ化学反応することはない。Aには無反応かもしれないがBにはノーベル賞的な反応をするかもしれない。「出会い」には、どんな化学反応を起こすかわからない未知数なロマンがある。
 
60歳近くまで生きれば、大抵の人は(生涯、出会いう人)出会えているだろう。
「まだ、出会ってない人がいる」なんて話をしたりすると誰もが「もう出会っている。ここから出会う人は、出会わなくてもいいおまけの人じゃないか」なんて言い返される。
出会うとは、ただ単に言葉を交わしたり、すれ違ったりする人じゃない。互いの言動に影響を受けて成長する?育つ人との出会いである。それは30~40代のエネルギーがあふれ出ていた時に影響した人ばかりと思い込みたいが、果たしてそうだろうか。確かに、間違いなくその時には、自ら発するエネルギーは良い影響もあっただろうし、悪い影響もあっただろう。それは、仕事を通してであったり、酒を飲み交わしての会話であったり。
 私の場合、影響を受けた人は、妻、子供はもちろん私に関わりあった会社の後輩たちは嫌でも受けただろう。それが、肥やしになったか、無用の長物であったかは別として関わってしまったことに後悔しても始まらない。それを自分の人生にどう生かすかは皆それぞれだ。出会うことは運命。それは意図的に避けることは出来ない。1億分の一の確率だろうが、80億分の一の確率だろうが出会うべきして出会っている。その人と関わりを持たないと次の人生の展開はないと正しく「人生の台本」に書かれているはずだ。
出会わないといけない人がいる限り、それまでは死ぬに死ねない。
            不動堂
人生は、人間の数だけヒーロー、ヒロインの映画が同時に演じられている。カメラはその主人公の目、耳等の五感を通して主人公の脳に刻まれていく映画だ。それは、誰も主人公に代わって観ることは出来ない映像である。主人公と主人公が出くわしても、その主人公からみれば、すべての人は脇役になる。みんな自分中心のノンフェクション映画である。
主人公は皆ハッピーエンドで終わる映画を期待している。
人生という名の映画は、生まれた時に白紙の台本を手にしたときから始まる。その台本は、未来のことは書かれてなく、過去の出来事を記録していくようになっている。その台本を振り返ることが出来るのは、その主人公だけで他の人は台本を主人公から聞くことは出来ても読むことはできない。だからハッピーエンドの人生を送るために成功者の主人公の中には、それまでの台本を自署伝として、脚本して他人に読ませて、それぞれの人生の教訓にしてあげている人もいるが数は多くない。
 成功者の台本を読むと、必ずとして「惜しみない努力」をしていることに気づく。
確かに、「運」といもの、生まれた「環境と時代背景」は影響していることは否定出来ないが、それだけで成功はしていない。やはり陰に隠れた努力が成功を導いている。
 
誰もが成功者になることがハッピーエンドの人生だと思い、生きて行く。
「挑み、続けた人だけが成功を手にすることが出来る」
どっかの製薬会社のCMがこんなことを言っていたように記憶している。
 
多くの人は、それが出来る環境や資金があることが羨ましいと嘆いても何も始まらない。
無いものはない。与えられた環境でどれだけ自分自身の目標や夢というものを信じて、前へ進んでいける精神力がある人間かどうか。つまり、そんな精神力を身に付けて成長して来たかが、その差になって顕れる。言葉で語ることは簡単だけど、大抵の人間はそれが出来ない。途中で諦めてしまう。なぜかと言うと諦めても生きて行く術が他にいくらでもあるからだ。いつの時代も人間の心を誘惑して、辛い「努力」をするより「楽」して生きることの方を選んでしまうのが人間という動物だ。それが凡人への道だと薄々知りながら。
 
だから人間は、自分には出来ない「努力」を続けて結果を出した他人のその姿を観ると感動をしてしまい、賞賛して涙してしまうのである。
心の中で自分もそこまで努力が出来たら、人生という名の映画が素晴らしかっただろうと後悔しながらも今の生活に満足しようとしている。偉人がいう1%の才能(センス)は、誰もが持っているもの。ただ99%の努力を怠っているだけに気づいていない。気づこうとしない不思議な生き物である。
 そして、多くの人生の映画の結末は、凡人で終る台本になってしまう。                                                       不動堂

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