がいじんトーク

人生、迷ってばかり。死ぬまで迷っているのかもしれない。

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 「あと10年、この仕事を続けるのは辛いよ。」・・・・・・と来年、定年を迎える先輩が私の耳元で囁く。
彼は20年以上、同じ仕事に携わってきている。仕事の面白さ、やりがいはもちろん、社会情勢の景気に左右され、中々成績を上げることの大変さや難しさも熟知している。彼曰く、「今までは何とか苦労しながらも、成績を上げることが出来たが、この先は東日本の地震、福島の放射能問題、世界的株価の暴落、高齢者・少子化問題と、この業界の先は全く読めない中、今までと同じことをして、同じ様に成績を上げていくことは想像が付かない。良いタイミングで定年を迎えることが出来る自分はラッキーだった。」と・・・・・・・・・・・
 
 そんな矢先に田舎から今まで気丈だった母親の癌の手術の連絡が入った。
どこかで、いつかこんな連絡が入ることは覚悟していたはずなのに頭の中は白紙になってしまった。
思うことは「何で、この時期に・・・今 なんだ?」
どの時期でも良い時期なんて、あるはずのないのに、そう思わずにはいられないのが不思議だった。
母親の年齢からすれば、いつか何かの病気が発病しても不思議ではない。今までが幸運だったに過ぎない。
母親の兄弟姉妹も癌を発病している。いつかは・・・・・看病する側が看病される側になるだろうと本人も廻りも感じていたはずだった。
 
人生それなりに長く生きていけば、早かれ、遅かれ避けては通れない問題に直面したに過ぎない。
その時にどう行動できるか、どう振舞うことができるかを今までに勉強してきたはず、自分だけ特別で絶対経験しないと穿ってしまうほどの馬鹿ではない。無防備に振舞って見っとも無い姿を仲間や子供たちに見せる訳にもいかない。それなりに覚悟のあるところを大人の人間として見せておかないといけないとも思う自分自身がある。
順調の時に活躍できるのは当たり前で、そうでない時にどう結果を遺すか、表すかが人間の器に成っていくのではないだろうか。
大腸とリンパ節を半分切所したものの、他への転移も見られず、このまま抗がん剤治療がしなくて済めば良いのだが。リンパ節の結果は3週間後。今はただ、リンパ節まで転移してないことを祈るだけ。
 
確かに、私のこれからの10年は今までとは違った状況が続くだろう。しかし、その先輩が感じるほど悲観していない。いろいろな問題は、いつの時代にもあったはず。簡単な仕事なんてものはない。難しいから、大変だからこそ、そこに携わる人間の真価が問われるものだと思う。創意工夫が成績の差になって現れる時代、別の言葉で言うと「知恵比べ」の時代。知恵比べをして勝ち残った者だけが評価される時代になるだろう。
それぞれのパーソナリティーが生かされることになり、中途半端な者は自然と淘汰されてしまう時代になっていくだろう。そんな時代に、勝ち残っていくことで私の「私である価値」を見出していきたい。
 
もしかしたら私は、逆にそんな時代を待っていたのかもしれない。
私が生きるタイミングは、この平成不況と言われる時代が、一番 自分自身が輝く時代なのかもしれない。
この時代は、私の集大成を残りの人生に費やすために今までがあり、これからが神から与えられた「私の人生の中で輝く時代」なのかもしれない。
                                       不動堂

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