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ECB超大型オペ終了後

注目されていたECBの一年もの大型資金供給オペ4,422億ユーロの満期が7月1日にあり、3ヶ月ものと6日の短期オペに減額されてロールされた。
ユーロ圏の金融不安を描写しているため、このロールと今後の展開について整理してみた。
 
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図1は6月30日の資金供給オペの残高と準備預金残高の状況です。
当座預金(Current Accounts)は、ユーロシステム(ECB+ユーロ圏の中央銀行)にユーロ圏の銀行が預けている準備預金で、毎月第2火曜日までの月次の平均残高が所要残高を上回る必要がある。
 
預金ファシリティは、ユーロ圏の銀行がユーロシステムに預けているオーバーナイトの預金で、現行は0.25%の付利がされ、所要準備預金を超えた銀行が超過部分を振替えて運用する。
この2者の合計を合計準備預金とここでは呼ぶ。
合計準備預金のユーロシステム全体の合計値を変更できるのはユーロシステム(ユーロ圏の中央銀行+ECB)との取引だけで、民間銀行間の取引では、個々の銀行の準備預金算は変化できても、全体の合計値は変えることはできない。ECB(ユーロシステム)のみが変更できる(この事情については以前の記事『FRBは養豚場』参照)。
6月30日時点で、ユーロシステム全体で348.4bnユーロの過剰準備があった。
 
6月30日時点の資金供給オペ残は、881.1bnユーロあり、内、7月1日満期の1年物オペは、442.2bnユーロと全体の50.2%を占め、参加行数も1,121行に及ぶ超大型オペである。金利は1%で適格担保さえあれば金額上限がなく、1年前の1年LIBORが1.25%前後であったため、経済的に有利な資金調達であったため、多数・多額のオペとなった。
 
メインオペである1週間もの(MRO)は、現状157行、162.9bnユーロの残高。これも適格担保さえあれば金額に上限はないが、金利は1%で、LIBORの0.35%前後に比して大変不利であり、オペに資金調達を依存せざるを得ない銀行の数と金額を示唆している。
 
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図2が7月1日の姿。442.2bnユーロのオペは、3ヵ月の長期オペ(LTRO)131.9bnと6日間のその他オペ(OTO)111.2bnにロールされ、その他の償還も含めてオペ全体で201.1bnユーロ減少し、他の政府取引も含めて結果として過剰準備額は174.4bnユーロに減少した。
 
3ヶ月ものも、LIBORは0.68%前後であり、この171行、131.9bnユーロは、不利な調達でオペに依存する銀行の数と金額を示唆している。
 
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図3が、仮に銀行間資金市場が正常に機能しており、過剰な準備預金は他行に放出することが円滑に行われた場合の姿の仮定図。
過剰準備がゼロになるだけのロールが行われれば良く、全体で375.1bnユーロのオペ残減少が可能なはずであった。
銀行間資金市場が正常に機能していれば、過剰準備額の平均をほぼゼロにすることは通常に行われており、例えば、金融不安のなかった07年のユーロシステムの所要準備に対する過剰準備の割合はわずか0.8%であった。因みに今年の7月1日まででのこの割合は105%である。
 
図3のような状況になった時の短期金利は、政策金利の1%に収斂し、銀行間オーバーナイト金利は1%弱になると考えられる。これは市場金利が1%を超えると、オペで1%で調達するため市場金利が1%を超えることはなく、一方、資金は全体でカツカツのため、1%を少しでも下回れば調達ニーズがでるため。
 
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図4と図5は勝手な仮定を置いて図2の7月1日の状況を、オペに依存する銀行とオペに依存しない銀行の2グループに分けたもの。
勝手な仮定は、
①オペ依存組の所要準備預金は100.0bn(根拠全くなし)
②オペ依存組もオペ非依存組も余裕を持った資金繰りは行わず経済合理的に行動する
③ECBは無制限の資金供給オペを続け、資金吸収オペはおこなわない
④経済的に有利であったその他の1年物のLTRO残高172.1bnユーロの割り振りは、7月1日満期の442.2bnユーロのロール率55%で按分し、55%はオペ依存組、45%はオペ非依存組とする。
 
図4がオペ依存組の状況、図5が非依存組の状況を表す。
 
オペ依存組は、その他の調達YYYYYYの銀行間取引の満期にともなう流出、或いは顧客預金の流出のために、オペによる調達に依存して所要準備預金を賄う。
一方、オペ非依存組は、ユーロシステム全体としては過剰準備で、オペ依存組が更にオペにより資金供給を受けるため、資金が流入せざるを得ず、過剰準備を預金ファシリティで運用することになる。
別な言い方をすると、オペ依存組の調達YYYYYYの流出=オペ依存組の当座預金減少は、必ずオペ非依存組の調達yyyyyy増加と当座預金の増加を伴い、かつオペ非依存組にはその他の12mLTROの満期以外に当座預金残を減らす方法がないため過剰準備が積み上がっていくことになる。
 
因みに、その他の12mLTROの満期は、9月30日75.2bn、12月23日96.9bnユーロである。
 
この状況での銀行間オーバーナイト金利は、オペ非依存組間では、最低は預金ファシリティの金利の0.25%で、資金が余剰なためこの最低金利に近くなる。
オペ依存組は銀行間取引は成立していない。
 
筆者には、この図4・5のモデルのような状況は、銀行システムはすでに崩壊している状況だとしか考えられない。
YYYYYYの流出がより激しくなった場合、各国中央銀行とECBはどこまで資金供給に応じるのだろうか?
適格担保が不足する銀行も予想されるが、超ルール的な対応をどこまで行うのだろうか?
今後のオペの推移、特にMROの参加社数と金額の推移が注目される。
今年に入ってからのMROの参加社数と金額の推移は下のグラフの通り。
 
※データはすべてECBのサイトに拠った。
 
 
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