フランクフルトの端っこから

オッフェンバッハの合唱団でモンテヴェルディを歌うことになり、イタリア語の歌い方に苦戦してます

全体表示

[ リスト ]

商品やサービスの試験を行う機関である商品テスト財団(Stiftung Warentest)が今日、設立50周年を迎えた。同財団は1964124日、連邦政府によって民法上の財団法人として設立されたもので、予算の9割を月刊誌『テスト(Test)』『金融テスト(Finanztest)』や書籍・電子ブック・オンライン有料サービスによる収入でまかなう。政府からの助成金は全体の1割で、中立を至上命令とするため企業からの広告収入は一切ない。2013年事業報告書によると、発行部数は『Test』が455,000部(うち定期購読は391,000部)、『Finanztest』が229,000部(定期購読193000部)。また、財団の公式ウェブサイト(https://www.test.de/)によると、13年の書籍発行点数は既刊・新刊あわせて120点、販売部数は計327,000部。サイトの年間ビジター数は6,350万人、ページビューは22,500万ページに上ったという。

ちなみに『Test』の価格(201412月現在)は15.3ユーロ、『Finanztest』は同4.9ユーロ、1部当たりページ数は100104ページとなっている。

 

創刊号からこれまでにテスト対象になった製品やサービスは92,000点を越え、その徹底した中立性と客観性、試験の方法・手順・評価法のほか製品名・メーカー・販売業者をすべて実名で公表する透明性から、消費者の信頼度は非常に高い。

私自身『Test』を定期購読しており、掃除機を買い換えたときには実際に同誌のテスト結果を参考にした。価格と品質が必ずしも比例せず、低価格のノーブランド品のほうが有名メーカー品より高い評価を受けたことも、逆に逆に価格の高さが品質の高さの証であり「割高でも長い目で見れば結局お得な」製品があることも、何度となく見てきた。

 

また、私が消費者として高く評価するのは「企業の社会的責任(CSR)」に関する同誌の調査だ。同誌は2004年末から、主に東南アジアなど低賃金国で生産されている製品を対象に、労働者の保護、環境保護、といったCSRに関する企業へのアンケート調査などを実施し、その結果を公表している。CSRに積極的に取り組んでいる企業からまだあまり積極的に取り組んでいない企業までさまざまなのは当然として、特に興味深いのは「調査への回答を拒否した」企業があることだ。CSRにきちんと取り組んでいる企業は大体がそれを知ってもらいたいと思うだろうから、喜んで回答するだろう。一方、CSRについて、情報提供を拒否するという態度は、「公表してもらっては都合が悪い」と言っているようなもので、つまり「労働者の保護なんて考えてません。工場の環境は劣悪です」と言っているも同然だと私は判断してしまう。


一例を挙げると、20096月号でランニングシューズのCSRに関する調査があったが、独アディダスが調査対象のメーカーの中で最もCSRの取り組みが進んでいた一方、アシックス、ブルックスとナイキは情報提供を拒否したという。この記事を読んだあとしばらくして、私は新しいランニングシューズを買う機会があったが、同じ金を出すならCSRにきちんと取り組んでいる企業を支持しようと、アディダスのシューズを選んだことは言うまでもない。

 

もちろん中立的な機関といえど完璧ではなく、試験の方法については往々にして批判が上る。低い評価を受け(て商品の売り上げががた落ちし)た製品のメーカーが試験法をめぐって提訴することがよくあるのだが、財団は何をどう試験し、どういう基準で評価をはじき出したか全て公表しているため、メーカー側に軍配があがることは皆無だった。しかし、同財団はよりにもよって設立50周年の記念となる今年、チョコレートに添加されている香料が天然材料か合成かをめぐる裁判で初の敗北を喫した。


かいつまんで話すと、問題のチョコレートにはピペロナールという香料が添加されていたが、「天然材料から抽出すると高コストになり、量産品のチョコレートに使えるような価格ではない。だから化学合成で作られたとしか考えられない」と判断、「それなのにパッケージには天然香料と表示されているじゃないか」と物言いをつけ、「そういうのは消費者にとって紛らわしい表示だ」ということで、味や品質には申し分なかったにもかかわらず「試験不合格」の烙印を押した。これを聞いたメーカーと香料メーカーは「天然品だ!」と反論して提訴、10月に財団の敗訴が確定した。メディア報道によると、裁判では香料が天然か合成かの判定はつけられなかったものの、財団側が「使われていたのは合成香料だった」という主張を裏付ける証拠を提出できなかったことで、敗訴の判決となったらしい。

この一件で商品テスト財団への信頼性に大きな傷がついたことは間違いないが、財団も批判を真摯に受け止め、より高い透明性の確保に向けて取り組むとしている。

何にでもいえることだが、失敗した事実は変えられない。しかし、失敗からしか学べないこともあるし、失敗を糧にすることで、人はより成長する。

Test』の読者として、商品テスト財団にはより一層の発展と成長を願いたい。

 

参照:

●海外主要国における消費者政策体制等に関する総合的調査 第3部 主要国の消費者政策体制 (3) ドイツ

Stiftung Warentest Jahresbericht 2013

●『Test20096月号、201312月号

●ヘッセン放送(オンライン版)ニュース「Das Geschäft mit dem Test: 50 JahreStiftung Warentest

Die Welt (オンライン版)50Jahre "test" Wie die Stiftung Warentest Firmen das Fürchten lehrt


この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事