|
RV大国アメリカならではの求人求職
■1980年代、アーカンソー州に住む若い夫婦の想像に端を発し、一つのアイデアとして それは始まった。 「もしも、RVに乗っている人たち(以降、RVer)に役立つ出版物があったら どうなんだろう? 特にRVerの生活様式に相応しい就職口やボランティア口を見つけられるとしたら・・・」 アメリカ陸軍工兵隊(USACE)でパークレンジャーをしていたグレッグ・ロバス氏は、こんな事を彼の妻に聞いた。
彼の妻デビーは幼稚園の先生をする傍ら、刺繍デザインや会報出版の内職をしていた。 ロバス氏は任務として、アーカンソー川沿いのUSACEのキャンプ場において 繁忙期のみ受付に住み込みで働く接客係を募集し採用するという責任があった。 宿泊棟の無いキャンプ場で採用できるのは、RVに乗り 現地に停泊できるRVerだけ。
レンジャーとして13年間、彼は受付係で働く何百人もの人達と共に仕事をしてきた。 その多くは定年したか、定年を目前にした人や夫婦だった。 彼らの仕事に対する倫理観や冒険好きな性分は、彼に強い印象を与えた。 もしも、他の公共機関や民間事業者がこの潜在的な労働予備員の存在を知ったら、それは巨大な需要になりそうだと彼は確信した。
Twin Lakes Campground, Winnebago Trail, Pendleton, SC Managed by US Army Corps of Engineers
■1986年の夏、ロバス氏はキャンプ場の門番4名の欠員を 約100名の応募者の中から補充した。 そのご時世では、潜在する応募者は求人情報を求め 全米400以上もある現場事務所に対し個別に連絡を取らねばならなかった。 多くの応募者を集めた公園もあれば、応募が募集定員に満たない公園もあった。
一緒に働いていた接客係からロバス氏が受けた質問の多くは、「どうしたら国中の他の公園や他の政府機関でこの種の仕事を見つけられるのか?」だった。 彼は会社に対し、この種の求人情報に対応する全米情報センターを開設すべきだと提案ししていた。 しかし、状況は何も変わらない。 彼と彼の妻は、自らこの情報格差を打開する手段があるのではないかと思い始めた。 果たしてRVerと雇用主を結びつける目的に特化した定期刊行物を維持して行けるだけの予約購読者はいるのだろうか?
夫妻は、彼の経験と 妻の広報発行、植字、グラフィックデザイン、大量郵送処理、執筆+α、ニッチマーケットに適した広報の創作の専門知識を組み合わせた将来の可能性を調査し始めた。 夫妻は現状の仕事が好きだったが、両親から起業精神を引き継いでいたので新たな機会の幕開けとなった。
夫妻の迅速な調査は、RVer達を待ち望む多くの雇用機会がある事を明らかにした。 USACEにおけるRVer達の仕事は氷山の一角であった。 それにしても、このようなRVer達を表す単語はないのだろうか? この生活様式を適切に言い表す単語があっていいはずだ。 長時間の話し合いや調査を経て、”Workamper”と言う言葉を創り出した。
その年の夏には8ページからなる最初の”Workamper News”を200部ほど印刷した。 50部は申し込み(年会費US$15)をしてくれた人に郵送し、残りは民間キャンプ場や政府機関、アウトドアレジャー関連企業に配った。 当初は口コミで広がっ
”Workamper News”は成功し、全米からの購読申し込みや記事の掲載を求める雇用主からの電話に追われる毎日になる。 情報量が莫大になり、”Workamper News”はペラペラの広報から分厚い月刊求人誌に変貌していく。
1996年にはネットビジネスwww.workamper.comも展開する。 これにより、オンラインでの求人求職登録やその情報のリアルタイム配信が可能になった。 年会費制で求職US$33〜54 求人US$40〜102。 雇用主へ提示する履歴書のアップロードも可能。
現在は求職者と雇用主の双方向マッチングサービスやセミナーも行っている。 RVer専用の民間ハローワーク又は就職支援サービスのような企業になった。 (アメリカには政府が全米を網羅するように組織した職業安定所は無い) 現在の”Workamper News”発行部数は、7万だ。
現在では、
www.workamper.comに類似した求人サービス会社が、いくつかある。
http://www.camphost.org/ Become a Camp Host
http://www.work-for-rvers-and-campers.com/ Workers on Wheels
確かに”Workamper”と呼ばれる人たちの約半数は定年退職者だが、その平均年齢は53才。 従って、年金をもらっていない年齢では、キャンプ代が無償のみでは生活が成り立たない。 ”Workamping”の意味には、自分の時間を価値あるものと交換するに事に関与している活動が含まれている。
キャンプホスト夫妻と空サイトを見に行く僕。 左のRVはキャンプホスト。
Fort Pickens Campground in the Gulf Islands National Seashore
south of Pensacola, Florida
”Workamper”という造語は一般の英辞書には掲載が無い。 1987年にアメリカ特許商標庁に商標登録されていた。 ”Workamper”の定義は、RVでキャンプしながら仕事をするという素晴らしい生活様式を選んだ冒険気質のある夫婦や家族等の事。 仕事はパートタイム、フルタイムを問わない。 もしも、あなたが従業員、事業家、又はボランティアとして働き、夜はRV (又は仕事場内の宿舎)で眠っているとしたら、あなたは”Workamper”となる。
Cが大文字の"WorkCamper"も商標登録されていて、これは慈善団体でボランティアとして働く人を意味する。 ”Full-Timer”という単語は、RVer間では常にRVに乗り旅行しながら暮らしている人を指す。 時々RVに乗って旅行する人を”Part-Timer”と言う。 RVを年中決まった場所に定置し、そこで生活する人達は”Workamper”でなければ”Full-Timer”でもない。 日本にも 僕が知っている範囲で”Workamper”が2名いる。 両者共にRVを移動ビジネスのプラットホームにした事業家だ。
■実際に”Workmper”として働いている人を紹介。 60代の夫婦 Geri & ChuckがブログPhunnyFarmで、その生活を綴っている。 彼等は今年の3月から4ヶ月間 フロリダ州のMyakka River State Parkでボランティアとして働いている。 電気、水、排水を含むキャンプサイト代(FHU:フルフックアップ)と洗濯機使用料は無料だ。 ボランティアで働く時間は週に10〜20時間程度。 それ以外の時間は周辺を散策したり、近場の旅行を楽しんでいる。
民間RVパークに”Workmper”として就職するまでの経緯を綴ったブログもある。 co-bearの夫妻はRVパークの維持管理業務等にフルタイムで携わり、時には写真家として撮影技術を教えるセミナーをRVパークで開催している。
”Workmper”を求めているキャンプ場のウェブサイトを一つだけ紹介。 Wildwedge Golf & RV park 一週間に20時間程度の夏だけ仕事だが、それ以上の業務時間には賃金を支払うという。 勿論、フルフックアップのサイト代は無料だ。 仕事は単純な維持管理だけではなく、専門的な技術を要するモノまで様々だ。
KOA 1000 Islands Campground, Henderson, NY on Nov. 6, 2013
Closed for the Season, Opening on April
■アメリカは南北に広いから、キャンプ場の繁忙期は南部と北部で季節が逆になる。 以前記事にしたアリゾナ南部のQuartzsiteは11月から2月がピークシーズンで、暖かい地を求め 全米各地やカナダからRVerが集まってくる。 夏はどうなっているのか?9月に行き様子を探ってみると、イベント会場周辺は閑散としたゴーストタウンのようになっていた。
北部や高地では10月を過ぎると停泊者が減るので休業するキャンプ場が多い。 昨年の11月にRVで北部を旅行した際、キャンプ場を探すのに苦労した。 ナイアガラの滝付近ではKOA等のフランチャイズ大手のキャンプ場も休業していて、止む無くモーテルに宿泊する事態にも遭遇した。 営業期間が5月から10月のキャンプ場もあった。
閑散期の休業は、キャンプ場に限らずモーテルやレストランでもあるので、アメリカを旅行する際には注意が必要だ。 こんな気候環境だから、季節により南北を渡り歩くRVerに向いた仕事があるのかも。 彼らの事を”Snowbird”(渡り鳥、避寒者)と呼んでいる。
季節により移動する”Workamper”や
持ち家を売り払った”Full-Timer” の現住所は?
住所不定の彼らに郵便は届くの?
免許証の住所や その更新は? 車両の登録地は? 税金は?
アメリカには、これらの問題を解決している会社がある。
これは、次回の記事 Domicile for Full-timers で。
![]() <参考サイト>
soto.sblo.jp キャンピングカー放浪旅生活+SOTO+終の棲家は自走式
<参考ブログ記事>
日本のワーキャンパー The Workamper in Japan (公開範囲制限あり)
END |
全体表示






大変興味深く読ませて頂きました。というのも数年前に、このworkamper.comのサイトに遭遇し、いたくこの言葉に納得し、自分のブログでも書庫を作ったくらいです(現在は非公開)
ただ、自分の英語力では内容を今ひとつ理解をしていませんでしたが、よくわかりました。ふじ◯さんの記事では2つの意味を紹介されていましたが、私としてはもうひとつ第3の意味を想像していました。というのも、日本での話ですが、キャンピングカーを作家やウェブデザイナーが仕事場にしたり、建築家が現場オフィスとして使ったりと、キャンピングカー自体を移動オフィスとしている人のことと想像していました。実際日本には全国をRVで走るウェブデザイナーとして有名な女性がいますね。実は自分もそれを目指してたまに打ち合わせに使ったり少しずつ進めていました。
2014/10/25(土) 午後 8:36
(すみません、長くなって)ふじ◯さんの2名の日本人ということですが、実は私は以前親交があった東京の方で少し形態は違いますがいらっしゃいました。家もマンションもありながら、オフィスに比較的近い都心の空き地を借りてRVで寝泊まりされていました(笑)
しかし元々のアメリカの事情というのがよくわかりました。やはり、RVパークが充実したお国柄だからできるのでしょうね。
2014/10/25(土) 午後 8:36
>TOSHさん、コメントありがとうございます。
いやぁ、”Workamper”という単語を知っているとは、流石RVerですね!
「従業員、事業家、又はボランティアとして働き、夜はRV (又は仕事場内の宿舎)で眠っている」という定義ですから、自営業でRVを移動オフィスや現場オフィスとして使い、且つ、そのRVに寝泊まりを少しでもすれば、Workamperですね。
九州のウェブデザイナーはRVerなら知っている方が多いでしょうね。 僕が知っているもう一人は、青森の方。
ほぼ定置したRVを家のようにして寝泊まりしている方は日本にも結構いますね。TOSHさんの知る都内のWorkamper、ステキです。僕は現場を見に行ってしまいそう! そう言えば、キャンパー関連雑誌の某編集長もWorkamperに当てはまりますね。
2014/10/25(土) 午後 11:08
つづき
アメリカではRVパークは勿論ですが、多くのキャンプ場が元々RVingを前提として作られていますよね。また、公共の土地ならキャンプ場でなくても、キャンプ許可エリアなら無料でキャンプできますね。ただ、現在審議中の法案HR5204が連邦議会で可決されると、有料になってしまいます。
余談ですが、ホテル嫌いの超有名フランス人俳優も日本に来た時はトラベルトレーラーに寝泊まりしているのでWorkamperです!(笑)
2014/10/25(土) 午後 11:08