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 アメリカ キャンピングカーの歴史 

※RVとはRecreational Vehicleの略で、キャンピングカー(モーターホームやトラベルトレーラー)の事。

何故、アメリカではRV文化が発展したのだろうか?その背景を推察するのに、北アメリカ大陸という広大な土地、自然環境、天然資源、移民してきた人々の気質に RV文化発展の因子があるのではないか? そこで、16世紀に始まったヨーロッパ人による北アメリカ大陸の植民地化まで遡り、RVに関係するアメリカの歴史を紐解いて見た。

英国メイフラワー号が辿り着いた場所、マサチューセッツ州ケープコッド
参考記事 → 「アメリカ縦横断 20131105 #25」http://blogs.yahoo.co.jp/fuji8888/32846049.html

1620年、メイフラワー号による移民を契機に、新天地を求めた新教徒や冒険家、軍人、農夫及び貿易業者が相次いで北アメリカ大陸の大西洋岸地域に入植。 ハドソン川を挟んだマンハッタン島の東にあるエリス島は、北アメリカ入植者の玄関口になった。 北アメリカ大陸の面積は約2400k㎡で、日本の約38万k㎡の63倍で広大だ。 先住民の村はあったが、入植者にとっては殆どが未開の地。 大西洋岸地域から大陸内部に向かい開拓されていった。 ”移動/移住をいとわない”という入植者のDNAが、現代のアメリカ人に引き継がれているのではないだろうか?

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サウスダコタ州マウントラッシュモアの彫刻  左から
ジョージ・ワシントン、トーマス・ジェファーソン、
セオドア・ルーズベルトとエイブラハム・リンカーン
参考記事 → 「アメリカ縦横断 20131022 #11」http://blogs.yahoo.co.jp/fuji8888/32785448.html

1775年、13州となっていたアメリカは植民地の自治権を求めて英国に対抗し、アメリカ独立戦争が勃発。 ジョージ・ワシントンが大陸軍の総司令官となり、1776年7月4日の大陸会議においてトーマス・ジェファーソンが起草したアメリカ独立宣言が発表された。 1787年には、ペンシルベニア州フィラデルフィアでアメリカ合衆国憲法が制定される。 1971年には、権利章典が追加されて自由の核となる個人の基本的権利とその法的保護規定が確立する。
”Life, Liberty and the pursuit of RV Happiness”

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Journey to the West by Wagon Trains
写真は、reedershistoryclass.wikispaces.comより借用

1804年、トーマス・ジェファーソン大統領は長年ミズーリ川以西の未開地を調査したいと考えており、軍人からなるルイス&クラーク探検隊を組織させて調査を開始。 1805年、探検隊は太平洋岸のオレゴン州アストリアに到達し、白人アメリカ人としてアメリカ大陸の陸路横断に初成功する。 当時発見されたイエローストーンは1872年に世界で最初の国立公園に指定された。 その後、順次国立公園が指定され、景勝地として白人に知れ渡るようになる。

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エリス島の移民博物館に展示されている アメリカ入植の歴史。
参考記事 → 「アメリカ縦横断 20131104 #24」http://blogs.yahoo.co.jp/fuji8888/32842310.html

1812年の米英戦争以降、ヨーロッパ政治への介入に懲りたアメリカは自国の領土拡大へと方針転換。 アメリカ国民は大挙してフランスから買ったルイジアナ植民地へ移住する。 1840年頃からは、太平洋沿岸の新天地オレゴンを目指した。 このオレゴンに通じる道はやがてオレゴントレイルと呼ばれ、西部開拓が盛んになる。 移民たちはインディアンなどに襲撃されないよう、幌馬車で隊列”Wagon Train”を組んで移動したという。 ここでも”移動/移住をいとわない”という入植者のDNAが、家財道具一切を幌付きの四輪”Coverd Wagon”に積み、野営しながら大陸を旅行させたのか?

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写真は、http://www.elmonterv.com/より借用
参考記事 → 「大草原の帆船」http://blogs.yahoo.co.jp/fuji8888/29702439.html

1848年、カリフォルニア州で金鉱が発見されるとゴールドラッシュが起き、多くの人々が陸路で西へ向かった。 太平洋岸が開拓されると、西から大陸内部への開拓も進む。 1859年にはペンシルべニア州北部のエリー湖南岸で石油鉱床が発見される。 アメリカ北部では工業が、南部では農業が発展。 1861年、南北戦争が勃発。

1869年、アメリカで最初の大陸横断鉄道が開通。 エイブラハム・リンカーン大統領は戦争中から大陸横断鉄道の建設を進めていた。 駅馬車から列車に変わる事で東西の物流・交流が活発化。 未開発の土地を無償で払い下げる1862年制定のホームステッド法とも相まって西部開拓時代が到来した。 先住民インディアンにとって、移住者は土地や生命を強奪する侵略者だった。 これに関する裁判は現在も続いている。

ヨーロッパでは人口が急増して食糧難が頻発し、新天地アメリカを目指して多くの移民がやってきた。

1897 Standard Oil Refinery No. 1 in Cleveland, Ohio
写真は、TeachingCleveland.orgより借用

19世紀終盤、石油や電力を中心とした第二次産業革命が起こり、豊富な石油資源を持ったアメリカの工業力は英国を追い抜いて世界一に。 エクセル、カーネギー、モルガン、ロックフェラーは一代で巨大企業にのし上がり、巨万の富を得た。その後のアメリカ経済は彼ら財閥によって動かされる事になる。 電気事業の先駆けとなったトマス・エジソン(GE)、ニコラ・テスラ(ウェスティングハウス)も彼らの財閥に翻弄された。 ロックフェラー率いるスタンダードオイル社では主にロウソクや薪に代わる灯油の精製をしていて、当初、ガソリンは揮発性が高い危険物として廃棄処分していた。 後に自動車エンジン用燃料として陽の目を見る事になる。

1902年、蒸気自動車の普及に伴い、イリノイ州で日本の日本自動車連盟JAFに相当する組織 アメリカ自動車協会American Automobile Association ”AAA”が設立される。

第二次産業革命以降、生活は便利になり、一時代前よりも多くのお金と時間を得たアメリカ人は、それを余暇の楽しみに使い始める。 次第にキャンプがレジャーとして再認識されるようになる。 19世紀末には、電気と燃料油が生活必需品に。 人々は都市に集中し、都市の人口は爆発的に増加。 原生自然は征服され、それと同時に野生動物は絶滅し始めた。 各地に生息していたバイソンは1985年まで制限なく狩られ、イエローストン国立公園でしか見れないようになってしまう。 1905年までにアメリカの森林は40%以上消えていた。 ようやく多くのアメリカ人は、自然資源の保護・維持を認知する。

1890年、ヨセミテが2番目の国立公園として指定され、同時に内務省が管理対象とする地域”国立公園システム”の構想が固まり、1891年には国が管理する森林地域”国立森林システム”が決まった。

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ヨセミテNPのグレイシャーポイントに立つセオドア・ルースベルト大統領(左)
「The mountains are calling and I must go」で有名なアメリカ”自然保護の父”ジョン・ミューア(右)
写真は、TheAtlantic.comより借用

1903年、セオドア・ルーズベルトは歴代大統領として初めて、アメリカ西部の国立公園視察を行った。 この視察旅行で彼は、自然保護と国民による自然景観の共有が必要と判断。 国立公園の指定に尽力し、道路や宿泊施設の整備などにも予算をつけるようになる。 また、山や自然に関わるクラブが次々創設され、自然保護とアウトドアレジャーの改革に影響を及ぼす。 ボーイスカウトもその一つ。 ギフォード・ピンショーも農務省森林局で自然”保全”を推進した。

Ford Model T Parts Assembly Line
写真は、FordModelT.netより借用

1903年、ミシガン州でフォード・モーター社が設立され、新移民にフォード・モーターが技術・言語教育を施し大量生産方式に組み入れた。 1908年にT型フォード”Ford Model T”が大量生産されると、一般庶民でも自家用車が買えるようになる。
 
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Wright Brothers National Memorial in Kill Devil Hills, NC
参考記事 → 「アメリカ縦横断 20131103 #23」http://blogs.yahoo.co.jp/fuji8888/32837682.html

1903年、ライト兄弟がノースカロライナ州キルデビルヒルズにて、エンジンを搭載した飛行機”Wright Flyer”で世界初の有人動力飛行に成功。 この後、航空機産業が興り、胴体設計・製造技術は後に誕生するRVの躯体に転用される事になる。

Youtube動画 ”CENTENNIAL VIDEO” by Go RVing

1910年、最初のRVとなるポップアップテントトレーラーが、Los Angeles Trailer Works and Auto-Kamp Trailers社で量産される。 同年、Pierce-Arrow社がマジソンスクエアガーデンで量産キャンパー“Touring Landau” を発表。 ここから、RV産業やRV文化の歴史が始まる。 この当時のトレーラーやキャンパーの躯体は木製であった。

The Four Vagabonds Camping Adventures
写真は、History.comより借用
 Youtube動画で当時の様子を見る事が出来る。

1913年から1924年にかけ、トーマス・エジソン、ヘンリー・フォード、ハーベイ・ファイアストーン、自然学者ジョン・バロウズは年に一度キャンプに出掛けていた。 4人はキッチンを装備したフォードリンカーントラックを引き連れ、テントで寝泊まりする。 この様子はメディアが大々的に取り上げたので、国中の注目を集めた。 一般大衆に”クルマでキャンプしたい”という欲望を誘起させ、クルマやキャンプ、RVライフスタイルの普及促進に一役買った。

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現存する最古のトラベルトレーラー 1913 Earl Trailer and Model T Ford

1914年、第一次世界大戦が勃発。 戦争によりヨーロッパは疲弊したが、変わって世界の工場として輸出を拡大したのはアメリカだった。 アメリカは史上初めての繁栄を謳歌。 電話が普及し、ラジオや新聞等の情報産業も発達する。 禁酒法時代(1920〜1933年)もあった。

1916 Summer cabin community in San Bernardino Mounlains
写真は、ForestHistory.orgより借用

1915年、Term Lease法が制定されると、国有林の中に制限付で建屋等を建設できるようになる。 これにより最初のキャンプ場となったのはオレゴン州Eagle Creek Campground。 その後、徐々にキャンプ場や遊歩道ができた。 イエローストン国立公園の1904年創業オールドフェイスフルイン、マウントレーニアの1916年創業パラダイスインやヨセミテの1927年創業アワニーホテルは当時としては超高級ホテル。 何故なら、当時の国立公園を遥々旅行できたのは金持ちくらい。 庶民は都会の喧騒から逃れ、近場のキャンプ場等でキャンプするのが精々だった。

1916年、経済発展には道路整備が欠かせないとしたウッドロウ・ウィルソン大統領の意見で、連邦補助道路法Federal Aid Road Actが制定される。 これにより、雨でぬかるみ通り難かった国道が整備されていく。

1920 The Tin Can Tourists Camp in Gainesville, FL.
写真は、tincantourists.comより借用

1919年、アメリカで初となるオートキャンパークラブ”Tin Can Tourists”がフロリダ州タンパで結成され、キャンパー間の交流を促進 し、キャンプマナー向上に寄与する。 会員は毎年約千人づつ増え、1921年1千8百人、1938年4万人、1963年には10万人を超えた。 このクラブは、後述のRVIAに関連する”Mobile Home Manufacturers Association”の設立にも関わっている。

Home Made Motorhome
写真は、MobilehomeLiving.orgより借用

1920年代、自動車が普及し、生活必需品化するモータリゼーションが起きる。 キャンパーの人口も増加し、様々なRVがオーダーメイドやハンドメイドで造られた。 この頃のRVの主流は被牽引タイプのポップアップテントトレーラーとトラベルトレーラーだった。

1925 Overland Park Trailer Camp
写真は、smithsonianmag.comより借用

1926年、イリノイ州シカゴと、カリフォルニア州サンタモニカを結んでいた約3,800kmのルートが、国道66号線”US Route 66”に指定される。 アメリカ全土で国道が整備されて交通量が増え、沿線の街が栄え始める。

1936 Curtiss Aerocar 5th Wheel trailer
写真は、Hindley's Garage.comより借用

1927年 最初のフィフスホイールがミシガン州デトロイトで誕生。 航空機デザイナーのグレン・カーチスが設計し、Aero-car社で生産された。 これにより、トレーラーの大型化が進む。

1930年代、相次ぐ異常気象やアメリカ中西部での連作障害によるグレイトダストボウル(土地の荒廃による砂嵐)が深刻化する。 これにより所有地が耕作不可能となって流民となる農民が続出し、新天地を求めカリフォルニア州へ移住した。 世界恐慌が起こったのもこの頃。 1929年に発生した株価大暴落を予測した企業家であり経済学者であったロジャー・バブソンは、「20年以内に半数のアメリカ人はトレーラーに住むだろう」と1935年に予言している。 1938年のAAAの調査によれば、苦境や貧困により住居用として使われたトラベルトレーラーは、全体30万台の内の1割だった。 (1938年の人口は、約1億3千万人)  ロジャー・バブソンは、大型トラベルトレーラーブーム到来も予測していた。

一方で、この頃になると国立公園、森林公園、都市周辺に多数のキャンプ場等のレジャー施設が完成し、中流階級ではアウトドアレジャーとしてキャンプを楽しむ事が一大ブームとなる。 トラベルトレーラーを生産する会社は100を超えた。

Defence Worker's Trailer Camp in 1941, GE Plant in Erie, PA
写真は、MobilehomeLiving.orgより借用

1939年、第二次世界大戦が勃発。 RV産業は低迷する。 一部のRVメーカーでは、移動診療所、捕虜輸送や遺体安置用トレーラーを生産。 軍人や軍需産業労働者の住宅として、政府はオクラホマ州タルサのSpartan Aircraft社に22×8 foot Trailerを3万5千台発注する。

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RVメーカーの地図 (クリックでGoogle Mapが開く)

戦後、金属・木材加工技術や飛行機の胴体設計技術はRVに活かされ、工場や技術者はそのままRV製造産業へ移行していった。 軍用機が生産されていたミシガン湖東岸地域は、RV産業地帯に変貌。 現在、インディアナ州エルクハートが、その中心地となっている。 航空機製造からRV製造に業容を切り替えた会社は、Avalon、Avion、Boles Aero、Bonair Oxygen、Bowlus(Airstream)、Curtis Wright、Silver Streak、Spartan、Streamline、Vagabond、El Rey等がある。

The Dwight D. Eisenhower System of Interstate and Defense Highways
写真は、fhwa.dot.goより借用

1956年、アイゼンハワー大統領が推進した道路整備計画の一環として、連邦補助高速道路法Federal Aid Highway Actが制定される。 戦時中、アイゼンハワーは全米を車で横断するのに二ヶ月を要していたことを体感していたのだ。 250億ドルの資金を投じ、10年かけて全長約6万5千kmの巨大な州間高速道路網”インターステーツ”が整備される。 これまでのアメリカ合衆国の歴史の中で、最も大規模な国家プロジェクトであった。
連邦高速道路局 ハイウェイの歴史 → http://www.fhwa.dot.gov/infrastructure/history.cfm

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1952年、ヨセミテ国立公園内に停泊するエアストリーム”クリッパー” 
参考記事 → Pix of Closed Yosemite NP

1950年代、道路が整備・舗装されると沿線にはガソリンスタンドやモーテルが次々とできた。 RVの主流は、トラベルトレーラー。 人々はキャンプ場へ乗用車等でトラベルトレーラーを牽いて来て、余暇を楽しんだ。 キャンプ場は、RVへの電気接続や大型トラベルトレーラーの停泊に対応するようになる。 大自然の中での停泊には、テントよりもトラベルトレーラーが向いていた。 それは野生動物や自然環境から身を守る為。 山野では熊やコヨーテ、砂漠ではサソリや強い日差し、水辺ではワニやヘビに注意が必要だ。 人里離れた場所にある原始的なキャンプ場に施設は何も無く、多くの設備を有したRVがもてはやされた。

装備の充実したトラベルトレーラーが安価になると、トレーラーを住宅代わりにする人々が増える。 同時に、トレーラーを住宅として使う人々の為にトレーラーパークができた。 トレーラーを一時的な住宅として使う場合もあれば、貧困で使わざるを得ない場合もある。 アメリカでは多くの場合、後者として認識され、トレーラーパークの立地制限を設けた州がある。

The First Class A motorhome, Ultra Van

1960年代になると、装備の充実や長期滞在に対応すべく、RVは大型化していく。 更にボートやカヌー、単車、ATV等を持って行きたいと考えるようになった。 車でトラベルトレーラーを牽引するか、それともボートを牽引するか? トラベルトレーラーに操舵装置とエンジンを組み込めば、レジャー用具を牽引できる。 車体後部のベッドの下にエンジンを組み込んだモーターホームを考案・製造したのはカリフォルニア州の飛行機デザイナー、デイブ・パターソンだった。 これが世界初のクラスAモーターホーム ”Ultra Van”となり、Ultra社で生産される。 大勢の家族で楽しめるように大型バスを改造したハウスカーもこの頃に登場した。 

RVIAのウェブサイト
RVIAではRV標準RV Standardsを定めている。

1963年、現在のRecreation Vehicle Industry Association ”RVIA”の基となるAmerican Institute of Travel Trailer and Camper Manufacturers (AITTCM)がインディアナ州インディアナポリスに誕生。 RV産業が成長して様々なタイプのRVが大量生産されるようになると、産業界のとりまとめや部品の標準化を推進する機関が必要になったからだ。 1968年に名称をRecreational Vehicle Institute (RVI) に変え、Mobile Home Manufacturers Association (MHMA) のトラベルトレーラー部門を吸収し、 1974年にカリフォルニア州リバーサイドのTravel Coach Association (TCA)と合体して現在のRVIAに。 本部は、ワシントンDC郊外のバージニア州レストン。 RVに関する様々な情報をウェブで発信している。

Good Sam Clubのウェブサイト
各州で異なるRV関連法規や規定についても情報が掲載されている。

1966年、カリフォルニア州でRV関連雑誌が発端となり、”Good Sam Club”が設立される。 これは、アメリカ自動車協会AAAをRV版にしたようなクラブ。 一般的会費は約US$10/月で、キャンプやRV用品販売の大型チェーンCamping Worldや加盟RVパーク、ガソリンスタンドでの割引や緊急対応サービス等を受ける事ができ、現在の会員数は約1億5千万人を超えている。

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 1969 The First Class C motorhome by Stites Camper Company

1969年、コロラド州デンバーのStites Camper社で、クラスCモーターホーム”Class C Motorhome”が誕生。 小型トラックのシャーシを用いて荷台フレームに居住部を架装する事で、クラスAモーターホームよりも製作工数が削減され、大量生産が容易になる。

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1979 Starcraft Converted Van

1970年代にバンを改造した”Van Conversions”又は”Campervan”と呼ばれるクラスBモーターホーム”Class B Motorhome”が普及し始める。 通常の移動手段や手軽なキャンプに使え、またトラベルトレーラーの牽引車としても使われた。

1973年、石油危機が起こる。 RV産業は大打撃を受け、多くのRVメーカーが姿を消す。 その重量故、燃費の悪いRVは敬遠された。 一方、大手自動車メーカーとして初めてGMがクラスAモーターホーム GMC Motoehomeを販売し始める。

1980年代になると急激にRVが増え、キャンプ場が不足気味に。 キャンプ場から溢れたRVや停泊代を倹約しようとする人たちは、道路脇や駐車場に停泊するようになる。 これが社会問題となり、多くの州は道路等での停泊を禁止する。.これに合わせ、観光地周辺や幹線道路沿いにRV専用の停泊施設”RV Park”が爆発的にできた。

 最も売れているクラスAディーゼルプッシャーブランドは、Tiffin社Phaeton
(クラスAで最も販売台数が多いのは、Winnebago社)

RVの多様化、多機能化は止まらない。 ディーゼルプッシャークラスAモーターホームが開発され、大型化が更に進む。 大型RVでは洗濯機と乾燥機の装備は当たり前で、ATVや単車、更には乗用車も積み込めるタイプが現れる。 1982年、陸上交通支援法Surface Transportation Assistance Actの制定により、各州は道路法規を改正。 横幅96インチ(2.44m)から 102インチ(2.7m)に拡大されたRVが主流になる。 更には、大型トラックシャーシを用いた超大型モーターホーム=トーターホームまで出現。 居住空間拡大の要望は尽きず、車両側面等が電動でスライドアウトして居住空間を拡大するアイデアがRVに採用される。 車幅拡大により、日本(2.5m未満)やオーストラリア、ヨーロッパ等でナンバーを取得した上で走行できる輸出可能RVが減少した。

ハリウッドスター ウィル・スミスのトレーラーハウス
参考記事 → Farther from Motorhome

RVの用途も拡大し、モータースポーツやスポーツチームの現地拠点、映画のロケ、移動ビジネスにも活用されるようになる。 33ベッドを装備した全長53ft(16m)のトーターホームがホッケーチーム用に造られたりしている。

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2014年 アメリカ RV出荷台数 実績

過去25年のRVメーカー出荷実績を見ると、2008年のリーマンショックで一時落ち込むものの、着実に伸長している事が分かる。 2014年は約36万台。 人口増加による需要層の拡大やベビーブーマー世代の旺盛な購買力が背景にある。 2015年1月現在のRVの製造会社は、OEM供給されている会社を含め、下記の126社 (内、カナダ4社)。

Advanced RVAirstreamAlaskan CampersALP (Adventurer Manufacturing)American CoachAmericana RVATC Recreational VehicleAward Recreational VehiclesB&F SpecialtiesBeaverBison CoachBorn Free MotorcoachBreckenridgeBurro Travel TrailersCasita Travel TrailersChalet RVCoach HouseCoachmenColeman Camping TrailersColumbia NorthwestCool Amphibious Manufacturers InternationalCountry CoachCowboy CadillacCrossRoads Recreational VehiclesCruiser RVCustom CoachCustom VehiclesDamon Motor CoachDoubleTree RVDRVDutchmen ManufacturingDynamaxEarthRoamerEggcamperEntegra CoachEscape Trailer IndustriesEverGreen Recreational VehiclesExiss Aluminum TrailersExtreme Recreational VehiclesFleetwood RVForest River RVForetravel MotorcoashForks RVFour Wheel CampersGeneral Coach CanadaGreat West VansGarage RVs (Outlaw Toy Haulers)GTRVGulf Stream CoachGulf Stream TrailersHallmark ManufacturingHaulmark MotorcoachesHeartland RVHemphill Brothers Coach Co.Holiday RamblerHost IndustriesHy-Line EnterprisesJaycoK & D Custom CoachKampaRoo CampersKeystone RVKibbiKing KampersKottage RVK-ZLance CamperLazy DazeLeisure Travel VansLiberty CoachLittle Guy World WideLivin Lite RVMarathon HomesMcKenzie RVMonacoNew HorizonsNewell CoachNewmarNeXus RVNorthern LiteNorthwood ManufacturingNu-WaOpen RangeOutdoors RV ManufacturingOutfitter ManufacturingPacific CoachworksPalomino RVPeterson IndustriesPhoenix Pop Up Truck CampersPhoenix USAPleasure-WayPowerhouse CoachR&R Custom Coach、R.C. Willett Co.Recreation by DesignRedwoodRexhall IndustriesRoadtrekR-VisionS&S CampersSafariScamp TrailersShadow LiteShow Hauler TrucksSix-Pac CampersSkamper RVsSkylineSpace Craft ManufacturingSportsmobileStarcraft Recreational VehiclesSunnyBrookTaylor CoachTentraxThe RV FactoryThor Motor CoachTiffin MotorhomesTrailManorTravel LiteTravel UnitsTrillium RVTriple E Recreational VehiclesWeekend Warrior RVWeis Craft TrailersWest Coast Leisure HomesWinnebago (Itasca)、Xplorer Motor HomsYellowstone RV
 
ブランド名からメーカーや車種クラスを検索する場合 → changingears.com
旧車や廃業したメーカーも含めて検索する場合 → rvadvice.com

RVに属すパークモデルRV

  
RVに属さないパークモデル(左と中)、RVではない工場で生産されたハウス(右)。

尚、RVは道路交通安全局National Highway Traffic Safety Administration (NHTSA)が定める規制に合致した車両を指す。 合致しない車両は、外形面積400sqft(約11坪)以下であればパークモデル”Park model or Mobile Home”で、超過すればハウス”Manufactured Housing”と Recreational Vehicle Certainty Act of 2014で定めている。 RVIAでRV標準”RV Standards”を、各州でRV規定”RV Code”を定めている。

RV大国になったアメリカ
参考記事 → RV火災 (火の車)

現在、アメリカは世界一のRV大国になっている。 約1千万台のRVがあり、10世帯中 1世帯がRVを所有する程の高いRV普及率。 旅行に使われているのが約9百万台で、残り約1百万台は住宅への転用だと推定されている。 レンタルRV会社は数十社あり、レンタル拠点は全米で約500ヶ所にもなる。 レジャーコストが抑えられるのもRVingの魅力。 有料キャンプ場や有料RVパークでのRV停泊費は、ホテル宿泊の半額以下だ。 あえて有料と記したのは、無料で停泊できる場所もあるから。

Dispersed Camping in Sonoran Desert west of Phoenix, AZ
参考記事 → 「Dispersed Camping

民間のRVパークは全米に約1万3千ヶ所もある。 政府機関や州、群、市等が管理する公営キャンプ場は約2万2千ヶ所。 (Ultimate Campgrounds or HIPCAMPを参照) 内、RVが停泊可能な公営キャンプ場は3千ヶ所ある。 また、民間のテント用キャンプ場(除RVパーク)や公共の土地にはRVで乗り入れてキャンプできるエリアもある。 RVingの醍醐味は”Dispersed Camping”。 人里離れた風光明美、或いは穏やかな気候の場所で、手軽に、そして快適に、時間に束縛されずキャンプする(できる)事だと僕は思う。

RV Recreational Vehicleは、アメリカのレジャーや文化を語る上で欠かせない単語になった。 RVが映画の題材になったり、映画のシーンにも登場する。 RVer、RVing、Toad、Hook-up、BoondockDry CampingFull-TimerWorkamper 等々、新たな意味を持った単語や造語が誕生する。 RVに密接した生活様式は”RV Lifestyle”と呼ばれている。 良質で多様なRV Lifestyleを求め、アメリカ人は今後もRV文化を発展させ続けるに違いない。



次の記事では、一昨年のアメリカ縦横旅行で訪問したインディアナ州エルクハートの博物館”RV/工場生産ハウスの殿堂 RV/MH Hall of Fame”の展示車で RV史を振り返ってみようと思う。

<書き残した事>
RV特有の技術って、あるのだろうか? 自動車と家を造る技術の合算か? 後日、記事にしてみたい。

 ※日本のキャンピングカーの歴史は、2010年2月発行「日本のキャンピングカーの歴史」という本で紹介されている。 執筆者は、雑誌「キャンピングカーガイド」の編集長 町田氏だ。

この記事に

  • 興味深く読ませていただきましたが、アメリカのRVを考えた時、カーボーイのための台所馬車「チャックワゴン」が原点にあるようにも思います。

    またイギリスで、台所付きの馬車「キャラバン」というレジャー用移動手段があったことの方が先かもしれません。

    いずれにしても、馬が車に替わってキャンピングトレーラーから始まったのでしょうね。

    tosh

    2015/2/6(金) 午前 3:04

    返信する
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    >TOSHさん、情報ありがとうございます!
    記事作成後もRVの勉強が出来て、嬉しいです。

    「チャックワゴン」という単語、初めて知りました。英語版のwikiで解説を見つけ、なるほどと思いました。 屋外で料理して屋外で食事する植民や移住時代の野営とは別に、カウボーイや木こりの為に台所馬車が考案されたんですね。 現在の厨房車キッチンカーの原点になっているようにも思います。

    アメリカ植民地時代以前の”RVの原点”を遡ると、イギリスの台所付きの馬車「キャラバン」、更には14世紀ロマの”Vaedo”になるようです。

    今後もRV関連の情報を、宜しくお願いします!

    ふじ○

    2015/2/7(土) 午前 11:09

    返信する

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