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 RV市場変化の一因は、MB-Sprinter? 

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アメリカの自動車用 燃料価格の推移
Source from eia.gov Gasoline and Diesel Fuel Update
(Download available into Excel)

モーターホームは、その巨体ゆえに大量の燃料を消費する。 アメリカでは2000年代後半から燃料単価が急上昇。 RVメーカーはこの状況に対応すべく、高効率エンジンの採用や車体の軽量化、空力特性の改善、小型RVの導入を推進し、自走式RV(クラスA、B、Cモーターホーム)のラインナップが変貌し始めた。

 従来、クラスB、Cモーターホームのエンジンは、大排気量のガソリンエンジンが定番。 しかし、2000年代初頭、数社の自動車メーカーが燃費の良いディーゼルエンジンを搭載するベース車を市場に投入すると、多くのRVメーカーが採用し始めた。 2008年、RVシャーシー専門メーカーは、米モーターホームの主戦場となるクラスAモーターホーム向けに、電気モーターをエンジンとトランスミッションに挟み込むハイブリッドを投入。 いち早く採用したのは、ウィネバゴ社とフリートウッド社だった。

 自動車用燃料の高騰にも関わらず、近年のRV人気の高まりは衰えない。 毛皮をまとった相棒も含めた家族全員でのキャンプなど、支出削減も可能なRV旅行のメリットが幅広い世代に浸透しているようだ。 全米のRV保有台数は1,200万台を超え、住宅に転用されたRVを除いたレジャー用は約1,000万台と推定される。 即ち、レジャー用RVは10世帯に1台の高普及率。 ”RVing”が主なレジャーの一つになっているアメリカは、キャンプ場やRVパーク(合計約1万9千ヶ所)、レンタルRVやRV専用駐車場など、RVを取り巻く環境が充実している。

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写真は、ブログ記事 アメリカ レンタル キャンピングカーのサイトより転用。

 堅調なRV需要を支えているのは、ベビーブーマー世代。 RVメーカーは、燃費を改善したモーターホーム、小型軽量RVや高機能RVなどでラインナップを拡充し、低い貸付金利、ここ数年で値下がりした自動車燃料費、トランプ政権の減税政策と相まって、ミレニアル世代の購買意欲を高めているようだ。 燃費改善に貢献しているのは、メルセデスベンツ社のスプリンター、フォード社のトランジットやフィアット・クライスラー社のプロマスター(デュカト)。 何れもディーゼルエンジンを搭載し、自走式RV(クラスB、Cモーターホームと一部の小型クラスAモーターホーム)のベース車に採用されている。

■リーマンショック後の景気後退で、一時的にRV出荷台数が減少。 その後、RV市場は堅調に伸長する。 2017年は約50万5千台となり、過去最高台数と過去最高伸び率 (前年比17.2パーセントアップ)を記録している。(参考:ヨーロッパRV市場は11万1千台で、前年比15パーセントアップ)

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1980〜2018年 アメリカ 年間RV出荷台数の推移
グラフは、ブログ記事 米RV出荷絶好調の裏側にある悲惨な状況より転用。

 近年、著しい伸び率を記録しているのは、自走式モーターホームのクラスCとクラスB。 原因は、冒頭で述べた通り、燃料価格高騰の影響もあると考えられる。 一方、圧倒的な台数でRV市場を席捲する牽引タイプのRVも、堅調な伸び率を維持している。 しかし、この裏に悲惨な状況がある事を忘れてはならない。

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タイプ別RVの台数推移
 
 日本ではハイエースやキャラバン等、ワンボックスバンをベースにしたキャンピングカーが市場を席捲しているが、アメリカでは大型観光バスサイズのクラスAモーターホームが自走式キャンピングカーの主流。 バンベースのキャンピングカーは、クラスBと呼ばれ、年間出荷4〜5千台(市場占有率 1%)のニッチな市場となっている。 但し、これはRVメーカーの話。 ワンボックスバンをキャンパーに改造する業者は、ごまんとある。

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2017年 タイプ別RV出荷台数の占有率

 自走式RVの内、クラスAモーターホームの出荷台数の伸び率が鈍化。 数年前まで自走式RVの中でトップの出荷台数であったが、クラスCに抜かれてしまった。 自走式RVでは、燃費が良くて値段が手ごろなクラスCや小型のクラスBモーターホームが好まれる傾向にあると推定できる。

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自走式RV モーターホーム クラスABC出荷台数の推移

 クラスBモーターホームのメーカー別 市場占有率を見てみると、第1位は、約36パーセントの占有率を誇るWinnebago社。 クラスBで4車種(Era, Travato, Paseo, Revel)をラインナップ。 2012年にSprinterベースのEraとRevelを加え、全米を網羅するディラー販売で順調に販売台数を伸ばしている。 2014年の約13パーセント第3位から、2016年は1位になり、25年以上も1位を守ってきたRoadtrek社を抜いた。

 第2位は、約29パーセントのErwin Hymer Group North America社。 Roadtrek社はクラスBでは常に占有率40パーセントを超える圧倒的な地位を築き、2015年まで常に第1位だった。 Chevrolet ExpressベースのクラスBを生産販売していたが業績が低迷。 2016年よりErwin Hymer Groupの傘下に入り、Ram ProMasterやMB Sprinterベースもラインナップに加えた。Erwin Hymer Group NA社でも、HymerブランドでRam ProMasterベースのクラスBを販売している。

 第3位は、約17パーセントのAirstream社。 1980年よりThor社傘下にある。 2004年に市場導入した豪華なInterstateは、ブランド別クラスBの販売台数で2011年より7年連続 1位。


Youtube 2018 Airstream Interstate
based on a MB Sprinter W906 319 CDI (3500 Cargo Van)
170" Wheelbase, 290" Extended Body,
24' 4.5" Total Length, 108.5" High Roof

 クラスCモーターホームのメーカー別 市場占有率を見てみると、第1位は、Thor社。 ライバルメーカーを次々と買収して傘下に収めて、RVタイプを集約し、継続するタイプ(メーカー)はThor社の1ブランドとした。 1980年より20社以上を買収し、2016年にはJayco社を買収して牽引式RVの占有率を伸ばしている。 第2位Winnebago社。 第3位Forest River社。 2014年まではThor社と競い合っていたが、差を付けられてしまった。
 上位3社の具体的な数値は不明だが、約40パーセント超の占有率でThorがトップだと推定できる。 ブランド別では、Thor社のFour Winds19.7%(1位)、Coachmen 13.4%(2位)、Chateau 6.3%(5位)、計39.4%。 Winnebago 12.4%(3位)。 Forest River社のSun Seeker 7.4%(4位)となっている。

■従来、クラスB、Cモーターホームのベース車は、Ford社Econoline/E-SeriesやGM社Chevrolet Express等のフルサイズバンや そのキャブシャーシーが用いられてきた。 大排気量のV8、或いはV10ガソリンエンジンを搭載し、巨体のモーターホームを力強く走らせるが、燃料消費は頭痛の種。 燃費は7mpg(3km/L)前後なので、375マイル(600km)走行すると、55ガロン(208L)のガソリンタンクが空になる。

 Mercedes-Benz社が、2001年に新Sprinter Van、2004年にSprinter Cab Chassisをアメリカ市場に導入した。 他社に先駆け、ディーゼルエンジンを積み、燃費を改善。 複数のボディサイズやホイールベース、FRと4X4が用意され、多くのRVメーカーに採用される。 また、この新Sprinter Vanの登場で、新たなRVメーカーが誕生したり、クラスBに参入するメーカーが出てきた。 このMB Sprinter(W906)とRVメーカーの詳細については、次の記事に。

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MB Sprinter Van & Cab Chassis

 Fiat Chrysler社は2006年にRam ProMasterを導入。 こちらも複数のボディサイズやホイールベースが用意された。 エンジンは、ターボディーゼル 3.0L I4とガソリン 3.6L V6 Pentastarの両タイプから選べる。 駆動はFFで、4X4に改造する事は困難。 ヨーロッパでは、2006年よりディーゼルエンジン 2.0 or 2.3L I4を積んだFiat Ducato 5th Generationとして販売され、RV販売台数の3/4に採用されている。 日本では、HYMER Japan社でHymer、デルタリンク社でAdriaニートRV社でWinnebago Travato & Trendフジカーズジャパン社でRoller Team(UK)&Wingamm (UK)の購入が可能。 日本では、バンテック社がDucatoベースのV670を開発中。

Based on a Fiat Ducato/Ram ProMaster
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左:Hymer Hymercar Ayers Rock、右:Adria Twin
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左:Winnebago Trend、右:Roller Team RIVIERA 85XT

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バンテック V670 写真はcamping-cars.jpより借用。

 Ford社は2015年に新ターボディーゼルエンジン 3.2L, I5 Power Strokeを搭載したTransitを導入。(バンを除き、E-Seriesは継続中)  E-Seriesと同様、エンジン/シャーシとして多くのRVメーカーに採用される。 駆動はFRだが、4X4に改造する事も可能。 日本では、ニートRV社でWinnebago Fuseボナンザ社でThor Compassの購入が可能。

Based on a Ford Transit
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Winnebago Fuse & Paseo
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Thor Compass

 RV市場の変化の一因となったメルセデスベンツ社のスプリンター。 詳しく調べて、次のブログ記事にしたい。




<参考サイト>
 別のブログ記事に掲載
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    ふじ○さん、スプリンターについて調べてもらって助かります。
    アメリカのクラスB モーターホームでは ベンツ・スプリンターがメジャーですが、ヨーロッパでは フィアット・デュカトがメジャーなんですよね。不思議だなぁ。アメリカではやっぱりベンツのネームバリューでしょうか。スプリンターが最初にアメリカにやってきたときは、ダッジまたはフライトライナー・スプリンターでした。その頃のモデルを購入した人たちは後でフロントグリルをベンツのものに交換している人達が多いい様です。
    あとフォード・トランジットはアメリカでは FRモデルのみです。ヨーロッパには FFも 4x4もあるようですが。今週金曜日にサンタフェのフォードに行って確認してきます。 削除

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    >ウッドチャックさん、コメントありがとうございます。

    僕も次期キャンピングカーの候補を探していますので、こうやってまとめておかないと忘れちゃうんです。

    日本でもベンツのネームバリューは影響が大きく、乗用車もキャンパーも人気がありますね。 でも、高い!

    フライトナーの認知度は、トラック関連の方々にとっては高いですが、一般ではイマイチでしょうか。 それもあって、ダイムラー社はダイムラーバンUSA社からMBブランドで商用車スプリンターを売り出したのかな?

    トランジットをFFとタイプミスしてましたので、修正しました。 ヨーロッパにはFFと4x4ですか? 僕も調べてみます。 トランジットで4x4が選べたらいいですよね。

    ふじ○

    2018/5/9(水) 午前 0:14

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