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 一過性とは思えない、アメリカのRVトレンド 

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1940s One of Canned Ham Travel Trailers, Terry Coach Trailer
昔、ハムの缶詰型と呼ばれたトラベルトレーラーはアメリカで大流行した。
写真は、trailerlife.com The Evolution of RVingより借用。

■様々なタイプのRVが販売されている中で、アメリカではレトロなトラベルトレーラーも人気がある。 生産後70〜80年近く経過したビンテージRVに注目が集まったり、その復刻版が生産販売されるようになったり。 フル装備で大型化した現在の牽引式RVに比べ、当時のRVはシンプルで小型軽量。 このコンパクトさと安さが見直され、RVメーカーが小型RVのバリエーションを増やしたり、小型トレーラーを開発する新たなメーカーも出現している。 また、ビンテージ専門の販売店やレストア/リノベーションを手掛ける業者も多い。

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1936 Masterbilt, Then & Now Restored
写真は、下記サイトより借用。
左:customrodder.forumactif.org (かなり有名な写真)、
右:ビンテージRVのレストア会社 flytecamp.comより借用。

 小型トレーラーは乗用車で牽引でき、大排気量エンジンを搭載する自走式RVとは違い、燃料代がお得。 ミレニアル世代が初めて購入するRVに適していたり、子育てが終わった熟年世代(Empty Nesters)の大型RVからの乗り換えにも選ばれる。 また、安近短なレジャー(Staycation)の道具としても使い易い。 今年に入り自動車用燃料単価が高騰し始め、今後は更に注目を集めそうだ。

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アメリカ ガソリン単価の推移

 リーマンショックで一時は低迷したアメリカRV市場。 現在は完全復活し、その勢いは止まらない。 昨年2017年はトラベルトレーラーがRV出荷台数の約67パーセントを占め、33万5千台。 これは、昨年日本で販売された新車プリウスの2倍以上の台数に相当する。 約4.5トン以下のトレーラーであれば牽引免許が不要で、自走式RVよりも安価なのが、トラベルトレーラーの占有率を高めている主要因。 (アメリカの牽引免許については、文末に記載)
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2017年アメリカ RVタイプ別占有率

 5年ほど前は、牽引式RVが全体の約90パーセントを占めていたが、年々自走式RVの占有率が高まっている。 以前のブログ記事 米RV市場とメルセデスベンツ スプリンターでは、自走式RVが小型車両へシフトしている事について触れたが、牽引式RVが小型トレーラーへシフトしているかは不明。 しかし、小型トレーラーのバリエーションが増えているという事実は、小型トラベルトレーラーの需要が高まっている事を示していると推測できる。RVメーカーは、価格が手頃な小型で軽量な牽引式RVで、若年層などの新規顧客の獲得を目論んでいるに違いない。

■さて、トラベルトレーラーの形状は、1930年代のRV黎明期に誕生したMasterbilt Coach社、Covered Wagon社とBowlus Trailer社を代表とする3系統と、1960年代終盤に登場したBoler社を加え、4系統に分類できる。 現在のトラベルトレーラーと比べると、小型軽量で車輪は1軸のみ。

1系統目:2枚の平らな側面パネルと、前面から後端まで流線形の曲面で構成される缶詰型のトラベルトレーラー

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1937 Masterbilt Coach, Streamline Canned Ham Style Trailer Coache
1937年 マスタービルト・コーチ社の流線形缶詰型トレーラー
写真は、vintagetrailercamp.comより借用。

 戦前/戦後、流線形缶詰型トレーラーは100社を超えるRVメーカーで生産販売される。 Airfloat, Aljo (Aljoa prior to 1957), Aristocraft, Aristocrat, Arrow Little Chief, Arrowhead, Bellwood Vacationaer, Boles Aero, Canadian Deluxe, Cardinal, Cat-o-Lac DeVille, Coachmen Cadet, Corvette, Crown, Dalton, Dethleffs Beduin, Diablo Daisy Mae,  Empire, Federal Trailer, Feild & Stream, Fireball, Fleetwood Sporter, Forester, Hanson Love Bug, Ideal, Jewel Nelson Wheeler, Kencraft, Kenskill, Kit Chateau, Kit Ten, Lakewood, Lil Loafer, Little Caesar, Loadliner, Mallard, Monterey, Mobile Scout(SunnyBrook RV), Mobile Sportsman, Nomad, Pleasurecraft, Rainbow, Road Runner, Roadking, Shasta Airflyte, Scotsman, Sportcraft, Terry Rambler, Trailercraft, Wally Byam Holiday, Westerner, Yellowstone Coachなど、枚挙に暇がない。


2系統目:矩形の4側面と屋根で構成される箱型のトラベルトレーラー

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1935 Covered Wagon 17’ Travel Trailer
カバード・ワゴン社の箱型17フィートトレーラー
カバード・ワゴン社については、下記ブログ記事に解説あり。
写真は、ブログ記事 アメリカ キャンピングカー博物館 #3より転用。

 箱型のトレーラーも上記の流線形トレーラーと同様に数多くのRVメーカーで生産販売される。 しかし、単調な形状ゆえ、RVとして現在も生産されているのは稀で、多くはファイバーグラスで構成された矩形の缶詰型に変化していく。 現在は、ヨーロッパや日本の一部のメーカーで生産販売しているが、アメリカではカーゴトレーラーや家畜用トレーラーでしか箱型を見ることが出来ない。

3系統目:金属の骨格と外表面で構成されたアルミ製トラベルトレーラー

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Bowlus  ”Road Chief”, the first riveted aluminum travel trailer
ボウラス・テラー社のアルミ製トラベルトレーラー
写真は、vintageairstream.comより借用。

 アルミ製トレーラーは戦前に伝説的メーカーが数社あったが、戦中に航空機メーカーが生産に参入して軍事工場用仮設住居として大量生産した。 これは、以前のブログ記事 アメリカ キャンピングカー博物館 #3 で詳細を記述。 (アルミは配給制となり、一般には出回らなかった) 戦後は、航空機メーカーが事業転換したり、航空機メーカーの技術者が立ち上げたりしたRVメーカーが生産している。 Airlight(El Rey Trailer), Airstream(Bowlus), Avalon, Avion Coach, Curtis Wright, Schult, Spartan, Streamline(Newell), Vagabond , Westcraft, Zimmerなど。 (詳しくは、allmanufacturedhomes.comを参照) 現在も伝統の形状そのままに量産し続けているのは、エアストリーム社。

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Airstream,Then & Now

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写真は、下記サイトより借用。
theairstreamclipper.blogspot.com Light and Strong
e1airstream.wordpress.com The Monocoque Structure

4系統目:ファイバーグラスを樹脂で含侵させた外皮をまとい、曲面で構成される卵型のトラベルトレーラー

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Casita is one of well-known Fiberglass Trailers
僕の師匠RVSueも愛用している(nemed BLT;the Best Little Trailer)
上下2分割の下半分は、カシータ社のみ底面もファイバーグラス

 バスタブに代表されるガラス繊維強化プラスチック(FRP:Fiberglass Reinforced Plastics)の技術が1960年代に普及し、高強度で軽量、防水性にも優れている事からトラベルトレーラーにも採用される。 支柱の無い構造躯体でモノコックボディに近く、室内の装備レイアウトが比較的自由になる。 バスタブを2つ上下(又は左右)に組み合わせたタイプはバスタブトレーラーと呼ばれ、継ぎ目が無い屋根は雨漏りの心配が少なく、耐久性に優れている。 (従来のトレーラーは屋根の接合部で雨漏りが発生すると、躯体の木材が腐ってしまう) アメリカでは一般的にFiverglass RVと呼ばれている。 (Fiberglass Reinforced PlywoodをFRPと呼んでおり、これと区別する為、FRP RVとは呼ばない)

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EggCamperは、左右2分割。
残念ながら、現在は生産を休止している。

 既に廃業した会社も多いが、老舗はAalite, American Sport Trailer(Genesis), Amerigo-Gardner, Astro Mfg(Havasu), Beachcomber, Biggar, Bigfoot, Biod Extase, Boler, Bolwell RV, Bonair(Oxygen), Burro, Casita, Contempo(Quantum), Centralia(Minit), Cloud, Compact, Companion, Dolphin, Eagle, Eco, EggCamper, The Egg, Escape, Fahti Caravans, Fiber Stream, Geographic, Gypsy, Hunter I, Lander 401, Land N' Sea Boat(El Macho;Boler clone), Levante(Graziella), Liberty, Lil Snoozy, Lite House, Miti-Lite, MKP Grandesse, Monarch(Ventura), Nest(now Airstream), Niewiadow/Predom Wohnwagen(Cadet), Northern Lite, OliverParkliner, Perris Valley(Perris Pacer), Play-Mor II, PLAYPAC, Rec-Vee World(U Haul), Scamp, Tote 'n Tarry, Trail Mite, Trails West, Campster, Trailorboat, Traveleze(Suntrek), Tri Fab(Love Bug), Trillium, Triple E RV:now Leisure Travel Vans(Surfside), U. Maly(Windspiel), UNIK, Weis Craft(Little Joe), Willerbyなど。 (新参メーカーは別途紹介)

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1955年、カリフォルニア州アナハイムのHille Engineering社が
キャンパー全胴体に初めてファイバーグラスを採用した。
インディアナ州エルクハートにある博物館のサイトは、rvmhhalloffame.org

 アメリカでは昔ながらのスプレーアップ法で生産されるが、日本では生産性が高く欠陥(ボイド)を防止して高品質に仕上がるL-RTM/インフュージョン法で生産するRVメーカーがある。(生産方法は、着脱出来る 既成/自作 キャンピングカー 乗用車編で触れている) 凹型次第で自由な曲面が成型できるので、レトロとは逆の 未来志向のRVを実現してるメーカーもある。

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左:スプレーアップ成形法、右:インフュージョン成形法
写真は、(株)宮城化成より借用。

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Vacuum Infusion Processing (VIP)とL-RTM
イラストは、moldedfiberglass.comより借用。

6分30秒より製造工程が紹介される。

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1960s Levente Graziella 300(Italian caravan)
オークションではフィアット500とセットで、3〜400万円
写真は、Facebook campingroadtripより借用。

上記の4系統に加え、小さなティアドロップ型トレーラー

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1964年製 Kit Trailer社製造のティアドロップ型のトレーラー
cooltears.com The History of Tears
golittleguy.com Teardrop History
tinyyellowteardrop.blogspot.com Review: Historic Camping & Teardrop Trailers DVD


■次のブログ記事では、実際に発売されたレトロなRVについて紹介します。

Retro RVs that are actually new & Vintage ones

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1968 Boler Fiberglass Travel Trailer
写真は、outdoorsy.comの下記記事より借用。


次のブログ記事は、


牽引免許について
 アメリカの普通自動車免許では(カリフォルニア州のクラスC免許を例に)、4,000ポンド(1,814kg)未満の車両で牽引出来るのは車両総重量が6,000 ポンド 2,721kg以下のトラベルトレーラーやフィフスホイール。 これ以上(10,000 ポンド 4,536kg以下)を牽引するには、4,000ポンド(1,814kg)以上のトラクター(ピックアップトラックなど)が必要。 更に重いトレーラーを牽引するにはクラスA免許が必要。
 従って、アメリカでは、トラベルトレーラーやフィフスホイールトレーラーを購入するのに牽引免許取得という高いハードルは無い。 また、アメリカ中西部には有料道路が少なく、日本のようにトレーラーを牽くと高速道路料金が1ランクアップという出費も無い。

 日本で発行される普通自動車免許の国際免許証には、”Light Trailer”の牽引が可能と記載されているが、具体的な重量が示されていない。 これは、国によって普通免許で牽引出来る重量が異なる為。 日本では750kg以下のトレーラーまで、アメリカでは10,000 ポンド 4,536kg以下まで牽引免許が不要。

詳しくは、下記ブログ記事を参照。


<参考サイト>
investors.com Mar. 21, 2018
southbendtribune.com May 18, 2016
rvda.org April 11, 2018
insideoutdoor.com April 13, 2018
trulinecustomrv.com

<メモ>
END

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