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深層中国 〜巨大市場の底流を読む
 第49回 上海の都市インフラとなった日系コンビニ
〜世の中を「つなぐ」仕事の意味とは〜
 
 
その1 からのつづき

コンビニは「端末のディスプレイ」

 「コンビニとは何か」という議論で、日本では時に「第二の冷蔵庫」といった言い方をされることがある。またある人からは「コンビニとはインターネット端末のディスプレイのようなものだ」という話を聞いたこともある。つまり、インターネット上には無限の空間が広がっていて、机上のディスプレイにはその一部が選択され、目に見える形で表示されている。コンビニの店舗も同様で、世の中の膨大なマーケットの一部が、店舗というディスプレイに表示されている――という考え方である。

 どちらも「なるほど」と感心したのだが、確かに日本のコンビニの際立った特徴は、単に売りたい商品を並べましたというのではなく、広大に広がるマーケットと自宅の冷蔵庫をつなぐ結節点として、商品やサービス供給のひとつの通過点として意識されているという点だと思う。マーケットがいまどうなっているのか、コンビニという「端末」を見ればわかる。まさにマーケットと冷蔵庫をつないでいるのである。

 上海でも日系のコンビニは同様の思想の下に設計されている。そこには現在のマーケットを代表する、人々に最も必要とされている商品が並べられていて、しかもそれが随時アップデートされている。この点が中国の「コンビニもどき」との大きな違いで、その差が「都市の生活インフラ」として受け入れられるか、単なる「24時間営業の小売店」に留まるかの違いとなって現れている。

「粘り強さ」が日系の強み

 むろん中国勢の経営者とてそんなことを知らないわけではない。問題は知っていても実行できるかどうかである。「知る」ことは頭のいい人が人に聞けばすぐにできるが、実行することは短時間にはできない。実行には長い時間をかけた反復練習が必要で、ひとつのことにしぶとく取り組む粘り強さがいる。ここにまさに日系企業の強みがある。

 日系コンビニは、その独自のコンセプトを実現するためさまざまな施策を導入している。そのひとつが従業員教育の徹底だ。従来の中国にない新しい概念のサービスを提供する必要があるので、店舗スタッフは総じて若い人が多い。パートタイムのスタッフには主婦や中高年層もいるが、社員は高校や専門学校を卒業したばかりの若い世代が中心だ。そうした人材に会社の理念から徹底的に説明し、共感できる人材の確保に努めている。

 さらにそうした柔軟な思考の人材に日本や台湾、香港などから派遣された講師が、挨拶や接客のマナー、態度、身だしなみ、6大接客用語などサービスの基本スキルを教える。店舗でのOJTでは、弁当類やおでん、コーヒー、豆乳など中食や飲み物類の陳列方法や作り方、清掃の仕方などを実際の業務に沿って教えている。各社ともエリアごとにスーパーバイザーのほか専門のインストラクターを配置し、サービスレベルの保持に力を入れている。

 筆者の住むマンション正面ゲートの左右にファミリーマートと台湾系の「C-store」があるが、品揃えは大きな差を感じないものの、スタッフのサービスは圧倒的にファミリーマートが上だ。店に入ると同時に「歓迎光臨(いらっしゃいませ)」の声がかかる。「○○元お預かりします」「○元のお返しです」「謝謝光臨(ありがとうございました)」といったやりとりは日本国内では普通でも中国ではデパートや専門店でも実行できている店は多くはない。時間帯によって店にいる従業員は変わるが、総じて笑顔で応対してくれる。日本国内の店に比べると雑然とした感じは否めないが、ローカルのコンビニや一般商店と比べればその差は歴然としている。

商品・サービスの積極的なローカライズ

 一方、商品開発や接客、サービスは中国風のアレンジを積極的に行っている。弁当やおにぎり、サンドイッチ、おでんといった品目自体は日本でもおなじみのものだが、その味付けや量などは中国流だ。中華風のたっぷりの具とご飯が一緒になったような巨大なおにぎりとか、中華風の炒めもの中心の弁当、カレー味や激辛のおでんなどは現地の発想から生まれたものだろう。一部の店では店頭で暖かい豆乳を売っているのも中国らしい。

 接客やサービスについては、中国のほうが日本より人間対人間のコミュニケーションを重視する傾向が強い。例えば、会計時にもう一品の「おすすめ」をするかどうかといったことだ。日本ではレジでの「○○もいかがですか?」式の声かけに対する顧客の抵抗感が強く、あまり歓迎されない。しかし中国では顧客のほうも「不要なら断ればいい」という感覚が普通で、おすすめされることがよくある。さらに弁当やパンなどの商品にもう1元追加すると、本来は単品で数元するドリンクがつくとか、同じ商品を複数購入すると2個めからは50%引きといった「お買い得」な手法に絶大な人気がある。これも中国の特徴といえるかもしれない。

 コンビニというもともと生活シーンに存在しなかった仕組みが、社会の変化とともにいつの間にか暮らしの根幹に忍び込み、それなしでは生活できなくなってしまう。こういうプロセスにおいて日本と上海など中国の大都市の状況は極めてよく似ている。コンビニという業態が元をたどれば米国生まれであることを、ほとんどの日本人は意識してもいないだろう。同様に上海市民もコンビニが日本で大きく進化し、いまや中国人の暮らしに大きな位置を占めようとしていることをほとんど意識していない。

 先ほど例に挙げたユニクロもそうかもしれないが、ほかにも宅配便や100円ショップなど日本には現代生活の新たなインフラともいうべき産業が次々と育っている。考えてみると、これらはマーケットを通じて生産と消費をいかに「つなぐ」かという発想の上に成り立っていることがわかる。中国の人々と仕事をしてみるとわかるが、中国人はこの「つなぐ」という行為が苦手である。自分の範囲の仕事は真剣にやるが、他人と「つなぐ」ことができない。逆に日本人は左右をキョロキョロと見て、周囲の意志を慮りつつ「つなぐ」のが得意である。マーケットと消費者を「つなぐ」ことを具体的に体現したコンビニという業態が中国社会に広く歓迎されているのは、むしろ必然的なことだったのかもしれない。

 中国経済が成長し、社会の仕組みが巨大かつ複雑になっていく中で、さまざまな要素を「つなぐ」発想はますます重要になっている。例えば、立派な高速鉄道(中国版新幹線)のハードはつくったが、運行ダイヤの設定に問題があり、接続が悪くてちっとも目的地に早く着かないとか、そういう話である。こういう端から端までをスムーズに「つないで」、生活を便利にするといった仕事は日本人や日本企業のお家芸で、必ず中国の人々に歓迎されるだろう。
 
 
日本の”総合的な”サービスレベルの高さは、海外で痛感する。
これからも、日本ならではのビジネスモデルが、海外で重宝されるでしょうね。
 

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深層中国 〜巨大市場の底流を読む
 第49回 上海の都市インフラとなった日系コンビニ
〜世の中を「つなぐ」仕事の意味とは〜
 
 
 日本ブランドのコンビニエンスストア(以下「コンビニ」)が上海で急速に存在感を高めている。すでに市民生活のインフラとしてなくてはならない存在になっており、昨年秋の尖閣諸島をめぐる反日気運が高まった時期でも営業的には大きな影響を受けなかった

 日系コンビニは1990年代に上海に進出、当初は先行したが、2000年代に入ると資金力と組織力にものを言わせた中国の地場コンビニが大量出店し、一時は日本勢を圧倒した。しかしここ数年、都市部での中間層台頭の波に乗って日本勢の高品質な商品やサービスが高い評価を得るようになってきた。

 こうした上海を舞台にした日系コンビニの「復活」は、今後の中国市場をターゲットにする日本企業にとって大きな示唆を含んでいる。なぜ日系コンビニは中国国内勢との競争をしのぎ切り、人々の支持を得ることができたのか。そのことを考えてみたい。

コンビニなしでは暮らせない上海人

 先日、内陸部の都市に出張してきた上海の友人と雑談していて、こんな話になった。「何が困ったといってコンビニがないのが一番困る。夜になってちょっとお腹がすいても、朝食に何か用意しておこうと思っても、全く店が開いていない。本当に上海は便利だよね」。北京に出張に行った別の友人も「北京だとコンビニを探すのは至難の業。車でぐるぐる走り回らなければ見つからない。上海だったら繁華街はもちろん、住宅街でもちょっと歩けば必ずあるから本当にありがたい」と言っていた。

 少なくとも上海市民にとって、コンビニとは日常生活になくてはならないものであり、生活のインフラである。上海に初めてのコンビニ、日系のローソンが登場したのは1996年。今から17年前のことになる。その頃から小中学生が学校帰りにコンビニでおでんやアイスクリームを買って食べながら帰るというのが日常的な光景になっていたから、30代以下の市民にとっては、子供の時からの生活習慣として染み込んでいる。

人口当り店舗数は日本と同レベル

 中国のコンビニの「主戦場」である上海は人口約2300万人。現在6400店のコンビニがあると見られている。人口3600人あたりに1店舗の計算で、日本が約3000人に1店舗とされているので似たような水準だ。私が住む上海のマンション付近でも、周囲数百メートルの徒歩圏内に3〜4軒のコンビニがある。

 上海のコンビニは、分類すると大きく日本、台湾系の外資勢と、国内勢の2つに分けられる。日本勢はファミリーマート(中国名「全家」)が735店舗(2013年3月31日現在)で最も多く、ローソン(「羅森」)が305店舗(同2月末現在)、セブンイレブン(「7-11」)が約100店舗で、この御三家が上海でもそのまま競争している。台湾系では「喜士多(C-store)」が有力で、600店を擁する。

 中国国内勢では、農工商グループ傘下の「好徳(Haode)」と「可的(Kedi)」の2チェーンが合計で約1500店、上海聯華グループの「聯華快客(QUIK)」が1200店、国有の食料企業グループ、良友集団系列の「良友金伴( Buddies)」600店などが主なところで、その他中小のチェーンが乱立している。数の上では国内組が優勢だが、勢いは日系に分がある。店内に入ってみれば一目瞭然だが、品揃えも接客も清潔度もまったく違う。

 中国国内系の低迷ぶりは明らかだ。例えば、「好徳」と「可的」は両チェーン合わせて09〜11年の3年間に店舗数が400店減少している。「聯華快客」「良友金伴」の店舗数もここ数年ほとんど伸びていない(『中華合作時報・超市週刊』12年8月13日付など)。1店舗あたりの1日あたり売上高(日販)も中国系コンビニが3000〜4000元(1元は約16円)であるのに対し、日系コンビニは6000〜7000元に達しており(同紙)、その差は大きい。
 

2000年代半ばから日系コンビニが躍進

 前述したように、上海にコンビニが登場したのは1996年のローソンが最初だ。 この新しい業態が人気を呼ぶと、中国の常としてあっと言う間に同様の店が林立した。中国国内の流通グループが展開する「コンビニもどき」が大量に出現し、2000年代半ばには店舗数は上海だけで4000店を超えた。日系は次第に影が薄くなる。当時、上海在住の日本人の間では「中国では日本のコンビニモデルは通用しない」との見方が強かった。日本のコンビニの強みは一言でいえば「きめの細かさ、緻密さ」にあると思うが、当時の上海の状況では、そうした着実な管理ができる人材が確保できず、消費者もまだ便利さや快適さに追加のお金を払う意識が育っていなかったのが最大の原因だろう。

 風向きが変わり始めたのは06〜07年頃だ。それに先立つ04年にファミリーマート「全家」が上海に進出、押され気味だった日系コンビニに新風を吹き込んだ。同社は1988年から台湾に進出しており、2000店舗を超えるチェーンを築いた実績がある。そのノウハウを生かし、上海でも台湾から派遣された人材が中心となって現地の指導に力を入れたことで品揃えやサービスのレベルが向上、コンビニのイメージが大きくアップした。

都市中間層にマッチしたコンビニ

 しかし背景としてより大きいのは、中国社会、特に上海のような大都市で中間層が成長したことだろう。その背景には2つの変化がある。

 ひとつは2000年代初頭まで低迷していた不動産市況が、02〜03年頃を境に上昇を始め、以前から市内に住居を持っていた人が一定の資産を持つようになってきたことだ。自宅の資産価値が飛躍的に上がり、精神的に余裕が出てきたのに加え、値上がりした自宅を担保に新たな融資を受けて不動産投資をする人や自宅以外の物件を賃貸に出したりする人などが増え、市民の所得は急速に上昇した。

 もうひとつは賃金水準の上昇である。中国南部の広東省などで人手不足が発生しているというニュースが伝わってきたのが04年頃のことだ。当時、その話に驚いて日本の雑誌に寄稿したのを覚えている。それまで「人余り」が常識で「永久に賃金が上がらないのではないか」などとすら言われた中国の労働力も、さすがに需給関係がタイトになり始め、賃金水準は着実に上昇を始めた。これ以降、ブルーカラー、ホワイトカラーを問わず毎年10%を超える賃上げが当たり前のことになった。

 こうした要素が影響して、2000年代半ばには上海などの大都市では、富裕層とまではいかないが、決して貧しくはない中間層が厚みを持ってきた。郊外のマンションを買って地下鉄で職場に通い、一部は自家用車を購入し始めたのがこの層である。こうした人々の生活パターンとコンビニは波長がマッチする。ついでに言えば、02年秋に上海に出店したものの鳴かず飛ばずだったユニクロが急激に売れ始めたのが06年のことである。いまや日本の小売業を代表する存在ともいうべきコンビニとユニクロがほぼ同じ時期に上海で急に人気を得るようになったのは偶然ではないと思う。

「生活インフラ化」が進む上海のコンビニ

 このころから日本のコンビニは、若くて情報感度の高い都市住民をターゲットにした戦略を取り始める。「一人っ子政策」に代表される少子高齢化で、中国の伝統的な大家族制が崩れ、夫婦のみ、もしくは夫婦+子供1人の核家族が都市人口の中心になった。さらに子供が独立した老夫婦は、日本と同様に近所の店でこまめに食品や日用品を買うようになってきた。

 加えて不動産開発ブームで郊外の宅地化が進み、通勤距離が伸びて家庭で料理をする時間が取りにくくなり、中食(なかしょく)や冷凍食品、レトルト食品などのニーズが出てきた。一方、都心部のオフィスではランチとしての弁当やサンドイッチ、中華系ファストフード類などの需要が生まれた。

 さらに都市化の進展とともに都市景観や衛生面などの観点から、食品類や飲料、雑誌・新聞、タバコなどを販売する露店や屋台などに対する規制が厳しくなり、それに代わる供給システムが求められてきた。この点、食品については屋台が依然として強い勢力を保ち、コンビニの強敵になっている台湾との違いがある。

 こうした変化を背景に、都市住民のニーズに対応する業態として新たに浸透していったのが外資系小売業としての日系コンビニだったのである。上海に関する限り、コンビニ文化は日本とほぼ同じ方向をたどっている。それは「生活インフラ化」の道であると言っていい。
 
その2 へつづく
 

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ビールは、耳から

 日本メーカーのHPは、似たり寄ったり 
 
■ビールの旨いシーズン到来! 僕はアルコールが全く飲めないが、アルコール飲料が大好き。 アルコールを分解する酵素を体内に持ち合わせない特異体質なのだ。
しかし、旨いモノを食べる時は、ビールが欠かせない。 実は、今日のお昼ご飯でも 飲んでしまった。(笑) 旨い寿司には、旨いビールだね♪ 飲む量はわずかだから、ご容赦を。
 
■GWが近くなる頃から、ラジオでオンエアーされるビールのCMが急増する。 昔、取引先の機械加工工場を周っていた時に この現象を強く感じた。 午後3時を過ぎると、”ビールが飲みたなる”イメージ満点のCMがスピーカーから流れた。
 
■インターネットでビール会社のホームページを覗いてみたが、”飲みたいな〜”と感じさせるモノが少ない。 飲み物は視覚よりも聴覚に訴える方が効果的なのか。 飲食は、匂いと音で誘われる事が多い。 これは、僕だけなのか? 不思議だね。
 
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アサヒ、キリン
 
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サントリー、サッポロ
 
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(特別に)ホッピー、バドワイザー
 
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コロナ、ミラー
 
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クアーズ、カールスバーグ
 
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クローネンブルグ、ギネス
 
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レーベンブロイ、チンタオ
 
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アインタ (アメリカ ユタ州)
 
■日本メーカーのホームページは似たり寄ったりで、ウェブに力を入れているとは思えないつくり。 その分、TVCFにグッツリと資源を注ぎ込んでいる。 飲料業界が使う広告宣伝費は莫大なのだ。
 
■ところで、最後に挙げたアメリカ ユタ州の”アインタ (Uinta Bbrewing)”。 ここのホームページに掲載されているビールの銘柄デザインが面白い! ご当地ビールならではのデザインで、見覚えのあるモノがモチーフになっている。 グランドサークルを周った事のある方なら、一つくらいはご存じでしょう。
 
 
この”アインタ (Uinta Bbrewing)”。 exclevelanderさんのブログ「#34 Grand Circleの旅(番外編 Hoodoo Beer)」で、初めて知った。
 
 
次回、グランドサークル RVの旅で、アインタを飲むぞ〜〜〜♪
 

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International call

 通じたかな?  
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■梅雨の前に建てたいが、間に合うか? アメリカ Steel Master社とは e-mailでやりとりしているが、”遅い”。 合計金額の見積提示は早かったが、「明細を出せ」と言ったらマゴマゴしている。 合計金額が出せるのなら、その明細があっての事。 なんかおかしい。 適当な価格で、吹っ掛けて来たのだろうか?
 
■しっかりと建物の詳細を決めても、そこはアメリカ。 違った仕様の部材が送られてくるかも。 距離が海を越えて離れていると、対応が面倒だ。
 
先ほど 担当のジェリーへ電話してみた。 ハチャメチャ英語で。(笑)
早く建てたいんだけど・・・。 僕の想いは通じたかな?
 
このブログの所在を 担当のジェリーに伝えてある。 翻訳して読んでいるようだった。

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