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(2008年9月14日(日)の活動日記)
● 全国に恥をさらした横須賀市の対応
今月に横須賀市は市職員の採用試験を行ないます。
法律で定められた『障がいのある方々の雇用率』というものがあり、
市に限らず、企業は障がいのある方々を雇用すべきことが
ルール化されています。
そんなこともあり、横須賀市の一般事務の職員の
採用試験には『身体障がいのある方の採用枠』があります。
本来ならば、障がいのある方々とは
身体障がいのある方々だけではないのに
障がいの種類によって限定しているのは大きな問題です。
知的障がいのある方々や精神障がいのある方々や
高次脳機能障がいのある方々などをはじめ、
障がいのある方々とは
身体障がいのある方々だけではありません。
まずこの時点で大きな問題なのですが、
この9月に行なう試験では、
さらに大きな間違いを横須賀市はおかしました。
受験資格に、差別的な条件を付けたのです。
昨年の受験資格と
今年の受験資格を掲載します。
<2007年>
(1)昭和52年4月2日から平成2年4月1日までに出生した人
(2)身体障害者手帳の交付を受けている人
(3)神奈川県内に居住している人
(就学等のため、一時的に県外に居住していて、
家族が県内に居住する人を含みます)
(4)自力により通勤及び職務遂行が可能な人
(5)活字印刷文による出題に対応できる人
(ワープロ、パソコン等による回答も可)
申込書の記載として
1.手話通訳を必要とする (はい・いいえ)
2.選考会場で車椅子を使用する (はい・いいえ)
3.ワープロ、パソコン等による解答を希望する (はい・いいえ)
とありました。
すでに昨年の段階でも(4)の条件に
フジノは差別的な問題を感じますが、ここでは触れません。
では、今年の受験資格を見てください。
<2008年>
(1)昭和48年4月2日から平成3年4月1日までに出生した人
(2)身体障害者手帳の交付を受けている人
(3)自力により本市に通勤及び職務遂行が可能な人
(4)活字印刷文による出題に対応できる人
(点字・拡大印刷・ワープロ使用等の対応はできません)
(5)口頭による会話が可能な人
さらに 申込書の記載として
補装具(車いす、つえ、補聴器、ルーペ、拡大読書器、電気スタンド等)の
持込を希望する場合は以下にご記入の上、
申込時にお申し出ください。
とありました。
昨年と今年でどこが違うか、気づきましたか?
そうです、(4)と(5)です。
● 何故、今さら『口話』に戻るんだ!
日本のろう学校の教育はこれまで間違っていて
『手話』を教えず、学ばせず、使わせず、にきました。
相手のくちびるの動きを見て何を話しているかを推測するトレーニング、
自分も(自分には聞こえなくても)発声して会話をするトレーニング、
いわゆる『口話』という手段を
ろう学校では教え込んできました。
これは明らかに
コミュニケーション能力の向上には効果が無く、
口話主体の日本の聴覚障がいのある方々と違って
手話主体の世界の聴覚障がいのある方々が
自由に日常生活のコミュニケーションを行なっていることとの
大きな違いになっていました。
この日本のろう教育の誤りは
ようやくこの10年ほど改められつつあります。
国連の障害者権利条約の第2条においても
『手話』は1つの言語として正式な位置をしめています。
そんな世界的な流れに逆行して、
横須賀市は何故、今さら
『手話』を排除して、
『口話』による会話が可能な人という条件をつけたのか...。
● 明らかに『合理的配慮』に欠けており、差別としか言えない!
さらに情けないことに、
これまでは
・活字印刷文による出題に対応できる人
(ワープロ、パソコン等による回答も可)
としていたものを
・活字印刷文による出題に対応できる人
(点字・拡大印刷・ワープロ使用等の対応はできません)
と「できません」にしてしまいました。
何だよ、これは...。
今、日本もようやく世界の動きに追いつく為に
国連の『障害者権利条約』に署名をしました。
署名するだけではダメで、この条約が求めるレベルまで
日本のいろいろな法や制度を直さなければ
条約を批准できないのですね。
この条約の大きな柱となるのが
『合理的配慮』というものです。
合理的配慮が無いものは、差別である、という考え方があります。
それは、あえてひと言で言うならば
精一杯な配慮を行なったけどしかたがない場合は
残念だけれどもしかたがないだろう、というような考え方です。
例えば、1人のおばあちゃんが経営している
まちの小さなタバコ屋さんに
バリアフリーの設備を新たにつけることを求めたら
そのお店そのものが経営破たんしてしまうようなことは求めない、
というような意味です。
最大限の努力をしたら
その努力によって本人が潰れてしまうような努力では
差別を無くすことにはつながらない、という風に考えます。
逆に、最大限の努力ができるのにしないということは
明らかに差別である、というのが『合理的配慮』という考え方です。
この考え方の導入で、差別という捉えどころの無い概念が
かなりクリアに分かりやすくなったと思います。
さて、そんな中、横須賀市は明らかに
合理的配慮に欠ける条件を新たにつけました。
合理的配慮の観点から見て
横須賀市が点字・拡大文字・ワープロ等を使用することが
「できない」とはとても言えません。
行政である横須賀市は、むしろ民間企業に対して
「障がいのある方々の雇用を進めて下さい」と指導していく立場です。
その先頭に立つべき横須賀市が自ら差別的な対応を行なっていれば
民間企業を指導することなどできません。
フジノは上に挙げたいくつかの条件は
明らかに差別的な欠格条項だと考えます。
これらを改善しなければ
横須賀市は世界の流れに取り残されるばかりか
『横須賀市人権都市宣言』を出したばかりなのに
早くもその宣言はただの空虚な紙きれに成り下がってしまいます。
(横須賀市人権都市宣言:http://www.hide-fujino.com/diary/2007/feb3.html#070219)
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これらを初めて知った時、
「障害者差別禁止条例を横須賀市でもつくろう!」
と市議会で訴えてきたフジノはあまりの情けなさに
怒りを感じるよりも
恥ずかしくてたまりませんでした。
毎日配られるあまりにも多すぎる書類の山の中に
たぶん1〜2ヶ月前に配られたであろう
採用試験の受験要綱もフジノは読んでいませんでした。
この問題を教えてくださったのは
九州の方がメールでフジノに指摘して下さったからでした。
つまり、フジノがこの問題を知った時には
すでに全国のあらゆる方々が
この問題が怒りをもって語られていました。
全国の方々が怒るのは
当然のことです。
全国レベルの問題だとフジノも率直に感じます。
こんなことが横須賀市で許されれば、
全国の行政がずるずると差別的な条項を入れていくでしょう。
その時にひきあいに出されるのが
「横須賀市がやっているんだから、うちのまちもやる」
という言葉です。
そんな事態は絶対に許せません。
この採用試験において
横須賀市が差別的な条件を新たに作ったことは大きな問題です。
こんなことは間違っています。
この問題について、蒲谷市長に対して
フジノは9月議会で一般質問します。
市長にはこうした差別的な条件の撤回を求めますが
そもそも何故こんなことをしたのかを
ぜひ明確に答弁していただきたいと思います。
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