なぜかロンドンそして東京

更新が止まる日、それはブログの終わりではなく完成なので、過去記事をときたま覗いて頂けたら幸甚です。

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創造はあるか

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先日、JR立川駅の駅ビル「ルミネ」のエスカレーターに乗ってどんどん上に上がっておりましたとき、
柱に貼られたポスターを見て、中学生か高校生くらいの女子ふたりが、おしゃべりしているのを小耳にはさみました。
ふたりのうちのひとりが、
「すごい。この言葉、感動した。うまいこと言うね。」
ふたりが見ていたポスターは、そのときはわたくしの目には入らなかったけれど、
新宿でも立川でもルミネの近くを何百回も通っているわたくし、
そこにどんなポスターが貼られているか、知っておりました。

ルミネのポスターはいつもちょっと人目を引くコピーが上手いと思ってはおりますが、
今のは平凡で陳腐だなと思っていたものであります。
それは
「恋は偶然 愛は意志」
というもの。

手あかが付いた表現ですよね。

でも、彼女たちは人生で初めてそれを見た。感動した。
そしてまた、そのポスターのコピーが「オリジナル」だと思った。
なんとなく、フクザツな気持ちになったわたくしです。


昔楽しく読んだ漫画に、
ちょっとオシャレなお坊さんの物語、岡野玲子の「ファンシィダンス」があります。
その中で、若き修行僧が同僚の主人公に、禅の勉強途上の悩みを語るシーンがあります。
その趣旨は、
「オレたちは日々、何かを悟り発見しようともがいている。
でも実は、もうこの世の中に、新しく発見するものなど、なにひとつ残っていないんだ。
今日俺たちが新しく思うことも、悟ることも、結局、何年・何十年・何百年も前にとっくに誰かが考えたり、発見したりしたことなんだ。
オレはそれを焼き直しているだけなのに、発見したつもりになっている。虚しいと思わないか?」
というようなものでした。

そう。


科学の分野では純粋な意味の「人類が初めて認識すること」があるかもしれないけれど、
文系の分野では、もしかしたら厳密には、そういうものは、存在しないのか。



さて、いきなり話題はいっそう卑近なものとなりますが、
わたくし、ここ半年ほど、自分のためだけの趣味のエンタメ小説を書いており、もう第19話にさしかかり、合計字数はたぶん百万字くらいとなりました。

書き始めたきっかけは、直接的には司馬遼太郎の「坂の上の雲」を読んでいて、急に、それまでの四十数年間の読書体験がわたくしの少ない容量のなかで「なにか、ちょっと、言いたいんですけど」という信号を発し、その主な動機はこれもお恥ずかしいんですが「坂の上の雲のなかの、友情の表現が、なんか高尚すぎる。もっとベタな友情を見たい。」自分で書いてやる!というものでした。


しかしきっかけは、結果的にたまたま偶然それだっただけであり、
なにか自分好みのエンタメの物語を書きたいという「なにか」は、思えば中学生のころから自分のなかに溜まりに溜まってきていたのだと思います。


中学生のころ、かっこいい女性キャラがたくさん登場するSFファンタジーもどきを書きまくっていたことがありますが、
そのころわたくしをインスパイアしていたのは、もちろん小学校高学年以降の「銀河鉄道999」をはじめとする当時の人気漫画・アニメたちでありました。

特に中学時代は、少女マンガ黄金期。
白泉社の、山岸涼子「日出処の天子」と、森川久美「南京路に花吹雪」は、わたくしのエンタメ物語への好みに決定的な影響を与えてくれました。

美しい男子たちがシビアな世界で華麗にもがき苦しむ世界は、美にうるさい女子には垂涎ものなんであります。


しかし不満もあり、
いずれの作品も、いくらなんでも結末が悲惨すぎ、
純文学じゃないんだからもう少し救いもほしいなという、潜在的思いもございました。


そして月日は流れ。

漫画もアニメももう一生関係ないと思っていた四十路のわたくし、
ふとインターネットで人気アニメを見る機会があり、
「ハイキュー!」をはじめとする、さわやかな青春・友情・スポーツ系漫画にしばらくの間かるくはまっておりました。

楽しい。ステキ。

しかし不満もあり。
・・・・どうしてこういうさわやかで楽しいお話って、みんな主人公が高校生なのか。
社会人はもうアホみたいな青春はしてはいけないのか。フィクションの中であってさえも。


そしてある日、憑りつかれたように、自分のためにカスタマイズしたエンタメ小説(本当は漫画を描きたいんですが、そういうスキルはないので)を書き始めたのが、約半年前のことなのでございました。


いやあ、楽しゅうございます。
こんなに安上がりな趣味があったのに、どうしてもっと早くはじめなかったんだろう。

でも、字数百万字ほどになってきたここ数日、
ふと、別ことに気が付きました。
そうなんです、
書けば書くほど、わたくしのなかに、かつてわたくしに影響を与えた作品たちのことが、事細かによみがえってくるのです。

特に、
「南京路に花吹雪」。

わたくしの、ストーリーの構成とかキャラクターの性格とかに、どうしようもないほどのキョーレツな影響を与えているであります。

で、次の瞬間、たまらなくなつかしくなり、
もう一度読みたくなりました。

そして、アマゾンの古本で、昨夜、注文してしまいました。



わたくしなどは単なる趣味ではありますが、
たとえば世にあるたくさんの小説・アニメ・漫画たち。
毎日生まれる素敵な物語。
でも、どの作家さんも、なにか別の作品を読んで育ち、それに影響をされている、いえ、もっと言うならば、それらによって出来上がっている、
だとするならば、
「創造」って、いったいなんなのだろうかと、
なんだかそんなことまで、考えてしまうわたくしでした。


考えても、わかるはずも、ないのではありますが。

閉じる コメント(10)

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傑作なのであります。はい、「創造」などはないのです。それは、お洒落に真似した作品ということだから。うん、でも、この記事すごいですね。

2015/2/14(土) 午後 3:59 [ KABU ]

> KABUさま、
や、やはりそうなのでありますね・・・・・・

お洒落に真似。
そうですよね。

せめて、とびっきり、お洒落にしたい。そのくらいしか、できない。

「傑作」のお言葉、ありがとうございます!

2015/2/14(土) 午後 8:14 [ ふくふきママ ]

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人類が「初めて認識すること」は、精神的な営為の世界ではもはやあり得ない、といふのはその通りでせうね。
男女の恋にしろ、人生の機微にしろ、五感の皮膚感覚にしろ、人類が「初めて認識すること」−−人間が何かに接して「ぼんやりと感じるもの」つまり「感動」ーーそれ自体は、もう出尽くしてゐる。もしかすると「源氏物語」の時代で尽きてゐるかもしれません。
しかし、それを共に生きる仲間、つまり時代の読者に「いかに伝へるか」といふ伝達手段になると、その手法は変化します。
いまや「創造」といふのは、さういふ伝達手段の手法のことにほかなりません。感動自体は源氏物語から千年、同じものかもしれないけれど、その伝達手段は日々、文学でも音楽でも絵画でも、新しいものが生まれてゐるのです。
文学の世界で言へば、源氏物語で遣はれてゐる「ことば」「文体」は今の時代には通用しません。今の時代に通用する「感動の伝達手段」、それを更新することが「創造」です。
西欧でも古代ローマの用語、文脈、比喩では現代人は「感動」しませんね。伝達手段ーーことば、文章技術こそが「時代の文化」であり、それは時代により無限です。

2015/2/14(土) 午後 9:42 [ 無為庵 ]

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模倣からの


生き方に昇華だと。

2015/2/14(土) 午後 11:12 [ justice2003tikyuusaisei ]

音楽だって、これだけ世の中に音楽が氾濫してしまったら、どんなに斬新なメロディーを創造したつもりでも、多かれ少なかれ過去のメロディーをなぞったものになっているといいます。
それでいいんじゃないですか。自分の中で何かを生み出そうと努力する行為が崇高なのであって、それが過去の何かと類似しているかどうかは関係ないと思います。それを否定したら、今を生きることそのものに意味がなくなっちゃう(^^ゞ

2015/2/15(日) 午前 11:32 真珠の涙

> 無為庵さま、
そうなのです、正しくは「精神的な営為の世界」でありますね。わたくしの言葉足らずを補ってくださり、ありがとうございます。
つくる、のではなく、つたえているだけなのでありましょうね。
その時代に一番合った、表現方法で・・・。

2015/2/15(日) 午後 0:19 [ ふくふきママ ]

> justice2003tikyuusaiseiさま、
まねる。
そして自分のものにする。
こころの働きは、そういうものなんでありましょうね。

2015/2/15(日) 午後 0:20 [ ふくふきママ ]

> 真珠の涙さま、
そういえば大昔ですが、題名のない音楽会というテレビ番組で、メロディーがよく似た曲の特集があり、そのとき解説のかたが、「ドレミの限られた音をつかった組み合わせなんですから、似たものが出るのは当然ですね」とおっしゃっていたのを今も思い出します♪

2015/2/15(日) 午後 0:22 [ ふくふきママ ]

↑それ、私も観ました(^^v

2015/2/17(火) 午前 11:24 真珠の涙

> 真珠の涙さま、
おおお!!!

2015/2/17(火) 午後 11:14 [ ふくふきママ ]

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