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※「ご挨拶1(みなさまへ) 」(http://blogs.yahoo.co.jp/fukufukimama/68492770.html)も併せてお読みいただけましたら幸甚です。
(この記事は予約投稿機能を使って日時指定でアップロードされています。) 最後に
わたくしの死には、ふたつの面があります。
ひとつは、いわゆるメンタルの領域で、「病気と認定され救われる枠」からこぼれおちる「変わった症状」だったための哀れな死という面。
そしてもうひとつは、自分の信念を貫くことができた幸福な死という面です。後者について最後に、とても厚かましいことなのですが、少し補足をさせていただけたらと思います。
わたくしは、色々な意味で少し変わった人間だったと思います。
それを実際にするかどうかとは全く別の話として、世で「自殺」というものがとにかく異常なこと、悲惨なこと、間違ったこととして問答無用で忌み嫌われることが、とても疑問でした。 それは「死」そのものをどんな場合も理屈抜きに忌み嫌うことが正しいという発想(建前)(そのために無意味な延命医療なども生まれていると思います)と、とても似ている気がいたしました。
もちろん子供や若い人があまり何も考えずに安易に死を選ぶことは非常に不幸なことですし、もしもそうでないとしても自殺が増えすぎると社会そのものが成り立たなくなると思いますので、自殺を「推奨」することはできません。 しかし、より広い意味で、「いつでも死ぬ覚悟」で生きることは、最終的には何物にもとらわれず、自分の良心と信念に従って生きるということを、比較的心の弱い人間にも可能にしてくれることだとも思っています。
それは、自殺を批判する人が必ず言う「生きたくても生きられない人もいるのに」というようなこととは、まったく次元の異なることです。 (生きる、というのは、死なないでいればそれで生きている、ということではないと思います。1秒でも長く息をすることでもないと思います。生きているという状態は、息をしていてなおかつ、自分の良心に従って行動している状態のことなのだと思っています)
曽野綾子さんの「老後の心配などするな。いつでも野垂れ死にする覚悟でいなさい」という言葉がとても好きです。
死と仲良くし、最後は自分の最期を自分で決める自由があるということを、普通に認め、悪い意味での保身のために良心を犠牲にすることなく、そしてたとえば、愛する人が自分の意思で「尊厳ある死のかたちと時期」を決めることを受け入れる、
そうした、「死との普通の幸福な関係」は、人間同士が愛し合い、なおかつ依存せず、互いに精神的に自立した真に幸福な関係を築くことに、ほんの少しですが、なにかヒントをくれるのではないかとも思っています。 平成27年5月 ふくふきママこと 石田麻紀
なお、ブログを続けてきてさまざまな「主張」をしてきましたが、
比較的よく自分の思いをまとめて書けたと思う記事、みっつほどありました。
お暇なときにでも、よろしければ、見てやってくださいませ。
「「情報」は他人から。でも、「判断」も他人のものでよいのでしょうか?自分の頭で判断しよう。少なくとももっと迷おう。」
http://blogs.yahoo.co.jp/fukufukimama/64296143.html |
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※「ご挨拶2(最後に)」(http://blogs.yahoo.co.jp/fukufukimama/68492770.html)も、併せてお読みいただけましたら幸甚です。
(この記事は予約投稿機能を使って日時指定でアップロードされています。)
■東京都庁、そして特に水道局でお世話になりました皆さまへ
平成4年に入都させていただいて以来、大変恵まれた生活をさせていただき感謝申し上げております。自分は本当に贅沢な人間だと思っております。
こうした最期のかたちを選ぶことで皆様に多大なご迷惑をおかけする以上、その「理由」を、お恥ずかしいことでも正直に申し上げなければならないと思います。
三十歳代のとき、自分では限りなくメンタルに近いと思える症状に3〜5年苦しんだことがあります。 その状況から数年かかってなんとか自力で這い上がった際、自分にふたつの影響が残りました。 ひとつめは、「死にたいならいつでも死ねるのだから、あと一日生きてみよう」と毎日がんばった経験が、わたくしに「いつでも、死という究極のけじめのつけ方があるのだから、何物をも恐れず自分の良心に従って生きなさい」という強さをくれたことです。
そしてふたつめは、今回初めて自覚をいたしました。
当時、心療内科に行っても、(自分の「症状」が普通の人と全然違っており、しかも自分が「助けてもらうことを早くあきらめすぎた」ため、)助けてもらえなかったこと。 がんばって這ってでも仕事に行けば行くほど、そして「食事」と「睡眠」がとれる限り、たとえ死にたいような苦しさが何年心に続いていようとも世の「メンタル」の枠から外れ心療内科に薬ひとつ処方してもらえない不条理を体感したこと。 これらのことが、いまだに心の奥に後遺症としてあったことに、今回改めて気がつきました。そしてそれはずっとわたくしを「実際に死に至らせる原動力」として存在していた気がいたします。
本当にお恥ずかしいのですが、今すべてを終えるということは、今思えば、なのですが(無計画・無責任で申し訳ありません。)たぶん三十歳代のころに、決まっていたことで、決して上司や同僚のせいではなく、むしろ上司、同僚の皆様には感謝と謝罪の気持ちで一杯です。
今回、4月の時期に連続してリアルタイムで直面した二人のうつ病という現実に、自分がどうしても上司として過去もこれからも適切でないとわかりました。適切な対応どころか、今回のこととは無関係な自分の過去の後遺症がらみで、わたくし自身の精神崩壊のスイッチが入ってしまった体たらくです。
しかもそもそも職場にメンタルヘルスについての問題を発生させてしまったその原因は、わたくしが適切な人事異動も必要な人員数確保についても、管理職として何もできなかったことであるというのに、です。管理職として、失格です。
そして、自分の失態を棚に上げるかたちとはなりますが、これから局の組織・人員を検討し決めていくかたへ、何卒、お願いをいたします。多摩の、慢性的な人員不足について。また、「委託」は「直営」以上に職員の手間とスキルが求められますが、実態はどうなのか。局の組織・人員のあり方において、どうか、こうしたことについて多摩の現場の声にも耳を傾けてください。このことはわたくしの体をはってお伝えしたい。
そして、今回のことは、メンタルヘルス問題がいかに「あなどれない」ものであるかも、改めてわたくしに教えてくれました。
こんなわたくしが管理課のみなさんに偉そうにメンタルヘルスについて語ったことはおこがましいの一言ですが、 わたくしのようにどうしようもなく手遅れになってしまう前に、部下の皆さんには日頃から是非、絶対に自分を大事にして、なるべく早期に発見してそして適切な対応ができるようにしてほしいと思います。 (わたくしは当時、一か所しか心療内科を訪ねませんでした。あきらめずに二つめ、三つめにトライすればよかったと思います。ただ、やはりわたくしのような「変わった」症状・・・日常生活に外見上の支障がまったくないままに内面だけがおかしくなっていく・・・は、依然として今の医学では認知されないものなのかも知れませんが・・・・。) どう考えても良い見本とはいえなかったわたくしですが、極端な「悪い例」「反面教師」となれたらせめてもの幸いと思っています。申し訳ありません。
「ひとつめ」の、わたくしを強くしてくれた影響のほうも、わたくしに常に「自分が死ぬときは、高い確率でそれは自殺によるものだろう」と告げておりました。それはわたくしの基本的な価値観「独り者として自由に生きる以上は、その責任も自分で引き受けるべき。まちがっても誰かに看病とか介護とか世話とかしてもらおうとは思うな。」にも合致するものでした。
今回、したがって、わたくしが死ぬ「理由」はひとつではないのだと思います。たくさんのことが、めぐりあわせが、今回は迷わずひとつの結論を指し示した感じがしております。
過去、(自分史上では)今などよりはるかにつらい時期、つらいことがありましたが、それに比べて今はそれほどつらいことがあるわけではない。どうして「今」なのか、本当のところは、わたくしもわかっていないかも知れません。結局これが寿命ということなのかも知れないです。「もう十分だ」「この先、この世の資源を消費して生きながらえる価値はお前にはもうない」と、なにかが強く宣告するのです。
今まで、本当にお世話になり、感謝しております。ありがとうございました。
今日まで大変な額のお給料をもらってきて、自分がこれまで給料分の仕事ができたかどうかが、不安ですが、少なくとももう未来に渡っては給料泥棒になる心配はない。それだけは言い訳の拠り所にさせてください。
幹部人事異動予定を決めるタイミングとなるべく近くあり、職場にかけるご迷惑が最低限でありますように。
自分が多少なりとも都民のために貢献できたことを願いつつ、今後、もしも寿命があればやりたかったことを、無責任ですが、あとは死に際しての願いとして、次のことを祈らせてください。
1 都庁や水道局が、先の見えない人員削減・実質的な人員不足から少しでも解放されますように。
定数の削減や維持ばかりではなく、必要な人員の「量」と「質」の確保をちゃんとやって、またその一方で、必要なときは適正な分限処分を運用し、無用な人材に無駄な人件費をかけることなく、 人件費を最大限有効活用する組織となりますように。 (そして我田引水ですみません、多摩水が業務の状況に比して人員の質量ともに冷遇されることがありませんように。そして多摩の経理係にもどうか人員増を。) 2 まじめに職場で頑張り続ける職員が報われますように。
・育児や介護や病気のある「特別な」職員を、「事情のない」職員がささえよう、というような発想の「ワークライフバランス」はもう無理だと思います。世話すべき親も子もいなくてしかも絶対病気もしない職員って、いったい何人いるのかと考えるならば・・・。「全ての職員に、事情がありプライベートがある」「”事情”があるほうが標準」という前提で考えられるようになりますように。 ・そして、職場は仕事して給料をもらう場であり、社会福祉施設ではないので、「皆が、自分に合ったボリュームで働くことを選べること」は、「こなす仕事の質と量に応じた給料となること」とリンクしますように。 ・「事情のある」職員だけではなく、今日も歯を食いしばって頑張って「普通に」働いている「事情のない」職員たちも真に大切にされる組織になりますように。 3 なにも言わない大多数の都民のために公正に働く組織となりますように。
・都議と役人とが、政策形成の公正なパートナーとなりますように。都議を不正に使う一部の人々の不正・不公平な要求実現に役所の資源が不公平に使われることが減りますように。 ・不当な一部のクレーマーに必要以上の役所の人件費が浪費され、静かで善良な大多数の納税者の血税が不公平に使われることがありませんように。 ・こうしたことを実現するために不可欠な、トップの良心ある覚悟がいつの日か生まれますように。 4 水道局がより良い組織となりますように。
・前のM局長のような、水道事業者としての分を超えた愚行を繰り返すことなく、社会は役割分担で成り立つものであることを忘れず、真に求められることを、地味でも目立たなくてもこつこつと確実にやっていく組織になりますように。 ・今のS企画担当部長とその追随者のような、不正と不正義をもって組織のサバイバルの手段とする本末転倒なことが、減りますように。(追伸:江本さんのポスターが早く廃棄されますように) ・わたくしの尊敬申し上げる今の局長や本部長や総務部長、調整部長、そしてその後継者の皆様のもと、公正さと良心ある組織として水道局が更なる発展をされますように。 ・組織のPRや議員さんの満足のため?の活動ももちろんとても大事だと思いますが、しかし手段と目的が逆転してしまうことがありませんように。間違っても一部の人間の自己満足そのものが目的化したりしませんように。今日も、(議員を使って理不尽な要求をしてくる一部の住民(議員さんの満足のための活動を色々していても、こうしたことが減る気配はない気もいたします)や工事事業者なども含め)工事への苦情等に神経をすり減らして対応し、契約不調に苦しみ、それでも少しでも老朽管を取り替え老朽施設を更新して安定給水を守ろうとしている現場が、少しでも仕事がしやすくなること、そのことが何より重要であることを常に忘れない組織でありますように。 5 わたくしがダメだったことが、イコール「女性だからダメだった」という解釈をされませんように。
水道局には係長級までは非常に多くの優秀な女性職員がおられます。でもなぜか、管理職が少ないです。 わたくしのような人間を管理課長へ登用してくださり、本当にありがとうございました。それなのに、途中になってしまいすみません。でもそれはわたくしが女性だったからダメだった、ということでは絶対にないので、 わたくしなどより、もっともっと優秀な女性職員がたくさんたくさん埋もれているので、そういう人々が積極的に管理職試験を受け、水道を愛し、これからも、どうか管理職に女性が引き続き増えていきますように。 とてもお世話になった新旧のサービス推進部長様、同部の皆様、多摩でお世話になりました本部長以下すべての皆様、ご恩に十分に報いられず申し訳ありません。本当にすみません。 もちろん、いつもわたくし「いつでも死ぬ覚悟で」仕事することをむしろ信条としていましたものの、こんなに早いとは思いませんでした。すみません、こんなはずでは、なかったのですが。
下水で、大学で、基地で、病院で、オリンピックで、わたくしを都庁で守り育ててくださった方々、水道へ来させてくださった方々、水道へ引き続き置いてくださった方々、本当にありがとうございました。勝手な人間ですが、水道でとても幸せだったことを、どうかお伝えさせてください。本当に感謝申し上げております。
そして調整部管理課の、今日もがんばって職場で仕事してくれている職員の皆様、こんな課長で本当にごめんなさい。
せめてものことは・・・病気休暇でなく欠員だということ、そして幹部人事異動のタイミングにも間に合っているであろうということです。きっと後任には、普通のちゃんとした課長が来てくださると思っています。1年やそれ未満で異動でいなくなる課長は珍しくないし、一般職員とは違って、多少の間管理課長がいなくても実害はないと思います。(開き直ってしまってごめんなさい) でも、上司が死ぬなんて、やっぱりゆるせないですよね。本当にごめんなさい。 ・・・・世の中、予想外のことが起こるし、ダメな課長というものもいくらでもいる、という事例として、どうかわたくしのことは反面教師としてください。 あなたたちは、将来ある、立派な職員たちです。ご自分をずっと好きでいてください。 昇任試験対策(主任試験)については、うちの部の窓口である経営改善課長にお願いして、局の制度を使い、遠慮なく論文等みてもらってください。
次の課長が来られるまでのしばらくの間、どうか辛抱してください。
そして、どうか幸せに、良心と誠意に従い、悔いのない人生を送ってください。 一時的に多大なご迷惑をおかけすることを、改めてお詫び申し上げます。
お世話になりまして、ありがとうございました。 なお、引き継ぎ書はメモ程度のものですが管理職専用フォルダの管理課長フォルダにあります。
■都庁の中田先輩、さとみちゃん、裕子さん、朝子さん、ひめ、おやぶん、広尾病院と米軍基地対策でお世話になりましたみなさま、大学同級生の妙美ちゃん、はる子ちゃん、そして温かく包んでくださった(ブログやFBのお友達も含め)全ての先輩・友人・知人の皆様、
ありがとうございました。愛に満ちた人生を送れたのは、皆様のおかげです。 お幸せとご健康を、お祈りしています。 ■実家のご近所の村田様、池田様、塚本様、吉見様 母が大変お世話になり、何と御礼申し上げてよいかわかりません。妹を、これからもよろしくお願い申し上げます。 ■妹の嫁ぎ先での皆様
身勝手な姉で申し訳ございません。妹を引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。心の優しい、すばらしい皆様のところへお嫁に行けた妹は、世界一の幸せ者です。そして私も、今まで本当にお世話になり、ありがとうございました。 ■妹へ
保証人を続けられず申し訳ないと思っています。もしもお金で解決することがあるならば、残った財産、有効に使ってもらえたら嬉しいです。(もちろん全ては妹であるあなたに譲ります。) 寂しい思いをさせるとしたら、ごめんなさい。でも、いずれにせよいつか必ず私は死にます。あなたが年取って弱ってから一人になるより、元気な今のうちから一人に慣れてください。独り暮らし歴の長い私の経験では、そのほうがいいと勝手ながら思っています。独り者の私が、あなたに介護とか面倒をかける可能性もゼロにできたわけですし。
あまり一緒にいられた時間がなかったけれど、かわいくて賢くて、自立していて、あなたはお姉ちゃんの誇りでした。ありがとうね。カフェ必ずうまくいきますよう。あなたが健康でありますように。
(身内に「不幸」が続いているのはこれこれこういうことが原因ですよ〜、といったような、怪しい宗教とか占いとかの誘いにはくれぐれも引っかからないように。お金を要求してくるものもありますが、そうでなく、純粋になにかのカルト宗教に人を誘うことだけが目的の人もいますので、くれぐれも注意を。それにそもそもお姉ちゃんのことは「不幸」ではないのですし。) ペット(黒猫のフクとフキ)は、もしも引き取れないようだったら、すみませんがフクフキをもらったところ(台所の上の戸棚に猫関係の書類があり、そこに誓約書が入っています)か、ボランティア団体さんにご相談してください。ごめんなさい。そして飼ってもらえるかたには、今まで西新宿ペットクリニックに行っていたことと、フクは甲状腺機能亢進症なので専用の餌「y/d」(獣医さんで処方してくれます)を食べていることを伝えてください。
インターネットのアマチュア小説サイトの「小説家になろう」に藤浦リサの名前で連載していた小説「ガーディアン」(全24話)は、著作権フリーにしてありますが、相続人として万一なにかご連絡があったら全て承諾してください。
そうそう、連休に話していた「家庭教師ヒットマン」の漫画、実際に読んでみました。面白かったし、あなたの言っていた「六道」さんのこともわかりました。かっこいいですね。お姉ちゃんも気に入りました。「ハイキュー」も教えてくれてありがとう。すばらしい漫画です。実はハイキューはお姉ちゃんが小説を書き始める大きなきっかけだったんですよ。あれだけの量(質はともかく)のものを書き残せて、とても満足しています。
さっさとフィニッシュした私が言うのもなんですが、人生はあっという間です。一日一日、あなたらしく、生きていけるよう、祈っています。お姉ちゃんのことを、大事にしてくれてありがとう。お姉ちゃんの愛情はいつもあなたの傍にあります。歳をとってボケてあなたのことが分からなくなることも絶対にありません。ずっと46歳バリバリの頼りになるお姉ちゃんのまま、傍にいます。万一、私と話がしたくなったら、「お姉ちゃんだったらこういうとき何て言うかな」と深く考えてみてください。必ず、テレパシーを送りますから。その時あなたの心に浮かぶことが、お姉ちゃんの答えです。
【追伸】お姉ちゃんが好きだった本と映画についてあまり話したことがなかったので。
本は、 翻訳ではカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」・・・・よくある解釈は、”クローンから臓器移植を受けてまで生き延びようとする人間の我儘さ”とかのようですが、わたくしの解釈はまったく違います。もっと、普通で、普遍的で、もっともっと哀しいことを、言っていると思います。よければ一度読んでみてください。 日本の作家では江國香織の「ホテルカクタス」・・・・この作家さんの中で一番好きな本です。作家さんではあと姫野カオルコさんが良いです。 映画は、トルストイの作品を映画化した「復活」・・・・設定はやや極端で現実離れしていますが、描かれた「愛」(もちろん、女性側からの、男性に対する愛ですよ)のかたちは、とても究極でとてもわかりやすく、そして気持ちが良いです。 |
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「上司としてメンタルの部下にどう対応するか」相談していたカウンセリングですが、
三回目の今日はキャンセルしました。
やっぱり、あまり、意味がない。
前回、最後にわたくしはちょっと言ってみた。
他人のために生きるのか、自分のために生きるのか、どっちなんでしょうね、と。
カウンセラーさんは、カウンセリング時間の終わりを気にしながら、「自分でしょうね。では次回またお話できるのを楽しみにしています」とおっしゃいました。
わたくしは、両方だと思っていますが、どちらでもないとも思っております。
他人を支えに生きるのは虚しいことであるのに、
「自分」は、「他人」がないと存在しない。
わけわからないものなんですよね。
ため息。
今日は声楽のレッスンに行き、初めて、オペラ「リナルド」から「Cara Sposa」を歌いました。
心を込めて歌うと、なんだか気持ちがよいものです。
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七 継続
ターミナル駅からすぐの雑居ビルの二階に、階段を使って上ると、廊下の向こうにすぐに小さな警備会社の入口が視界に入る。 大学を出たばかりの、背の高い短髪の青年は、大きなバッグを肩に背負い、緊張の表情で来客用入口から足を踏み入れた。 カウンターの女性が笑顔で出迎える。 「こんにちは、お約束ですか?」 「・・・こちらに内定を頂いている、豊嶋と申しますが、今月のうちに一度伺うようにとのことで・・・・。波多野営業部長と五時にお約束しています。」 「ああ、うかがってますよ。ちょっとお待ちください。」 女性が事務室内を振り向くと、呼びに行くまでもなく波多野が丸坊主に近い短髪にまったく似合わないメタルフレームのメガネのいつものスタイルで、こちらへ歩いてきていた。 「池田さん、応接室にお茶をお願いしますよ。」 「かしこまりました、波多野部長。」 波多野は豊嶋のまだあどけなさの残るような日焼けした顔をちらりと見て、応接室へと先導した。 ソファーに向かい合って座り、事務の池田さんがお茶を置いて立ち去ると、二人は一口煎茶を啜った。 「貴重なお休み中に、すみませんね。豊嶋さん」 「いえ、早く仕事がしたくて、たまりません。こちらで今日から働きたいくらいです。」 「頼もしいですね。・・・今日は、豊嶋さんの希望の件について、先にお話ししておこうと思いました。」 「はい。」 波多野は再び煎茶を飲んだ。 「新人警護員は先輩警護員とペアを組んでサブ警護員として仕事を始めますが、豊嶋さんはお父上が当社のクライアントになられたとき、警護を担当した、高原晶生警護員にぜひ教えを 受けさせてほしいとおっしゃっているんですよね。」
「はい。でもそんな超一流の警護員さんといきなりなんて無理だと父には言ってありますが、俺もいつかはとは思っています。」 「インターンシップで来られたとき、スケジュールがちょうど合ったんで槙野警護員と組んだことがありましたね。どうでした?」 豊嶋は思い出すように目を輝かせ、唾を飲み込んだ。 「プロの警護員さんは本当にすごいと思いました。俺とそれほど年齢も違わないのに・・・。」 「槙野はごくごく若手の部類に入りますからね。一人でメイン警護員を務められるには、最低限あのレベルが必要ということです。まあ、豊嶋さんも早晩そうなれますよ。」 「がんばります」 「うちに、パートタイムではありますが、最古参の警護員達・・・高原や葛城の、直弟子みたいな警護員がいます。豊嶋さんは、彼と組んで仕事を始めてほしいと思っています。」 「その方は・・・・」 「豊嶋さんのお父さんも豊嶋さんもご存じの人間ですよ。」 「あ、もしかして」 応接室の扉がノックされた。 波多野が入るよう返事をすると、長身の豊嶋より背の低い、身長百七十センチくらいの細身の青年が姿を見せた。 明るい茶色の、絹糸のようなさらさらの髪は、女性のショートカットくらいの長さがある。その童顔によく似合う透明度の高い琥珀色の両目が、豊嶋のほうを見て少し笑った。 槙野と同様、豊嶋とほとんど変わらないような、ごく若くみえる警護員だった。 立ち上がった豊嶋のところまで彼を導き、波多野が二人を引き合わせ紹介した。 「豊嶋さん、こちらが・・・河合茂警護員です。うちの、有能なガーディアンですよ。」 豊嶋は、僅か数年前に一度会っているはずの相手に、今初めて会うような思いがして、深く一礼した。 街の中心にある古い高層ビルの高層階にある事務所の、奥の社長室にひとりの背の高い女性が扉をノックし入っていった。 社長室と呼ぶには簡素なつくりの、個人の書斎のような部屋には、端正な紳士と平凡な容姿の眼鏡の女性とが中央の円テーブルに座って待っていた。 眼鏡女性のほうが立ち上がり、入ってきた背の高い女性を紳士のほうへと導いた。 「森宮くん、新任研修終了おめでとう。」 「ありがとうございます。大学の勉強との両立で、一時ブランクとなり、時間がかかってしまいましたが、ご配慮いただきまして感謝申し上げております。」 金茶色の髪をきちんと整え異国的な顔立ちに映える深い緑色の目をした、部屋の主は、ふたりの女性を前に祝福の笑顔を見せた。 「森宮さんは今日から、正式に恭子さんのチームのメンバーだよ。」 「はい。」 吉田恭子は眼鏡の奥の静かな両目で、上司のほうをちらりと見た。 阪元航平はその視線に気がつき少し顔を傾け笑った。 「ごめんごめん、森宮くんの大事な上司を下の名前で呼んでしまって。でも私の癖なんだ、許して。」 二人の女性は寛大に微笑んだ。 森宮は女性にしてはかなり高い身長に、少年のようなショートカットの髪型をしている。 「研修中にお世話になったチームの皆さんから、社長のいくつかの特徴についてはうかがっておりました。」 「へえー。例えば?」 阪元は楽しそうな顔で森宮の、吉田によく似た深い湖のような両目を見た。 「とってもコーヒーがお好きで、淹れるのがお上手だと。」 「うん。」 「それを社員にいつも飲ませてくださると」 「そうなんだよ」 「でもお悩みをお持ちのときは、社員がとても長い間社長室に拉致されてしまうと」 吉田が笑いをこらえているのがわかった。 「それは・・・誰に聞いたのかな?」 「リーダーの庄田さんです」 「そ、そのほかには・・・?」 遠慮がちに瞬きをし、森宮は阪元の顔を見て微笑した。 「社員を、とても愛してくださっていると・・・。ミッションを遂行していく上で、我々には少し面倒なライバルがいるけれど、どんなときも・・・社員をお守りくださっている、と。 そうおっしゃっていました。」
「・・・新人エージェントになんだか色々既に重いものを予感させてしまってるね。困ったものだ、庄田にも。」 ついに吉田が声を出して笑った。 「社長、あきらめてください。うちのチームの深山が、さらに色々なことを教えるでしょうから。」 「・・・・そして酒井もね。・・・森宮くん、とりあえず深山っていうエージェントが何か言ってても、軽く聞き流すように。」 「は・・・・」 「あれはただのバカだから」 「・・・あ、社長の弟さんの、優れたアサーシンさんのことですね。とてもお兄さん想いでおられるって、・・・・」 「浅香が言ってた?」 「はい。」 「忘れなさい。・・・酒井については?」 「庄田さんがおっしゃるには、社長のご意見番でいらっしゃるのに、若干素行に問題がおありだと」 「あははは」 「でもリーダーの吉田さんと、それからチームの和泉さんには絶対かなわないんだそうです。吉田さんのチームで困ったことがあったら、深山さんや板見さんじゃなくて吉田さんと和泉 さんを頼るようにとのアドバイスをいただきました。」
「あはははははは」 笑い過ぎて咳き込みながら、阪元は奥のカウンターへ行きコーヒーセットを持って戻ってきた。 繊細な磁器のコーヒーカップとソーサーが三組、円テーブルに置かれ、阪元がポットから熱いコーヒーを注ぐ。 「おいしいです」 社長と吉田とともにテーブルに座りコーヒーを飲んだ森宮が、嬉しそうに言った。 「川西様はお元気かな?」 「はい。ご親戚のかたと最近は南米旅行がマイブームになっているんだそうです。」 「すごいなあ。・・・森宮くん、君が一人前のエージェントになったら、ご紹介くださった川西様も喜んでくださるだろう。まあ、我々のお客様には、もうあまりなられないことを祈り つつだけれど。」
吉田が静かに微笑んだ。 「幸福に生活しておられるかたには、うちの会社は必要ありませんからね。」 「はい。・・・・私、立派なエージェントになります。」 「うん」 「吉田さんのような・・・。どんなものにも、負けない、エージェントになって、困っておられるお客様たちを一人でも多くお手伝いします。」 「そうだね。・・・君は、たぶん、とっても強い。・・・うちの会社はね、まだいくつものことが、途中なんだ。社長の私は、皆に助けてもらって毎日仕事してるんだよ。恭子さんみた いな、頼れる人たちにね。」
阪元は微笑し、もう一度新人エージェントの顔を見た。 「やっぱり、わが阪元探偵社の伝統かな。女性がすごく強いのって。」 言ってすぐに、やや言い訳するような表情で、阪元は隣の吉田の顔を見た。 吉田は眼鏡の奥の静かな両目に慈愛の色を満たし、言った。 「社長。それは正確な表現では、ありませんわね。」 波多野が応接室を去った後、茂は、向かいのソファーで背筋を伸ばして座ったままの、しかし何か言いたげな様子の豊嶋のほうを見た。 「あ、高原さんたちは、今日はたぶん後1時間くらいしたら事務所に見えますよ。改めて、先輩たちにご紹介できますけど、それまでの間、外で食事でもしましょうか。」 「ありがとうございます。高原さんは、この大森パトロール社ができたときからおられる数少ない警護員さんたちの一人なんですよね。」 「うちはまだまだ若い会社ですけど、警護員たちは皆優秀だって言われてます。そして特に・・・当初からおられる四人の先輩警護員たちは、本当の意味で超一流の警護員です。早くペ アを組めるようになるといいですね。」
「高原さんと、葛城さん、それから・・・・」 「山添さん・・・・そして月ヶ瀬さん。皆さん、それぞれに個性が違っておられます。そして、後輩をとても大切に指導してくださいます。山添さんは、貴方が以前職場体験のときに組 んだ槙野さんを、育てたかたですし。」
「そして、河合さんは・・・・」 「ええ、葛城さんとずっとペアを組ませてもらいました。高原さんとも、山添さんとも、月ヶ瀬さんとも。」 羨ましそうな表情の豊嶋に、茂は微笑した。 唾をのみ込み、生き生きとした目で豊嶋は先輩の顔を見た。 「来月、入社したら早々に最初の仕事をさせていただけると伺いました」 「そうですね。今、俺が単独で準備中の、単発の案件がひとつあります。サブ警護員として入ってもらいます。」 「ありがとうございます。・・・今日は山添さんも月ヶ瀬さんもこちらへ?」 「えっと・・・月ヶ瀬さんは今日は非番ですね。山添さんは葛城さんより少し遅れて到着されると聞いてます。・・・まあ、月ヶ瀬さんに会うのは、もう少し後でもいいかも・・・・」 「?」 茂は軽く咳払いをした。 夕日が街のビルの間を縫って輝き、すぐに宵の三日月が静かに姿を見せた。 阪元探偵社の若き社長は、しばらく一人でいた部屋に、やがて別の社員を迎えていた。 「失礼します」 「こんばんは、庄田。仕事はもう終わった?」 「はい」 一礼して入ってきたシニア・エージェントは、その涼しげな切れ長の両目を上司に向け、意外そうな表情になった。 「・・・なんだか社長、楽しそうでいらっしゃいますね。」 「特にそんなはずはないんだけどなあ」 「でもよかったです。吉田さんから、社長がお怒りかもしれないから用心するようにとのメールを頂いていましたので」 「あははは」 既にテーブルに用意してあったポットに阪元が手を伸ばそうとすると、庄田が近づいて申し出た。 「たまには、私に手伝わせてください、社長。」 阪元は秘蔵の宝物を見つめるような表情で部下の顔を見て、その深いエメラルド・グリーンの両目を瞬き、そして笑った。 「ありがとう。それじゃ、お願いしようかな。」 テーブルの上のコーヒーカップに庄田がポットからコーヒーを注いでいる間に、阪元は窓際の自分の机まで行き、パソコンで一曲の音楽を再生し始めた。 それは庄田が聞き覚えのある曲だった。 テーブルに戻り、部下とともに座ってコーヒーを飲み始めた阪元に、庄田が尋ねる。 「社長、この曲は・・・・」 「うん。いつか、祐耶に聞いたことがあって」 「あの教会で、耳にしたとき、深山さんが歌詞を教えてくれました。」 「どうせ祐耶のことだから、日本語じゃなく英語に訳したんだろうね。」 庄田は笑って頷いた。 「はい。・・・たしか、オペラの曲だと。」 「ヴィヴァルディのオペラ、『ジュスティーノ』に出てくるアリアだよ。」 「はい」 「タイトルは、『Vedro con mio diletto』。」 短い曲が終わり、阪元は目を閉じて、歌詞を日本語で暗唱した。 「私は大きな喜びを持って愛する者に会うだろう。 私の心の中の心、魂の中の魂の、喜びをもって。 そしてもしも愛する者が遠くに離れるなら、 私は哀しみの溜息に苛まれ続けるだろう。」 庄田が目を伏せ微笑した。 「シンプルな歌詞ですね。」 「そうだね。」 「・・・もう一度、曲を聞かせて頂いても、よろしいですか?」 「いいよ。」 阪元はパソコンで曲を再び流した。 歌声が、静かに部屋に満ちた。 Vedro con mio diletto.
l'alma dell'alma mia, Il core del mio cor pien di contento. E se dal caro oggetto, lungi convien che sia. Sospirero penando ogni momento. 茂は後輩を促し、応接室のソファーから立ち上がった。
「それじゃ、そろそろ行きますか」 「はい。」 「なんだか、緊張してます?豊嶋さん」 「は、はい」 「俺も初めて先輩達に会ったときは、そうでした。まあ、あまり硬くならずに・・・。食べ物は、好き嫌いはありませんか?」 「はい、何でも好きです。」 「それはなにより。」 豊嶋が自分も立ち上がり、笑った。 「今日、本当は高原さんから過去の警護案件をいくつかレクチャーして頂けるはずだったんですが、それは来月までちょっと待っててくださいね。今日は顔合わせだけで、そのまま俺も 高原さんたちも別件で出なくてはいけなくて。」
「はい。」 茂は少し目を伏せ、微笑した。 「平日昼間勤めてる会社の、同期が婚約したんですよ。そのお祝い会で。高原さんたちも呼ばれてます。」 「おめでとうございます。でもそれ、親父も行くらしいです。高原さんから聞いて。児童館で今もボランティアで舞教室をしていただいていて、すごくお世話になっているので絶対行く って言ってました。」
「はははは、そうなんですね。あ、それじゃあ豊嶋さんも行きますか?駅ビルの上にあるバーを借り切ってるので、誰でも参加できますよ。」 「ありがとうございます!」 「高原さんが宴会一発芸を見せてくれるかもしれません。」 「コーヒーを口じゃないところから飲む技でしょうか」 「あはははは」 その後、豊嶋はふっと表情を真剣なものにし、息を飲み込み、そして言った。 「俺、高原さんや、河合さんみたいな、立派な警護員になります。そのために、修業して、それから・・」 「まずは肩の力を抜いてくださいね。先は長いんですから。それに・・・」 「?」 「・・・それに、これから警護員としてうちの会社で仕事をしていくなら、途中でいくつも、ちょっと悩まなければならないことに、出会います。」 「・・・・はい」 「そのときは、いつもこのことを思い出してください。我々は、違法な攻撃からクライアントを守る。そのためなら、違法なこと以外は、どんなことでもする。つまりはそれだけのことなんだってことを。」 「はい」 「そして、いつも、自分を大事に、してください。」 「はい」 豊嶋はじっと先輩の顔を見た。 緊張の中に、不思議な覚悟のような光が、あった。 「・・・・あの、これから、どうかよろしくお願いいたします。」 「はい」 「えっと・・・・」 まだ緊張している面持ちの豊嶋に、茂は微笑し、そしてドアを開けて給湯室のほうを指差した。 「麦茶、飲みますか?豊嶋さん。」 窓の外から、細い三日月が、まだ夕暮れの余韻の残るような夜空から密やかな光を届けていた。 (第二十四話 おわり) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第二十四話、いかがでしたでしょうか。
シリーズ小説「ガーディアン」は、この第二十四話で、区切りとなります。 なお、わたくしの書いた小説はすべて、著作権フリーです。無償で、そして許可なく、自由に複製や出版等して頂いて大丈夫です。 また、作品の趣旨を損なわない限り、続編やサイドストーリー等の執筆・発表等も自由にして頂いて大丈夫ですが、その際は、藤浦リサの執筆でないことを明記願います。 これからも、「ガーディアン」を、よろしくお願いいたします。 平成27年5月16日 藤浦リサこと 石田麻紀 |
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六 逡巡
酒井は少しの間を空け、上司へ向かって答えた。
「苦しいことをなるべくやらずに済むことを考えることですかね」 「そうだと思うんだよ。ひとつめの点を乗り越えるためには、あいつらに我々の仕事を邪魔されずに、しかもなおかつ、どうすれば”なるべく”あいつらを傷つけずに済むのかを、考えないといけないんだよね。」 「難しいことですな」 「うん。一度試して見事に失敗したこともあるくらいだからね。」 二人はしばらく沈黙した。 「つまりほとんど不可能なんじゃないですか」 「まあそう言わないで。まだ色々途中だって言ったのはそういうことなんだから。」 「はい」 「でも大事なことはね、こういうことを怖がらずに正面から考えることなんだと、思うんだ。」 「それはそうですね」 「どこまで行っても、”なるべく”なんだもの。苦しくてもあいつらを倒すしかないんだもの。究極的には。」 「はい」 「で、ふたつめの点なんだよね。”苦しいことそのものがおかしいんじゃないかという不安”。これを乗り越えるには、苦しいことはおかしいことじゃない、って、心と体で理解することが必要だと思うんだ。つまり、きちんと直視しなければならないってこと。我々がある意味あいつらを尊敬したり、愛したり、してるんだっていう苛立たしい面倒な事実を。そこから目を逸らさずに、はっきりと認めることが、必要なんだ。」 「はい。あいつらを倒すときに心が苦しくなることは、おかしいことでもなんでもない、ってことですね。」 「そう。倒すべきは憎い相手だけじゃないんだってことを、本気で理解するってことだよ。」 「・・・・・」 阪元は緑色の両目を細めて、微かに笑った。 「社内ルールの見直しを恭子さんに約束したから鋭意検討中なんだけど。今の我々の、外の敵に対するルール・・・たとえばルールAとかBとかね、それらは、あいつらみたいな敵は想定してないんだよね。」 「はい」 「脅しが効く、そして命が惜しいような、そういう人間達むけのルールだから」 「そうですね」 「だから、そういうことが通用しないあいつら向けには、特別ルールが必要なんだろうなと、思ってる。」 「なるほど」 「あいつらの妨害を排除するには、必要なときはどんなことをしても倒すことと、そうじゃないときは逆に潔く手を引くことの、両極端の対応をする切り替えが、我々に必要なのかもしれない」 「なんか頭おかしくなりそうですがな。」 阪元は今度はもっとはっきりと、笑った。 「…傾向と対策だよ。受験対策よりもっと単純なこと・・・のはずではあるんだけどね・・・。」 長時間扉が閉まったままになっている社長室のほうをちらりと見て、庄田直紀は苦笑しながら向かいの席の部下に声をかけた。 「酒井さん、もう一時間になりますね。」 「はい。」 浅香仁志は穏やかな容貌に当惑と同情の色を混在させながら自分も社長室の扉に目をやった。 「今日は我々以外に事務所に誰もいないから、社長も思う存分ドアを閉めきっておられる」 「ははは」 「悩み相談、我々も少し分担してあげられたらいいのですが、その点で酒井さんにかなう人材がまだいないのが課題です。」 「そうですね・・・」 長身の浅香に比べ、男性にしてはそれほど身長のない庄田は、しかしその凶暴さに近い隙のなさと、涼しげな切れ長の両目の静かな凄味が、実際よりずっと背を高く見せている。ぬけるように白い頬は、体の健康状態を如実に表しているが、以前に比較しその表情は生気を帯びて見えた。 「大森パトロール社の警護員は、社長も悩みすぎて体を壊したくらい、面倒な人々ですからね。」 「はい」 「浅香さん、あなただけじゃないから、改めて安心してください。」 「・・・すみません」 庄田は端末の画面から目を離し、右手で頬杖をついて少し宙を見つめた。 「私は、大森パトロール社に昔からの知り合いがいます。現役の警護員に。」 「えっ・・・・・・」 庄田は部下と目線を合せず笑った。 「幼馴染みです。私より少し年下ですけれど。・・・でも、決定的に嫌われる出来事がありました。」 「うちの会社に庄田さんが来られたから・・・?」 「それより少し前です。彼は私くらいの身長ですがもっと華奢で・・・いつまでも少年みたいな感じに見えました。あるとき、不埒な男色趣味の男に、凌辱目的で監禁されたんですよ。睡眠薬を使われて。」 「・・・・」 「私は彼を助けたんですが、犯人をほとんど社会復帰できない状態にしてしまいました。彼はすごく怒りましたよ。」 「そうなんですね」 「正当防衛の域を超えてる、ってね。」 「でも庄田さんはその人を助けようとして・・・しかもそれは庄田さんがその人のことを本当に・・・・・」 「犯人に私刑に近いことをしたのは事実ですし。感情に任せて。まあ本当は殺してやりたかったですけど。・・・・いずれにせよ今も、仕事をしていてときどき、彼の、怒りの表情を思い出します。」 「・・・・・・・」 黙り込んだ浅香に、庄田は申し訳なさそうな表情を向けた。 「すみません、浅香さん。なんだか気の沈む話をしてしまいましたね。」 「いえ、そんなことは・・・・」 そして庄田は笑った。 「彼は私を許していないし、さらにその後、正真正銘の犯罪者となった私を心底憎んでいるでしょう。でもね、」 「・・・・・・」 「でも、私は彼をずっと愛している。友人として。一方的な感情ですし、明らかに敵同士ですけどね。例の高層ビルで、彼の目の前で三人殺しました。一生どころか来世でも許してもらえないでしょう。でも私は、愛している。」 「・・・・・」 「そういうことです。」 浅香は唇を噛み、長い間ためらった後、少し震えるような声で尋ねた。 「庄田さん、それは、・・・亡くなった奥様を、今も愛しておられるということと、似たことですか・・・?」 庄田は苦笑に近い微笑をよぎらせた。 「そうですね。一方的なものだけど絶対なくならないものという意味ではね。」 浅香はそれ以上の質問をすることを、上司に失礼だという理由と、そしてもうひとつの理由とで、断念した。 察したように庄田は、部下に慈愛のこもった視線を向け、そして静かに席を立った。 三村英一が最近一人暮らしを始めたマンションは、独りには十分な広さだが、彼の実家が常軌を逸した豪邸であるため訪ねる者は一様に「狭い」という印象を受ける。 高原はここへ来るのは初めてではなかったが、やはり実家との落差を感じながら、英一が独立して暮らしていることを改めて認識もした。 稽古が終わったばかりという英一は、急いで戻ったらしくまだ和服姿だった。 「わざわざすみません、高原さん。・・・・お体のほうはもう大丈夫なのですか?」 恐縮して英一が高原を室内へ導き入れ、ソファーに座るよう促す。 「こちらこそ、お稽古のお忙しい週末にすみません。・・・・おかげさまで、あと一週間で仕事に復帰する予定です。メイン警護員業務ができるのはさらに一か月先の案件からになりますが。」 「そうなんですね」 英一がコーヒーカップを持ってソファーまで来ると、高原は立ち上がって頭を下げた。 「ご心配おかけして・・・すみませんでした。」 「高原さん」 高原に座るよう頼み、英一は自分も向かいのソファーに腰を降ろす。 疲労と罪悪感が入り混じったような表情で、高原はテーブルの上に視線を落とした。 「・・・三村さんは、いつも我々のことを誰より心配してくださっている。」 「・・・・・」 「それなのに、そのお気持ちを踏みにじるようなことばかりです。」 「・・・・・・」 「特に、河合警護員が仕事を続けてこられたのも、三村さんにお世話になってきたからです。・・・今回の事件のあと、私はまだ河合と話さえできていません。」 「・・・・・」 英一は高原のうつむいた顔を見ながら、自分が恐らく高原の知らないことで大森パトロール社の波多野営業部長から聞いたことを、切り出すタイミングを見つけられずにいた。 しかし幸か不幸か高原は英一の様子の微妙な変化に、ほどなく気がついた。 「すみません、私ばかり一方的に話してしまって」 「あ、いえ・・・」 「・・・・・」 二人はかなり長い間、黙ってコーヒーを飲んだ。 英一が溜息をつく。 「どうすれば・・・・高原さんに、お伝えできるのだろうと、いつも考えますよ。」 「・・・・・」 「あなたが、どれだけ皆にとって大切な人であるか。」 「・・・・・・」 「あなたは絶対に、わかっていない。」 目を伏せ、高原は英一以上に哀しそうな顔をして、笑った。 「ありがとうございます、三村さん。」 「・・・・・・」 「私は、これからもやっぱり、変わらないかも知れません。でもあなたが同じときを生きてくれていることを、神にいつも感謝しています。」 「・・・・・・」 「死がどんなものか分からないですが、常に共にあります。」 「高原さん・・・」 「それから」 高原は少し表情を変え、改めて英一の端正な漆黒の両目をその知的なメガネの奥の両目で見た。 「はい」 「命といえば・・・それを助けることに最も執着しているのは、うちの葛城警護員ですね。」 「・・・ええ。」 「怜は・・・葛城は、山添とか私とかのような、幸福な家庭に育っていません。幼いころ両親を亡くし、叔母に育てられました。」 「そうなんですか」 「そして葛城が学生のとき、その叔母が自殺をしたそうです。」 「・・・・・・・」 「前日まで、明るく元気に、一日も休まずに働いて。そして週末、ひっそりと亡くなった。彼は警察官志望でしたが、そのことをきっかけに、より直接的に人を守る仕事・・・ボディガードを志すことにした。」 「・・・・・」 「自分は叔母を助けてあげられなかったと、今もときどき思うそうです。そしてあいつは、今もそしてこれからも・・・・それが誰であろうと一人でも多くの命を守るためだけに、仕事をするんでしょう。」 「今、葛城さんが一人で住んでおられるあの家は、そうすると・・・」 「はい。彼が叔母と住んでいた家です。」 「・・・・・」 「すみません、こんな話をしてしまって・・・・。自分でも、なぜだか、よく・・・」 高原は自分に自分で当惑した様子を隠さず、コーヒーカップを持った手を見つめた。 カーテン越しに、バルコニーから静かに午後の陽光が差し込んでいる。 「ありがとうございます、高原さん」 「・・・・・・」 「部外者の私なんかに、大事な話をしてくださり、感謝します。葛城さんのことが、今までよく分からなかった部分がありましたが、少しだけ納得できる点が増えた気がします。」 「はい」 「あの人は、どうして心の底の底までいつも宝石のように純粋なのか、いつも不思議でした。」 「・・・・・そうですね」 「私も、高原さん、あなたにお伝えしたいことがあります。」 高原は顔を上げて英一を見た。 「?」 「波多野部長が、私に話してくれたことです。でも、誰にも言うな、とはおっしゃいませんでしたから。」 「それは・・・・・」 「河合のことです。」 英一が少し遠慮がちな微笑を浮かべ、高原の怪訝そうな顔を見返す。 大森パトロール社の事務所は週末午後にしては人が多く、山添は後輩警護員を外のコーヒー店に誘った。 「なんだか槙野さんが元気がないから。河合さんとは会ってるんですか?」 槙野俊幸は、先輩の優しい微笑に恐縮しながら、少しうつむいた。 「・・・あれから、うちにはまだ来られてないです。警護業務の間も空いているようで、事務所にもみえてないですし・・・」 「槙野さんの家に、猫のミケを見にも来ないとは・・・かなり重症ですね。」 「はい。」 水を持ってきた店員に、山添がコーヒーをふたつ注文した。 「こんなことを槙野さんに頼むのも何なんですが、明日あたりちょっと河合さんに連絡を入れてみてもらえませんか?」 「はい、大丈夫です。でも僕より、三村さんのほうが良いということはないでしょうか?」 「三村さんは昼間の会社が同じだから、逆に毎日近くに居すぎて言いたいことが言いにくいこともあるんじゃないかと、思うんですよ。」 「なるほど」 よく日焼けした顔に似合う黒目勝ちの目を、少し天井に向け、しばらくしてまた山添は小柄な後輩の上品な顔に視線を戻した。 「あの探偵社がからむと、皆、なにかちょっとおかしくなりますね。」 「・・・・・・」 「どうすれば乗り越えられるのか。ときどき、不毛なくらい考え込んだりしますよ。」 「山添さんも・・・そうなんですか。」 「あいつらがもっと人としてどこから見ても最低最悪の奴らだったらよかった。」 「・・・・」 「そう、思いますよ。」 「・・・・・山添さん・・・・。僕は、庄田と、幼馴染でした」 「はい」 「僕より年上で、そして何をやってもかなわない、尊敬する兄みたいな人でした。でも、あの人は、僕と絶対に相容れない。」 「はい」 「人を殺す。平気で。どうしてそんなことができるのか、どうしても分かりません。どうしてなのか・・・・」 「・・・・・」 「それなのに・・・・」 山添は微笑をさらに優しいものにしながら、右手を伸ばして後輩の頭にそっと置き、しばらくそのままにし、そして再び離した。 「・・・それなのに、慕っているんですね?」 「・・・・はい・・・・・」 「今も。庄田を。」 「そうです・・・・・・」 槙野はうつむいたまま、動かない。 「槙野さん」 「はい・・・・」 「もしも庄田が、ミッションを遂行するためにはあなたを殺さなければならない立場になったら、どうすると思いますか?」 「・・・・・・」 「あなたを殺すと思いますか?それとも、そのミッションを避けるなどして、あなたを殺すことを回避するでしょうか?」 顔を上げて、槙野が、その真っ赤になったままの両目で山添を見た。 「庄田は、迷わず僕を殺すと思います。」 「どうして、そう思いますか?あなたと幼馴染みだったことが、庄田にとってもうどうでもいいことだからですか?」 「いえ・・・・」 「・・・・・」 槙野は唇を噛み、そしてゆっくりと再び口を開いた。 「いえ、そうではないと・・・。」 「ではなぜ」 「・・・庄田は、自分の仕事を遂行するためには、全部のことを犠牲にすると思うから・・・です。彼の命も含めて。だから・・・」 「そうでしょうね。」 「・・・・」 山添は声をさらに静かにして、言った。 「・・・ならば槙野さん、あなたも全部の力を使って庄田を排除してください。どんなに慕っていようと問題ではありません。」 「・・・・・」 「愛していても、問題ないんですよ。クライアントを襲う人間は、親でも排除するのが警護員です。」 「はい。」 槙野は返答し、頷いた。 そして山添の表情を見て、少し驚いた顔になったが、さらにもう一度槙野は言った。 「・・はい。・・・山添さん。」 英一はコーヒーを淹れ直しに台所へ行こうかと思ったが、思いとどまり、そのまま高原の顔を見て、口を開いた。 「河合が、どうしてパートタイムで警護員をしているのか。平日昼間は別の会社で仕事をして、大森パトロール社では土日夜間限定で働いているのは、どうしてか。」 「・・・・・・」 「たぶん・・・高原さんを含め、大森パトロール社の先輩警護員さんたちも、ご存じないでしょう。」 「はい。」 「新人警護員の給料では生活できない、というのが表向きの理由ですが、槙野さんのように共同生活をするとか、生活費をなんとかする方法などいくらでもあります。」 「そうですね」 「河合は、学生のとき・・・高校時代に出会って、大学に入ってからもずっと交際していた、恋人を、ストーカーに惨殺されたそうです。」 「・・・・・・」 「ボディガードになると決めて、大森パトロール社に入ろうとしたとき、波多野営業部長はこのことを河合から聞いて、採用にあたり一つ条件を出したそうです。」 「・・・それが・・・フルタイムではなくパートタイムの警護員になること、だったのですか。」 「はい。ほかのことをしているくらいが、精神的にバランスが取れてちょうどよいと、判断されたそうです。」 「・・・波多野部長は、三村さんにこのことをなぜ話そうと思われたんでしょうね。」 「想像はつきます。高原さんは・・・?」 高原は眼鏡の縁を少し持ち上げ、そして笑った。 「・・・つきますよ。」 「はい」 「理由はふたつでしょうね。まずは・・・河合が、そろそろ、自分の個人的感情を超えて仕事ができる段階まで、成長したと感じているんでしょう。フルタイム警護員になってもおかしくない・・・ガーディアンに、なれる予感が、確信になっているんでしょう。」 「そうでしょうね」 「それからふたつめは」 高原は少し柔和な笑顔になった。 英一はその意味が分かり、一瞬目を逸らした。 「ふたつめは?」 「でも平日昼間の会社を本当にやめてしまったら、その会社の同期入社の仲間である三村さんがきっとアレなので、仁義を・・・」 「コーヒー淹れ直してきます」 立ち上がろうとした英一を、高原が止めた。 「三村さん」 「・・・・はい」 「波多野さんも、俺も、・・もちろん葛城も、同じ気持ちです。」 「・・・・・・」 「河合は、あなたがいてこそ、毎日元気でいられます。」 「・・・・・」 「これからも、あいつをよろしくお願いします、三村さん。」 「・・・・・・・」 英一は唇を前歯に挟み、黙った。その表情は、謙遜とも承諾とも読み取れる曖昧なものだった。 ふと高原は別の話をした。 「和服を着ておられるのを見て、我儘なお願いをしたくなりました。」 「え?」 「あなたの舞を、所望してもいいですか?」 「・・・ええ、それはもちろん・・・・。何か、特定のものをご希望ですか?」 高原が笑って英一の顔を見た。 「河合が初めてあなたが舞台で舞うのを見て、世界が変わったことがあるんですよ。ご存じでしたか?」 「いえ・・・・」 「確か、”いざや”という曲だったとか」 「ああ、それは・・・・」 「覚えておられます?」 「ええ、もちろん。葛城さんとあいつが俺の警護をしたとき、ですね。・・・地は録音ですが、ありますよ」 英一は静かに立ち上がった。 「扇は使われないんですね」 「はい。あのときは、舞台映えを考えて扇を持つようなアレンジをしましたが、本来は何も手にもたない、手踊りです。」 再生機器から、曲が流れ、英一がバルコニーへ向かう窓を背にし、ゆっくりと舞い始めた。 ”いざや行きましょ住吉へ 芸者引き連れて
新地両側華やかに 沖にちらちら帆掛け舟 一艘も二艘も 三艘も四艘も五六艘も おや追風かいな ええ港入り 新造船 障子あくれば 差し込むまどの月明かり とぼそまいぞえ蝋燭の 闇になったらとぼそぞえ 一丁も二丁も 三丁も四丁も五六丁も おやとぼそぞえ蝋燭を” わずか数分の上方唄は、舞い終わり正座して英一が深く一礼すると同時に終わった。
顔を上げた英一の表情が、たちまち変わった。 その視線の先に、玄関をゆっくりと開けて入ってきた葛城と茂の姿があった。 「お邪魔します。・・・というより、お邪魔してました。」 「葛城さん・・・・・」 「ドアの鍵が開いていたものですから、三村流宗家の舞を、ちょっと覗き見してました。」 「・・・・・」 そして葛城に少し背中を押されるようにして、茂がリビングへと入ってきた。 その透き通るような琥珀色の両目で、英一を見て、そして次に、高原を見る。 「河合・・・・」 「・・・高原さん、確か、車の中でクライアントにおっしゃっていましたよね」 「・・・・・」 「法律に頼った仕事をしているのは、これでいいかどうかについて、何も考えなくていいからだ、って。」 「・・・ああ。」 「それは絶対違います。何も考えなくていい仕事なんて、ないですよ。」 「・・・・・ああ、そうだな。」 英一が立ち上がり、困ったように笑いながら親友の顔を見た。 「河合お前、よくここに高原さんがおられるってわかったな。」 「葛城さんも、俺も、高原さんの行動パターンなんてもう熟知してるからね。」 「うるさいよ、河合」 高原は後輩に向かって少し怖い顔をしてみせた。しかしそれは意図した効果は生みそうになかった。 バルコニーから差し込む太陽の光はさらに明るさを増していた。 |



