こんにちは!福岡歯科新川院です.

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増田勝実院長(歯科医師)

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骨粗鬆症と歯科治療の関係

穏やかな5月の連休となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回のテーマは「骨粗鬆症」です。現在、骨粗鬆症患者は1300万人(国民の約10%)と推定されています。そのうち7割以上が女性です。骨粗鬆症の治療薬としていろいろな薬が使用されています。

   1:骨が壊されるのを抑える薬(骨吸収抑制薬)
      ビスホスホネート (商品名:ゾメタ/ボナロン/アクトネル/ベネット/ボノテオ等の経口薬・注射薬)
      デノスマブ(商品名:プラリア/ランマーク注射薬)
      選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)
   2:骨が作られるのを促す薬 
      副甲状腺ホルモン薬
   3:骨に足らない栄養素を補う薬
      カルシウム薬
      活性型ビタミンD3薬
      ビタミンK2
      カルシトニン薬
                       イメージ 1
                      歯肉から腐敗した骨が露出している状態

 この中で、歯科治療に大きな影響を与えるのが、骨吸収抑制薬であるビスホスホネートとデノスマブです。このお薬は前立腺がんや乳がんなどの骨転移性のがん治療薬としても使用されています。この薬を服用している患者に顎骨壊死(BRONJ/ARONJ/MRONJ)が稀に見られます。上の写真のように歯肉から腐敗した骨がむき出しの状態となります。発症率は様々な見解があますが、最大に見積もって1000人に1人と言われています。この顎骨壊死の原因は、発症の7割が歯科治療の抜歯などの外科処置が原因で起こります。残りの3割は原因不明です。
 最近の見解では、抜歯そのものが原因ではなく、顎骨の中の感染炎症(歯周炎、根の病巣、親知らずの炎症、インプラントの周囲炎等)が原因であり、それらに対する治療として抜歯が行われた結果、顎骨壊死が起こったと考えられています。
 また、これらの骨吸収抑制薬(ビスホスホネート/デノスマブ)は基本的には休薬できないお薬です。休薬をしてしまうと骨粗鬆症が進行したり、骨折の可能性が高くなってしまうからです。
2012年までの顎骨壊死検討委員会ポジショニングペーパーでは休薬することが主でしたが、2016年の新しいポジショニングペーパーでは基本的には休薬をせずに、術前からの抗菌薬投与や徹底した口腔内衛生管理などの感染予防を行ったうえでの抜歯等(侵襲的外科治療)を行う事が提唱されています。
 さらに、3割程度が歯科治療と関係なく顎骨壊死が発症している事が問題であり、患者さんの自覚症状がない状態で進行した歯周炎や歯根の病気(根尖病巣)、親知らずの炎症などを放置している場合は注意が必要です。
 一番安全な方法として、ビスホスホネートなどの骨吸収抑制薬を内服する前に歯科検診を行い、歯科治療を終了してから、投薬を開始することが推奨されています。
 現在、医師と歯科医師の連携が不完全であることが問題視されており、2018年の保険制度改正でも、医科と歯科の連携がさらに緊密にとれるように制度改革がありました。
しかしながら、一番重要なことは、国民の10%の人が骨粗鬆症になっている現状で、骨吸収抑制薬のリスクをほとんどの人が知らないことが一番問題と考えます。また、高齢者時代である今、「一人ひとりがご自身の体の事を医者任せにせずに、ご自身で健康な体を守る」という事が重要だと思います。

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