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また、ひとつの討論資料として、2010年に起きていた、
名古屋地下鉄広告問題「赤ちゃんの指、5本ずつありますか?」 の内容をご紹介したいと思います。 正直なところ、これらの問題提起に関して、福島の一部の方々からは、
「運動を分断するな」「もぐら叩きはやめろ」とか、 「年を取ると、差別の問題はしんどいので考えたくない」等のお叱りを頂くこともありました。 それでも、私は、70年間、核を廃絶できないでいる日本人の無意識の暗闇に、光注がれ、鎮められる時を「待っている」何か得体のしれない気配の様なものを感じるのです。
それらを表に出していくことが、福島の私たちの役目なのかなとも想う、 4年めの春です。
■名古屋地下鉄広告「赤ちゃんの指、5本ずつありますか?」は、 核と放射能、福島差別の問題を考える際に、多くの貴重な視点を私たちに 与えてくれます。
それぞれの異なる立場や思いがあると思います。
一人ひとりが、この問題を考えていく際の資料として、 以下、名古屋の方がまとめてくださったものを、掲載いたします。 ◆概要
特定非営利活動法人名古屋NGO センター(以下、NGOセンター)および独立
行政法人国際協力機構中部国際センター(以下、JICA中部)の共催により
実施した「地域NGO の広報力を高める研修」において、研修プログラムの
一環として作成し、2010 年10 月から11 月まで名古屋市営地下鉄鶴舞線に
掲載した6種類の広告のうち、劣化ウラン弾や放射能汚染の影響の深刻さを
伝える目的で制作した広告のキャッチコピー(下記「広告コピー」参照)に対して、複数の団体および個人の方から抗議が行われた。
◆広告コピー
「赤ちゃんの指、5 本ずつありますか?」
「出産時、日本では「先生、男の子ですか?女の子ですか?」と聞きますよね。地球上のいくつかの地域では、おかあさんはこう聞くのです。 「指は揃っていますか?」。それらの地域の多くは放射能や化学兵器などで汚染された大地を持っています。傷ついた子どもたちやおかあさんを救うため、あなたにもできることがあります。」
◆抗議を行った団体・個人
・斎藤亮人 名古屋市議会議員 (往訪および来訪、文書受取)
・先天性四肢障害児父母の会 (来訪、文書受取) ・愛知県重度障害者団体連絡協議会 (文書受取) ・障害者権利条約批准・インクルーシブ教育推進ネットワーク・インクルネット愛知 (文書受取) ・個人名で4名(障がい者関係団体の方2名、国際協力NGO 関係の方1名 個人名のみの方1名)
◆抗議内容(報告書)
・「キャッチ・コピーの表現は、「奇形児は生まれて来ない方がよい」即ち、「障害がある子は生まれないで」という連想をさせ、障害者の感情を逆撫でするもの。このような表現が新聞記事や地下鉄広告になることは、不適切でかつ障害者に対する配慮を欠く行為だと考え、怒りを覚える。」
・「広告を見た人々が、障害者・児を「悪い結果」の象徴ととらえかねない。障害者・児への差別を助長する。障害者・児、ことに「奇形児」への恐怖、これから出産する女性の不安をあおるものであり、障害者・児およびその家族に対する連帯感が感じられない。」
◆経過
2010/10/01 名古屋市営地下鉄・鶴舞線の車内に広告掲載(11月末まで
予定)
2010/10/22 朝日新聞、愛知、岐阜、三重版、夕刊「NGO列車「発信」車内 広告作り、PR力学ぶ」記事
2010/10/23 名古屋市栄で開催された「ワールドコラボ・フェスタ」に ブース出展し、制作 された6種類の広告を掲示。来訪した
市民の方に投票形式で評価してもらう
2010/10/25 斎藤亮人名古屋市議のほか、各団体、個人からの抗議、要望を 受ける 2010/10/26 抗議を受けて緊急協議(NGOセンターとJICA中部は、広告作成 団体、研修コーディネーターを含めて協議)
2010/10/27 朝日新聞朝刊(愛知、岐阜、三重版)に当該広告掲載中止の 記事が掲載 20101027 広告取り外し、ホームページ上にお詫び 文を掲載、検証委員会(NGOセンター理事長、理事、事務局長
JICA中部、次長、課長、調整員で構成)を設置
2010/11/27 第1回検証委員会 2010/12/04 第2回検証委員会(広告作成団体を訪問、当該団体役員および 研修参加者へ聞き取り実施) 2010/12/09 第3回検証委員会(広告作成団体を訪問、当該団体役員および 研修参加者へ聞き取り実施) 2010/12/17 第4回検証委員会 2010/12/22 第5回検証委員会 2011/01/09〜21 抗議を行った団体・個人と話し合い ◆資料 ◇NGO列車「発信」 車内広告作り、PR力学ぶ (朝日新聞 2010年10月23日 愛知、岐阜、三重版 夕刊) ◇先天性四肢障害児父母の会 2010/11/25
「朝日新聞の記事、写真に抗議」『父母の会通信』391 ◇名古屋NGOセンター・中部国際センター 2011/01
『「地域NGOの広報力を高める研修2010」に関する広告 検証委員会報告書』【PDF】 ◇JICA中部「地下鉄広告に関する「検証委員会」による検証結果の報告について」http://www.jica.go.jp/chubu/topics/2010/110314_01.html ■下記は上記の一部引用です。
◆NGO列車「発信」 車内広告作り、PR力学ぶ
(朝日新聞 2010年10月23日 愛知、岐阜、三重版 夕刊) 「戦争や貧困など、様々な分野で地道に活動しているのに、その姿がなかなか市民に伝わらない。非政府組織(NGO)のそんな悩みにこたえようと、名古屋NGOセンター(名古屋市中村区)などは今年、地下鉄の車内広告づくりを通じて、情報発信能力を磨いてもらう講座「NGOを広めるプロジェクト」を企画した。参加14団体が知恵を絞って六つの広告を制作。今月初めから、名古屋市営地下鉄・鶴舞線で「NGO列車」が走り始めている。
幼い子どもの握り拳の写真。その横に「赤ちゃんの指、5本ずつありますか?」のキャッチコピー。 制作したのは、イラク戦争で傷ついた子どもたちを支援する「セイブ・イラクチルドレン・名古屋」(名古屋市昭和区)と、1986年の旧ソ連での原発事故被害者を救援する「チェルノブイリ救援・中部」(同)。劣化ウラン弾と事故による放射能汚染で、いずれも子どもの先天性障害などが問題になっている。 コピーの下には「出産時、地球上のいくつかの地域では、おかあさんはこう聞くのです」「傷ついた子どもたちを救うために、あなたにもできることがあります」と続く。 ◆先天性四肢障害児父母の会 2010/11/25 「朝日新聞の記事、写真に
抗議」『父母の会通信』391
10月30日、朝日新聞名古屋本社あて「要望書」 「私たちの会の目的は、障害のある者も、ありのままに受け入れる社会を築いていくことです。
もともと障害児は一定の割合で生まれてくるのは自然なことであり、原因も殆どわかっていません。過日の記事の中では、子どもの手の写真と共に「5本指がありますか」とキャッチコピーが添えられ、指が欠損した子どもが生まれるのは「あってはならないこと」のように取り上げられています。障害者の人権が認められるようになってきたにも関わらず、障害者の存在を否定するような記事には怒りとともに悲しい思いさえ致しました。」 ◆先天性四肢障害児父母の会の抗議行動の動き
2010/10/01 名古屋市営地下鉄・鶴舞線の車内に広告掲載(11月末まで 予定)
2010/10/22 朝日新聞、愛知、岐阜、三重版、夕刊「NGO列車「発信」 車内広告作り、PR力学ぶ」記事
先天性四肢障害児父母の会会員、朝日新聞に抗議、名古屋NGO センターに取り外し要求
2010/10/27 朝日新聞朝刊(愛知、岐阜、三重版)に当該広告掲載中止の 記事が掲載 2010/10/27 始発から広告取り外し 2010/10/28 先天性四肢障害児父母の会会員、朝日新聞と話し合い 2010/10/30 先天性四肢障害児父母の会、朝日新聞名古屋本社に要望書を 提出 2010/11/02 朝日新聞より先天性四肢障害児父母の会へお詫びの文書 2010/11/06 先天性四肢障害児父母の会、名古屋NGOセンターと話し合い (第1回)
2011/01/09 先天性四肢障害児父母の会、名古屋NGOセンター、中部国際セン ターとの話し合い(第2回) ◆名古屋NGOセンター・中部国際センター 2011/01
『「地域NGOの広報力を高める研修2010」に関する広告検証委員会報告書』【PDF】 「この広告を制作したのは、劣化ウラン弾による残留放射能の影響を受けているイラクで医療支援に携わる団体と、チェルノブイリ原発事故による放射能汚染地域で住民の保健・生活改善の活動に携わる団体です。二つの団体が日本の市民の関心を引きつける広告を制作した背景にあったのは、今現在、残留放射能の影響で多くの被害が出ている現状を早く何とかしたい、できるだけ多くの人々に現状を知ってもらいたいという焦りと、この現状の背後にある核開発や核兵器の問題に対して、私たち日本人にも責任があるという思いでした。
制作団体の関係者は、活動地域の人為的な障がいを受けた人々と日常的に接し、障がい者の方々への強い共感をもって支援活動に取り組んできました。広告を制作する際にも言葉の使い方には気を使っていました。関係者の一人は、障がい児を持った知人に文案を見せて感想を聞くなど、表現に不適切な点はないかを慎重に検討しました。しかし、効果のある表現、インパクトのある表現を追求して言葉を研ぎ澄ます作業に没頭する中で「障がい者の方々への思いは頭から抜け落ちてしまった」と、聞き取りの中でこの関係者は述懐しました。 実は今回の問題と同じ問題が20年前にも起きています。チェルノブイリ原発事故をきっかけに原子力発電に反対する活動に取り組んだ団体が、現地の状況を伝え、原子力発電の危険性を訴えるために、人為的障がいを前面に出した広報を行なったのです。これに対して、障がい者の方々から「障がいのある子は生まれない方がいいということか」との抗議の声が上がりました。このときの団体と、今回の広告制作に携わった団体とはつながりがあります。20年前の経験が団体内で十分継承されないまま、再び同じ事が繰り返されました。当時の経験が、当該団体のみならず国際協力に携わる団体の間で共有し、継承する取り組みが行われてこなかったことも、今回の事態を招いた要因です。」(p.8) |
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2014年03月10日
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昨日の福島市は、朝から清々しい春の光が降り注いでいます。
家の前でキラキラと輝くのは、白い雪とブルーシート・・・。 京都精華大学の山田先生は、いつになったら実験資材を回収してくださるのだろう。
もうすぐ3年になるというのに、提供したサンプルのデータも送られてこない。 テレビのアナウンサーが「もうすぐ震災から3年・・・」と言うたび、心は
重くなる。
3年も経つのに、家や畑の除染もこれから・・・という現実に、ちょっと目眩がする。 一人でいると「あの日」を思い出して怖くなるという友人と、お茶を飲みながら昔話をしました。
25年前に、青森県八戸市の農業者、久保晴一さんを福島に招いて、講演会を 開いた時の思い出話です。
写真は、1989年3月19日の講演会用に作成した手書きのパンフレットです。 当時、久保さんは、青森県農協青年部の委員長であり、核燃サイクル阻止
農業者実行委員長。
そして、青森県議も務められた「行動と情熱の人」でした。 その久保さんが、昨年2月2日に、肺がんのため、61歳で亡くなったことを、 友人から聞いてビックリ。 とても残念です。 今年は、一周忌だったのですね・・・。 1989年1月、福島第二原発3号機で起きた大事故をきっかけに、福島県内の
農業者や母親たちが、原発や核燃、放射能の問題を、青森の人々と考えようとしていました。
チェルノブイリ事故から、まもなく3年というタイミングでした。 現地やヨーロッパの被害状況などが、マスコミで報じられ、私たちは幼い子どもを抱えながら不安でいっぱいでした。 当時、四国電力に申し入れの交渉をしていた障がい者の大本さんという女性が、こんな記事を書いていました。
「……四電との直接交渉の席や一階ロビーでの四電社員へ語りかける場面において、『放射能の影響が心配でこのままでは子どもを産めない。
将来、妊娠しても産まない』『私は、将来結婚して子どもを産みたいのに
どうしてくれるの』……などと、老若男女が涙ながらに切々と語り、その席に同席した人々がともに涙し、共感の拍手を送る。
ついには、ある女性″障害者″が自らの苦悩に満ちた人生を語りながら、 『私のような不幸な子どもが生まれる可能性のある危険な実験をやめて』と言い、人々に涙と共感の拍手が沸き起こる。
そして、もっと最悪なことには、それらはその場にいた多くの子どもたちの 心に″鮮明な記憶″として刻み込まれてしまったに違いありません。……」 また、同じ頃、野辺明子さん(先天性四肢障害児父母の会)が、『父母の会通信』に以下の内容を書いています。
「今年のはじめあたりから、私にとって気になる“雰囲気”というものが
ありました。反原発、脱原発の市民運動が野火のように全国に広がり、たくさんの集会やデモが開かれていますが、それに参加して感じたものです。
チェルノブイリの事故のあと、原発の危険性はさまざまな角度から指摘されています。事故が起きなくとも、核廃棄物の処理の問題など、全地球的な 規模での汚染が深刻です。
私が気になった傾向というのは、危険性の例として、“「奇形児」「障害児」の出生増加”が引き合いに出されることが多くなったという点です。……結果として出てくる危険性の指摘そのものについては間違ってはいないと思うものの、集会のチラシに、「奇形児が!」という記事が大きく 踊ると、“ちょっと待って”といいたくなります。」
25年前から・・・いえ、広島や長崎で多くの人々が被曝した69年前から、
そのような違和感や問題提起が、当事者の側から繰り返し発せられていたのですが、他人事のように聞き流されてきた結果、「福島」でも
同じような痛みを私たちは体験することとなりました。 最近でもネットで、規格外の形や色が悪いイチゴが収穫されているのは昔からあるわけですが、規格外の形の悪いイチゴをネタに反原発派の人たちが、これは放射能に汚染されたものと勝手に決め付けて紹介されたため、ちょっとした騒動にもなったようですね。
先日のソチ五輪の記事の中で、ナチスの話を書いた後、アンネの日記の事件が報道され暗澹たる思いでおりましたが、差別や排外主義は、一人ひとりの心の中にもあるという自覚を、もう一度想起したいとも思いました。 昨年11月の福島市長選の過程で書いた記事も、合わせてご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/fukushima_apple/11373337.html |
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