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「対決の一瞬」1955年アメリカ映画 西部劇
監督:アラン・ドワン 撮影:ジョン・アルトン
出演:ジョン・ペイン、ロナルド・レーガン、ロンダ・フレミング、コリーン・グレイ、モリス・アンクラム、アンジー・ディキンソン
原題は『TENNESSEE'S PARTNER』(TENNESSEEは主人公の名前)で、邦題の『対決の一瞬』とは何も関係がないのだけれども、まさに対決の一瞬が見所の傑作。
ロナルド・レーガンの初登場する対決のシーンで、ドワンはレーガンなめのショットを入れていない。その変わりレーガンと対立している刺客が人質のジョン・ペインを突き飛ばすと、カメラは横に倒れたジョン・ペインを追い、カットが割られて再び牧童の同一アングルのショットになる。銃口が火を噴くのはまさにこの瞬間です。つまり対決で見せるべきAとBのカットがあるとして、ドワンがここではBのカットを見せずに、Aから派生したCのカットを生み出しAと対決させている。撃ったときに帽子が飛ぶだけで人が倒れるわけではないんだけど、この帽子の飛び方がアクションの躍動感を出している。
この単純で地味な2カットをパンと帽子が飛ぶことの単純な装飾性で見事なアクションに仕上げている。例えば凡庸な監督ならば、ジョン・ペインが倒れた後に見せるカットは、お決まりごとのようにレーガンの背中のカットを見せたに違いない。それとレーガンがこの刺客に止めを刺すところ。この刺客は弾が切れて弾を入れるカットがあり、それを見たレーガンが刺客を撃ち殺す。しかしちょっとのタイミングなんだけど、撃ったレーガンのカットがちょっと続いてから(所謂ずり下げ)、刺客が撃たれているカットが入るんです。僕はここでもなるほどと、大いに感心したんですが、確かに弾が切れてるカットの後にレーガンが撃つんだから、敵がやられたことは自明の理であり、ここでもわざわざ対決のお決まりごとのように撃たれる瞬間を見せる必要はない。撃たれた“後”を見せるだけで十分ということでしょう。このドワンの無駄のない取捨選択は全体に冴え渡っており、例えば町から鉱山への中間地点にある森も、最初の鉱山に行ったときは提示されず、後の緊迫感があるシーンで初めて提示される。
撮影は僕が最も好きなカメラマンかもしれないジョン・アルトンで、カメラの後退移動を船の移動として見せてちゃおうB級感覚が面白いんだけど、全体的に色使いが美しくゴージャス感がある。その中でも驚くのはポーカー対決の前に、室内なのにものすごい引きのカットがある。サイレント映画ならまだしも古典アメリカ映画の室内シーンでここまで引きのカットは見たことがない。その後のクレーン・ショットも見事で、美術は『市民ケーン』を担当した人でもあるので、共同作業が生み出した成果か。
クライマックスはあれだけロナルド・レーガンに殴られていたジョン・ペインが、今度は殴りまくる。ジョン・ペインの大ジャンプもお見事だが、この人は転がり方というか倒れ方がすこぶる活劇的な気がする。その後の横たわったロナルド・レーガンから、憔悴したジョン・ペインの表情のティルトや、ロンダ・フレミングが迎えに来た、どことなくジョン・フォードや『許されざる者』のラスト・ショットを思わせる審美的なショットがこれまた格好よい。こういうショットは映画全体でやられたら困るけど、一か所だけ入れたら凄く効果的な気がする。
ヒロインではタフなロンダ・フレミング、裏表が激しい悪女のコリーン・グレイ、どちらも良く甲乙つけがたい。
(DVDで鑑賞/スーパースコープ→スタンダードにトリミング)
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