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「逮捕命令」1954年アメリカ映画 西部劇
監督:アラン・ドワン 撮影:ラッセル・ハーラン
出演:ジョン・ペイン、リザベス・スコット、ダン・デュリエ、ドロレス・マローン、スチュアート・ホイットマン、ハリー・ケリー・Jr
『対決の一瞬』はバッド・ベティカーのような単純さに魅せられる西部劇でしたが、こちらは『真昼の決闘』に影響を受けた赤狩り批判の知的西部劇の傑作(むしろ『真昼の決闘』よりも傑作だと断言する)。なんと3−D映画として製作されたらしいですが、確かに縦構図が多い。しかしそれもあからさまなほどではなく、むしろ連続性に活力を与えるダイナミックな縦画面の連鎖になっている。
例えば冒頭にダン・デュリエ演じる保安官のマッカーティ(もちろん名前はジョセフ・マッカーシー由来)が町にやってきて、主人公のジョン・ペインのことを町民に尋ねるときの、人物をフレームに収めながら、手前から奥へと視点移動する縦構図の連鎖なんて独創的で驚いた。そしてこの場面で、結婚式を祝う小楽団を提示しつつ、ジョン・ペインとの会話シーンの後に、同じ場所で結婚式の参列者が並んで歩くときに楽団の音楽が流れてしまう対位法的演出に繋げる手際の良さ。ここでマッカーティとは町に元々いる保安官などの武装集団が馬に乗って何事かと思って、参列に加わる異常な状況は、スピルバーグの『宇宙戦争』を想起させた(トム・クルーズが雷の落ちた場所に向かうときに、町の不良二人が話しかけてくるシーン)。
ジョン・ペインが『対決の一瞬』でも見せた転倒技術はここでも健在で、机の下に潜り込むアクションはダンスを踊ってるような軽やかさがある。それにこの映画、ジョン・ペインもダン・デュリエも、銃を構えたとき、手首をちょこっと動かして銃の軌道を変えて撃っているのが特徴で、これが派手に動き回るジョン・ペインと対比となっているアクション設計で実に面白い。オーソン・ウェルズを想起させる町を横断する長い移動撮影なんかは、西部劇にしてはほとんど過激な域だ。このショットのせいか、この映画は町全体をアクションの場にしている感覚すら受けた。それは『微笑ながら』を例にサイレント時代から一貫したドワンの見せ方なんでしょうね。教会の階段だけ表現主義的な照明が見られる。
(DVDで鑑賞)
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