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「This Is Korea!」1951年アメリカ映画 ドキュメンタリー
監督:ジョン・フォード 撮影:不明
ナレーション:ジョン・アイアランド

フォードによる朝鮮戦争のドキュメンタリー。年代的には『リオ・グランデ』と『静かなる男』の間に公開されたということになりますね。Imdbを見ると、フォードは他にも59年に『朝鮮』というこれも同じく朝鮮戦争のドキュメンタリーも作っているようです。フォードによる戦争ドキュメンタリーは、『ミッドウェイ海戦』、『真珠湾攻撃』、『これが朝鮮だ!』、『朝鮮』の4本かな?

電気も通っていない貧しい村と素朴に暮らしている村人の紹介のあと、海兵隊が行軍するおよそ異質な光景が展開される。この映画はカラー映画なんですが、フィルムの退色と、おそらく撮影が冬だったこともあり、朝鮮の風景からは徹底的に色彩が排除されており、荒涼な墨絵のような世界観を出ている。フォードが提示するアジアの世界はやはり『荒野の女たち』と近いものがある。また戦闘場面では海兵隊は面白いくらい“山”に向かって攻撃しているように見えてしょうがない。クライマックスで永遠と提示される戦闘は山を爆撃している場面ばかり。もちろんイーストウッドの硫黄島二部作を想起させたのは言うまでもない。

やはりここでもフォードは戦闘や戦争そのものよりも、興味を置いているのは朝鮮の人々の姿であり、それに対する兵士のコミュニケーション(お菓子を子供に与える)のシーンであったり、食事のシーン(いかにも不味そう)、捕虜の扱い、負傷者が運ばれる姿であり、一人で見張りについている寒そうな兵士のロング・ショットである。全編にわたって、ナレーションは感情を込めず冷静に淡々としゃべるだけ。「Hard Job,Tough Job,Dirty Job(厳しい仕事、タフな仕事、汚れた仕事)」とシニカルにナレーションが入るのは、およそ戦意高揚とは言い難い。武器の名称のナレーションが入るものの、戦闘場面ではほとんどナレーションは黙りこくる。

とはいえ『真珠湾攻撃』と比べたら、あまりにもフォードにしては普通のドキュメンタリーかなと思った。しかし映画が終わりにさしかかると、突然、墓地のショットが入り「死者は語らず」とナレーションが語り、「御心よ…」祈りの言葉が入る。再び墓地のショットで「忘れないで 我々のことを」と囁くように言い、従軍している兵士に戻って「健闘を祈る」と映画が終わる。『真珠湾攻撃』の最後に幽霊が出てきましたが、つまりこの映画ではナレーションそのものが幽霊だったのだと読み取れる。やはりフォードは一筋縄ではいかない。この死者や墓地、あるいは戦争のスタンスはフォード以外の何者でもない。

(ストリーミング配信で鑑賞)


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ふくやまん
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