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「犯罪王ディリンジャー」1945年アメリカ映画 フィルム・ノワール
監督:マックス・ノセック 撮影:ジャクソン・ローズ
出演:ローレンス・ティアニー、エドマンド・ロウ、アン・ジェフリーズ、エドュアルド・クランネル、マーク・ローレンス、エリシャ・クック・Jr、エルザ・ジャンセン

12月に同じくジョン・デリンジャーを描くマイケル・マン監督の『パブリック・エネミーズ』が日本で公開されますが、だからというじゃないけど脚本がフィリップ・ヨーダンだし、B級ノワールとして名高い作品なので見ました。
マンの新作はタイトルからしてウェルマンの『民衆の敵』の原題っぽいですが、この映画の劇中でFBIがデリンジャーを「パブリック・エネミー1号」という台詞が出てきます。でこの“パブリック・エネミー”とはなんぞやと英語版のWikを斜め読みしたら、どうも30年代にジャーナリストやFBIが極悪犯罪者に対しそう呼称してたようですね。アル・カポネからこの言葉が使われはじめたようで、他にも有名どころではボニーとクライドにも使われたようです。まあそのへんは映画が公開されたらもっと詳しく紹介されるでしょうが。

低予算映画として名高いこの映画、ほんとに金が無いのがありありとわかる。刑務所内のロング・ショットは実際の映像を使っているし、スクリーン・プロセスと小さなセットを変化させて同じ場所で撮影しているようにしか見えない。結局これらのショットはセット予算を抑えるためにアングルが変えられないから、大体のシーンがその平面的な構図のフルショット気味の1カットだけで終わる。しかしこの平面的な構図というのが逆に異質な空間として見えるので良かったりする。例えば刑務所で食事するショットは、照明さえ凝れば『狩人の夜』の映画館のショットのようにも見えなくもない。このようにこの映画は全体的に簡潔さの美学が冴え渡る。初犯の強盗なんて、外に出た瞬間に警官とばったり出会う!(笑)

銀行強盗は『暗黒街の弾痕』のストック・ショット(流用ショット)を使った有名なシーンですが、実は『暗黒街の弾痕』のショットは全然覚えてなくて、正確にどこがどのショットがわからなかったので(笑)この映画を見終わってから、『暗黒街の弾痕』の銀行強盗のシーンを見直したんですが、いやこのストック・ショットの使い方は大胆不敵。オリジナルを知っていたほうが断然、凄味がわかります。オリジナルの強盗のシーンは単独犯なんですよね。今作でははストック・ショットを使っているのにもかかわらず複数犯の強盗として見事に演出している。オリジナルでは様子を伺う視線のショットを、今作では目配せをするショットとして、催涙ガス弾も手投げ式から銃撃として、そのガス弾の音もプシューという音からドゴン!という爆弾みたいな音に変えられて迫力が増しています。なぜかストック・ショットを使っているのにオリジナルとは違った新鮮さが出ているアクションになってます。

ジョン・デリンジャーを演じているローレンス・ティアニーと、今度演じるジョニー・デップとでは、細身の端整な顔立ちでさぞ実在の人物もこんな顔をしているんだろうと思ったら、全然似てませんね(笑)。実在のジョン・デリンジャーはジョン・ミリアス版のウォーレン・オーツのほうが忠実で、田舎臭いオッサンです。ジョニー・デップを起用したのは、マイケル・マンも『犯罪王ディリンジャー』を見ててローレンス・ティアニーの記憶からジョニー・デップを起用したんだろうか?
キャグニー等のギャング像とは違って、あくまでも冷徹に仲間を殺していくところにこのギャングスターの怖さがありますね。多分、マイケル・マン版も感情移入をできる余地はない造形になってるんじゃないでしょうか。

(DVDで鑑賞)


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ふくやまん
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