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昨年暮れに来年サンカに関する記事の冊子が出るんで
出来たら送るからねと連絡がありました。
新年早々送られて来た冊子の記事の中身の紹介をしてみます。
 
 
 
1月7日に
長野朝日放送・・松岡デイレクターさんから冊子が送られてきました。
批評社の:niche (ニッチ) No・27号・・平成24年 1月1日発行となってる。
 
その冊子の中で『加トちゃん』の事と関連して、7頁・割いて紹介してある。
 
>その内容を紹介してみます。<
 
松岡慶典
「みいやさん」
 
1p
●長いプロローグ
真夏、というにはまだ早すぎる7月のある日、それでも太陽はじっとりした熱気を容赦なく
叩きつけ、青々とした田んぼの稲の匂いが辺りに立ち籠めていた。
真っ昼間にもかかわらず、放課後の校庭のような静寂に包まれ、
ときおり強い風が吹き抜けていった。
その度に、ざわざわと木々が蠢く。
 
この日、われわれは、ある人物をが来るのをじっと待っていた。
やっと会える、いや、本当に来てくれるのか・・・・。
約束に時間の時間である正午はとっくに過ぎている。
それでも一分一秒と時間が過ぎていくにつれ、期待と不安が入れ替わる振幅の
度合いが大きくなっていく。
そんな気持の昂りに揺られながら、
僕は一年前の夏のことを思い返していた。
 
その頃、テレビ朝日の「ドキュメンタリー宣言」という番組で、サンカに関する企画が
動き出していた。
「サンカ」とは、その昔、河原にテントを張ったり、洞窟などに寝泊まりし、
各地を転々と移動しながら生活していた人々のことだ。
彼らは農家の必需品であった「箕」という、
主に脱穀などに使われる農具を作ったり、
直したりすることを生業とし、独自の言葉(符牒)や文化をもっていたとされている。
 
だが、高度成長期を境にして姿を消し、未だ多くの謎を残している。
逆に、だからこそロマンをかき立てられ、彼らの生き方に心酔するファンが少なからずいる。
およそジャーナリズムとはかけ離れた次元にあるサンカを、
ドキュメンタリー番組で取り上げようとしたのも、そのようなサンカマニヤが
スタッフの中にいたから他ならない。
 
僕の上司(という呼び方はどうもしっくりこないが)である、利田敏氏だ。
本業のテレビマンとして活躍する傍ら、15年近くに及ぶフィールドワークを続け、サンカの末裔に
あたる人たちを次々に見つけ出していた。
その成果は『サンカの末裔を訪ねて〜面談サンカ学 僕が出会った最後のサンカ〜』という著書に
まとめられ、番組の骨子にもなったさくひんでもある。
 
しかし、その本が出版されてから5年、サンカの末裔と出会ってから10年が経とうとしていた。
それはテレビ的にいって、情報としてはいくぶん古すぎる。
だから別に新しい何かを、われわれは探していた。
 
そんなある日、利田氏がインターネットのブログで興味深い情報を発見した。
「大変だ、福島に現役の移動箕直しがまだいるらしいぞ、すぐ確かめてくれ」
ブログの日付は、2009年:8月23日。かなり最近の出来事だ。
場所は福島県いわき市。
道端に茣蓙を敷き、箕を直している老人を見かけた、という趣旨の内容だった。
 
2p
また、その老人の父親もまた箕直しだというから、これはサンカの可能性があるかもしれない。
われわれはそう判断した(ブログには残念ながらカメラが故障していたということで、写真は
1枚もなかった)
 
僕は、すぐさまブログを書いた人に連絡を取り、その2日後ぐらいには
いわき市に降り立っていた。
ブログを書いたのは、大工を営む加藤彰さん。
まずは、彼が箕直しの老人を目撃した場所を案内してもらった。
 
そこは、いわき駅から北西へ車で約30分、比較的広い林道の待避所のような場所だった。
付近には箕の材料となる藤の木が植生しており、老人はその樹皮器用に取りながら
修理していたという。
さらに老人は、余程加藤さんに気を許したのか、
別れ際にこう言ったそうだ。
「**あたりに住んでいるから今度遊びにおいで」
 
@@
今日の記事の紹介は、ここまでとしておきます。  1/8
 
それでいて不思議なことに、老人は自分の名を明かさなかったという。
その地区の誰かに「箕直し」と聞けばすぐに分かる、そう言い残して立ち去って
いったそうなのだ。
 
さっそく加藤さんとともにその地区へ行って何軒か訪ねまわってみたものの、
みな怪訝そうな表情を浮かべて 「この辺りで箕を直す人?いねいねぇ・・・・」と口を揃える。
その後も丸2日間、いわき市中を走り回って聞き込みをした。
一向に箕直しの尻尾を捕まえる手掛かりは得られなかったものの、
ほとんどの住民が 「1年に1回くらい直す箕はないかと言って
訪ねてくる老人はいる」 と言うではないか!
さらに、かつてこの地域には山の所有者に代わってその管理などをする
「山番」という人たちがいて、彼らもまた箕を作ったり直したりしていたという
事実まででてきた。
 
何とかその内の一人の名前と、かつて住み着いていた場所までは特定できたものの、
いま現在の消息を掴むまでには至らなかった。
結局、その後も移動箕直しが姿を現したという音沙汰は全くないままに、
われわれは番組の放送を終えてしまったのである。
 
 
●「みいやさん」との出会い
2011年 7月5日 午後0時44分(僕が回したビデオカメラのテープにはそう記録されている)
1台の車がこちらに向かって来るのが見えた。
あれからちょうど1年。
再び移動箕直しを目撃したのは、やはり加藤さんだった。
 
この日の前日、またしても道端で箕を直す老人を見かけた加藤さん。
今度こそは、と粘り強く会話を重ね、
 
p3
相手の名前だけでなく、携帯番号まで聞き出すことに成功。
さらに機転を利かせて、加藤さんは自分の家にある箕を修理してもらう
約束を取り付け、われわれとの接見の場を設けてくれたのである。
 
「やあ、どうもどうも。わざわざすまんね」
まるで加藤さんは常連客であるかのように運転席の方へ近づいていった。
われわれはしばしその場に立ちつくし、胸の震えを抑えながら運転席に座る
男の顔を擬視していた。
 
老人、というよりも中年のおっさん、というような印象が強い。
眼鏡を掛け、麦わら帽を被っている(というより、頭の上に載せている、
と言った方が適切かもしれない)
灰色の無精髭にふっくらした輪郭だ。
 
「何処で作業する?」 と加藤さん。
「どこでもいいけど、涼しいとこがいいやな」
男は近くにあった山道の入り口に日陰を見つけると、そそくさと準備に取り掛かった。
車のトランクから小さな茶色い手提げ鞄、それと束になった竹や藤の皮を取り出し、
茣蓙の上に足を大の字にして座る。
 
われわれが挨拶すると、少し照れくさそうな笑みを浮かべた。
そして、加藤さんから箕を受け取り、それを両足の上に載せ、鞄から道具一式を取り出し、
いよいよ箕を見直し作業が始まった。
こうしてわれわれは、1年越しとなる移動箕直しとの出会いを果たすことができたのである。
 
この誌面で公にするにあたり、本人の希望で素性は伏せてほしいと言われたので、
ここでは仮に、修治さん、と呼ぶことにしよう。
 
結論から言ってしまえば、修治さんはサンカではない。
サンカという言葉は知っていたものの、彼はあくまでも定住者であり、
物心ついたときから移動生活をしていた、という事実は全く出てこなかった。
それどころか、河原にテントを張って箕直しをしていたような人たちすら、目撃したことがないのだ。
 
隠している、という素振りや雰囲気もわれわれには感じられなかった。
もし修治さんがサンカで、その事実を隠しているとしたら、そもそも客でもない単なる
取材目的のわれわれと会うなんてことはしなかっただろう?
 
ただ、サンカの話題にはあまり触れてほしくないような表情、話し方をしていたように思える。
例えば、「サンカって知っていますか?」
「知らない」
少し眉間に皺を寄せながらこう語る一方で、時には、
「河原にテントを張ったり、洞窟で暮らしていたりしたそうなんですが・・・」
 
「農家の家に泊ったりしていたと聞いたよ」
と、さっきとは逆に、具体的な事を話してくれるときもある。
さらに、こんな意味深なことを呟くことも何度かあった。
 
p4
「もう昔の話だ」
最初こそ矢継ぎ早に質問を投げかけていたわれわれも、次第に沈黙が多くなっていった。
「じゃあ、修治さんは他の人からは何と呼ばれているんですか?」
「みいやさん」
 
みいやさんーそれはわれわれも初めて聞く言葉だった。
漢字にすれば「箕屋さん」となるだろうか。
サンカもまた、地域ごとにテンバ  オゲ  ポン  などといった呼称があるが、
それにしても「みいやさん」とはなんとも可愛らしい響きではないか。
 
ミナオシ、などというのよりも、遥かにそちらの方が丸みを帯びているような気がする。
以下、そんなみいやさんからわれわれが聞いたお話や箕の直し方、
また、その周辺のことについて整理しておきたい。
 
●和様折衷、ならぬ”古今折衷”
修治さんは、御年61歳。
箕直し歴はざっと40年にはなるという。
双葉町の出身で、彼のお父さんも、またおじいさんも箕直しという、
生粋の箕直し一家に生れ育った。
「箕直しの技術はお父さんから教わったのですか?」
「教わんよ。見て覚えるんだよ」
 
修治さんはまた、箕直しを始める前はトラックの運転手をやっていた頃もあったという。
もともと箕直しをする気はなかったが、本人曰く「たまたま手を出してやるようになった」そうである。
そんな修治さん、ある特徴的な箕の直し方をする。
 
なんと材料に荷づくりなどに使われる硬いビニール紐を使用するのだ。
本来ならば藤の皮を使うところに、ビニール紐を編みこんでいく。
また、編みこむ際に使う道具は「つばくち」あるいは「芯通し」という特注品だと教えてくれた。
「この方が丈夫でいいんだ。腐らないし。農家の人も喜ぶよ」
と、修治さんは何ら珍しいことではない、とでも言いたげに涼しい顔をしている。
 
「どこで手に入れるんですか?」
「ホームセンターに売ってるよ」
これと同じく一部にビニールを使った箕は、実はいわき市内のとある農家でも確認できている。
その写真をサンカ研究家の飯尾恭之氏に見てもらったところ、「古き伝統と新しい素材を見事に
マッチさせた傑作だ」と大変喜ばれていた。
同じ写真を修治さんにも見せると、「栃木の行商人が売り歩いている箕じゃないか」という。
 
p5
どうやら福島、栃木一帯ではビニールを配合した箕が主流になっているようだ。
まさに、和様折衷ならぬ、素材の”古今折衷”とでも言うべき現象が起きていた。
 
でもそれは、箕そのものが使われなくなり、プラスチック製の安価な箕が出回っている
現代社会に適合するための大袈裟に言えば、ひとつの「進化」と捉えてもいいのでは
ないだろうか。僕はそう思う。
 
●みいやさん哀話
修治さんは確かに移動箕直しだが、普段はいわき市内の自宅で奥さんと息子さんの
3人で暮らしているという側面も併せ持つ。
ちなみに息子さんは一切箕直しはやらないそうだ。
 
「移動するときはだいたいどの辺まで行くんですか?」
「宇都宮、小山、大田原、茨城。昔は群馬の足利まで行った」
「車の中で寝泊りして?」
「旅館に泊っていた頃もあった。今はそうもいかない」
ということは、やはり車に寝ているのか。中を覗いてみると、後部座敷には毛布が敷いてあった。
 
「どれくらいの期間、移動しているんですか?」
「若い頃は長期間行ってたけど。最近は行って3〜4日だな」
「昔は儲かりましたか?4」
「一軒で3〜4枚は箕を出してたからね。1日に数万円は稼げた。今は使う人が少ないからね」
「他に移動しながら箕を直す人はいるんですか?」
「昔は大勢いたけどね。今はいない」
「ということは、修治さんが最後のひとり?」
「まあね」
 
そもそも修治さんが移動しながら箕直しをするようになったのは、
ある事情によるところが大きかった。
 
いわき市内には最近まで、修治さんと同じような移動箕直し、Tがいた。
しかし、Tは預かった箕を直さないばかりか、返しもしないで
修理代だけをせしめるという、あくどいことをやっていた。
 
 
 
 

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こんにちは サンカの話は 別の本でも読みました。
流浪の民だったみたいで きちんとした家はなかったようです。
聞いてみると 遠野あたりにも きていたみたいで 野宿に近い
生活だったみたいです。


先日は お世話にになりました。 おかげで快適です。

2012/1/11(水) 午後 4:03 しーうるふ

記事のご紹介ありがとうございます。
まだ冊子はたくさんあるので他にご興味がある方がいらっしゃれば追加でいくらでも送ります笑

2012/1/27(金) 午前 2:00 [ - ]

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うるふさん、おはようございます。
返事遅れていました。
サンカに近い民かもしれませんね
今度話を現地で聞きたいですね。

2012/1/27(金) 午前 5:47 [ 加トちゃんの、五重塔は完成。 ]

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はかせさん、おはようございます。
なんか文字数の制限で、全部書ききれませんでした。
時間があれば後日最後のページも掲載させていただきます。

予備の冊子欲しいですね・・・・(笑)

2012/1/27(金) 午前 5:52 [ 加トちゃんの、五重塔は完成。 ]

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加トちゃんの、五重塔は完成。
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