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おそらく明治時代の後半に使われただろうと思われる国語の教科書です。
大きく名前が書かれてますとおり、この教科書の持ち主は「大屋幸二君」だったと思われます。
中身が経年の劣化に対して非常に綺麗で、汚れてないところを見ると、大屋君はどうも勉強が好きではなかったようです。
ほとんど開けた形跡がないので、もしかしたら、大屋君、文字が読めなかったのか?(笑)。
自分の持っていた教科書を古本屋に出したりすると後の世でひどいことを言われるので、処分する時には十分に気をつけましょう。

明治時代の教科書、などというと、何だか道徳的な題材ばかりかと思われがちですが、そうでもありません。
中にはこの教材をもって何を教えようとしたのか意味が分からないのもあります。

例えば、この教科書の第十二課「小鳥」。これはまあ、なんか悲しいのではありますが、教師の腕が試された題材ではないでしょうか?

「ある時、二羽の小鳥が高き木の上に巣を作りました。巣の中は柔らかなもので暖かにこしらえてありました。
まもなく卵が四つ出来ました。母鳥は毎日それを暖めています。その間は、父鳥が母鳥の餌をも拾うてやりました。
ほどなく、卵から美しい四羽の小鳥が生まれました。親鳥は喜びてかわるがわる側に居て、小鳥を養いました。
ある日、母鳥は、いつものように餌を拾いに行きましたが、そのまま見えなくなりました。
いつまで待ちても帰りませぬ。小鳥は待ちかねてしきりに鳴き悲しみます。
父鳥は深く心配して訪ねに出ました。母鳥は人に捕られたのでありましょう。」
(原文は旧かな、旧字体なので、現代仮名遣いと漢字を当てて補いました。)

驚くべきことにこの十二課はこれで終わりです。
どういうオチがあるのかと思いますが、なんとこの話にはオチがありません。
これは教師の力量を試されるべき題材です。

この話からいったいどういう教訓なり、知識なりを引き出せるでしょうか?
教師はおそらく
「君たちは母鳥がどこに行ったかわかるかね?」
とか何とか質問したのでしょう。
「はい!先生!」
「む。大屋。お前が手を挙げるとは珍しいものじゃ。よし、答えてみよ。」
「はい。ボクは母鳥が兵隊さんに取られたのだと思います。きっと良い軍人さんになったと思うのであります。」
「大屋!!お前、話しを聞いていたのか。まあよい。座れ。お前にはちと難しい問題じゃったのお。他に誰か答える者はおらぬか?」

こんな感じでのどかに授業が進んだのだろうと思われます。
ちなみにこの本は明治26年9月18日発行になっています。
1893年のことです。
この翌年、日清戦争が行われるのでした。

では

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