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「朝鮮幽囚記」

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この本の出だしはこうなっています。

「ヤハト船デ・スペルウェール号の生き残った船員と水夫とが、そのヤハト船がコレー(李氏朝鮮)王国の支配下にあるケルバールツ島で一六五三年八月十六日に難破してから、一六六六年九月十四日にその中の八名が脱出して日本の長崎に到着するまでの間にコレーで経験した日誌と国民の習慣および国王の状況について。」

こうした表題の後に

「オランダ領インド総督ヨアン・マーツアイケル閣下および評議員各位。」

と、オランダ領インド総督の元でヘンドリック・ハメルが論述したもののようです。
歴史文書があまり残っていない李氏朝鮮の様子をヨーロッパの人間が記した非常に珍しい文献です。

要するに13年間の間、このハメルらは朝鮮王によって国外に出されることなく、場合によっては奴隷的扱いを受け、ひどい目に会って日本に逃亡したと言う記録です。
風邪をひいて苦しい時にこういう本を読むと非常に自虐的な気分に襲われます。
体力がなくなっていて頭がクラクラする時に読むので、ものすごくこの本の作者ハメルに同情的になります。

この時代、朝鮮の人々は刑罰として「叩く」と言うのが好きなようでした。
日本でも江戸時代には「百叩き」とか言うのがありましたので、もしかしたら東洋一般に行われていた刑罰なのかも知れませんが、日本と違い朝鮮の「叩き」はまさに死刑も同然のようです。
少し長くなりますが、引用します。

「・・・殺人犯人もまた足の裏を数回叩かれた後で、彼の犯した殺人と同じ方法で罰せられます。過失致死犯は次のようにして罰せられます。彼等(朝鮮人)は酢っぱい、濁った、鼻をさすような匂いのする水で死者の全身を洗いますが、彼等はその水をじょうごを使って罪人の喉から流し込めるだけ流し込み、それから胃の所を棒で叩いて破裂させます。当地では盗みに対しては厳重な刑罰が課せられていますが、盗人は非常に沢山います。その刑罰は足の裏を叩いてしだいに死にいたらしめるのです。既婚の婦人と姦通したり、あるいは駆落ちした者は、彼等を辱めるために、両者を裸にし、時には薄い下着だけを身につけさせて顔に石灰を塗り、両者の耳を弓でつなぎ、小さなどらを背中に縛りつけて、それを叩きながら彼等が姦通者であるということを大声でふれながら町中を引き廻し、その後で尻を五、六十回叩いて罰します。・・・国王の、すなわち国家の収入を納めないものは毎月二、三回ずつ脛を叩き、彼等がそれを納めるかまたは死亡するまで続けます。彼が死んだ場合には、親戚が代わってそれを納めなければなりません。したがって国王または国家はその収入をとりそこなうことがありません。普通の罪に対しては尻を裸にして叩いたり、ふくらはぎを叩いたりしますが、彼等はそれを何ら不名誉なこととは考えていません。というのはちょっと何か喋っただけでもその刑を課せられるからです。・・・脛を叩くには次のようにします。まず小椅子にかけさせ、両脚を一緒に縛り、掌の幅ほどの帯で足首の上と膝の下二カ所を縛ります。その帯の間を樫かとねりこの木で作った、腕ぐらいの長さの一端が丸く、指二本ぐらいの幅があり一端がルックスダールデル貨ほどの太さの棒で叩きます。だが一度に三十回以上は叩きません。そして判決に従って三、四時間後にふたたびそれを続けます。このようにして数が満たされるまで続けます。最初から殺そうと思っている者に対しては、三、四フィートの、太さは腕ぐらいの棒で膝に近い所を叩きます。足(の裏)を叩くには次のようにします。まず地面に坐らせ、両足の拇指を一緒に縛り、それを腿の間に立てた木でもち上げます。そして太さは腕ぐらいあり、長さは三、四フィートある丸い棒で、足の裏を判事が満足するまで叩きます。彼等はこのようにして罪人を処罰するのです。尻を叩くのは次のようにします。すなわち彼等にズボンを下げさせて地面に平伏させるか、または台に縛りつけます。婦人は恥ずかしくないように下着を一枚だけつけせさますが、叩きよいようにまずそれを濡らします。そして長さ四、五フィートの一方は丸く、一方は掌ぐらいの幅で、小指ほどの厚さの棒で叩きます。こうして一度に百回も叩くとほとんど半死半生になります。(しかし多くの者は五十回も叩かれないうちに死んでしまいます。)・・・。」(朝鮮幽囚記 ハンドリック・ハメル著 生田滋訳 平凡社 41〜43ページ)

実にひどいというか、叩くのが好きというか、何でも「叩く」で刑罰が統一されていてよく分かりません。
国王に対する反逆だろうが、ちょっと何か喋っただけだろうが、とにかく「叩く」のです。
これほどハメルが鮮明に記憶しているのを見ると、朝鮮ではかなりの頻度で「叩く」という刑罰が行われていたのでしょう。
しかも、相手をほとんどの場合、殺してしまいます。まさに「叩き殺す」のです。
日常生活の中で行き当たりばったりに叩かれてはたまりません。
こういう生活を13年も経験してしまえば、ハメルも朝鮮人に対してろくな感想を持ちません。

「彼等(李氏朝鮮国の人たち)は盗みをしたり、嘘をついたり、だましたりする強い傾向があります。彼等をあまり信用してはなりません。他人に損害を与えることは彼等にとって手柄と考えられ、恥辱とは考えられていません。」(同書 52ページ)

オランダ人は日本との交易は行いましたが、結局李氏朝鮮とは交易しませんでした。
この書物はオランダの人にかなり影響を与えたようです。
叩かれたくないですから。

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