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砂時計

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「ま〜た、あなた少女漫画読んでる(笑)。」
「オレだっていろいろ苦労してるんだぞ?ネットでいかに安く買えるか、ってのに挑戦してるわけだ。」
「でも、この砂時計って漫画、ずいぶん昔に買ったのに置きっ放しだったじゃないですか。なんで読まなかったんですよ?」
「そうだなあ、落ちが読めなかったからじゃないかなあ?」
「え?最後がどうなるか分からないから読むんじゃないんですか?」
「アホやなあ。こう言うのは最後の予想がつかないと読めないんだよ。お前、最後がどうしようもなく救いがない話だったらどうする?破滅に向かってどんどん苦しみもがいて、努力に努力を重ねるんだけど、やっぱり思いは通じなくて、最後は人生諦めてしまって砂浜を海に向かってどんどん歩いて行くんだよ。『ああ、私はこういう風に死ぬために生きてきたんだわ。この海の冷たさが好きだったわ。そう、今私はこうして終わるの。私の砂時計は戻らないの。ごめんなさいね。頼ってばかりで。もう私は十分に愛されたわ。』とか何とか言いながら海に入っていくんだよ。」
「ちょっと!勝手な妄想はやめて下さいよね。そう言う話じゃないんですから(笑)。」
「てかさあ、オレはテレビも見ないしまあ、あれだ、情報に取り残されているからこの漫画がどう言う漫画なのか知らなかったわけだ。しかも発行年を見たら2003年だからずいぶん古い部類に入る漫画なんだよな。」
「そりゃそうでしょう。安かったんだし。」
「いや、古いから安いというのは間違っているぞ?お前、知らないのか?漫画や小説ってのはなあ、売れたら売れただけ古本の価値が下がるんだよ。例えば100万部売れたとするだろ?そう言うのが古本市場にどっと押し寄せるわけだ。そうなると需要と供給のバランスが崩れるわけだ。一気に値段が下がる。10巻も続いた漫画で安くなっているというのはかなり売れたはずなんだ。」
「全くそう言う古本屋事情には詳しいんですからねえ。」
「だろ?今、お買い得は『日本文学全集』とかそう言う全集物なんだよ。」
「いきなり話が飛びますねえ。まあいいでしょう、聞きましょう。」
「昔はなあ、嫁入り道具としてミシンだの文学全集だのを親御さんからプレゼントされていたんだよ。」
「いったいいつの時代ですよ?」
「たぶん昭和30年代だ。その時期だと納得がいく。その時代に結婚した女性は新居に文学全集を飾ったんだよ。いつか読みたいとか思ってな。だが、誰も読まなかったんだよ。」
「そんなことはないでしょう。多少は読んだんじゃないですか?」
「いや、読んでないね。オレも古本事情は知ってるが、市場に出てくる文学全集は色やけはしてるがほとんどが新品だ。新婚だった女性が老齢期に入ってそろそろ身辺整理をしなきゃいけない年齢になって、もしかしたらお金になるかなあ?とか思って古本屋に持ち込むんだよ。」
「まあ、何十巻にもなるんですから荷物ですよね。」
「だろ?ところが考える事はみんな同じだ。読まれなかった文学全集がどっと市場に出てくる。明らかに供給過剰だわな。売れないし(笑)。」
「あなた、文学全集の端本(全巻じゃなくて好きなのだけの本)けっこう持ってるじゃないですか。」
「そうだよ。もらったんだよ。5巻以上持っていったらただでやるとか言われたから選んで持ってきたんだ。」
「でも、そんなに穴あきになった文学全集なんかますます売れないじゃないですか。」
「そう言うのは処分されるんだよ。」
「もったいないですねえ。」
「ああ、今現在、日本ではものすごい勢いで活字文化が崩壊してるんだよ。」
「そう言う、大きな方向に話を持っていかないで下さいよね。あなた、今問題になっているのは『砂時計』と言う漫画なんですよ?分かってますか?」
「そうだっけ?まあいいや。この話は要約すると、初恋が成就しますようにって話だ。以上、要約終わり。」
「ひどい!!それで終わりですか!!もうちっと感想言いなさいよ!!」
「え?そんなネタばらしはしないよ。興味がある人は読めばいいんじゃないか?」
「それじゃあ紹介になってないでしょ?何のために付き合ってると思ってるんですよ。」
「別に付き合ってくれって頼んでないだろ。いい加減出て行けよ。」
「まあまあ、なんか言いなさいよ。」
「そうだなあ。悲観的な話ではなかったので、精神衛生上は安心して読めるんじゃないかなあ?最初の取っつきは衝撃があるけど3巻くらいからはまあ大丈夫だ。」
「あれ?写真に9巻が写ってないですねえ?」
「え?そうかい?ホントだ。大丈夫。全巻揃ってるから。」
「でも、なんで少女漫画なんですかねえ?」
「いいじゃないか。」
「ずいぶん溜まってきましたよ?そろそろ処分した方がいいんじゃないですか?」
「一度入ってきた物は出て行かないのがオレの部屋なんだよ。」
「あ〜あ。本当に紹介しないまま終わるつもりですね?(笑)。」
「仕方ないなあ。主人公は植草杏(うえくさあん)と北村大悟(きたむらだいご)だよ。この二人がどうなるかが問題だったんだ。これでいいだろ?」
「あなた、ファンの人に刺されますよ?」
「たぶん、この漫画のファンの人は刺したりしないよ。あの漫画とかこの漫画のファンの人だったら刺されるかもしれないけどな。」
「怖くて特定できないんでしょ(笑)。」
「ま、今日読み終わったと言う事でいいんじゃないかなあ?」

全く紹介になってませんが、面白い漫画でした(喜劇じゃないので間違わないで下さい)。
こういう経験をしたかった人もいるのではないでしょうか?
思いが通じるっていいですよね。

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