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午前4時の体位交換後、異変は起こりました。
膀胱のあたりにものすごい刺すような痛みが走りました。
首の痛みなど忘れるような強力で暴力的な痛みです。
なったことはありませんが尿路結石というのはこんな痛みなのでしょうか?
あまりの痛みに左を下にして寝かせられていたのに飛び起きて(と言ってもせいぜい寝返りを半分くらい打つ程度)しまいました。
たまらない痛みは導尿管がおそらく膀胱の中で痛みの中枢?みたいなところに当たっているためなのでしょう。
仰向けになった状態で右手で導尿管を持ち上げるとウソのように痛みは消えるのです。
しばらくそのままの姿勢でいましたが、そのうち右手が疲れてきて導尿管が下がります。
そうすると、また飛び上がるような痛み。
ナースコール押さなきゃ!
そう思って愕然としました。
飛び起きた勢いで左手で持っていたナースコールを手放してどこかに行ってしまったのでした。
必死で左手でベッドの周囲を探ります。
でも見つかりません。
これはマジでやばい(笑)。
右手が下がると激痛が走るので下げないようにしてると、右手が疲れてプルプル震え出します。
でも、ここが我慢のしどころと言うか、それ以外にありません。
こうして、仰向けになったまま導尿管を右手で持ち上げて身動きの取れない状態が始まったのでした(笑)。
どう見てもマヌケな姿勢です。
誰でもいいから「あんた、何してるの?」と聞いて欲しかったです。
しかし、ナースコールが押せないいじょう、ICUには誰も入ってきません。
まさかICUでこんな姿になろうとは予想もつかない異常事態(笑)。
手術が終わって安静の状態に保たれるはずだったのに、根性で右手を上げる訓練をさせられています。
なんとか看護師を呼ばなければ。
あ、そうだ!
そうです、あの足の靴下を使えばなんとかアラーム音が鳴るのではないか?
そう思いました。
が、ここでも愕然の事実。
なんと、さっき飛び起きた衝撃で右足の靴下が脱げているのです。
だったらアラームが鳴らないとおかしいのに鳴りません。
脱げた靴下を押さえたり放したりして何とか異常を知らせようとしましたが、アラームは鳴らないのです。
どうやら、靴下で遊んでいたのでアラームを切られたようです(笑)。
とんだところで天罰。
だからと言って手術後の消耗している体力でいつまでも右手を上げているのも限界に近づいてきてます。
第一、首の手術で首の後ろを切られているので、右手を動かすのも実は痛いのです。
さあ、考えろ!どうやったら看護師を呼べる。
かの泣くような声プラスろれつがあんまり回ってない状態なので声で呼ぶのは無理です。
待て。よく考えろ。逆に考えるんだ!ICUになぜ看護師が来ない?
状態のあんまりよろしくない患者を看護する施設なのに看護師が来ないのはバイタルサインが正常だからのはずです。
考えろ!お前は今、何をモニターされている?
心拍数、呼吸、血圧、酸素濃度くらいはモニターされているはずです。
この中のどれか一つでも異常な数字が現れたらアラームが鳴るはずです。
自分の意思で変化させられるのはやっぱり呼吸でしょうか?
息を止めます(笑)。
なかなかアラームが鳴りません。
頭がクラクラしてきましたが、ここが我慢のしどころ。
どれくらい息を止めていたのか分かりませんがついにアラームが鳴りました。
「やった!!」
これで看護師さんが来てくれると思って一息つきました。
そしたら、アラーム音が消えました。
呼吸が止まったからアラームが鳴ったのですから呼吸が始まればアラームは消えます。
自明の理です。
ずっと止め続ければアラームは鳴り続けるでしょうが、ずっと呼吸が止まっていると言う事はそれは死んでいるって事ではないでしょうか?
むむ!バイタルサイン恐るべし!
現代医学の発展を目の当たりにしました。
呼吸がダメとなると、後やれそうなのは酸素濃度。
交通事故の時には酸素濃度低下でさんざんアラームを鳴らしたので、94%が初期設定だと言うのを知っています。
何とか酸素濃度を94%以下に下げる事が出来たらアラームがなるはずです。
酸素濃度を下げるためには胸をすぼめて呼吸を浅く浅くほとんど息を吸わない程度まで浅くするのがコツです(笑)。
これも苦しい作業です。
めまいがしてきました。
ここも我慢のしどころです。
耐えろ!ひたすら耐えろ!
しかし、どんなに耐えてもアラームは鳴りませんでした。
初期設定を変えられているのか、努力しても94%まで下がってないのか。
このあたりで、そろそろ頭の中が真っ白になってきています。
正常な判断が出来てません(そもそも、バイタルサインの異常を出すって考えが正常とは思えませんけど)。
残るは心拍数でしょうか?
心拍数を下げるのは難しいかも知れませんが上げるのなら運動すればいいだけです。
でも、ICUに放り込まれている患者が運動するというのはほぼ無理。
足をゴゾゴゾ、手をゆっくり動かす程度がせいぜいです。
これでは心拍数が上がりません。
どうやったら心拍数が上がるか?
そうです。
驚けばいいんです(笑)。
もう正常な判断力もなくなっています。
頭の中で怖かった経験や恥ずかしかった経験を思い出します。
でも、今の状況の方が明らかにやばい状況なので、思い出しても怖くないし恥ずかしくないし、心拍数に変化なんかあるはずありません。
じゃあ、怖い事を考えるのはどうでしょうか?
これもダメです。
夜中に墓場を平気で歩くようなアホを怖がらせるのは容易ではありません。
要するに驚けばいいんだな?
だったら宇宙開闢の謎をここで解き明かしたら驚くに違いない。
本気でそう思いました。
確かに驚くべき研究成果かも知れませんがそれで心拍数がどうかなるとは思えません。
追い詰められてすでにヘトヘトです。
しかし、これだけ無駄な事をやっていたら時間も経過するのです。
6時近くになりICUに明かりをつけるために看護師さんが入ってきました。
「膀胱のあたりが痛いんです。」
そうかすれた声で訴えましたが、看護師さんは導尿管を持ち上げて無様な姿勢になっているのに気がついていません。
「管の位置を変えてもらえませんか?」
ようやく気がついてくれました。
やや驚いたようではありましたが
「いつからこの姿勢で?」
「さあ、かれこれ2時間くらい。」
と手短な会話の後、管を止めているテープをはがして付け替えてくれました。
それで痛みは全くなくなったのでした。

いや、本当に痛かったんだって!!!
ICUに入るのも大変なんですよ?(笑)

ICU編終わり。

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