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スタートしてゲート通過まで15秒くらいかかったもののすぐにマイペースに持ち込む事ができた。秋川をわたり山道に入っていく。流れは速いがじっくりペースをつかんでいく。
今熊神社を過ぎ速いペースの流れに乗るが無理は出来ない。小刻みなアップダウンを繰り返し前半の大きなポイントである生藤山を目指す。ここまでの動きでレースを占ってみたが、どこでリタイアするかという事だけが思い浮かぶ。・・・キツイ。まだ15キロだというのに。
筋力だけに頼っていない女子上位ランナーの走りを見る。登りでは無駄がなく決して力んでいないスムーズな足運び。下りでは私の自信も砕け散る巧さで滑り降りていく。
第1関門を通過し時間的には予定どおりだったが、余裕がない。たくさんの応援から気持ちだけは持ち直す。5時を過ぎ辺りの木々の陰が更に濃くなってきた。ヘッドライトを装着し、ハンドライトの準備をする。立ちはだかるコース最高地点三頭山によたよたとした足取りだが着実に進んでいく。登坂の筋力が先に終わり疲労のバランスは崩れ山頂に近づく程心拍数を上げられなくなっていたが思考回路を止め、何も考える事なく斜面を押す。ようやく登った頂上も楽しむ余裕もなく下りながら登りの筋肉を休める。距離にして約半分の36キロを過ぎるとかなり気が楽になった。ほとんど抜かれることはなくなり楽に足を運べる。
奥多摩周遊道路に出ると第2関門の月夜見まではあと少しだ。久しぶりのアスファルトで走る筋肉は目覚める。スタートから背負った2リットルの富士山バナジウム水をほぼ全て消費したので1.5リットルの給水を受ける。身体はリズムを取り戻しているので休まず先に進む。
リタイアしたい気持ちはいつしか忘れ、広々とした下りに迫り来る難関御前山と大岳山に挑む身体に整えていく。いよいよ登りに入る。疲労困憊状態は続いていたが経験からか今年は御前山が短く感じた。
大岳山は岩が露出している。登りは手もうまく使って這い上る。違う筋肉を使うからか段々動きは改善してくる。すぐさま山頂を通過し下りの大きな岩場の段差になるべく負担がかからないようスポットライト目掛けて着地していく。傾斜が緩いところでは重力に身を任せて流れ降りる。定期的に補給する。わさわさと過ぎるランナーに野生動物が警戒する声を発している。追われるように先を急ぐ。どんどん走れるようになる。7時間以上動いた身体だがようやく走る感覚を取り戻し次々と選手をパスしていく。
大ダワでは大きな声で応援してくれているスタッフに同調するようにライトをぐるぐる回しながら応える。
持ち直す気力と共に更にスピードは増し、第3関門では去年より20分以上刻んで通過。一時、140位台まで落ちた順位も119位まで回復、残り13キロ。
御岳山の土産物屋のシャッターは閉まっているが、居酒屋から酔った声が飛び出している横を抜けて行く。つかの間の明るい世界からトレイルに戻る。緩やかなアップダウンに脚を止めない。
日の出山の階段を登ると東京の夜景が広がる。レース中数少ない絶景スポットはライトで照らした山道を何時間も見続けた目には本当に感動的であるが、駆け抜けられる喜びが勝る。階段は着実に一段一段使い平場に出ると走る。一人、また一人選手を抜いていく。
金比羅尾根を気持ち良く走ることが出来る。
下のほうには街明かりが見えてきた。いよいよラストのコンクリート舗装路にたどり着いたが急な斜面にブレーキが必要でちぎれそうな大腿にラストの励ましをする。
アスファルトに変わり緩傾斜になると、ブレーキが解放されランナー魂にスイッチが入る。ラスト500メートルはスパートが利くほど脚は動く。
静かな住宅街。忍んで最後のコーナーを曲がり身だしなみを整えながらフィニッシュゲートに向かう。待ち受けるフラッシュと歓声を浴びて、このレースでしか味わえない満足感に包まれて非日常の世界に終わりを告げた。
結果
タイム 10時間41分19秒(総合98位)
第1関門 3時間8分3秒(135位)
第2関門 6時間31分3秒(141位)
第3関門 9時間23分35秒(119位)
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