風来梨のブログ

別サイトに記載した景勝地ガイドを小出しに載せていきます。

滝を訪ねて・近畿

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日本の滝を訪ねて  第144回  ツキ谷沢ノ滝  〔奈良県〕

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路傍の滝でさえ
スケールの大きさを示していた

  世界遺産の里に潜む滝へ・・  奥吉野の滝めぐり
’04・ 7に吉野・大峰・熊野の霊場と山詣道が世界遺産に登録された。 それによって、霊峰・大峰の山峡の里村は脚光を浴び始めた。 だがその威光も、有名観光地や温泉、そして霊峰・大峰を御神体とする登山エリアに集中し、本来は水の里であり100mを超える大瀑布を何本も抱える奥吉野は、あまりその威光を授かってはいないようだ。

今回は、そんな人里稀な山峡のまた奥深くに潜む名も知られざる大瀑布や美瀑を訪ねてみよう。
山峡のこれまた奥に潜む滝たちを目にすると、「何故に、これほどの大スケールの滝が世に名をとどろかす事がなかったのか?」と疑問が頭に浮かんでくる事であろう。 だが、人の往来を紡ぐ『道路の歴史』を紐解けば、納得のいく事だろうと思う。

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こんな壮大な滝が
1/10万地図にも載せられないなんて・・
千尋ノ滝

この地域には十津川と吉野川という2本の大河が流れているが、その大河に沿って村落が形成されていった歴史がある。 村落が形成されると、大和や熊野・那智といった国府の街へとの往来が必要となり、道が通じて街道となっていく。 当然、そこで暮らす人の生活を維持するべくの地域開発や治水対策は、この街道筋に沿って行われた。 それが護岸の築堤や、今悠然と水を湛える大型ダムや大規模な貯水池である。

その街道筋と交差するのが、知られざる大瀑群が数多く潜む『超一級の酷道』として名高い国道425号線である。 この国道425号線は、和歌山県の御坊市から三重県の尾鷲市まで、果無山脈と大峰山脈・台高の山々とに挟まれた人里稀な山峡を縫う『林道レベルの道』の繋ぎ合せなのである。

即ち、この道が国道に昇格する前は、車の往来も侭ならぬ林道や農道規格の道だったのだ。
これらの林道や農道は、昔からの街道である国道168号や169号沿いに集まる小集落から、峠の手前にある山ノ神への参詣や最奥の庄家へ往来する生活道路だったのである。
そして峠より先は、往来の必要性が皆無どころか領主・地頭が変わってしまう『別の国』だったのである。 当然、暗黙の掟として、峠を越えるって事は『村よりの出奔』という大罪だったのである。

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首が痛くなる程に高さを感じる滝でさえ
”隠れ滝”と呼ばれている

時を越え現代となって峠を越える事に罪はなくなったのだが、ほんの30年位前までは峠を越えて往来する必然性がない事から、未開通・未整備路として放置されたままだったのだ。
そう、林道の寄せ集めを国道として昇格させた1982年までは・・。 そして、その影に隠れた大瀑群も、知られざるままに現代まで時を経てきたのである。

長々と道の歴史と今回訪ねる『知られざる大瀑群』との因果関係を述べたが、これより私もこの『知られざる大瀑群』に魅せられに行こう。 そう、カメラで写真を撮るという事を始めてから30年という時を越えて、ようやく目にする『初めて』を体験しよう。 水の織り成す自然の創造力に魅せられる・・、そんな見果てぬ浪漫のさわりの部分、私の僅かな力でも何とか訪問が叶う滝たちを、これより愛でにいこうと思う。



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国(酷)道425号線上より望む
ツキ谷沢ノ滝

  ツキ谷沢ノ滝 つきたにさわのたき  落差40m  奈良県・上北山村
この滝は、吉野川をせき止めた池原ダムの貯水池の畔に瀑布を掛けている。
この滝に限らず多くの沢が、山から駆け下る流水の力で山肌を削り、人が踏み入る事を許さぬ険悪な沢筋を刻み、知られざる大滝を何本も形成し、人知れず瀑布を掛けているのだろう。
山峡に作られた人造の大きな『水瓶』である巨大ダム湖へは、このような急峻な沢筋が幾つも流れ込んでいるのだ。 そして、悠然と湖水を湛えているのだ。

先程に述べた日本有数の『酷道』と云われる国道425号線もようやく舗装がなり、一応は全線通行可能となった。 だが、道は全線に渡って林道規格そのままの狭隘路線で、道路陥没や路面ひび割れは当たり前、ガードレールが端折られたり、洗い越し(会所が掘られずに、沢が路面を越して流れている道、危ねぇ・・)という都会の道路ではまずお目にかかれない光景を見せつけられる道なのである。

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”洗い越し”の道
大雨の時は鉄砲水で押し流されることも・・
※ グーグル画像より拝借

だから・・であろうか、橋が架けられるまともな沢には、何かしらの滝が潜んでいるのだ。
この《ツキ谷沢ノ滝》も、そんな沢滝の一つである。 だが、急峻な地形と、深く抉れたダム湖が造成されたせいか、ダム湖に直接白布を掛ける大瀑となっている。 落差は40mはあろうか。

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高さ・水量・迫力共に第一級の大瀑が
路傍から人知れず白布を掛けている

沢自体も大きく、水量豊かで迫力満点の滝だ。 しかし、これほどの豪勢な滝が1/20万の道路地図にも載っていないのである。 従って、滝の位置をあらかじめ知っておかなければ、落石が至る所に転がり、ガードレールも端折られて「落ちたら死ぬぞ」の看板さえ掲げられた『酷道』(実際に土砂崩れや転落で何人も事故死してるらしい)の運転に気を取られて見逃してしまう事も有り得るだろう。

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ツキ谷沢ノ滝 位置図

従って、この道路に潜む滝たちの紹介は、より詳しく位置の特定をしておく事にしよう。
この《ツキ谷沢ノ滝》は、国道425号の下北山村と上北山村の村境より上北山村方向(尾鷲側)へ800m程進んだ地点にあり、《下月谷橋》というカーブ掛かった橋が滝見のスポットとなっている。

滝の掛かる沢は《下月谷橋》より100m先の《月谷橋》の袂から落ちており、滝は70°を越える角度の直瀑なので、滝の真上に架かる《月谷橋》からでは、滝の落ち口が反り返って滝の姿はほとんど見渡せないようだ。 そして、この滝を目にして思う事は、やはり「国道からの展望ではなく、滝の直下から魅せられたい」という事であろう。

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滝の直下からは
予想を遥かに超える迫力と共に
滝飛沫が飛んできた・・

それでは、この滝の滝直下へ向かう方法も併せて記述しよう。 だが、このルートは林道の高みからダム湖畔への崖斜面の下降となるので、転倒や転落は命にも関わる大怪我につながりかねない・・という事と、それに伴う自己責任は負って頂きたいと思う次第である。

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朝の光に飛沫が輝いて・・

滝の展望が利く《下月谷橋》の手前にダム湖への下降点があり、これを伝って《下月谷橋》直下の枯れ沢のゴーロ帯を降りていけばいい。 だが、人の身長大の巨石でさえ浮石となるような枯れ沢であり、枯れ沢を嫌って沢の縁を行くのも、ルートを選んで行かないと崖となって行き詰るのである。
50mほどの高さを降りていくが、浮石に乗る怖さと沢の縁の急傾斜で10分位はかかるだろう。
むしろ、浮石の可否を判断できる帰りの方が短時間で済むかもしれない。

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この迫力を活かすには
流すより高速シャッターで止める方がいいかも・・

さて、滝の直下からの迫力は、滝飛沫を全身に浴びる程に壮観だ。
そして、ダム湖にボートを浮かべ釣りに勤しむ人を借景にした写真も撮れる。
滝の中ほどに当たる光が白布を引き立たせ、そして虹を架ける。

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湖面に直接落とす
桃源郷のような滝姿だ

これを目にすると、下りのアプローチで怖い思いをしてでも来た甲斐があったと思える事だろう。


    ※ 詳しくは、『撮影旅行記』より『ツキ谷沢ノ滝』を御覧下さい。
         また、『世界遺産に潜む滝へ・・』もどうぞ。












日本の滝を訪ねて  第123回  千尋ノ滝  〔奈良県〕

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百名滝顔負けの美しい絹模様を魅せる
“名も知られぬ滝”

  世界遺産の里に潜む滝へ・・
    奥吉野の滝めぐり より
’04・ 7に吉野・大峰・熊野の霊場と山詣道が世界遺産に登録された。
それによって、霊峰・大峰の山峡の里村は脚光を浴び始めた。 だがその威光も、有名観光地や温泉、そして霊峰・大峰を御神体とする登山エリアに集中し、本来は水の里であり100mを超える大瀑布を何本も抱える奥吉野は、あまりその威光を授かってはいないようだ。

今回は、そんな人里稀な山峡のまた奥深くに潜む名も知られざる大瀑布や美瀑を訪ねてみよう。
山峡のこれまた奥に潜む滝たちを目にすると、「何故に、これほどの大スケールの滝が世に名をとどろかす事がなかったのか?」と疑問が頭に浮かんでくる事であろう。
だが、人の往来を紡ぐ『道路の歴史』を紐解けば、納得のいく事だろうと思う。

イメージ 2ハングった岩壁が
美しい白絹を浮かび上がらせて

この地域には十津川と吉野川という2本の大河が流れているが、その大河に沿って村落が形成されていった歴史がある。 村落が形成されると、大和や熊野・那智といった国府の街へとの往来が必要となり、道が通じて街道となっていく。 当然、そこで暮らす人の生活を維持するべくの地域開発や治水対策は、この街道筋に沿って行われた。 それが護岸の築堤や、今悠然と水を湛える大型ダムや大規模な貯水池である。

その街道筋と交差するのが、知られざる大瀑群が数多く潜む『超一級の酷道』として名高い国道425号線である。 この国道425号線は、和歌山県の御坊市から三重県の尾鷲市まで、果無山脈と大峰山脈・台高の山々とに挟まれた人里稀な山峡を縫う『林道レベルの道』の繋ぎ合せなのである。

即ち、この道が国道に昇格する前は、車の往来も侭ならぬ林道や農道規格の道だったのだ。
これらの林道や農道は、昔からの街道である国道168号や169号沿いに集まる小集落から、峠の手前にある山ノ神への参詣や最奥の庄家へ往来する生活道路だったのである。
そして峠より先は、往来の必要性が皆無どころか領主・地頭が変わってしまう『別の国』だったのである。 当然、暗黙の掟として、峠を越えるって事は『村よりの出奔』という大罪だったのである。

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古来は滝や峠を越えるのは
村からの『出奔』という大罪だった

時を越え現代となって峠を越える事に罪はなくなったのだが、ほんの30年位前までは峠を越えて往来する必然性がない事から、未開通・未整備路として放置されたままだったのだ。
そう、林道の寄せ集めを国道として昇格させた1982年までは・・。 そして、その影に隠れた大瀑群も、知られざるままに現代まで時を経てきたのである。

長々と道の歴史と今回訪ねる『知られざる大瀑群』との因果関係を述べたが、これより私もこの『知られざる大瀑群』に魅せられに行こう。 そう、カメラで写真を撮るという事を始めてから30年という時を越えて、ようやく目にする『初めて』を体験しよう。 水の織り成す自然の創造力に魅せられる、そんな見果てぬ浪漫のさわりの部分、私の僅かな力でも何とか訪問が叶う滝たちを、これより愛でにいこうと思う。



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千尋ノ滝 位置図

  千尋ノ滝 せんぴろのたき  落差80m  奈良県・上北山村
この滝は、先述の《ツキ谷沢ノ滝》のすぐ上流に控える滝で、落差は80mもある豪壮な滝である。
滝幅も広く水量も豊富で、百名滝に名を連ねる滝に勝るとも劣らぬ素晴らしい滝絵巻を魅せてくれる滝だ。 だが、この滝も完全に道沿いからは離れ、あらかじめ知識としてこの沢の上流に滝がある事を知らなければ、完全に見逃してしまうであろう。 

もし、存在を知っていたとしても、どこから辿ればいいのかも判別し辛いのである。
それは、滝の遊歩道はあるにはあるのだが、入口は杣道(木こり道)同然の様相で廃屋となった農具置場の裏手から出ているのだ。 この沢に沿った杣道を「沢を遡う人が歩く道」と解釈しなければ、到底滝への道とは想像できないであろう。 この地に潜む滝は、すべからくこのような“立ち位置”なのである。

実際にこの杣道同然の『遊歩道』へ入ると、獣道然とした踏跡が奥に続き、途中の崩落などでの通過不能の所には手作りの丸太桟道が架けられただけのものだった。 従って、この滝を見るには、最低でも底の厚いトレッキング靴が必要だろう。 底の薄い靴などでは、常時シケッた桟道の丸太で滑ったり、丸太を縛る針金に引っかかったりして思わぬ怪我につながるだろう。
滝までは僅かに10分程度であるが、この遊歩道は前述の通りかなり状態が悪いのである。

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これより近づくと
飛沫のシャワーを浴びる

だが、この10分を経て目にする白布は、豪壮という形容詞がそのまま当てはまる大瀑布であった。
とにかく、巻き上がる滝飛沫がものすごい。 滝つぼから20〜30m離れた高台でさえ、飛沫のシャワーを全身に浴びてしまうのだから・・。 たぶん、滝つぼが河床程度に浅く、また末広がりの滝姿から、飛沫が巻き上がってしまうのだろう。

イメージ 6絹布の白と
苔蒸した岩肌の黒と

でも、暑くなり始めのこの時期は、飛沫を浴びるとさわやかこの上ない心地となる。
でも、長々と居座るとずぶ濡れとなるのは念の為。 それでは、またもや道路地図にも載らない80mもの大瀑布をごろうじろ。

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どう構えても絵になる艶かしい滝だ

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アップの高速シャッターっていいかもしんない

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こんな壮大な滝が
1/10万地図にも載せられないなんて

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撮った後は
飛沫を浴びてずぶ濡れになった


    ※ 詳しくは、『撮影旅行記』より『千尋ノ滝』を御覧下さい。
      また、『世界遺産に潜む滝へ・・』もどうぞ。










日本の滝を訪ねて  第116回  風折滝  〔三重県〕
 
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風に靡く・・
優雅な姿の滝が潜んでいた
 
   風折滝 かざおれたき  落差 80m  三重県松阪市(旧 飯高町)
落水が風になびく様から名づけられた《風折滝》。 紅葉をまとって風になびくその姿は繊細で優雅で、何か触れ難いものを感じるのである。 今回は、知名度が低いが為にほとんど知られていない渓谷に潜む優雅な滝を御紹介しよう。
 


 
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奥香肌峡・宮ノ谷峡谷 遡行図
 
    行程表                駐車場・トイレ・山小屋情報
橿原市街より車 (2:00)→蓮峡・宮ノ谷林道終点 (1:00)→水越谷出合 (1:30)→風折滝
(1:20)→水越谷出合 (1:00)→蓮峡・宮ノ谷林道終点より車 (2:00)→橿原市街
  ※ 風折滝へは踏跡不明瞭な沢歩きとなる
 
この滝を探勝するに当たって、準備とある覚悟が必要となる。 それは、“水に入る”、“沢を渡る”といった覚悟と、沢を渡る為に必要な“道具”が必要だという事である。 “覚悟”という意味をあり丁寧にいうと、完全に“濡れる”という事だ。 

衣服が濡れていく事によって生じる気力の低下や疲労感、体温の低下などの全てを把握せねばならない。 そうなれば、“濡れてもいい物”が必要となるだろう。 それが徒渉靴であり、徒渉時に体を支えるピッケルであるのだ。 これらの専門道具を使いこなして、幽谷にひそむ名瀑を訪ねてみよう。
 
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沢には何とも
毒々しい花が咲いていた
 
この《宮ノ谷峡》を今回の行程表通りに探勝するには、ほぼ1日かかってしまうのである。 
従って、前夜に林道終点まで、マイカーでアプローチする事が絶対条件となるだろう。 
ただ、灯りの全くない山峡の懐で一夜を過すというのは、それ相当の度胸が必要なのである。 
ここは美しい滝を望む為の試練として、ひたすら我慢しよう。 翌朝、目覚めたなら、すぐの出発だ。 

渓谷入口からしばらくは、細い“犬走り”状の道を伝っていく。 この道を下り気味に進むと、上下二股に分かれた分岐に出る。 上の道が探勝路、下が景勝《犬飛び》への展望台への通路だ。 
《犬飛び》は、分岐からすぐにあるので立ち寄ってみよう。 ここは両岸が5m程までに接近している景勝だ。
 
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秋・・ 豊かな彩りにつつまれる渓谷
 
いい伝えによれば、大蛇に追い詰められて八方塞がりとなった猟師が、猟犬がこの間を飛び越えたのを見て覚悟を決めて自らも飛んだが下の淵に飲み込まれた・・という。 この事で、『犬飛べるが・・』が《犬飛び》となったらしい。 

《犬飛び》の眺めを楽しんだなら探勝路に戻り、更に奥へ進んでいこう。 
探勝路は、朽ちた鉄ハシゴや溝敷用の鉄版を岩に打ち込んだだけの半分穴の空いた桟橋が、岩のヘツリにへばりつく感じで続いている。 これは、いつ落ちるか判らぬ“ロンドン橋落ちた”状態でかなりおっかない。
 
しばらくこれを伝っていくと、『この桟橋は落下の危険があるため通行禁止』との立て札があり、その下に『これより先は沢を歩く』とあった。 やはり、行政の観光課も、この惨状に整備を放棄したようである。 とどのつまり、“あまり人も訪れないし、ほったらかしにしておけ”なのである(近年、遊歩道が取り替えられたようだ)。
 
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沢のあちらこちらに
無名滝が潜む

さて、これよりは、様々な思惑も重なって沢歩きとなる。 だが、まだ河原の上を伝うのが主で、上手に沢を跳び越せば水に浸からずに進んでいける。 進んでいく内に沢の流れが早くなってきて、再び右岸の大岩に切られたヘツリに上がり、大きな沢を細い一枚鉄板の桟橋で渡る。
渡った所が《二股》である。 ここは《風折滝》のひそむ《水越谷》と、本谷である《高滝谷》の合流点である。
 
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険悪な沢伝いを強いられる水越谷
 
ここから始まる《水越谷》は、完全な沢登りである。 一般のハイカー装備では、まず入渓はできない。 
その証拠に、この分岐に《水越谷》での遭難を記した石碑が祀っているのである。 
その横にある『風折滝→40分』の看板は頂けないが・・。
 
ともかく、その道標の通り左の谷へ進んでいくと、いきなり道が途切れる。
この先は沢に入って岩間の滑滝や大岩を“中央突破”するか、山肌に取り付いて“道なき道を切り開く”が如く、枯草とブッシュを掻き分けるしか手がなさそうである。 

私の所感ではあるが、後者の“道なき”の方が幾分楽に切り抜ける事がてきそうである。 
これを切り抜けると、沢は函状を成してきて、ますます幽谷の趣となってくる。 
当然、このほとんど足場の切られていない函崖を、トラバースで伝っていかねばならない。
 
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風折滝までは険悪な沢伝いだ

進んでいくとこれとて途切れてしまい、いよいよ沢の水際へと追いつめられる。 
そして、大きな岩が前方に隔たった淵の前に出る。 登りの時は何とかこれよじ登る事ができるが、下りはこの大岩が淵に浮かぶ島のようになっていて、その高さもあってちょっと飛び降りるには躊躇してしまう。  どうしても、“もし、着地にしくじったら”という考えが頭を過るのである。

下りは覚悟を決めて、滑滝となっている伏流の流れを直接下って、淵を迂回するしかなさそうだ。 
たぶんここまでで、あの看板に記してあった『40分』は十分経過している事だろう。 
この厄介な淵を乗り越えると、今度は沢滝を避けるべく滝の横にある岩の隙間から上へ這い上がる難所が待ち受けている。
 
これは、滝の直接登りよりはましなものの、滝の伏流水が岩間から滴り落ちるのを浴びながらくぐり抜けねばならない。 この岩の“くぐり抜け”を越えると、いったん函状の幽谷から抜け出て、明るい日差しを浴びた沢がキラキラと輝く絶好の休憩場所に出る。 2つの難関を突破して少し疲れ気味であろうから、しばし休息を取ろう。
 
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光を当てるだけで“芸術”となる
水の流れを見てちょっと一服
 
この先も道らしき道はなく、この開けた沢筋を伝っていくのだが、この沢筋にしても崖から崩れ落ちた岩がゴロゴロと転がる歩きにくい河原である。 やがて急激に両岸が狭まり、大きな瀑音が山峡に響く15m位の滝の前に出る。 この滝は、《風折滝》の釜から流れ出る水が岩盤を削り取った“後発滝”のようである。 そして、その横にロープを垂らしてある。
 
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風折滝が創造した後発滝
ロープを手にこれの直登りだ

滝の素性はどうであれ、この滝の横を“直に登る”事に間違いはなさそうである。 
もう、これは“滝しぶき”どころか、滝の落水をもろに浴びながら登らねばならない。 
それに足場は濡れたツルツルの岩盤で、沢靴でなければ踏ん張りが効かず登りきれないだろう。 
これを越えると、山峡の果ての幽谷に滔々と白布を掛ける《風折滝》が見えてくる。
 
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山峡を吹き抜ける風にその姿をなびかせる・・
私を放心状態にさせた
神秘の滝の情景がそこにあった

この白布はその名の如く、山峡に吹き抜ける風にその姿をたなびかせる神秘的な情景を示していた。 
何と魅せられる情景だろう。 しばし、この神秘的な白布の前に呆然と立ち尽くす。 
そして、周りを囲む幽谷の趣が、この白布を望む事のできた感動を更に盛り上げてくれる。
 
風に靡く優雅な滝をごろうじろ
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幽谷の果てにある神秘の滝
 
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滝の上部をクローズアップ
 
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やや強い風が
渓谷内を抜けて
 
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その風に滝の落水が
靡いていた
 
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なんと優雅な滝よ・・

ここは山峡の“袋小路”。 つまり“山峡の果て”なのだ。 その思いで胸が一杯になったなら、往路を下るとしよう。 下りは、上りで困難だった地点が更に苦難となる所もある。
滑ったりせぬよう、細心の注意を払っていこう。
 
 
    ※ 詳しくは、メインサイトより奥香肌峡<1>をどうぞ。
 
 
 

 


 
 
 
日本の滝を訪ねて  第107回  笹ノ滝  〔奈良県〕
 
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百名滝にも指定されている名瀑・笹ノ滝
我が国有数の降水量を示す地域
ならではの豪勢な落水は迫力満点
 
   笹ノ滝  ささのたき  落差 40mの段瀑  奈良県・十津川村 
   
   アプローチ  国道168号線・風屋より林道・内原線を東へ12km
            この林道(舗装道)の終点は袋小路状になっていて
            多数の車の駐車及び、同時転車はかなり困難
 
近畿南部縦断国道の国道168号線は数字が若く、我が国の道路においては主要・重要国道の位置づけにあるのだが、奈良県の最奥から和歌山県への県境に至る辺りでは、大型車の離合が困難な3m幅の狭隘道路が続いている。
 
そして、この辺りは我が国でも1〜2を争う大降雨地帯で、この道路も大雨が降ると途端に通行止となる。 なおかつ、この国道から分岐して滝に至る舗装林道は台風災害で道路が崩壊し、数年に渡り通行止となっている。
 
即ち、全国に名を馳せた『百名滝』の指定滝でありながら、今はその姿を拝む事が適わない状況となっている。 道が開通していた時は村の主要な観光資源だったようで、休日などは狭い袋小路状の終点に地元郵便局が滝絵葉書を含む『お便りセット』を販売していて、その販売テントが邪魔で転車できずに300m近く歩かされたのを憶えている。
 
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秋・・滝の周囲が最も彩る季節
『お便りセット』の絵葉書より
 
まぁ、あの販売テントが無ければ行楽客の車の多くが奥まで進入して、転回できずに往生してただろう・・と考えると、あの絵葉書販売は交通整理の一役を担っていたのかも・・。
 
滝は我が国有数の降雨地帯に位置する為に水量が豊富で迫力がある。
カメラで滝を覗くとレンズに滝飛沫が当たり、六角形の模様がファインダーを飾っていた。
それでは、今は滝見が適わぬこの滝をごろうじろ・・(・・といっても、後3枚は郵便局『お便りセット』の絵葉書なのだが・・)。
 
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春・・山奥に小さな春が訪れたようだ
『お便りセット』の絵葉書より
 
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冬・・白は静寂の理を示して
『お便りセット』の絵葉書より
 
う〜ん、夏の我が写真があなわろし・・(涙) だって、光量不足だったんだもの。
 
 
   ※ メインサイトのコンテンツ『日本の滝を訪ねて・・』には、他にもいろんな滝があります。
     宜しければどうぞ。
 
 
日本の滝を訪ねて  第105回  天滝  〔兵庫県〕
 
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飛沫舞い散る近畿随一の名瀑・天滝
 
  天滝渓谷の滝   養父市大屋町 
      天滝  てんだき 落差 98m     糸滝  いとだき 落差 60m
     夫婦滝 めおとたき 落差 2段7m  鼓ヶ滝 つつみがたき 落差 10m
 
   アプローチ  県道48号線・筏の北西3km
           養父市大屋町(旧 大屋町)市街より車で15分で渓谷入口駐車場
           駐車場より天滝展望台まで遊歩道アリ 距離1.2km・徒歩約40分
 
今回は近畿きっての名瀑として名を馳せている天滝を御紹介しよう。
天滝は『日本の滝100選』に指定されてはいるが、観光スポットを浴び始めたのは朝のTV番組で取り上げられてからのようである。 それまでは、今のように案内看板が周辺道路に乱立する事もなかったのである。 だからであろうか・・、最初に訪れた時と数年後に再び訪れた時の案内板の違いに戸惑った記憶がある。
 
さて、この話題はこれで終わりにして、天滝渓谷をあるいてみよう。 滝への遊歩道は、レストハウス脇から延びている。 駐車場はレストハウスと遊歩道の舗装が途切れる所に設けられているが、上の駐車場はシーズン中は満杯なので下に止めた方が無難だ。 但し、下の駐車場からは徒歩で15分ほどかかる。
 
遊歩道は整備されているが、基本は山道系なのでトレッキングシューズ程度の足周りは用意した方がいいだろう。 コンクリートの丸太をかまして段となった山道を歩いていくと、最初の滝・岩間ノ滝に着く。
滝といっても渓流の一つの流れ程度で、滝と判らずに通り過ぎてしまうレベルである。
 
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岩間ノ滝を過ぎると傾斜がややキツくなり、つづら状に切られた坂をコンクリート階段で昇っていく。 昇りきると、対岸に細い枝垂れ滝の糸滝が見えてくる。 落差は60mあるのだが、滝としては線が細過ぎてアピール感に乏しい感じがする。
 
糸滝を過ぎると、これまた遊歩道下の見辛い位置に久遠ノ滝があるが、写真を撮るほどのものでもなさそうなのでパスして進む。
 
これよりは渓谷を桟橋でジグザグにつなぎながらゆく。
この辺りが天滝までの中間地点で、あずま屋が建っている。
 
 
 
 
               落差は60mあるものの
滝名の如く細くて目立たない糸滝→
 
このあずま屋を越えると、現れる滝も少し本格化する。 本格化するといっても、天滝に比べれば前座にも当らないレベルなのであるが。 まずは、夫婦滝。 中間に釜淵を湛えた2段滝であるが、規模が落差7mとミニ規格である。
 
イメージ 3イメージ 4
                 2段の釜淵を抱く           遊歩道の道中で唯一まともな
                  夫婦滝                  鼓ヶ滝
 
そして、天滝まであと150m位の地点でこの遊歩道で唯一まともな滝ともいえる鼓ヶ滝を見て、九十九折の遊歩道を詰めて行くと、天滝下の展望あずま屋に着く。 ここにはトイレがあるので、滝見物の前に利用しておこう。
 
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見上げたショットは今イチだったので
木をあしらってみた
 
天滝下の展望台からは、天から飛沫が降り注ぐが如くの天滝を望む事ができるが、写真を撮るのは飛沫でレンズが曇り、光線状態も日中逆光であまりいいのが撮れそうにない様である。
ここは、下の展望台から90度右に昇っていく鉄の階段を登って、滝の本展望台にゆこう。
 
約100段の鉄階段と、間延びした傾斜にコンクリート丸太をかました坂段を30段ほどゆくと、天瀧三社大権現の祠が建つ天滝の本展望台である。 祠の左手には天滝が豪快な落水で飛沫を振舞っている。
祠の裏手にも道が延び、杉ヶ沢高原へのハイキング道となっているようだ。
 
イメージ 6
天より飛沫舞う滝
天滝
 
このハイキング道を少しゆくと、天滝を絶妙の角度で望む事ができるので、滝写真を撮るとしたならこの場所がいいだろう。 それでは、滝飛沫舞い散る美麗瀑・天滝をごろうじろ。
 
イメージ 7
滝の飛沫を高速シャッターで止めようと思ったが・・
飛沫の方が豪勢で止まらなかった
 
イメージ 8
ストレートで撮るより
秋色っぽく撮る方が艶かしいね
今回の一番星でっす
 
 
   ※ 詳しくは、メインサイトの『日本の滝を訪ねてより天滝渓谷』をどうぞ。
 
 
 
 

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