ふるかわ医院 院長の往診日記

大阪北摂地域の往診・訪問診療をおこなっています

全体表示

[ リスト ]

前回、死亡診断について書きましたが、今回は『無診療投薬』についてお話しします。

みなさんは病気や怪我をしてクスリが欲しいときは、どうしますか?
まず考えられるのが、ドラッグストアで購入する、ですよね。
こういったドラッグストアで直接買えるおクスリを「一般用医薬品(OTC)」といいます。わかりやすく「市販薬」ということもあります。
いわゆる軽いクスリと思っていただければ結構です。

実は、それ以外のおクスリ(いわゆる強いおクスリ)は、薬局やドラッグストアに行っても売ってはくれません。
こうしたおクスリを手に入れるには、医師の処方箋が必要なのです。

ではどうしたら処方箋がもらえるのでしょうか?
これには、必ず医師の診察が必要です!
  ↑
みなさん、わかりますか?
医者が診察をした上でないと、処方箋はもらえません。当然、おクスリはもらえないわけです。

これは、先日書いた「医師法第20条」にこう記されています。
『第20条 医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない。但し、診療中の患者が受診後24時間以内に死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。』


ふるかわ医院は在宅診療・訪問診療を中心に診療をおこなっていますが、この仕事をやっていく中で最大のライバルは他の病院でも他の診療所でもありません。
実は、『無診療投薬』が最大のライバルなんです。

今までに書いたように、おクスリをもらうには、必ず医師の診察が必要です。
ですが、からだの不自由な患者さま、通院が困難な患者さまにとって、「外来受診・通院」というのは大変な苦労です。
だから、「在宅診療」や「訪問診療」が存在するわけです。
そのかわり、「在宅診療」や「訪問診療」はその分金銭的に割高なんですね。
金銭的に苦しい人ならば誰もが、もっと安く済む方法を探しますよね。

『無診療投薬』というのは、そういう人には大変お得なシステムなわけです。
からだの不自由な患者さまに成り代わって、ご家族だけが病院や診療所に出向き、処方箋を受け取って帰ってくる。そしておクスリをもらう。
金額は、外来診療の中でも一番安い部類に入りますので、経済的には一番楽なわけです。
こうすれば、わざわざ高い診療費を払って「在宅診療」を受けなくても、やっていけてしまう訳です。
(もちろん、患者さまご自身は、医師の診察は受けられないわけですが、そういった方はあまりその部分を気になさいませんので)

で、この『無診療投薬』。もちろん医師法違反なはずですが、実はそうでもないのです。
医師の診療にはもうひとつとっても大切な「診療報酬制度」というのがあるんですが、そこにこう規定されています。
「投薬は本来直接本人を診察した上で適切な薬剤を投与すべきであるが、やむを得ない事情で看護に当たっている者から症状を聞いて薬剤を投与した場合においても、再診料は算定できるが、外来管理加算は算定できない。」(この場合、看護に当たっている者とは家族を想定しており、看護師などは該当しない)
   ↑
要するに、やむを得ない事情があれば、ご家族さまだけが来院しても処方箋を渡していい、ってことです。

実際、数年以上の間、家族がおクスリをもらいに行くだけで、一度も患者さまご本人が診察に行っていないのに、おクスリを出し続けてもらっている、という方はかなりの数いらっしゃいます。
もちろん、精神科や心療内科のように通院ができない患者さまもいらっしゃるでしょうし、それが「やむを得ない事情」なのかもしれませんが、本来「やむを得ない事情」というのは、その1回だけを指すもので、それが何年も継続するというのは、ちょっと違うんじゃないかな?とボクは思います。

いずれにしても、『無診療投薬』が長々続けてもいいことになってしまうのは、ボクたち在宅診療を主にしている診療所にとっては、非常に厳しいですね。 


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事