廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します
この間から、ハムシの勉強をしています。先日、こんなハムシを見つけました。

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たぶん、ヨモギハムシだろうと思ったのですが、一度、検索をしてみようと思って採集してきました。検索する前に各部の名称を調べてみようと思ったのが苦戦の始まりでした。

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まずは全体像です。体長を調べると、8.4mmでした。「原色昆虫大図鑑II」によると、8mm内外というので、まず標準的な大きさですね。

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次は顔の部分です。順番に名前を付けていくとこの図のようになるのですが、迷ったのが頭盾でした。頭盾がこんなに狭くてよいものかどうか不安です。「原色昆虫大図鑑II」のヨモギハムシの説明では、「頭は細点刻を散布し前方に弧状の凹みがあって平たい頭盾を分かつ」とあります。弧状の凹みと言えなくはないので、合っているような、ないような。難しいですね。

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これはその部分の拡大です。

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背側からの写真です。前胸背板の側方部分が凸凹で張り出しています。

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次は腹面です。前胸腹板が中胸側に突起を出しています。また、後胸腹板も中胸側に広い突起を出しています。その二つの腹板に挟まれて、中胸腹板は大変狭くなっています。

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さて、これからが難しいところです。とりあえず、この間教えていただいた次の論文のFig. 5を参考にして名前を付けてみました。

M. Chujo, "A Taxonomic Study on the Chrysomelidae (Insecta: Coleoptera) from Formosa. Part VIII. Subfamily Eumolpinae", Philip. J. Sci. 85, 1 (1956).

この間調べたサクラサルハムシと比べると、前胸背板の形がT字型になっているところが違います。問題は「?」をつけた前胸側板です。

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サクラサルハムシの場合は前胸背板の下側、前胸前側板、前胸後側板にうまく区分されていました。この場合、前胸背板側縁から前胸腹板や前基節に向かって折り返した部分が張り出しています。したがって、この部分が前胸背板の下側ともいえるし、そうすると前胸側板がなくなってしまいます。

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これはその部分を拡大して写したものですが、前胸側板にあたる部分が前胸背板と連続的につながっている様子が分かります。これについて書かれた文献がないかと探したのですが、まだ、見つかっていません。昆虫はともかく難しいですねぇ。

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家の近くのむし探検 第341弾

10月10日に家の近くにある国道沿いの茂みを歩いていたら、面白い光景に出会えました。

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以前にもノバラにこんな幼虫がいっぱいついていたのは見たことがありました。チュウレンジバチの仲間の幼虫です。このときは、「大阪府のハバチ・キバチ類」を見て、バラ科を食草とするのは、アカスジチュウレンジ、シリグロチュウレンジ、ニホンチュウレンジ、チュウレンジバチの4種だったので、そのうちのどれかかなと思っていました。

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この日はそこにヤドリバエが来ていました。幼虫に産卵しようと狙っているのです。

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あちこち飛び回って獲物を探しているようです。

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こんなところから顔を出したりしています。

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そのうち、獲物を定めたようです。しばらく、こんな格好でじっとしていました。

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やがて、腹部を曲げて産卵の態勢に入っていきます。実は、ヤドリバエがルリチュレンジの幼虫に産卵するところは以前にも見たことがありました。ただ、その時は後ろ向けだったので、うまく撮れませんでした。今回は横からなので好都合です。

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そして、産卵態勢になりました。こんな格好で意外にじっとしています。

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どうやら産卵が終わったようです。でも、幼虫を見てもどこにも卵はついていません。失敗だったのかな。

ところで、このハエ、以前、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」で議論されているのを見つけました。そこでは、ヤドリバエ科のDrinomyia bicoloripesかもということで、次の論文が紹介されていました。

(1) H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera, Tachinidae) : III. Descriptions of a New Genus and Two New Species from Japan, Korea and Nepal, with Notes on Drinomyia bicoloripes (MESNIL)", 昆蟲 48, 259 (1980). (ここからダウンロードできます)

この論文によると、このハエはルリチュウレンジとアカスジチュウレンジでは飼育例があるとのことで、今回も大いに可能性があります。ただ、チュウレンジバチにもいろいろいるので、ひょっとしたら別のヤドリバエかもしれません。それで、ちょっと調べてみました。まず、「日本昆虫目録第8巻」(2014)によると、Drinomyia bicoloripesはD. hokkaidensisのシノニムで、和名はキアシハリバエになっていました。Drinomyia属はこの1種だけなので、属を調べればよいかもしれません。ついでだから、次の論文と上の論文に載っている属の検索表で調べてみることにしました。

(2) H. Shima, "Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera Tachinidae) I", 昆蟲 47, 126 (1979).(ここからダウンロードできます)

Drinomyia属に至る検索の項目を和訳してみると次のようになります。

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これはヤドリバエ亜科Blondeliini族の属への検索表でDrinomyia属に至る部分のみを抜粋したものです。赤字がいっぱいあって見にくいのですが、赤字は上の写真からでも何とか調べられそうな項目で、脚の剛毛、胸部側板の剛毛、翅の毛などは分かりそうにないので、黒字にしています。まず、8月8日にルリチュウレンジに産卵していたヤドリバエについて調べてみました。というのは、こちらの方がキアシハリバエである可能性が高いので・・・。

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その時に写した写真です。この写真から、各部を拡大して調べてみます。

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論文(1)によると、Drinomyia属を定義したのはMesnilで、その時は肩剛毛3本が三角形状に並ぶと書かれていたのですが、調べてみると、Oswaldia属ほどは明確ではなく、むしろ、中間の剛毛がやや前寄りになっている程度だったそうです。それで、論文(2)に載せた検索表を論文(1)では修正したとのことでした。従って、この肩剛毛の配置が一つのキーアイテムになっているみたいです。そう思って上の写真を見てみると、3本の肩剛毛はほぼ直線状で、真ん中の剛毛がやや前寄りになっているので、まさに書かれている通りです。そのほかにも、⑩の後頭部上部に黒毛がないとか、①の背側剛毛は横線前に3本、横線後に3本なので、dc3+3になることなど書いてあることとよく合っています。⑤の「3番目の翅背剛毛」が矢印のものかどうかよく分からないのですが、もしそうなら、強い剛毛になっています。

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これは小盾板剛毛を示したもので、⑨に書かれている通り、側剛毛と亜端剛毛はほぼ同じ長さみたいです。

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次は、⑤に関してです。検索表にはM3と書かれていますが、「原色昆虫大図鑑III」に従うと、M3+4と書いた方がよいと思って直しました。写真で示した部分がほぼ等長だというので、これも合っているようです。ということで、調べてない項目もたくさんあるのですが、肩剛毛の配列をはじめとして検索表に載っている項目に合っている項目も多いので、Drinomyia属である可能性はかなり高そうです。

そこで、今回の個体も調べてみました。

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実は、写真が不鮮明で肝心の肩剛毛がはっきりしません。でも、そのほかの特徴は合っていそうです。

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小盾板剛毛はその通りのようです。背側剛毛は一見、dc1+3のように見えるのですが、小さい剛毛をどこまで数えるかによるのではっきりはしません。

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最後は翅脈でこれはOKです。ということで、写真がはっきりしないので何とも言えないのですが、Drinomyia属が1属1種なので、今度のも同じかなと思っています。

まだ、検索項目が何を指しているのかよく分からないところもあるのですが、採集したら何とかなるかもしれません。今まで、ヤドリバエに対してはお手上げ状態だと思っていたのですが、小さな糸口ができたかなと思っています。もっとも、ヤドリバエ亜科Blondeliini族だけですけど・・・。

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家の近くのむし探検 第340弾

10月10日に家の近くの国道沿いの茂みで探した虫の続きです。

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まず最初は出かけに見つけた蛾です。これはフタスジシマメイガ

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行く途中でユリの実についているアブラムシを見に行きました。ワタアブラムシかなと思っているアブラムシに有翅型がいたのでついでに写しました。すぐ近くにアリが来ています。

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二日前に見たときはオオズアリだったのですが、この日はハリブトシリアゲアリみたいでした。

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国道沿いの茂みにいたハエです。たぶん、シマバエ科だと思うのですが、属までは分かりません。

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虫が少なくなったといってもバッタはまだ健在でした。これはササキリ

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これははっきりとは分からないのですが、ヒメクダマキモドキかなと思っている幼虫です。

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ハチは相変わらず分かりません。

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こちらも。

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帰りにオオズアリの巣を見てみたら、働きアリがせっせと繭を運んでいました。巣の移動なのかな。

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最後はマンションの廊下で見つけたトビケラです。トビケラは捕まえないと科すら分かりません。このほかにヤドリバエがいたのですが、そちらは今、調べている最中なので次回に回します。

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家の近くのむし探検 第339弾

急に寒くなって、天気も悪くなりました。それで、最近はあまり虫探しをしていません。今回は10月10日に家の近くの国道沿いの茂みで探した虫です。これ以降、虫探しをしていないのでそろそろ行かなくては。

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今日はまずカメムシです。これはクサギカメムシの幼虫です。両方とも前翅包が見えているので、4齢かなと思います。

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こちらは前翅包がもっと伸びています。たぶん、5齢ですね。

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で、これは成虫。この間はチャバネアオカメムシらしい幼虫がたくさん見られましたが、今回はクサギカメムシでした。

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そのチャバネアオカメムシもいましたが、何となく全体が茶色がかっています。確か、体色変化と幼若ホルモンとの関係を書いた文献があったような・・・。ちょっと調べてみます。

追記2017/10/18:体色変化について少し調べてみました。次の論文に少し載っていました。

小滝豊美、八木繁実、「チャバネアオカメムシの休眠発育と体色の変化」、日本応用動物昆虫学会誌 31, 285 (1987).(ここからダウンロードできます)

この論文の内容は以下のようなものです。チャバネアオカメムシは秋、寄生場所から越冬場所に移動しますが、その際、緑色だった体色が褐色に変化します。同様の変化は光周期を変えても実現します。つまり、長日条件(明15時間、暗9時間)から短日条件(明12時間、暗12時間)に変化させると、摂食、飛翔、交尾、産卵などを止めてしまう休眠状態に入り、体色も緑色から褐色に変化します。従って、休眠と体色変化には深い関係がありそうです。成虫の休眠については幼若ホルモンが作用しているということが知られていますが、体色変化についてはよく分かっていないようです。学会発表の予稿を見ると、休眠と体色変化では光周期に対する応答が異なるという発表や、休眠には幼若ホルモン以外のものも働いているという発表があったりして混沌としています。最近の論文が見つかっていないので何とも言えないのですが・・・


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こちらはウズラカメムシ。これはマンションの廊下ではほとんど見ていません。

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オオメナガカメムシらしいのが2匹いました。共に花に来ていました。「原色日本カメムシ図鑑第3巻」を見ると、同じような色合いだとオオメナガカメムシの他に、ツマジロオオメナガカメムシというのがいます。ただ、分布が南西諸島なのと、前胸背の側方と後縁が淡色だというので、これはオオメナガカメムシでOKでしょう。

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後は帰りにマンションの廊下で見たものです。これはマルカメムシ。いつもは撮らないのですが、今日はパチリ。

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この日はマツヘリカメムシもたくさんいました。

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時間は前後しますが、これはアオバハゴロモ。今頃、結構見ます。

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甲虫ではこんなのがいました。アリみたいに葉上を素早く動き回っています。ホソクビアリモドキだと思います。昨年と今年で計5回見ました。

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それにクロウリハムシ

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花もついでに撮っておきました。これはヨメナだと思っている花です。よく似たノコンギクとは冠毛を見ると分かります。

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こんな感じで冠毛はほとんど目立ちません。したがって、ヨメナでいいのかな。

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最後はヤブマメ。まだまだ虫はいたのですが、次回に回します。

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廊下のむし探検 第948弾

先ほどの続きで、10月8日の「廊下のむし探検」の結果です。蛾、カメムシ、甲虫、バッタ以外です。

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今日の最初はこのクモです。アリグモの仲間♀です。「ハエトリグモ ハンドブック」に載っている検索表では、腹部に光沢がある方を選んで、次に胸部が強く盛り上がるか、盛り上がらないで、それぞれヤサアリグモ、アリグモになります。そこで、横からも撮ってみました。

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たぶん、これは盛り上がっている方だと思うので、ヤサアリグモではないかと思います。

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これも先ほどのハンドブックに載っています。たぶん、ミスジハエトリ。似た種としてはチャスジ、デーニッツが載っているのですが、見た感じはだいぶ違いました。

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これはハンゲツオスナキグモかな。

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これは地下駐車場の天井に止まっていました。エグリトビケラ科のウスバキトビケラです。

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両方とも雄アリです。翅脈から判定ができるとよいのですが・・・。以前、羽アリの翅脈調べをしたことがあります。 上の写真の個体では翅脈が見えるので、Perfilievaの論文に従って分類してみると、IIIdタイプになるのですが、Perfilievaによると、カタアリ亜科の23%、ヤマアリ亜科の26%、フタフシアリ亜科の18%などがこれと同じような翅脈を持っているのでこれからだと何とも言えません。やはり採集しないと無理か。

この後、マンションの近くの石垣にいるオオズアリを見に行きました。

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役に立つのかなぁと思われるようなものを持ってくるアリもいましたが、みな、忙しそうです。

その後、近くにあるユリの実を見に行きました。ここにはワタアブラムシではないかと思われるアブラムシがいっぱいついていて、先日、ここで寄生バチに乗っ取られたアブラムシを見つけました。これはマミーと呼ばれているようです。mummyを辞書で引いたら、ミイラとか、昆虫では蛹とかという意味になっているので、蛹と訳していたらよいのかなと思っていたら、今日見つけたサイト(高田肇、「アブラムシとその寄生バチ(2)アブラバチとアブラコバチ」、アリスタ ライフサイエンス農薬ガイドNo.97/F (2000.10.1))ではミイラと訳していました。確かに、蛹よりはミイラの方が適当かもしれません。今日はそのマミーにハチが抜け出した穴があるかどうかを確かめに行きました。

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矢印の部分に色の違うアブラムシがいますが、これがマミーです。左には先ほど見たオオズアリがいます。

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そのオオズアリ、マミーを乗り越えました。

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マミーはあちこちにありました。

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そのうち、大きな穴の開いたのも見つかりました。

先ほどの高田氏の記事には詳しい説明が載っていました。まず、アブラムシの中に産み付けられた卵から孵化したアブラバチ(コマユバチ科)か、アブラコバチ(ツヤコバチ科)の幼虫は、最初はアブラムシの生命維持に関係のない卵巣や脂肪体を食べるのですが、その後、消化管や気管などを食べていくので、アブラムシはついには死んでしまいます。アブラムシの器官や組織を食べ尽くすと、アブラムシの腹を裂いて分泌液で植物体に固定し、アブラムシの殻の中で繭を作ります。この状態をマミーと呼ぶそうです。アブラムシ殻は分泌液との反応でいろいろな色が付き、この色は寄生バチの種類で変化するみたいです。そして、羽化した成虫は口器で殻を丸く破り、中から出てきます。産卵から成虫まではハチの種類によって異なりますが、だいたい2〜3週間で、アブラムシの寿命1週間より長く、ハチ成虫の寿命は2週間から5週間程度だそうです。マミーからハチ成虫が出てくる、そんな瞬間が見れるとよいのですけど・・・。

雑談)今日はヨモギハムシを検索表に従って調べてみました。例によって、一か所部位が分からず苦労しましたが、それもなんとかクリアして、「天才キッズ全員集合」という番組を見ながらまとめています。「天才検索キッズ」なんていうのが現れてもよさそうですね。虫には余り興味ないかな。

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