廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します
今朝の続きで、キノコバエ科の検索です。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)
SVM: G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

今朝はSVMに載っている検索表を用いたのですが、今回はMNDに載っている検索表を使ってみます。

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検索の結果はキノコバエ科Schiophilinae亜科Rondaniella属になったのですが、同じ検索過程をMNDで追いかけるとこのようになります。SVMの方では全部で9項目だったのですが、MNDは12項目になります。これは亜科に到達するまでが長かったからです。実際、⑤以降はまったく同じ検索過程をたどります。それで、そこまでの①〜④までを写真で調べてみることにしました。

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まず、横からの写真ですが、翅が十分に長いことを見ます。

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次は翅脈です。h横脈は赤矢印で示した横脈ですが、MとCuAの分岐点(黒矢印)はそれに近いレベルにあります。これで②はOKです。また、Rs脈がR脈から分岐する点(黒矢印)はh横脈とはだいぶ離れています。また、M
と書いたM脈の基幹部は明瞭です。これで③と④はOKです。

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この写真では口肢は写っているのですが、口器は写っていません。それで、たぶん、口器は頭部より十分に短いだろうと思って③をOKにしました。

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最後は頭部の位置ですが、胸部の十分下側についています。それで、③のこの項目もOKでした。これで、①〜④まで確かめたので、このキノコバエはSchiophilinae亜科になりました。後の属への検索は今朝の記事を見てください

今回、初めてキノコバエ科の検索をやってみたのですが、なんだかんだと迷いながらやっているうちにだいぶ慣れてきた感じがします。今のところ、何とか属までくらいなら調べられるのではと思っています。まぁ、やってみるものですね。この調子で今度はクロバネキノコバエ科もやってみたいなと思っています。

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昨日の続きで、キノコバエの検索です。キノコバエの検索は初めてなので、初めはよく分からずうろうろしていましたが、何度かやり直してやっと目的地に達することができたような気がしました。

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対象とするのは12月12日にマンションの廊下で捕まえたこの個体です。翅に黒い帯があるので、すぐに分かるかなと思ったのですが、「原色昆虫大図鑑III」の図版に載っていなかったので、検索をしてみることにしました。

どの検索表を使うとよいかはすでに以前出したのですが、もう一度出します。

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左側の欄に載せたのは「日本昆虫目録第8巻」に載っている日本で記録された属です。これらの属が載っていそうな検索表を探してみました。そうしたら、次の2つの文献が見つかりました。

MND: Manual of Nearctic Diptera Vol. 2 (1987). (ここからダウンロードできます)
SVM: G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

表のMNDとSVMの欄はこれらの文献で日本産の属が扱われているかどうかを示したものです。これを見ると、SVMの方がかなり網羅的に載っていることが分かります。こちらを使うとよさそうです。なお、一番右の欄の"J"は手元にある文献に日本産の種の検索表が載っている属を示しています。それで、とりあえずSVMに載っている検索表で調べてみました。

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最初に横から撮った写真を載せておきます。体が曲がっているので折れ線で近似して体長を測ってみると、3.9mmになりました。

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SVMの検索表で調べた結果、最終的にはRondaniella属になりました。実は、④で一度、道を踏み外し、まったく違う属にたどり着いたのですが、もう一度見直してこちらの道にしました。合っているかどうかは分かりませんが、これらの項目を写真で確かめていきたいと思います。だいたい検索順に見ていきます。

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これは翅の翅端付近を拡大したものです。翅全体の翅脈については次の写真を見てください。ミクロトリキアはmicrotrichiaのことですが、「原色昆虫大図鑑III」でもカタカナ書きをしているのでそのようにしておきました。もうひとつのマクロトリキアはmacrotrichiaのことです。翅には刺毛やこれらmacrotrichiaやmicrotrichiaが生えていますが、これらをどのように区別しているのかは書いてありません。microtrichiaは細かい毛、macrotrichiaはやや長い毛、刺毛は翅脈の上に生えているさらに長い毛というような感じかと思います。この写真を見ると、翅脈の上に刺毛は生えていますが、翅膜の上には細かい毛が生えているだけです。従って、microtrichiaが密に分布し、macrotrichiaはないということになります。さらに、microtrichiaの生え方が列状に並んでいないということから、①がOKとなります。

追記2018/12/18:MNDにmacrotrichiaとmicrotrichiaの違いが載っていました。

Macrotrichiaあるいはsetae(刺毛)はbristles(剛毛)、hairs、setulae(小剛毛)を含み、神経と結合していて、基部がalveoli(小窩)と呼ばれる膜状の環やソケットで囲まれています。
Microtrichiaはクチクラ表皮の伸長で、翅膜上の微毛やキチン表面を艶消しにするpruinescence(粉ふき)などがその例です。

だそうです。つまり、基部にソケットと呼ばれる孔が開いているかどうか確かめればわかるようです

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①はどちらでもよい項目ですが、R4脈というのはRs脈の翅端側にあるR1とR5を橋渡しする翅脈のことです。これにはありません。実は次の④の平坦というところで最初迷ってしまいました。というのは、対抗する項目が「翅は縦向きに折れ畳まれる」というのだったからです。この写真でも、M脈とCuA1脈の間、CuA2の後ろには折れ目がついているので、縦に畳まれるというのでよいのではと思ったのです。でも、その後がうまく行きませんでした。それで、もう一度戻って、翅は平坦という方を選ぶと、とんとん拍子で検索が進みました。未だに、「折りたたむ」が何を意味しているのかよく分かりません。⑤と⑦は見ると分かります。最後の⑨は矢印で示しましたが、この部分でM1脈は途切れています。これはRondaniella属の特徴だと思われるのですが、体液や神経、気管が通るはずの翅脈がなぜこんな風に途切れるのかよく分かりません。

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側背板(ltg)と中央背板(mtg)は後胸背板の一部です。ltgには毛が生えていますが、mtgにはありません。これで①、⑤、⑥はOKです。

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これは頭部を後ろ側から写したものですが、単眼は複眼からはだいぶ離れて存在します。特に後傾する剛毛は生えていないようです。

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これは後脛節を写したものですが、細かい毛は不規則に並び、列をなしていません。それで②もOKです。

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R脈とその支流を見てみると、1列の刺毛が生えていることが分かります。

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盾板と腹部背板には刺毛が生えています。腹部背板は各節の後縁近くに長い刺毛が生えているようです。

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最後はR1脈とr-m脈の長さ比べです。実際に測ってみると、R1はr-mの3.4倍になりました。一応、⑧と⑨に書かれている範囲内には入っていると思われます。ということで、すべての項目を調べ、特に問題はなかったので、たぶん、Rondaniella属で合っているのではと思っています。

「日本昆虫目録第8巻」によると、この属の日本産はツマグロヒメキノコバエ dimidiataとオビヒメキノコバエ japonicaの2種です。前者は北海道に分布し、全世界で見られる種です。後者は本州に分布するというのでこれはオビヒメキノコバエの方かなと思ったのですが、この種について書かれた文献が見つかりません。わずかに次の文献で少し触れられていました。

末吉 昌宏他、「ヒラタケに寄生する新害虫キノコバエ類 ( 双翅目キノコバエ科)」、森林総合研究所研究報告 12, 171 (2013). (ここからダウンロードできます)

この論文の中で、ヒラタケから羽化したRondaniellaの一種は次の点で、オビヒメキノコバエと区別できると書かれていました。「Ⓐ中胸楯板は全体に黄褐色で、暗色斑を持たない;Ⓑ前翅亜端部に幅広い暗色斑を持ち、翅端は透明に抜ける; Ⓒ後脚腿節先端に暗色斑を持つ。」まず、Ⓐに関しては、中胸盾板に淡褐色斑は持つというので、その他にある暗色斑のことをいっていると思われますが、よくは分かりません。Ⓑはここに書かれている通りのような気がします。Ⓒに関してもそのように思われます。ということで、オビヒメキノコバエなのか、末吉氏の書かれた種なのか、はたまた別の種なのか今のところ分かりません。

ということで種までは行き着かなかったのですが、とりあえず属までは達したので、ちょっと満足です。Rondaniella属らしいことが分かったので、ついでにMNDでも検索をしてみたのですが、それについては次回に回します。

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先日、マンションの廊下でキノコバエを見つけました。キノコバエはまだ調べたことがなかったし、翅に模様があったので、ひょっとしたら名前が分かるかもと思って採集しました。

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採集したのはこのキノコバエです。キノコバエは名前の通り、幼虫がキノコ内部で暮らすハエの仲間です。

最近は検索する前に各部の名称を調べることにしています。こうすることで各部の特徴を把握することができ、写真も準備できるので検索にも役に立ちます。そこで、今回も各部の名称を調べてみました。

G. E. E. Soni, J. R. Vockeroth, and L. Matile, "A. 4. Families of Sciaroidea", in "Contribution to a manual of Plaearctic Diptera with special reference to flies of economic importance, Appendix", Science Herald (2000). (ここからpdfが直接ダウンロードできます)

参考にしたのはこの文献です。分からない部分も多いので、結構、いい加減に名付けているところもあります。そのつもりで見ていただけると幸いです。

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まず全体像です。体長は3.9mmでした。触角が結構太いことと、脚の基節(白い部分)が大きいのが目立ちます。翅は全体にくすんでいて中央より翅端側に黒い横帯があります。また、後腿節の先端と脛節基部が黒いですね。

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これは頭部を前から写したものです。ちょっと変わった感じの顔をしています。この広い部分が本当に頭盾なのか悩んでいますが・・・。

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これは後ろから撮ったものです。単眼は2個見えています。fr furはfrontal furrowの略ですが、何と訳してよいのか分かりませんでした。全体になんか毛むくじゃらの感じです。

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触角は数えてみると16節ありました。

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これは中胸背板を撮ったものです。暗褐色の縦帯が目立ちます。一応、中刺毛や背中刺毛列も見られますが、何が何だか分かりません。

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これはもう少し拡大したものです。

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これは胸部側面の写真です。略称は先ほどの文献に倣いました。

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日本語の名称を「原色昆虫大図鑑III」で探して埋めました。tg1の1は第1節、cx1とpreepst2の1と2はそれぞれ前脚、中胸の意味です。

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これは少し後ろ側から写したところです。mtgは中央背板、ltgは側背板で、共に後胸背板の一部です。mtgは無毛、ltgには毛が生えていますが、検索では重要な項目になってきます。

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これはその部分をさらに拡大したものです。

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次は翅脈です。翅脈の名称は先ほどの文献を参考にしました。このキノコバエの翅脈はいろいろと変わっています。M1脈やCuA1脈の基部が途切れたようになっていますね。

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これは腹部背面の写真です。

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そして、これは側面から撮ったところです。tgは背板、stは腹板を示しています。

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最後は腹部末端です。これは背面からの写真です。

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そして、これは側面から。たぶん、こんな形状の腹部末端を持っているのは♀かなと思っているのですが・・・。

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廊下のむし探検 第1052弾

一昨日、マンションの廊下で見た虫です。もう虫はほとんど姿を消してしまって、マンション中探して歩いても10匹いるかどうかです。

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これはフトジマナミシャク

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これは何でしょうね。何かの幼虫は確かですが・・・。後ろの毛が変わっていますね。一応、寸法を測ってみると、わずか1.3mmでした。ギブアップかなと思ったのですが、試しに「日本産幼虫図鑑」をぱらぱら見てみると、何となくヒメマルカツオブシムシの幼虫に似ています。それで、ネットで画像検索してみると、似たような写真がいっぱい出てきました。カツオブシムシは害虫なので、よく観察されているようです。この仲間もいろいろといるので、そのものずばりかどうか分かりませんが、ヒメマルカツオブシムシ付近の幼虫であることは確かそうです。

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これはこの間も見たマルトゲムシ科のMicrochaetes属の一種です。

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そして、これはコカニグモ

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最後はチャバネフユエダシャクです。♀の翅が退化した冬尺の一種ですね。記録を見てみると、12月中旬から1月初旬にかけて見ていました。

まだ、ハエが残っているのですが、ハエは難しいので、次回に回します。

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家の近くのむし探検 第457弾

13日に家の近くの公園に行ってみました。たぶん、虫はいないだろうなと思いながら・・・。30分くらい探し回ったのですが、見つかったのは数匹だけ。やはりこんなもんなんでしょうね。

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最初に見つかったのはこの小さなユスリカ♂でした。腿節が黒いのが目立ちますが、やはり捕まえないと調べられません。今回はパスしました。ユスリカはもう1匹いたのですが、こんなに少なかったかなぁ。

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ツツジの葉の間でルリチュウレンジが横たわっていました。寒くて参っているのかな。

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こんなときはイダテンチャタテを探さなきゃと思って探したらやっぱりいました。

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こちらは幼虫です。それでも、見つかったのはこの3匹だけでした。

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また、小さなハチがいました。この間は採集して検索をしてみたら、コマユバチ科のLytopylus属になったのですが、今度のは脚の色が違うので、たぶん、別種でしょうね。一応、採集はしたのですが・・・。

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翅脈が見えたので写してみました。CuA+CuP脈が翅縁にまで届かず、A1の仮想延長線と交わらないので、たぶん、イエバエ科でしょうね。これは採集しませんでした。

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これはニレハムシかなぁ。

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最後はササグモでした。

雑談1)今日は先日採集したキノコバエの検索をしました。内容のはっきりしない検索項目があって、迷いに迷っているのですが、今のところ、Sciophilinae亜科は確かで、Boletina属かなと思っています。まだはっきりとはしていないので、顕微鏡写真を撮ってもう一度検討してみます。結局、昨日示した検索表を二つとも使っているのですが、初めての科の検索はやはり難しいですね。(追記2018/12/17:各部の名称をつけ、じっくりと検索をやり直してみました。その結果、どうやらSciophilinae亜科のRondaniella属らしいことが分かりました。「日本昆虫目録第8巻」によるとこの属には2種。一方は北海道に分布なので、もう一方のjaponica(オビヒメキノコバエ)というのが候補に挙がっています。未記録種もいるようなのでまだよくは分かりませんが・・・

雑談2)最近、あおり運転が問題になっているので、後ろの窓にもドライブレコーダーを取り付けてみました。3000円ちょっとの安物ですが、一応は写ってますね。こんなのは無駄になるとよいのですが・・・。

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