廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します
廊下のむし探検 第1038弾

最近は来月初めに開かれる文化祭に出す展示の準備で時間を費やしています。それで、10月11日に写した写真の整理が遅れてしまいました。蛾はすでに出したので、残りの虫です。

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ガガンボの仲間です。翅脈を見ると、ガガンボ科は確かそうですが、それから先は分かりません。

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この腹部に白い毛の生えたクモの名前が前から分かりません。何でしょう。

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これはケブカカスミカメです。

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マンションにはズグロオニグモがやたら多いので、これもそれではないかと思います。

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これはクロバネキノコバエの仲間です。

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確か、左右の複眼がつながって眼橋を作っていたのですね。そう思って、拡大してみました。確かにそうなっています。今年こそは何とか属までたどり着きたいなと思っています。

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小さな羽アリがいました。一応、採集しました。

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こちらは先ほどの羽アリの翅が脱落したもののようです。こちらも一応、採集しました。でも、なかなか検索する暇がありません。

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気持ち悪い虫がいました。以前も見たことがあります。コウガイビルという扁形動物ウズムシ綱の虫です。ヒルみたいに血を吸うことはないようですが、体の中ほどに口があって、消化液でカタツムリを溶かしていたというコメントをいただいたことがありました。

雑談)11月4日に学校で開かれる文化祭に出展しようと思って準備をしています。この文化祭にはこの間からアドバイスに行っている中学生の「いきもの館」も出展することになっているのですが、結局、同じ理科室を使って出展することになったようです。我々はいつもの3人のグループで、ほかの2人は鳥の写真を、私は蛾の標本を出そうと思っています。今日はその説明のためのパネルづくりをしました。結局、小さなパネル4枚ほど作ったのですが、この2−3年出展が続いたせいか、どうも熱がいまいち入りません。パネルが少し少ないので、この間、市役所で展示した昆虫の眼についてのパネル3枚もついでに出そうかと思っています。

今年の文化祭の展示時間はわずか2時間半なので、標本はドイツ箱4箱くらいにしようと思っています。大きな蛾(ヤママユガ科、スズメガ科)が2箱、キバガなどの小さな蛾が1箱、それに昼飛ぶ蛾、冬でもいる蛾などを入れた1箱を出そうかなと思っています。この標本で理科室の机一つ。別の机にはこの間から作っていた手作り図鑑を並べて、また、チャック付きパックの小甲虫の標本を入れた小形の標本箱でも置こうかなと思っています。これで、自分の準備はだいたいできあがったので、これから中学生の展示をどうするか考えなければなりません。いろいろと大変ですね。

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マダラバッタの発音器

先日、中学生と虫取りをしたときに、中学生が採集したバッタを調べています。マダラバッタらしいことは分かったのですが、きちんと調べようと思って、

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」、北海道大学出版会 (2006).

に載っている検索表を使って調べていきました。でも、トノサマバッタ亜科を分ける際、「ヤスリ(状発音)器は前翅にある。摩擦器は後腿節内側の中央の長架。」という項目が分からず、なかなか進みませんでした。その後、前翅にそれらしい構造を見つけたのですが、本当かどうかよく分かりません。それで、もう少し調べてみることにしました。

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調べたのはこんなバッタです。発音器・摩擦器のあたりがよく分からなかったのですが、これに対抗する項目はヒナバッタ亜科で、こちらは後腿節にpeg状の突起列を持つというので、それではないだろうと思って検索を進めると、予想通りマダラバッタになりました(検索過程はこちらこちらを見てください)。

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その時に見つけた構造というのがこの写真です。これは前翅の中央か、その翅端側全体に見られ、縦脈よりも横脈の方が顕著でした。この構造はSnodgrassがイナゴモドキについて描いた図とよく似ている感じがしました。

R. E. Snodgrass, "Insects, their Ways and Means of Living", Smithonian Scientific Series Vol. 5 (1930). (ここからダウンロードできます)

今回はもう少し詳しく調べてみようと思って、冷凍庫にしまっておいたもう1匹について調べてみました。2匹捕まえた1匹については片側だけの展翅標本を作っているので、後の1匹については翅と後脚をはずして調べてみました。

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これは翅の中央部を見たのですが、個体が違っても規則正しい突起列の構造が見られます。やはり横脈の方が顕著です。

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翅を中央付近でハサミで切って、その断面を見てみようと思いました。

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まずは10倍の対物鏡です。あまりはっきりとは見えません。

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それで40倍の対物鏡にしてみました。横脈上に周期的な突起があることは確かです。

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翅の中央から翅端側全体にこのような構造があるのですが、突起は丸印で示した辺りで特に顕著でした。もし、この構造が発音器なら、この部分を使っているのかもしれないと考えられます。

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次は後腿節内側を見てみました。内側には3本の筋がありますが、検索表に載っている絵ではこの中側にある黒矢印で示した筋が「中央の長架」に相当します。この筋、よく見ると、腿節の付け根側(向かって左側)では高さが低く、先端側では高さが高くなっています。

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少し斜め後ろ側から写してみました。矢印で示した筋はだいたい黄破線で示した領域では前後の筋より高くなっています。たぶん、この部分を使って摩擦するのかもしれないなと思いました。

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それで、赤四角で囲った部分を拡大してみました。つるつるだったら摩擦器にはならないだろうからと思ったからですが、拡大してみると、やはり細かい皺がいっぱい入っています。

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今度は実際のバッタの写真に腿節のでっぱり部分を当てはめてみました。腿節は右下の青丸を支点として回転運動します。腿節の各点の動きを黄色の線で示しました。もし、摩擦器が腿節の基部近くにあれば薄い黄色の線の部分を摩擦することになります。腿節内側の中央の筋が高くなる領域を黄色の太い線で表しました。この2本の曲線の間に挟まれた領域に前翅の発音器があればうまく摩擦できるのではと考えました。腿節を同じ角度だけ回転させると、基部ならわずかな距離しか動きませんが、先端では大きく動くので先端側の方が明らかに効率的です。

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上の写真とこの翅の写真をうまく重ねて、腿節の支点の位置を決め、同じような黄色の線を引いてみました。黄色の太い領域が腿節内側の筋が高くなっている部分です。そこに前翅の横脈上の突起が顕著な部分(赤丸)を重ねてみました。見事に合致します。

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バッタ全身の写真に当てはめるとこの写真のようになります。赤い丸印で示した部分が発音器のあると思われる部分、黄色の太い線分が摩擦器があるだろうと思った場所です。

実際にバッタが音を出しているところを見たことがないので何とも言えないのですが、代わりに次のような論文を見つけました。

O. von Helversen and N. Elsner, "The Stridulatory Movements of Acridid Grasshoppers Recorded with an Opto-electronic Device", J. Comp. Physiol. 122, 53 (1977). 

これはバッタの腿節に光を反射するようなテープをつけ、これに光を当てて、その反射した光の位置変化から腿節の動きを調べ、同時に発音したかどうかを録音で調べたという論文です。微妙な腿節の動きと発音との関係がよく分かる面白い論文です。この論文ではヒナバッタについて実験を行っているのですが、こんな実験をするとよく分かるかもしれないなと思いました。

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廊下のむし探検 蛾

廊下のむし探検 第1037弾

10月11日にマンションの廊下で見つけた虫です。今頃でも探すと結構いますね。とりあえず、蛾だけ報告します。

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これはヨツモンマエジロアオシャク

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これはたぶん、マエキヒメシャクでしょう。

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小さな蛾で下唇鬚が目立ちます。翅端が三角形みたいに尖っています。縁毛が薄色と暗色が交互になっています。それに翅の紋。そんなところに注目して、図鑑を探したのですが、結局、分かりませんでした。

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外横線がはっきりしているのでウスキヒメシャクかなと思っています。

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野外で花によく来ている蛾です。シロオビノメイガ

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これはウスミドリナミシャク

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外横線の外側に2個の小黒点があるので、モミジツマキリエダシャクだと思います。今頃見る蛾はずいぶん小さいですね。

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これはエゾギクトリバ

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そして、ナガハマツトガ

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模様がよく分かりませんが、たぶん、ヒメマダラミズメイガ

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最後はソトウスグロアツバでした。他の虫は次回に回します。

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ちょっと休憩するつもりだったのですが、覚えているうちに書いた方がよいかなと思って、マダラバッタの続きを書いておきます。前回はバッタ科の途中までだったので、その続きです。検索にはやはり

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」、北海道大学出版会 (2006).

に載っている検索表を用いました。

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この5項目を調べて、マダラバッタ属であることを確かめたいと思います。

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⑥はショウリョウバッタを除外する項目なので、これは大丈夫でしょう。⑦はヒナバッタなどを除外する項目の一部です。

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次は問題の発音器です。発音器というとコオロギやスズムシなどを思い浮かべますが、普通のバッタにもあるようです。この項目はトノサマバッタ亜科に行くためにどうしても通らなければいけない項目です。対抗するのはヒナバッタ亜科で、こちらはヤスリ状発音器は後腿節の内側にあります。そもそもヤスリ状発音器とはどんなものか分からないので、少し文献を調べてみました。

R. F. Chapman, "The Insects, Structure and Function", 5th ed., Cambridge (2015).

この本には、ヒナバッタの後腿節内側の筋の上にpeg(釘とか杭とか)と呼ばれる小さな突起が並んでいる絵が載っています。

R. E. Snodgrass, "Insects, their Ways and Means of Living", Smithonian Scientific Series Vol. 5 (1930). (ここからダウンロードできます)

一方、Snodgrassの本にはイナゴモドキの翅にあるヤスリ状の発音器の絵が載っています。縦脈にも横脈にも小さな突起が並んでいます。その場所は上の翅の写真でAと書いた脈を指しています。この脈は基部の方へ向かうと消えてしまうので二次脈で、「新訂原色昆虫大図鑑III」の説明によると、「発音脈」と書かれています。そこで、まず、その脈を調べてみました。

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これは上の写真で赤丸で囲んだあたりを生物顕微鏡で拡大したと思ったのですが、脈の対応がつかないので、反対側の翅で撮ったようです。ともかく、白矢印が「発音脈」と呼ばれている脈です。鱗のような細かい凸凹はありますが、Snodgrassの絵にあるような突起列ではありません。これで迷ってしまいました。いろいろと文献を探したのですが、ヒナバッタについて書かれている文献は結構あったのですが、トノサマバッタ亜科はおよそ見つかりません。それで、翅の上を手当たりしだい調べてみました。

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これは赤四角で囲った部分の実体顕微鏡写真ですが、よくよく見ると、横脈上に規則正しい突起のようなものがあるようなないような。

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それで、バッタごと生物顕微鏡のステージに載せ、周辺から光を当て、そのまま翅の部分を拡大してみました。すると小さな突起が並んでいることが分かります。横脈の上でははっきりしていますが、縦脈の上ははっきりしません。後腿節を振動させたとき、むしろ横脈に沿うような形で動くのでこんな構造があるのかもと思っています。調べてみると、翅の先半分には広くこんな構造が分布していました。たぶん、これがヤスリ状発音器ではないかと思うのですが、実際に振動させているところを見たわけではないので何とも言えません。

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一方、摩擦器は後腿節内側にあるはずなのですが、実体顕微鏡で見てみるとこんな感じです。3本ほど筋が見られます。どれも可能性があるのですが、最も後半にある筋が最も高くて、表面がぎざぎざしているような感じです。これかなと思ったのですが、これもよく分かりません。この発音器と摩擦器はもう少し調べる必要があるのですが、とりあえず、発音器は翅にあったということにして、次に進みたいと思います。

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次は頭頂と額を分ける境界の有無です。この写真はバッタの頭部先端を撮ったもので、バッタが上を向いているような態勢で撮りました。白矢印で示した部分が境界です。これを境として頭頂と額は鋭角をなしています。これで⑧はOKです。この項目はトノサマバッタ亜科のバッタの中で、イナゴモドキ属、ツマグロバッタ属、マダラバッタ属、ヤマトマダラバッタ属を分ける項目です。

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次は頭頂両側の窪みですが、白矢印で示したように明瞭な窪みがあります。これで⑨もOKです。窪みがないのがイナゴモドキ属です。

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この写真は白矢印で示した部分にイナゴのような黒条がないことを示しています。黒条のあるのがイナゴモドキ属です。

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最後は頭頂両側の窪みが四角いことを示す写真です。ここが三角だとヤマトマダラバッタ属になります。発音器の部分でだいぶ苦労したのですが、以上で検索を終わり、マダラバッタ属になりました。日本産マダラバッタ属はマダラバッタ Aiolopus thalassinus tamulasだけなので、一応、マダラバッタでよさそうだということになりました。でも、発音器のところはもう少しほかのバッタでも調べてみる必要があります。

昨日はとりあえず、採集したマダラバッタのうち1匹を片側だけの展翅標本にしました。展足板の上にバッタをひっくり返して固定し、翅の展翅をしました。その後、固定できる脚と触角はピンで固定しました。バッタの展翅は初めてだったのですが、まぁ、何とかできました。内蔵を取っていないので、真っ黒になるかなとちょっと心配ですが・・・。

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9月22日に家の近くの河原で中学生3人と先生と一緒に虫取りをしました。そのとき、中学生が採集した虫の中に中型のバッタが2匹いました。雰囲気、マダラバッタかなと思ったのですが、名前をちゃんと調べなけりゃと思ってその2匹をもらって冷凍庫に入れておきました。中学生たちは11月4日に開かれる文化祭に虫の展示をすることになっているので、それに間に合うようにと思って、2,3日前から検索をしてみました。途中、発音器と摩擦器がどれか分からず、それにずいぶん時間を費やしてしまいましたが、これかなと思うものが見つかったので、一応、まとめておくことにしました。このバッタの各部の名称は昨日出しましたので、そちらを参照してください。

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昨日は横から撮った写真を出したので、今回は背側から撮った写真です。体長は25.8mm。小形ではありますが、そこそこの大きさを持っているので、実体顕微鏡で撮影するときにかえって苦労が多かったです。例えば、翅全体を写そうとするご画面をはみ出すし・・・。それで、一眼レフの写真を併用したり、顕微鏡で場所をずらしながら撮影して、後で合成したりしました。この写真は一眼レフで撮りました。

検索には、

日本直翅類学会編、「バッタ・コオロギ・キリギリス大図鑑」、北海道大学出版会 (2006).

に載っている検索表を用いました。この検索表は絵解きなので分かりやすい方なのですが、いまいち絵が小さかったり、矢印がどこを指しているのか分からなかったりと苦労することも多かったです。バッタの検索はヒシバッタやイナゴ以外はあまりやったことがないので、今回は亜目、上科あたりから検索をしてみました。

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まずは科への検索からです。検索の結果、バッタ科のうち、アカアシホソバッタ亜科、フキバッタ亜科、イナゴ亜科、セグロイナゴ亜科、ショウリョウバッタ亜科ショウリョウバッタモドキ属以外になったので、一部と書いてあります。これを写真で確かめていきたいと思います。今回はだいたいは検索順に見ていきます。

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まず体長は6mm以上なので①はOKです。②の産卵管は矢印で示した部分です。ビロード状の毛にも覆われていないので、②もOKです。このビロード状の毛はケラの仲間を指すようです。④も特に問題ないと思います。これはヒシバッタを除外する項目です。

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前肢が変わっていないことを示すために腹側から写しました。この項目は前肢、中肢の脛節が広がっているノミバッタを除外する項目です。

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触角は25節ではないかと思うのですが、末端部分がさらに分かれているかもしれないので、その場合は26節になります。でも、とにかく30節よりは短いです。従って、③はOKです。この項目はコオロギを除外する項目です。コオロギって触角が長かったのだっけ。

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③の胸部腹板の癒着が何を意味しているのか最初よく分かりませんでした。というのは中胸腹板と後胸腹板は何となく区分されているように見えたからです。でも、よく見ると、中胸小胸板などと後胸基胸板は癒着しているので、たぶん、癒着しているといってよいのだと思います。これはやはりコオロギを除外する項目です。⑤の「のどちんこ」は白矢印あたりにある突起を意味しているのですが、これにはありません。でも、先ほど書いたバッタ科の亜科やオンブバッタ科にはあるようです。一度見てみたいです。

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次は耳です。写真のように翅の付け根あたりにあります。これが腹部第1節なのかどうかはよく分からないのですが、これに対抗する項目はコオロギで、耳は前脛節か胸にあるとのことなので、たぶん、大丈夫でしょう。

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ちょっと拡大してみました。これは鼓膜なのでしょうね。

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爪の間に爪間盤があるというのが④です。確かにあります。この項目はヒシバッタを除外する項目の一つです。ヒシバッタにはないのですね。

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産卵器は4片に分かれていて、たぶん、この4片を組み合わせて管状にするのではと思いました。生きているときはこんなに広がっていなかったのですが、冷凍庫に入れておいて出したら、少しずつ広がって、ついにはこんな姿になってしまいました。真ん中にある白いのは何だろう。

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最後は跗節の数で全部で3節です。これでバッタ科の検索の途中まで到達しました。この後、ショウリョウバッタ、ヒナバッタなど除外してトノサマバッタ亜科に行き、最後にマダラバッタ属に至ります。でも、長くなったので、ここで一休み。

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