廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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ツチハンミョウの話

廊下のむし探検 第14弾

1)ツチハンミョウの同定

先日、ツチハンミョウがいたということを書きましたが(廊下のむし探検 第11弾 晩秋の虫たち)、
今回は捕まえてじっくり観察してみました。

イメージ 2

イメージ 1

先日と今回、撮影した写真と並べてみました。
同じ階の廊下にいたので、おそらく同じ個体でしょう。

いつ見ても奇妙な形です。
鞘翅(さやばね)は短く、下は燕尾服のように左右に開いています。
触角には中ほどに大きなこぶがあります。

保育社の「原色日本甲虫図鑑III」を読むと、ツチハンミョウ科は日本に15種いると書かれています。
この中にはマメツチハンミョウやゲンセイという見た目にも違う種類も含んでいるので、
それを除いたツチハンミョウ属Meloeは7種になります。

さらに、生息地や発生時期が晩秋であることでふるいをかけると
ヒメツチハンミョウとキュウシュウツチハンミョウの2種類が残ります。
この2種は外見上はほとんど違わないのですが、触角に違いがあります。

ヒメツチハンミョウの特徴は、触角第1節が先端部を除けば最も長く、
第2〜4節の和とほぼ等しく、第3節は第2節の約1.5倍。
また、第4節は長さより幅が広く、第7節は倒心臓形で先端はやや突出。
第8〜10節は糸状で、第11節は第10節の1.5倍以上とあります。

一方、キュウシュウツチハンミョウは
触角第1節は第2〜4節の和より明らかに短く、第7節は腎臓形です。

そこで、触角を拡大してみました。

イメージ 3

この写真を見ると、ヒメツチハンミョウの特徴である第1節が先端部を除けば最も長く、
第2〜4節の和とほぼ等しいというところも合っていて、また、
第7節は倒心臓形(挿入図の矢印)で先端はやや突出するというところも似ています。

触角にこぶのあるのはオスなので、この個体はヒメツチハンミョウの♂であると推定されます。
ヒメツチハンミョウは秋に出現し、そのまま成虫で越冬、
その後、早春から夏にかけて現れ、交尾産卵するそうです。


2)ツチハンミョウの面白い

ところで、ネットで調べてみるとツチハンミョウについては面白い話が載っていました。
ツチハンミョウはなんとファーブル昆虫記に載っているとのこと。

早速、図書館に行って、集英社「ファーブル昆虫記6 ツチハンミョウのミステリー」
という本を借りて読んでみました。実に驚くような内容でした。

ツチハンミョウはスジハナバチというハチに寄生して育つのだそうです。
このハチは集団で地面に小さい穴をたくさん掘り、そこに、花の蜜を貯めて、蜜の上に産卵します。
その後、穴のふたを閉めてしまいます。卵からかえった幼虫はこの蜜を栄養源として育つのです。
ツチハンミョウはこの蜜を狙って、ハチの代わりに幼虫を育てるのです。

その方法が巧みというか、無謀というか、なんとも言えない状況です。

まず、ツチハンミョウのメスは、スジハナバチの巣穴がたくさんある場所近くの
地面の中に卵を産みます。
その数は普通の甲虫とは全く異なり、一度に4000個も産むそうです。

卵からかえった幼虫は、うじゃうじゃと近くにある植物という植物に這い上がります。
スジハナバチはキク科の花を好んで蜜を集めるようで、うまく、キク科の花まで這い上がった
幼虫は成功です。そのほかはみな死んでしまいます(本には面白い漫画が載っていました)。

さらに、花に隠れていて、やってきた虫の毛にしがみつきます。
このとき、スジハナバチ以外にしがみついたら失敗で、結局死んでしまいます。

スジハナバチのメスの毛にしがみついたものは大成功、
オスの場合は交尾のときに、メスに乗り移らないといけません。

最終的にメスの毛にしがみついた幼虫は、無事に蜜のところまでたどりつけますが、
産卵するときにうまく卵の上に乗り移らないといけないのです。もし、失敗して
蜜の上に落ちてしまうと、溺れて死んでしまいます。

乗り移れるのは一匹だけ、無事に乗り移れれば、卵が浮きと栄養源になるので、
これから卵の中身が無くなるまで食べて大きくなることができます。
この卵の殻の浮きの上で脱皮して2令幼虫になります。

2令幼虫はお腹が大きなボートのような形をしていて、蜜の上に浮くことができます。
呼吸をする気門はちゃんと上にあるので、苦しくなることはありません。
そのまま、蜜の上に浮かんで蜜を食べ尽くします。

蜜がなくなると、穴に沿って立ったような形で動かなくなります。
周りが薄膜に囲まれた蛹のような形になり、擬蛹と呼んでいます。これが3令幼虫です。
擬蛹から脱皮すると2令幼虫とそっくり同じ姿に逆戻りします。これが4令幼虫です。
その後、本当の蛹になって、最後に脱皮すると成虫になるのです。


大量の卵を産んで、まるでサーカスの芸当のような寄生をし、
擬蛹という面白い形態を通る変態(過変態と呼ぶ)をするツチハンミョウは
ほんとうに不思議な昆虫です。

こんなに大量の卵を産むので、お腹の大きな変な形になり、
おかげで空を飛べなくなり、猛毒のカンタリジンを含む液体を
足の関節の間から出して身を守るようです。








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