廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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先日、被写界深度の測定をしていたときに、絞りを絞っていくと全体に青みがかっていくことが分かり、少し調べてみました。その結果、びっくりするようなことが分かりました。

今回は、以前用いていた手作り分光器で白熱電球の光をスペクトルに分け、それをカメラの絞りを変えながら撮影していくという実験です。もし、絞りによって色が変化しないならば、同じ形のスペクトルが得られるはずだし、変化するなら、形も変わっていくだろうと考えたからです。

カメラにはNikon D90、レンズには被写界深度の測定の時に成績の良かったMicro Nikkor 55mmを用いました。白熱電球は60Wです。

イメージ 1

上の写真がレンズ絞りをF2.8にしたもの、下がF32にしたものです。横に線が入っているのはスリットが平行に作れていないためです。また、像が少し斜めになっているのはスリットの向きがすこしずれているからでしょう。

いろいろと問題はあるのですが、まず気が付くのは、F32ではぼんやりとした縦線が多数現れるというところです。あまりにびっくりしたので、レンズを変えてみたり、カメラを通さず肉眼でも観察したのですが、レンズの種類には関係せず、また、肉眼では見えませんでした。

そこで、ホワイトバランスなどの処理をしていないRAWデータとしてセーブし、8ビットのTIFFに変換した後、フリーソフトのImageJを用いて光の強度に相当するGray valueを求めたのが次の図です。

イメージ 2

左側の図がNikon D90での測定で、右は比較のために行ったD70での測定です。このグラフでは、後で解析しやすいように、横軸が波長ではなく、波数という単位になっています。これは波長の逆数を取って、cm-1という単位で表したもので、光のエネルギーに比例する単位です。波長の500nmが、波数では20000cm-1になります。

D90では振動のようなものがはっきりと見えてきました。これに対して、D70の方はほとんどそれが見えません。どうも、D90に特有の現象のようです。いろいろな絞り値で測定して見ると、絞りを絞っていけばいくほど振動ははっきりしていきます。そこで、振動がほとんど見えていないF2.8のデータで各絞り値でのデータを割ってみました。

イメージ 3

上がD90、下がD70です。この図からいろいろなことが分かります。まず、F8ではF2.8とほとんど同じ色再現をしているのでグラフがほぼ平らになっています。特にD70では完全に平らです。D90では絞りを絞ると振動が見えてきますが、D70では見えません。また、絞りを絞っていくとD90でもD70でも波数が大きい方(青い部分)がだんだん強くなって、青が強調されていくことが分かります。

D90で見られる振動は横軸を波数にしているとほぼ等間隔に見えます。

イメージ 4
実際に振動の凹んだ部分の波数を順番にプロットしていったものが右の図です。ほとんど直線的になっていることが分かります。この傾きから振動の間隔は517.2cm-1であることが分かりました。また、左の図から振動の相対的な深さは平均で0.88になることも分かりました。

実は、このような振動は、光が薄い膜を通過して薄膜干渉を起こした時に良く見られます。そこで、どのような膜がD90に撮像素子の前に置かれて薄膜干渉を起こしているのかシミュレーションをしてみました。

イメージ 5

これは薄膜干渉の場合の光の透過率を計算したものです。規則正しい振動が現れていることが分かります。薄膜干渉の理論によれば(そのうち、説明をホームページに載せます)、振動の周期は1/(2nd)になり、振動の相対的な深さは図の右に書いてある r という量を用いて表されます。ここで、nは膜の屈折率、dは膜の厚さ、r は光が膜の表面で反射されるときの振幅反射率で、その値は屈折率だけで決まります。

そこで、先ほど得られた0.88という値を使って屈折率を決定すると、n=1.44という値が得られました。この値を用いて、今度は周期517.2cm-1という値から、厚さを計算すると6.7μmという値が求まりました。つまり、D90では撮像素子の前に、厚さ6.7μm、屈折率1.44の膜が入っていて、約1割強、周期的に色を強めたり弱めたりしていることになります。なぜ、絞りを絞るとはっきりするのかというと、絞りを絞れば絞るほど光の広がりが小さくなるので、膜により平行に光が当たるようになるからだと考えられます。

カメラというものがどんなものか少し分かってきたような気がします。しかしまだ、絞りを絞るほど青が強調される部分は解決していません。これから、もう少し調べてみます。

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