廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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ハエの検索に挑戦

この間から、ハエ目の検索を手がけていたのですが、標本箱を見ると、ずっと昔に作ったキンバエの標本が入れてありました。以前、蛾の収集を始めた時に、手当たりしだいに展翅をしていた時期があったのですが、その時に作ったものでした。

この標本を用いて、ハエの検索をやってみようと思いました。頑張って種まで同定してみたのですが、とりあえず科の同定までを書いてみます。

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用いた標本はこの2匹です。いわゆるキンバエですね。こういう普通のハエは有弁翅類という仲間に入っています。

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有弁翅というのは、弁のある翅という意味ですが、ハエの翅の根もとを見ると、上の写真のように翅とは別に弁と呼ばれる膜が付いています。これが有弁翅類の特徴です。

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この図は有弁翅類の分岐図です。これは、ハエのWikipediaにあった分岐図とそのもとになったManual of Nearctic Diptera Vol. 3〈ダウンロード可能)のp. 1493ページの図をもとにして作ってみたものです。いろいろな科のハエが有弁翅類であることが分かります。

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原色昆虫大図鑑IIIの検索表のうち有弁翅類に該当する部分を抜き出すと上のようになります。キンバエはクロバエ科に入るのですが、そこに至るには70、72、73、74、78、79、80の7つの検索の項目を通らなければなりません。それを抜き出すと、

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70はNOであることは自明なので、まず、72-1〜5がYESかどうかを確かめていきます。72は有弁翅類の一般的な特徴を書いたものです。

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72-1については、上の写真で翅下瘤という黒い丸い瘤が見えます。72-2は触角の梗節に縫線が走るとのことですが、写真を見ても顕微鏡下でもよく分かりませんでした。72-3は鬚剛毛、72-4は大きな基覆弁が見えます。72-5については、Sc脈とR1脈が合流していないことはすぐに見て取れます。

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検索を進めていきます。73については、上の写真で大きな口器が見えるのでYESです。74-1については一番上にある写真の中脚副基節に刺毛が生えていることからNOになります。78と79については写真はないのですが、それぞれNOでした。

結局、以上のような検索の結果、クロバエ科かニクバエ科になるのですが、80-1〜5を確かめることでクロバエ科であることが分かります。

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この時、重要になってくるのが、肩後剛毛と横線前剛毛の位置(80-1)です。前者が後者に比べ外側にあれば、クロバエ科、内側であればニクバエ科ということになります。上の写真では外側に位置するので、クロバエ科の特徴と一致します。また、翅脈でM1脈の曲がる場所が翅縁に近い(80-3)こともクロバエ科を示しています。

ということで、この標本はクロバエ科であることが分かりました。ハエの検索は剛毛の位置が関係するため、とても野外での写真撮影で科や種まで同定することは難しそうです。また、標本を展翅板で作ったときに脚が曲がってしまい、脚が胸の側面の剛毛を隠すため、種の同定ができない標本がありました。標本作りにも気をつけないといけないなと思いました。次回は種までの検索を行いたいと思います。(追記:青や緑、赤などの金属光沢を持つハエには、クロバエ科、イエバエ科、ヤドリバエ科、アシナガバエ科、ミギワバエ科、ハモグリバエ科などがあるということが、Hexapoda Research 昆虫類調査事務所のホームページに書いてありました。ここには、キンバエ類のユーモアあふれる検索法が載っていました)

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