廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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前回の続きでカメムシの検索の結果です。今日は、ヒメヘリカメムシ科に属すると思われるカメムシについて、本当にヒメヘリカメムシ科に属するかどうかを確かめてみました。用いたカメムシの標本は次の3種です。

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名前は以前、絵合わせで決めたものです。うまくそれぞれの種にたどり着くと良いのですが・・・。まず、前回と同様に科の検索をしてみます。

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検索表のうち必要な部分だけを抜き出すと、ヒメヘリカメムシ科に辿り着くには上の6項目にパスしなければならないことになります。前回も行いましたが、アカヒメヘリカメムシと思われる標本を用いて検索を行ってみます。

イメージ 5

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写真で検索表に関連するところには⑨などの数字をつけています。まず、項目9についてはFig.2のように単眼があるのでNOです。この文章では短翅型では単眼がないものもいるのでしょうね。項目14は特に示していませんが、翅の後ろが折れ曲がっていないのでNOです。項目17はよく分かりませんが、とりあえずマキバサシガメ科ではないのでNOです。項目18は前回もお見せしましたが、網状の翅脈を持つのでNOです。項目28については、Fig.2に示すように触角は4節、Fig.3に示すように触角が頭部背面から生じるので、やはりNOです。

最後の項目38は初めての項目です。

イメージ 4

Fig.4のヘリカメムシ科ミナミトゲヘリカメムシの体側を見ると分かりますが、中脚と後脚の間に臭腺開口という穴が空いています(黒い点のある場所は気門です)。これに対して、Fig.3のアカヒメヘリカメムシでは開口はありません(黒く見えるのは黒い模様です)。また、Fig.1の標本写真を見ると分かりますが、革質部が白っぽく見えているのは半分透けたような翅をしているからです。ということは、この項目がYESになり、無事、ヒメヘリカメムシ科にたどり着きました。

イメージ 10


次にヒメヘリカメムシ科の亜科、属、種の検索表で必要なところだけを抜き出しました。亜科の検索は
R. T. Schuh and J. A. Slater, "True Bugs of the World", Cornell University Press (1995)
によっています。幸い、Google Booksでヒメヘリカメムシ科の前半部分は読めたので、利用してみました。検索表の後半部分は日本原色カメムシ図鑑第3巻によるものです。

ヒメヘリカメムシ科はアカヘリカメムシ亜科とヒメヘリカメムシ亜科に分かれますが、その違いは襟状部の付近の様子で分かります。アカヘリカメムシ亜科の個体は図鑑の写真を見ると、Fig.2のIで示す部分に襟巻きのようなものが見えます。これに対して、Fig.2では見えないので、この個体はヒメヘリカメムシ亜科ということになります。他の2種の標本についても同様です。

次の項目IIについては、2行あるうちの下の方の行を見て下さい。「体に長軟毛を密生する」というのは、Fig.2およびFig.3を見ていただくと分かると思います。ただし、毛が長いか短いかは相対的なので、最後のブチヒメヘリカメムシの写真(Fig. 7)と比較しないと分かりません。次の「後胸側板は前・後の境界が見られ、後部域の点刻は不明瞭または消失する」というのは、Fig.3のIIを見て下さい。中括弧で示した部分がおそらく後胸側板です。その前部域は平坦な感じですが、後部域は透明な膜がかぶさったような形になっています。その間には明瞭な区切りがあります。また、後部にはほとんど点刻が見えません。

ということで、次の項目IIIに移ります。前胸背の前縁付近の横条というのはFig.2のIIIの部分です。特に、光沢は見られないので、この個体はヒメヘリカメムシ属に属する種だと思われます。

同様のことをケブカヒメヘリカメムシと思われる個体にも行ってみます。

イメージ 6

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体に生える毛の様子、及び、Fig.6に見える後胸側板(II)の様子は、まさに、アカヒメヘリカメムシと思われる個体と同じです。ということで、この個体もヒメヘリカメムシ属と思われます。ヒメヘリカメムシ属には図鑑には3種出ていますが、1種は大型で、中部山岳に分布するので、残り2種から、予想通りアカヒメヘリカメムシとケブカヒメヘリカメムシで良いと思われます。

最後の個体も同様に写真を載せます。

イメージ 8

イメージ 9

まず、Fig. 7に示すとおり、体全体に毛は生えていますが、短くてよく整った毛が密に生えている感じです。さらに、Fig. 8を見ると、後胸側板(II)は全体に透明な膜で覆われた感じで、前後の境がよく分かりません。また、点刻は全体に付いています。このことから、検索項目IIでブチヒメヘリカメムシ属の方に当たると思われます。

検索を更に進めると、写真ではよく分かりませんが、前胸背の前縁付近の横条(Fig.7のIII、IV)は不完全な環状になっているので、ブチヒメヘリカメムシかコブチヒメヘリカメムシになります。検索項目Vで、軟毛がやや密とまばらがどの程度違うか分かりませんが、実体顕微鏡で見る限り、やや密に生えているので、おそらく、ブチヒメヘリカメムシで良いのではないかと思います。

こうしてそれぞれの種にたどり着くことができました。名前が分かって改めて標本を見なおしてみると、アカヒメヘリカメムシは名前のとおり全体が赤味を帯びているのですぐに分かります。ケブカとブチは、1)後脚の腿節が前者は黒い点がまばらにあり、後者は黒くなっている、2)単眼の周辺の黒い縁取りが前者ではあまり顕著でないが、後者ではかなり顕著、3)前胸背の横条が前者では単なる線なのですが、後者では不完全な環状になっている、4)前胸中央の線が後者の方がはっきりしている、など、外見上の違いもあり、写真でも十分判定可能であることが分かりました。(追記:2/16の個体は、「通りすがり」さんご指摘の通り、ブチヒメヘリカメムシでした。どうも有難うございました。

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うーん、素晴らしい!
こうして改めて検索表での同定を見ると、やっぱり見るべきところが細かいですよね。
対象物が小さい上に、種類も非常に多い昆虫が相手なんで当然ですが…

ブチヒメ、当たっててよかった(笑) 削除

2014/2/27(木) 午後 2:18 [ 通りすがり ] 返信する

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初めてカメムシの検索をしてみたのですが、結構、面白かったです。こんな違いがあるんだと、初めて知ったところが多かったので。昔、手あたり次第に標本を作っていたのですが、今頃になって役に立ちました。これからもどうぞよろしくお願いします。

2014/2/27(木) 午後 2:39 [ 廊下のむし ] 返信する

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