廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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アメバチと呼ばれるべっこう飴のような色のハチがいます。写真を撮っていて、たぶん、アメバチだろうなということはすぐに分かるのですが、図鑑を見ても皆似ているので、それ以上のことはなかなか分かりませんでした。先日、アメバチを撮影したとき、ちょっと調べてみたくなり、今回、手元にあるアメバチの標本を使って属への検索を試みてみました。何分、ハチには全くの素人ですので、そのつもりで見て下さい。

イメージ 1

アメバチというのはこんなハチです。ハチの中ではかなり大型で、長い触角を持ち、細長い胴体をきゅっと持ち上げた独特の格好をします。分類的には、ヒメバチ科アメバチ亜科に属します。ヒメバチは寄生蜂で、チョウ目、甲虫目、ハエ目などの幼虫に卵を産んで、孵化した幼虫はその宿主の幼虫を食べて育ちます。アメバチの仲間にも、リンゴドクガホシアメバチとか、マツキリガホシアメバチなど、宿主の名前が付いたものが多数います。

今回、調べてみたのは次の3個体です。いずれも、以前、手当たり次第に標本を作っていた時のものです。まさか、こんなところで役に立つとは思いませんでした。

イメージ 2

aからcまでの3個体で、サイズを合わせて撮影していますので、cが特別大きなことが分かります(アメバチの体は曲がっているので、どうやって体長を測るのかは分かりませんが、曲がっていることを考えずにそのまま測ると、cの体長は30mmほどでした)。いずれも飴色ですが、bは少し黒っぽい色をしています。

アメバチなどのヒメバチについては非常に詳しいホームページがいくつかあります。

1)神奈川県立 生命の星・地球博物館 渡辺恭平氏のホームページ
2)北海道農業研究センター 小西和彦氏のホームページ
3)American Entomological Institute

今回の検索はほとんどこの3つホームページを参考にしました。ここで謹んでお礼申し上げます。

特に、1)の渡辺氏のホームページは分かりやすく解説してあり、また、詳細な検索表も作られていたので、今回はそれを利用させていただき、アメバチの属への検索をしてみました。検索をしてみると、上の3個体は偶然にも異なる属に属することが分かりました。

順番に見ていきましょう。まず、aの個体についてです。aについては、検索の結果、おそらく、Ophion属だということが分かりました。その時に用いた検索の項目を抜き出すと次のようになります。

イメージ 3
(神奈川県立 生命の星・地球博物館 渡辺恭平氏ホームページより抜粋引用)

①などは検索項目の番号で、ダッシュが付いているのは、YESとNOという二つの選択肢のうちのNOを選んだ場合の内容です。内容を順番に見ていきます。

イメージ 4

検索に必要な部分を拡大して写してみました。検索表に対応する構造は図に矢印で示してあります。②'の後頭隆起線は後頭と頭頂の境界にあたる部分で、Fig. 2cにあるような黒い線がその隆起線です。隆起線のある属とない属があって、この種はあることが分かります。④aはFig.2dのように途中で途切れた脈があることで、これは写真で撮っても目立つ特徴です。④bについては、Fig.2dのように翅の一部に毛の生えていない透明域が見られますが、面積は狭く、他の属ようにこの部分に色のついた節片がないことを言っています。

④cの大腮は大顎のことで、この部分の形状が属によってかなり異なります。ねじれているかどうかは後のFig.3bと比較すると少し分かるような気がします。④dは前脚脛節の棘の部分に一般にブラシ状の剛毛が生えているのですが、Fig.2eのように特に透明な膜があることを示しています。④eはFig.2fのような丸い膨らみのことを指しているのだと思います。

⑤'aはFig.2dに示す翅脈がほぼ直線的であることを言っています。⑤'bは調べるのを忘れてしまったのですが、以上のような特徴からOphion属だろうということが分かります。

次に、bとcの個体の属を検索すると、それぞれEnicospilus属とDicamptus属になりました。その時に用いた検索表の部分は次の通りです。

イメージ 6
(神奈川県立 生命の星・地球博物館 渡辺恭平氏ホームページより抜粋引用)

まず、bの個体について見ていきましょう。必要な部分を写真で示すと次のようになります。

イメージ 5

bの個体はaの個体とはだいぶ異なります。詳細は図を見ていただければ分かりますが、特徴的なのは④'bで、Fig.3dを見ると、翅には広い透明域があり、その部分には色のついた節片があることがよく分かります。また、④'eではFig.3eに示すように脚の棘にくし状の剛毛がはえていますが、膜は見られません。さらに、Fig. 3bに示す大腮は途中で急に狭くなっています。これは検索表の⑦'aの特徴を示しています。ということで、この個体はEnicospilus属ではないかと思われます。

イメージ 7

最後の大型種cはbと似た特徴を持っていますが、Fig. 4bに示すように大腮の形が途中で細くなっていないのが特徴です。そこで、おそらく、Dicamptus属だろうという結論になりました。⑦bについては、何度読んでも意味が分からず、ここでは保留にしておきます。

ということで、この3個体はそれぞれ別の属に属することが分かりました。種まで辿り着いた個体もあるのですが、それはまた次の機会にします。いろいろと特徴を書きましたが、生態写真を撮っていて最も分かりやすい特徴は、翅脈と大腮でしょう。アメバチがいたら、少なくとも翅と顔を撮ると属が分かるかもしれません。

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