廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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ルーペは目に近づけて見なさいと、中学校の教科書にも書かれています。でも、ルーペを渡されて、目に近づけて見る人はたいていは慣れた方で、ほとんどの人は虫眼鏡のように目から離して見てしまいます。目に近づけてみるとどんないいことがあるのでしょう。こんな疑問が突然湧いてきて、ちょっと考えてみました。

イメージ 1

ルーペを使って物体を見たときの光学系の図です。この図で、L1 はルーペ、L2 は目の水晶体を表しています。S は網膜です。物体 U を置くと、ルーペ L1 でこの虚像を V の位置に作り、それを仮想的な物体としてレンズ L2 で網膜上に実像を作り、目で見えるという仕組みになっています。

これは以前書いた、カメラのクローズアップレンズの仕組みと基本的に全く同じです。一つだけ違う点は、人が近くのものを見る時、よく見える距離が決まっているという点です。これを明視距離といいます。本を読むときでも、知らず知らずにこの明視距離に本を置いて見てしまうのです。上の光学系の図では、Lと書いた長さがその明視距離に相当します。ルーペでものを見るときには、この明視距離は一定にしたまま、ルーペ L1 と物体 U の両方を動かして、よく見える位置を探すことになるのです。

言い換えれば、ルーペで見るときは、目からの距離が L にある V の位置に常に虚像ができるように動かさなければならないのです。その場合はどんな風に作図をすればよいのでしょう。

イメージ 2

この図はルーペを近づけたときの作図の例です。V も L2 も S も以前と同じ位置にあります。ルーペを動かすと、物体 U の位置も変わってしまうので、今までのような作図はできません。そこで、U を動かしてもその高さは一定なことを用いて、U の先端を通って光軸に平行に A という線を引きます。この線とレンズ L1 の中心線が交わる点を P とします。P とレンズ L1 の焦点位置 F1 を通る線 B を書き、その延長線が V と交わる点を R とします。これで虚像の高さが分かりました。

次に R を通ってレンズ L1 の中心 O を通る線 E を引き、これと A と交わる点を W とします。これで、物体の位置が分かります。最終的に網膜にできる実像の大きさは、R から光軸に平行に線 C を引き、レンズ L2 と交わる点を Q とします。さらに、Q を通ってレンズ L2 の焦点位置 F2 を通る線 D を引いて、網膜面 S と交わる点を T とすると実像の高さが分かります。ちょっと面倒臭いですが、こんな作図をすると、虚像の位置が決まっている場合の作図ができます。

次に、ルーペでできる虚像は物体の何倍の大きさになるのか、倍率を計算してみました。計算方法は次の図にまとめています。

イメージ 5

a、b、l、f1、f2、L などは最初の図に説明を入れています。倍率は M で表しています。下から2番めの式(4)で、ルーペを使った時に、物体が何倍に見えるかという倍率が求まります。倍率は目からルーペまでの距離 l によって変化します。l の前の符号がマイナスなので、目から離れるほど倍率が低下します。従って、最大倍率はルーペを目にくっつけた時に得られ、それが一番下の式(5)で書かれています。ルーペの倍率はたいていこの値で表されています。

目とルーペとの距離を変えたときの倍率の変化をグラフに表すと次のようになります。

イメージ 3

これは明視距離を250mm、ルーペの焦点距離を25mmとしたときの例ですが、目から離れるに従って、急激に倍率は低下し、明視距離まで離すと倍率は1になり、拡大しないことになります。だから、ルーペは目に近づけないと意味がなかったのです。この他にも、ルーペは焦点距離が短いので、口径が小さくなるため、目から離すとルーペを見込む視角が小さくなり、全視野の中で見える部分が狭くなっていくことも見えにくくなる要因の一つです。

ルーペの仕組みや倍率の式についてはどこにでも書いてありますが、記憶のためにちょっとまとめてみました。(追記:実際に試してみると、明視距離250mm以上にルーペを離しても大きく見えます。ルーペを目から離した場合には、明視距離でしか見えないと仮定したところに、若干問題がありそうです

(付録

目が焦点の合う位置は、最短で明視距離近傍になり、それ以上の距離では自由に合うものとします。この場合、目は焦点の合う位置を遠方にずらしていくことで、ルーペで見える像の大きさも変化していくはずです。その効果を見積もってみました。

物体の大きさを h としますと、虚像の大きさは倍率を M とすることで、Mh となります。しかし、この場合は虚像の大きさだけで評価することはできません。なぜなら、同じ大きさの物体でも遠くのものは小さく見えるからです。そこで、虚像の大きさを距離で割った量で評価することにします。視角をtan(正接)で表したと考えればとよいと思います。

イメージ 4

このグラフは物体の大きさを単位長さとし、縦軸には虚像の大きさを目から虚像までの距離で割った値を取っています。横軸には目の焦点が合う位置を目からの距離で表しています。実際には上の式(4)を L で割った値を縦軸に用い、L を変数として横軸にしています。グラフが4本あるのは、目から測ったルーペまでの距離を変えた結果を示しています。

グラフは上の方に線があるほど大きく見えることを意味しています。ルーペを目につけた場合(l =0)は、目の焦点の合う位置が変化しても、見える像の大きさはほとんど変わりません。しかし、ルーペを目から離すと、焦点の合う位置が遠くなるにつれ、像も大きく見えていることが分かります。ここで、目の焦点の合う位置を遠くにするということは、ルーペの位置を固定して、物体の位置を少しずつ遠ざけながら、拡大されていく像をルーペで見ることに対応しています。一番下のグラフは明視距離より遠くにルーペをおいた場合ですが、やはり同じように遠くを見るようにすれば像が大きくなることが分かります。しかし、いずれの場合も、ルーペを目につけた場合に勝てないことは明らかです。

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