廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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キマワリを調べる

キマワリは朽木や古木などにいて、脚が長いので木をぐるぐる回ることが連想され、こんな名前がついたとのことです(Wikipedia)。比較的大型のゴミムシダマシ科の甲虫で、日本各地に普通にいます。この間から、キマワリとクチキムシの違いが分からなくなったので、昨日、キマワリらしい個体を捕まえてきて調べてみました。図鑑の記述と比べながら、いろいろと観察してみると、少し分かってきたような気分になってきました。ただ、なにぶんにも素人がやっていることなので、間違っているところも多いと思います。そのつもりで見てくださいね。

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捕まえてきたのはこんな個体です。体長は18mm、全体に黒く、鈍いつやがあります。「甲虫図鑑III」のキマワリの写真と比較してみると、頭部がやや大きく、前胸側縁の丸みが顕著、脚が褐色などいろいろと違いがあります。それで、キマワリではないのかなと思って、図鑑を探してもそれらしい種は見つかりません。おそらく、キマワリの仲間だろうと思って話を進めていきます。

図鑑には、キマワリの項はやけに詳しく載っています。その形状に関する部分をまとめてみると次のようになります。

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括弧つきで青色で書いた部分は、九州亜種の特徴です。それぞれ該当する部分を、実体顕微鏡で撮影してみました。まず、頭部です。

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頭部の特徴は、複眼が大きいこと、触角の基部の部分が複眼に食い込んだような形になっていること(Fig.3黄色太矢印)、頭盾が段のようになっていて、その下半分に点刻がないこと、触角第3節が異様に長いことなどが挙げられます。「甲虫図鑑」には、前頭幅と複眼横幅の比が約1/5と書いてありますが、Fig.2で黄色細矢印で示した部分を計測してみると1/2.4になり、九州亜種の1/2弱というのに近い値を示しました。また、触角第3節と第4節の長さの比については、2倍強と書かれていますが、計ってみると1.88倍になり、これも九州亜種の2倍弱というのに合致しました。また、「甲虫図鑑」の③にある金色軟毛を密布しているというのは見られませんでした。

余談ですが、クチキムシとキマワリの違いについても触角から見分けられそうです。まず、前者はクチキムシ科、後者はゴミムシダマシ科に属しています。この両科はもともと一緒にしてもよいほど近縁なのですが、クチキムシ科は脚の爪が櫛歯状になっていて、ゴミムシダマシ科は櫛歯状でないことから分けられています。残念ながら、生態写真では脚の爪の形状までは写らないことが多いので、むしろ、触角第3節の長さで見ると分かりやすそうです。キマワリの仲間は第3節が第4節よりかなり長いのですが、クチキムシはほぼ同長だからです。

イメージ 7

次は前脚を見てみます。腿節はほぼ記述どおり、途中に膨らみがあります。脛節については、「甲虫図鑑」に書かれてあるような内側に段差は特になく、むしろ、九州亜種の場合のように滑らかになっています。

イメージ 8

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次は頭部から前胸にかけてです。「甲虫図鑑」の③の頭部の浅い正中溝はFig. 6の白矢印の部分ではないかと思います。また、「大図鑑」の⑤の正中部分に細く無点刻部分というのはFig. 6の黄矢印のことだと思います。さらに、「甲虫図鑑」の⑥の弱い円圧部はFig. 6の緑矢印、あるいは、Fig.7の黄矢印の部分で、それに続く浅い横溝はFig.7の白矢印のことかなと思っています。この溝、緑矢印あたりでなくなってしまいます。「甲虫図鑑」の⑤には前胸に黄色短軟毛が密生とありますが、毛はまったく見られませんでした。

イメージ 10

最後は上翅の部分です。この部分には点刻を伴った条溝、微細な点刻の入った間室が交互に並んでいますが、この間室が隆起しているのか平らなのか、あるいは条溝が深いのか浅いのかは、たぶんに相対的でよく分かりません。どちらかといえば間室は平らな感じがしますが。

ということで、合っている部分もあれば、違っている部分もあって何とも言いがたいのですが、とりあえず結果をまとめてみました。

イメージ 11

○は合っているもの、△は一部合っているもの、×は違っているものです。これを見ると、「昆虫大図鑑」の記述とはほぼ合っていますが、「甲虫図鑑」とはだいぶ違っていて、むしろ、九州亜種として書かれている特長と合っているようです。「甲虫図鑑」の図版の個体ともかなり違うので、確実にキマワリであるとは言いがたいのですが、むしろ九州亜種に近い個体なのかなと思いました。

キマワリをじっくりと観察してみて、図鑑に記述されている細かい特徴が少し分かったような気がしました。こうして、1種ずつ調べてみることができれば、苦手な甲虫もきっともっと分かるようになるのではと思いました。

(追記2018/01/27:立西さんから、「過去の記事を拝見していたところ,丁度最近この記事に出てくるのと(おそらく)同じ昆虫について知ったところなのでコメントしてみます。どうもキマワリではなくクロツヤキマワリではないかと思います。前胸背板に凹みがあるのが特徴です。シーズンになってまた見ることがあれば検索してみてください。」というコメントをいただきました。クロツヤキマワリの可能性はまったく考えていませんでした。文献を探してみると益本氏の一連の論文が見つかったので、ちょっと勉強してみます。たぶん、この時の試料は残してあると思うので、もう一度、調べてみたいと思います。どうもご指摘有難うございました

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閉じる コメント(4)

お久しぶりです。過去の記事を拝見していたところ,丁度最近この記事に出てくるのと(おそらく)同じ昆虫について知ったところなのでコメントしてみます。
どうもキマワリではなくクロツヤキマワリではないかと思います。前胸背板に凹みがあるのが特徴です。シーズンになってまた見ることがあれば検索してみてください。
足の方はほぼ治ったようでなによりです。

2018/1/23(火) 午前 0:39 [ kei***** ] 返信する

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立西さん、お早うございます。

クロツヤキマワリの可能性はまったく考えていませんでした。文献を探してみると益本氏の一連の論文が見つかったので、ちょっと勉強してみます。たぶん、この時の試料は残してあると思うので、もう一度、調べてみたいと思います。どうもご指摘有難うございました。

追伸)足の方はまだむくんではいるのですが、もうほとんど治ったみたいです。ご心配をおかけしてしまいました。

2018/1/23(火) 午前 7:34 [ 廊下のむし ] 返信する

以前この昆虫がクロツヤキマワリだとコメントしましたが,その後どうも不安になり改めて調べてみたところやはりキマワリということで,そちらの検索結果が正しいと分かりました。申し訳ありませんでした。

2018/2/12(月) 午前 10:55 [ kei***** ] 返信する

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kei*****さん、こんばんは
ご丁寧にコメントをいただき、有難うございました。実は、あれからまだ調べてなくて、そのままになっていました。でも、これから注意して見ていきたいと思っています。

2018/2/12(月) 午後 8:20 [ 廊下のむし ] 返信する

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