廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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クサカゲロウを調べる

この間から、クサカゲロウの名前調べがよく分からなくなってしまいました。今回、次の2種が得られたので、それを使って少し詳しく調べてみました。
イメージ 1

調べたのはこの2種です。上の個体は頬の模様からカオマダラクサカゲロウ、下の個体は翅脈の横脈が黒く、頬と複眼の後ろに黒点があるのでフタモンクサカゲロウだと思われます。

この両者については、「原色昆虫大図鑑III」にも詳しい説明がないので、1919年の岡本半次郎氏の「本邦産草蜻蛉科に関する研究」(こちらからダウンロード可能)を基にして調べてみました。この論文の中では、当時の日本(台湾を含む)に生息するクサカゲロウ35種について個別に詳しい説明がなされています。ただ、文章が漢文調なのと長いので、関係しそうな種類について表にまとめてみました。

イメージ 2

カオマダラクサカゲロウ、ヤマトクサカゲロウ、スズキクサカゲロウ、フタモンクサカゲロウの4種を選び、部位別にその特徴をまとめたのが上の表なのですが、字が小さいので拡大して見て下さい。

まず、カオマダラクサカゲロウだと思われるFig. 1aについて、その特徴を表の順に調べていきます。顔面の模様について、カオマダラはこの部分に「人」型の黒い模様があることが特徴なのですが、拡大するとこうなりました。

イメージ 3

さらに拡大したものが次の写真です。

イメージ 4

湾曲した区切り線のある上側が額でしょうか。その境界に沿って黒い模様があります。一方、下側の部分(頭盾でしょうか)の境界線に沿っても同様に黒い模様があり、さらに、頬の部分には四角い黒い点があります。これを合わせて「人」型というのでしょうが、この個体は上に向かう黒い線がはっきりせず、あまり「人」型には見えません。

イメージ 5

次に、小腮鬚をFig. 4に載せましたが、上の表では黒色ということですが、薄い褐色程度です。一方、下唇鬚はFig. 2に見えるように黄色でした。触角の長さは12.8mmで、前翅長の11.3mmより少し長くなっていました。なお、体長は8.2mmでした。

イメージ 6

前胸背には、中央に横隆起があり、そのすぐ下には深い横溝があります。さらにその下には緩い横隆起があり、中央に縦溝が見られます。この辺の様子は、ヤマトの特徴と似ているかもしれません。さらに、前胸背の両側には黒い毛が生えています。

イメージ 7

前胸背の前縁角の下部分を横から見ると、黒い模様が二つ見えています。このあたりはカオマダラの特徴とよく合っているようです。

イメージ 8

さらに、前翅の翅脈を見てみます。この中で、3と書いた部分が第3分室なのですが、その一部を第3中分室(cc)と呼んでいるようです。この中分室に、矢印で示した横脈がかかるか、あるいは、外側で交わるかという点ですが、この図では外側になっています。スズキではやや内側で交わるのですが、カオマダラやヤマトでは頂点か、あるいは外側で交わるということです。(追記:翅中央部分のMと書いた脈は、発生過程でいくつかの脈が合わさってできているので、Psm(pseudo-media)と書いた方がよいようです。14/10/18のブログを見てください

さらに段横脈と書いたのは、Rs脈の枝脈同士を結ぶ脈で、右側に矢印で示しています。上段のものを内段横脈、下の段のものを外段横脈と呼ぶようです。これの数を問題にしています。この個体の場合は、内段横脈の数は4、外段横脈の数は7なので、4/7と表現するのでしょう。この数は表とはまったく合いません。一般に、カオマダラは脈が密だと書かれていますが、かなりまばらな感じです。

ということで、カオマダラにかなり近いのですが、顔面の模様、小腮鬚の色、前胸背の隆起、段横脈の数などに違いが見られました。これがカオマダラの変異の内なのか、それとも別種なのかはよく分かりません。

次にフタモンを調べてみました。こちらは体長8.8mm、前翅長は12.6mm、触角の長さは14.1mmです。

イメージ 9

この場合はかなり明確で、黒点の位置、両方の鬚の色などは書かれている通りです。

イメージ 10

前胸背については書かれていませんが、中央に横溝が見られ、両側の毛は白いようです。

イメージ 11

翅脈はところどころ、横脈が黒くなっています。また、特に書かれてはいませんが、第3中分室に横脈が交わっています(左矢印の部分)。段横脈は内が6箇所、外が6箇所なので6/6となり、書かれているものと一致します。ということで、この個体はフタモンクサカゲロウで間違いないと思われます。(追記:上で述べた通り、翅中央部分のMと書いた脈は、Psm(pseudo-media)と書いた方がよいようです。14/10/18のブログを見てください

イメージ 12

最後はおまけです。フタモンクサカゲロウの脚の爪が面白かったので、ついでに撮ってみました。

クサカゲロウを調べた後の感想としては、特徴は分かりやすいといえば分かりやすいのですが、カオマダラについてはもう少し別の個体や近縁種も見てみないとよく分からないなという感じでした。おまけですが、写真では触角が曲がっていたのですが、ImageJというソフトのsegmented lineを選んで触角に沿ってなぞっていくと、曲がっていても長さが計れることが分かりました。

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やっぱりカオマダラクサカゲロウに関してはよく分からない結果になってしまいましたか。
顔面の紋に関しては変異が多いのか複数の種なのか、それぞれの間に隙間があるものや全てが濃く繋がっているもの、一部薄いものなどがあり、いわゆるヒゲの色にも違いが見られるんですよねえ…
クサカゲロウ科の中でも、普通種である筈のヤマトクサカゲロウとカオマダラクサカゲロウが分かりにくいトップ2だと思ってます。

フタモンクサカゲロウは分かりやすくて良いクサカゲロウですよね(笑)

台湾を含めて35種とは少ないですけど、古いですからね。
この仲間は最新の資料が欲しいなあ。 削除

2014/8/1(金) 午後 2:07 [ 通りすがり ] 返信する

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やる前からある程度予想はついていたのですが、結局、カオマダラかどうかはっきりとは分かりませんでした。もう少し、数を見ないと何とも言えないですね。おっしゃるように、もっと新しい資料があるとよいですね。

2014/8/1(金) 午後 4:20 [ 廊下のむし ] 返信する

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先日、カオマダラクサカゲロウとおぼしきオスの個体の翅脈を見てみたんですが、この個体とは翅端の翅脈に違いが…と思ったら、左右の翅でも違ってたんで、翅脈については変異が激しいのかもしれません。
PDFにも前翅8/9後翅7/9を普通とす、とあるので、変異はある様です。
ただ、左右の前翅で5/6と5/7、後翅6/7というのはやはり少ないともとれる訳で…やっぱりよく分かりませんでした(笑) 削除

2014/8/22(金) 午後 11:51 [ 通りすがり ] 返信する

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通りすがりさんへ
私も昨日、カオマダラクサカゲロウらしい個体を捕まえて、顕微鏡で眺めてみました。この間の個体とは翅脈がちょっと違い、斑紋もちょっと違いと、いろいろと違っていました。見れば見るほど、だんだん、分からなくなってきました。

2014/8/23(土) 午後 9:50 [ 廊下のむし ] 返信する

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