廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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最近、マンションの廊下では、次の写真のような小型のケバエが時々見られます。不思議とオスだけなのですが、先日、捕獲して調べてみました。

イメージ 1

調べてみたのはこの写真のようなケバエです。これはトゲナシケバエといわれるケバエの仲間になるのですが、それは前脚の脛節にトゲがないことによっています。

イメージ 2

この写真は以前、ケバエ科ケバエ亜科Bibio属の検索のときに用いた写真ですが、脛節に鋭い刺が2本あることが分かります。従って、ケバエ科のケバエ亜科かトゲナシケバエ亜科かはこの刺があるかないかを見ればすぐに分かるのです。

さて、上の種の名前を調べる手がかりとしては、以前も紹介した次の論文が非常に役立ちます。

D. Elmo Hardy and Mitsuo Takahashi, "Revision of the Japanese Bibionidae (Diptrera, Nematocera)", Pacific Insects 2, 383 (1960)(こちらから、pdfをダウンロードできます。以下、HTと略します)

この論文に従って調べていきたいと思います。なお、上の種がケバエ科かどうかは、日本環境動物昆虫学会編、「絵解きで調べる昆虫」(文教出版、2013)(こちらから購入できます)で調べることできますが、以前にも行ったので、ここでは省略します(なお、以前の文献では、ケバエ科はケバエ亜科とトゲナシケバエ亜科に分かれることになっていますが、「原色昆虫大図鑑III」では、種の解説ではトゲナシケバエ亜科、科の一覧表ではトゲナシケバエ科になっていました)。

HTに従って検索を行っていくと、この写真の個体はPlecia membraniferaという種にたどり着きました(素人がやっている検索なので、そのつもりで見てくださいね)。そこで、検索表に従って、その特徴を調べていきたいと思います。

イメージ 3

まず、属の検索で必要な部分を抜き書きしました。原文が英語なので、適当に訳していますが、間違っているかもしれません。関連する図を次に載せます。

イメージ 4

イメージ 5

まず、①ですが、Rs脈は分岐するかという点は、Fig. 2を見ると分かりますが、Rs脈は末端にいくとR2+3とR4+5という2つの脈に分岐します。さらに、先ほどお見せした前脛節の刺がないことを、「脚は単純」と表現しています。

次の②はFig. 3を見てください。触角は太く短く頑丈に見えます。第3節はやや長いのですが、全体としては長くないのでOKなのでしょう。また、これは複眼が大きいので♂で、しかも、両側の複眼は接しています。このことから、HTではヒゲナガケバエを除外しています(「大図鑑」ではヒゲナガケバエはヒゲナガケバエ科として別に取り扱っています)。

さらに、③については、Fig. 3に示すようにR2+3脈が短く斜めにまっすぐ伸びています。このことから、この種はトゲナシケバエ亜科のPlecia属であることが分かります。

次は種の検索です。例によって、Plecia membraniferaに辿り着く部分だけを抜き書きすると、以下のようになります。

イメージ 6

関係する部分の図を出します。

イメージ 7

ちょっと暗くて分かりにくいのですが、④にある中胸背板はFig.4の中央に見える部分です。この部分に溝があるかという点が、この写真で見える縦溝かどうかは分かりませんが、ともかく、溝はあります。さらに、Fig. 3で示すように全部で9節の触角を持っています。また、R2+3は途中で大きく曲がることがなく、直線的です。

最後の⑤は、中胸背板には特に模様はなく、全体にくすんだ黒をしています。体長は測ってみると5.5mm、翅長は4.3mmでした。HTではwings 5.7-7.0mmと書かれているのですが、これが翅長を意味するのであれば翅はかなり短いということになります。

さて、最後の腹部第9節背板がU字型かどうかですが、迂闊にも撮影を忘れてしまい、捕まえた個体は縮こまってしまってうまく写せませんでした。その代わり、HTには♂交尾器の絵が出ているのですが、それはまさにこの個体のものとよく似ています。

イメージ 8

これは実体顕微鏡で腹面から写したものですが、非常に特徴的な形をしていて、HTに載せられた図とそっくりでした。生物顕微鏡を使ってさらに拡大して写してみました。

イメージ 9

イメージ 10

Fig. 6は腹面から、Fig. 7は腹部先端側から写したものですが、特徴がよく出ていると思います。著作権の関係から(著作権は著者の死後50年までとなっています)、HTのFig. 7bを載せられないのが残念ですが、関心の有る方は見てください。ということで、Plecia membraniferaで間違いないのではと思っています。なお、この種はHTによると九州に分布し、5月に成虫が発生すると書かれていますが、その後、本州にも分布することが分かり、どうやら秋にも見られているようです。

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明かりなのか白い壁なのか、オスだけが何かに誘引されているのかもしれませんし、メスはあまり移動しないだけかもしれませんし、メスの方が羽化が遅いのかもしれませんね。

幼虫は集団だと思いますが、オスだけの20〜30匹くらいの集団というのも見たことがあるんで、羽化の時期がオスとメスで違うのかも?と思ってます。 削除

2014/8/27(水) 午後 1:55 [ 通りすがり ] 返信する

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それでは、そのうち♀も出てくるかもしれませんね。でも、昨日、今日と♂もいなかったので、どうなることやら。

2014/8/27(水) 午後 5:44 [ 廊下のむし ] 返信する

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