廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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先日、マンションの廊下で捕まえたクサカゲロウについて調べてみました。これまで見たことがなかった種類なので、あまり自信はないのですが、とりあえずその結果を報告してみたいと思います。

イメージ 1

まず、対象とするクサカゲロウはこんな外観を持っています。♀の個体で、体長は9.4mm、前翅長11.9mm、触角長12.0mmです。ざっと見ると、翅のほとんどが黒い翅脈で覆われていて、また、体の中央を走る黄色い筋はありません。

このクサカゲロウを、塚口茂彦著"Chrysopidae of Japan (Insecta, Neuroptera)"(1995)に載せられている検索表で調べてみたいと思います。なにぶん素人なので、間違っているところが多いと思いますので、ご指摘よろしくお願いします。まず、属の検索からです。
イメージ 2

これは、以前載せた検索表と基本的には同じですが、若干、表現などを変えたところがあります。また、検索表の原文は英文ですが、私のつたない語学力で翻訳しているので、間違っているところもあるかと思います。ご容赦を。

まず、検索項目1については図はないのですが、そのような構造は見当たりませんでした。従って、3に飛びます。頭部の紋については次の写真を見てください。

イメージ 3

イメージ 4

頭部には複眼の横に黒い紋があるのが分かります。これは頬の部分に当たります。従って、7に飛びます。額は複眼の間に相当しますが、ここには紋がありません。従って、8に飛びます。8は翅脈に関するものなので、その写真を載せます。

イメージ 5
ほとんどの横脈、分枝脈は黒いので、10に飛びます。10は前翅の基部近くにある小さな翅室imに関するものです。この先端がRs-M脈を越えているかどうかという点ですが、Fig. 4のように越えているので10'、すなわち、ニセコガタクサカゲロウ属であることが分かります。

次にコガタクサカゲロウ属の種への検索を行ってみます。

イメージ 6

同じ本に載っていた検索表を翻訳したものです。まず、1は胸部と腹部に関するものです。胸部を拡大したものが次の写真です。

イメージ 7

前胸背板にはそのような点がなく、腹部第2節にもそのような構造はありません。従って、2に移ります。それにしても、発音器を持っているクサカゲロウがいるのですね。2については、額に紋がないので、5に飛びます。Fig. 2とFig. 3を見ると、触角柄節の外側側面に色がついています。従って、6に飛びます。次は口肢に関するものです。Fig. 2とFig. 3では写真がはっきりしていないので、もう少し拡大して写してみました。

イメージ 8

イメージ 9

横からと下から口肢を写したものです。Fig. 7の外側の口肢が小顎肢、内側が下唇肢です。小顎肢の末端節が第5節に当たるので、第3節から第5節にかけて黒褐色に着色しています。特に第5節は強く着色しています。下唇肢については末端節だけが強く着色しています。検索の項目6はこれが強く着色するか、ほとんどしないかなのですが、一応、強く着色しているようなので、クロヒゲフタモンクサカゲロウかなと思っています。この最後の項目はやや相対的な表現なので、、上記の本に出ているミナミとクロヒゲフタモンの特徴を部位別にまとめてみて、比べてみることにしました。

イメージ 10

字が小さいので拡大して見てください。クロヒゲフタモンの特徴に沿って、気になる点だけを見ていきます。まず、前翅長は♀で11.9mmだったので、書いてあるものよりやや小さめです。次に頭部で、頬の紋はほぼ円形で、通常複眼から離れているという点については、むしろ、ミナミにあるような四角形に近い感じで、さらに、複眼にかなり接近しています。この本に描かれている図や千葉大のサイトにあるような頬の紋に引き続いて頭楯の側辺に沿うように出る黒い筋が、今回の個体にはないのですが、本の説明では「稀に・・・弱い筋紋がでることがある」という表現だけで、本当にそうなのか少し疑問になりました。さらに、説明では触角の長さは前翅より少し長いということですが、この場合はほぼ同じでした。

さて、ミナミとクロヒゲフタモンの決定的な違いは、口肢の色と翅脈の色です。つまり、ミナミの口肢で着色しているのは、小顎肢の第3節内側基部に筋があることと第5節が弱く着色するだけなのですが、クロヒゲフタモンでは、小顎肢3−5節と下唇肢末端節が強く着色するということです。この個体の場合は、ミナミの説明とは全く異なり、クロヒゲフタモンの説明とほぼ一致しています。ただ、強く色づくという点が小顎肢第3,4節ではやや弱いような気もしました。翅脈が黒くなる場所に関しても、ミナミとクロヒゲフタモンで大きな隔たりがあります。この場合も、クロヒゲフタモンの記述の方にほぼ一致しました。ついでに、段横脈の数も数えてみました。前翅で7/7、後翅で5/7となり、これはいずれにしても合っています。

ということで、いくつか気になる点はあるのですが、クロヒゲフタモンクサカゲロウに近いと言ってよいような気がします。ただ、この本ではクロスジフタモンについては9♂、8♀を調べているのですが、ミナミについては2♂だけなのと、生きた個体に接していない点が気になりました。今回調べた個体で、本の記述と異なる点については、もう少しいろいろな個体を調べてみないとはっきりしないので、さらに調べてみたいと思います。(追記:千葉大のサイトにある写真を見てみると、ミナミとして載せられている個体の頬の紋は今回の個体とよく似ているのですが、小顎肢末端節と第3節の後半部分が強く着色し、下唇肢の末端節の先が弱く着色しているだけで、本の記述とはかなり異なり、また、今回の個体とも異なります。変異の範囲なのか、別種なのかよく分かりません。原記載論文や他の論文も調べないといけないかもしれません。クサカゲロウは調べれば調べるほど、分からなくなる虫ですね

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弱い筋紋…はある様に見えますね。それにしても難しい。
去年見付けたクロヒゲフタモンクサカゲロウは、胸部の紋と触角柄節の紋は薄かったので、その辺も頭部の紋と同様に個体差がある様ですね。
もしかしたら季節性もあるのかも。 削除

2014/11/1(土) 午後 2:29 [ 通りすがり ] 返信する

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通りすがりさん、こんばんは。
この間、カオマダラを調べた時にも思ったのですが、クサカゲロウはかなり変異がある感じですね。ということは一匹では何とも言えないということですね。これに対して、最近見るスズキなどはかなり模様が一定しているみたいですが・・・。これから少し注意して見ようかなと思っています。

2014/11/1(土) 午後 9:21 [ 廊下のむし ] 返信する

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