廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

全体表示

[ リスト ]

この数日、急に増えてきたケバエがいます。今回はそのケバエを調べてみました。

イメージ 1

そのケバエというのはこんな虫です。複眼と複眼の間が離れているので♀の方です。♂についてははっきりしないのですが、先日見た個体がそれかもしれません。一応、写真を載せておきます。

イメージ 2

複眼が接するようについていて、また、後脚の跗節第1節が膨張しています。♂と♀はいずれにしてもこんなに姿が違います。

さて、このケバエは何という種かというのを調べるために、次の文献を用いました。

D. E. Hardy and M. Takahashi, Pacific Insects 2, 383 (1960) (ここからpdfがダウンロード可能)

この論文はケバエ科36種(現在では別の科とされるトゲナシケバエ科やヒゲナガケバエ科を含む)について、詳細な説明と検索表、それに綺麗な図が載せてあり、素人の私にも分かりやすく書かれています。この検索表を用いて、上記の種を調べてみると、Bibio flavihalterという種にたどり着きました。そこで、その検索の経過を紹介したいと思います。なお、私はまったくの素人で、間違っているところも多いと思いますので、そのつもりで見て下さい。

ケバエ科にもいろいろな属がありますが、Bibio属であることは後述する前脚脛節末端に2本の棘があることから確かめられます。そこで、Bibio属について調べてきます。

イメージ 3

これはBibio属の検索表のうち、Bibio flavihalterに至る部分を抜粋したものです。なお、原文は英語で、私のつたない語学力で翻訳していますので、間違っているところもあるかと思います。ご容赦ください。なお、上記の論文で、秋に発生するケブカ科Bibio属としては、B. flavihalter(10-11月)の他、B. gracilipalpus(10-12月)、B. metaclavipes(11月)、B. montanus(9月)がいますので、それらとの関連も示していくつもりです。

さて、上記の検索表を順に調べていきます。それに関連する写真を載せます。

イメージ 4

まず、全体写真からです。この写真から、体長は9.4mm、前翅長は8.9mmであることが分かります。頭の部分が下に曲がっているので、体長はもう少し大きいかもしれません。

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

まず、検索表の①は前脚脛節の刺についてですが、Fig. 3ともう少し拡大したものがFig. 4に載せてあります。先端が鋭いことが分かります。先端も拡大すると丸くなるのですが、もっと丸い種類がいるので、比較の問題ですね。とりあえず、②に進みます。翅のr-m横脈とRs脈の基部の部分の長さの比較ですが、Fig. 5の矢印の部分を見るとほぼ等しいことが分かります。ということで③に進みます。③'は前脚脛節の内側の刺が外側の刺より短いということで、Fig. 3あるいは4を見ると明らかですね。この条件で、B. maetaclavipesは候補から除外できます。

次は㉙に飛びますが、㉙aは②と同じです。㉙bはFig. 1を見ると、脚で赤褐色なのは腿節と脛節なので、㉚に進みます。㉚aは翅の色ですが、翅は茶色を帯びていますが、ほぼ透明に近い感じです。また、前脚脛節の内側の刺は外側のものの1/2以下であることはFig. 3あるいは4を見るとすぐに分かります。それで、㉛に飛びます。

㉛は♂か♀かというので、♀を選びます。㊲は口肢に関するもので、Fig. 3を見てください。長い口肢が見えます。この末端節の長さと触角鞭節の4−5節の長さを比較しています。この写真で実測すると、口肢末端節の長さは396ピクセルと389ピクセルで、鞭節の初めの4節と5節の長さはそれぞれ305ピクセルと372ピクセルでした。まあまあ合っていることになります。とにかく口肢末端節が長いということを言っているのでしょう。この条件で、B. montanusを除外できます。

最後は胸部の色と平均棍の色ですが、Fig. 1とFig. 6を見ると、胸部は赤褐色、平均棍は薄い茶色です。平均棍が黄色なのかどうかは迷うところなのですが、対立する項目が平均棍のこぶの部分が茶色あるいは黒なので、まあ黄色でよいのでしょう。この条件で、B. gracilipalpusを除外できます。ということで、最終的にB. flavihalterにたどり着きました。なお、flavihalterという学名のflaviは黄色を意味し、halterは平均棍を意味します。従って、最後の性質を示したものですね。また、Bi. flavihalterは「原色昆虫大図鑑III」ではウスイロアシブトケバエという和名で載っています。

ついでに撮った写真も載せておきます。

イメージ 9

これは腹側からの写真です。腹部は背側から見ると黒いのですが、腹側はやや茶色を帯びています。

イメージ 10

腹部末端の写真です。

イメージ 11

口肢末端節の拡大写真です。ずいぶん毛がいっぱい生えていますね。

最後に感想なのですが、ウスイロアシブトケバエは翅と前脚脛節の刺、それに、口肢を見ると分かるので、検索は比較的容易でした。ただ、上記論文には♀の体長が7.4mm、前翅長は9mmと出ています。前翅長はほぼ合っているのですが、体長がだいぶ違うので、ちょっと心配しています。それでもう1匹♀を採集してきたのですが、ほぼ今回と同じ大きさでした。変異の範囲なのか、それとも別種なのかはよく分かりません。

この記事に

閉じる コメント(2)

顔アイコン

双翅はハイアマチュアや専門家じゃないと、まともな同定ができないのは、未記載種が多く分類が確定されていないものが多いからというのもあるんで、なかなか断定できませんよね。 削除

2014/11/20(木) 午後 10:36 [ 通りすがり ] 返信する

顔アイコン

なんとか♂が見つかると、交尾器で分かるだろうとは思うのですが、いざ探そうとするとなかなか見つかりませんね。今日は壁にいっぱい小バエが集まってきました。昨年調べてキモグリバエかなと思ったのですが、これも難しい種でしょうね。

2014/11/21(金) 午後 7:50 [ 廊下のむし ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事