廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第458弾

寒い日が続いています。こんな日は昆虫豊富な我がマンションもさすがに虫はほとんどいません。そういう意味では虫の名前調べは楽なはずなのですが、実は、昨日からハナアブで悩まされています。といっても、名前調べにですが・・・。

昨日、廊下にこんなハナアブが止まっていました。

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寒いのか壁に止まってじっとしています。腹部の模様がちょっと変わっていたので、早速、捕まえてきました。体長13.5mm。かなり大きなハナアブです。

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こんな模様です。ちょっと勾玉のような感じのする模様ですね。早速、大石久志氏の「ルーペで調べる身近な縞模様のハナアブの見分け方(1)〜(7)」、昆虫と自然 (1996)〜(2000)の検索表を使って調べてみました。すると、それほど苦労せずにラップホシヒラタアブ Lapposyrphus lapponicusという種にたどり着きました。確かに、検索表に書かれたイラストと腹部の模様はよく似ています。

この種は「原色昆虫大図鑑III」と「学研生物図鑑 昆虫III」には出ていません。やっと、「札幌の昆虫」(北大出版、2006)に出ていました。ただ、説明は、「6〜10月出現、体長9.5-12.5mm、山地。複眼に毛がない、翅のR4+5脈はやや強く下方にふくれる」だけが載っていました。大石氏の検索表では、さらに、「口の周りは黒色、後腿節はほとんど黒色」と書かれています。ハナアブの世界というサイトには詳細なハナアブの写真図鑑が掲載されていますが、ラップホシヒラタアブとした種と腹部の模様は大変よく似ています。ただ、分布がどうやら北海道だけのようです。

ここから悩み始めました。検索が間違っているのだろうかと思って何度も見直したのですが、間違いそうなところは、R4+5脈が明瞭に曲がっているかどうかというところです。そこで、翅を詳しく見てみます。

イメージ 3

翅脈の名前の付け方を「原色昆虫大図鑑III」風にしたのですが、ネット上のサイトや論文に出ている名称とは若干違います。ちょっと心配になってきたので、そちらの方の名前も載せておきます。

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両者の違いは、上の図ではvena spuria、下の図ではCuPと書いた部分です。「大図鑑」ではこの脈を擬脈と解釈しているので、名前の付け方が変わってきたのです。さて、「R4+5脈は明瞭に曲がる」というのは矢印で示した部分を指しています。この部分の曲がり方はhome of Flower Flies (Syrphidae)というサイトの標本写真ともよく合っている感じなのですが、仮に、この曲がり方が明瞭ではなくて、かすかに曲がると解釈すると、検索表で次のネックになるのは「複眼に毛があるか、ないか」という点になります。

イメージ 5

顔面の写真から、複眼にはまばらに毛が生えていることが分かります。これを生えていると解釈すると、検索表で行き着く先はコマバムツホシヒラタアブになります。この種は腹部の左右の紋がくっついていてかなり違います。一方、「複眼に毛がない」と解釈すると、今度はEupeodes属のフタホシヒラタアブ、あるいは、ナミホシヒラタアブにたどり着きます。しかし、フタホシとは顔面の模様と体長が、ナミホシとは腹部の模様と脚の黒色部分が異なります。

さらに、先ほどのサイトの説明を読むと、Eupeodes属とLapposyrphus属との一番大きな違いは、後者では後胸腹板(metasternum)に毛がないことだと書かれています。でも、この後胸腹板がよく分かりません。

イメージ 6

それらしい部分を斜め横から撮影したものです。右の方に伸びているのが後脚です。この後脚のついている部分が後脚腹板かなと思って見てみると、上の写真のように確かに毛はありません。でも、ちょっとよく分かりません。

先ほどのサイトハナアブの世界には標本写真も載っているので比較してみると、ラップホシヒラタアブと今回の個体の脚の黒い場所はよく似ています。

イメージ 7

上の写真の赤い矢印で示した場所が黒い部分です。これらのことからラップホシヒラタアブで良いのだろうと思っているのですが、ちょっともやもやで終わっています。(追記:ついでに口の写真も撮ったので、載せておきます。

イメージ 10

検索表には「口の周りは黒色」と書かれていました。この個体では黒っぽくはありますが、黒というわけではありませんでした
)(追記:通りすがりさんから、「これはやはりコマバムツボシヒラタアブだと思います。昔は夏に山でしか得られない珍種だと思われていたそうですが、暑い時期には山に、寒くなると平地に移動するヒラタアブで、長野では夏から秋が深まる頃まで最も普通に見られるヒラタアブです。」とのコメントをいただきました。いろいろと努力したのですが、結局、普通種のコマバムツボシヒラタアブだったようです

ついでに他の虫も出しておきます。この日は蛾はまったくいませんでした。

イメージ 8

いたのはこんなキノコバエ?と、

イメージ 9

それに、コカニグモでした。いよいよ「廊下のむし探検」も冬の季節になってしまったようです。

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あ、口器の周辺も検索表にありましたか。
ラップホシヒラタアブは周辺も黒いので、正面から見た時に顔面下部が黒く見える様ですね。
これはやはりコマバムツボシヒラタアブだと思います。
昔は夏に山でしか得られない珍種だと思われていたそうですが、暑い時期には山に、寒くなると平地に移動するヒラタアブで、長野では夏から秋が深まる頃まで最も普通に見られるヒラタアブです。
勿論、生態の分かった今では普通種の1つで、フタホシやナミホシより大きくて目立ちますね。 削除

2014/12/19(金) 午後 8:15 [ 通りすがり ] 返信する

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そうなんですか、コマバムツボシヒラタアブですか。ネットで画像検索すると、確かに腹部の模様が似た種ばかりが出てきますね。あぁ、昨日と今日の私の努力は何だったんだろう・・・。

2014/12/19(金) 午後 8:51 [ 廊下のむし ] 返信する

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でも、そうやって努力するとよく覚える上に、他種の時に経験を活かせるので一度はやっておくべき作業ですよね。

翅脈の曲がり方ですが、比較してみるとやはりコマバムツボシヒラタアブのほうが曲がり方が緩やかで浅いという表現になります。
難易度の高い間違い探しみたいですね。 削除

2014/12/20(土) 午前 0:25 [ 通りすがり ] 返信する

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励ましていただき、どうも有難うございました。検索を何度もやったので、確かに、ハナアブの検索が少し気楽になりました。でも、検索はなかなか難しいものですね。実感しました。

2014/12/20(土) 午後 7:28 [ 廊下のむし ] 返信する

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