廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第467弾

昨日の午後の「廊下のむし探検」の結果ですが、この日はえっと思うような、びっくりするような虫がいました。

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こんな虫です。撮影した時は、ほとんど100%疑いもなく、クモだろうと思って簡単に撮影してしまいました。でも、家に戻ってから写真を眺めてみると、どうも脚の数が足りません。6本脚なので昆虫だろうか。

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そういえば口の辺りがクモとは全く違いますし、眼も複眼のようです(クモは単眼)。「原色昆虫大図鑑」の図版をぱらぱら探してみたのですが、こんな奇妙な昆虫は見当たりません。と、その時、平均棍の存在に気が付きました。これはひょっとしてハエ目。もう一度図鑑を見なおして、クモバエなんか似ているかなと思ったのですが、やはり違います。それで、「クモのような虫」とかなんとかキーワードを入れて画像検索をしてみると、やっと見つかりました。クモガタガガンボの仲間のようです。よく雪の上を歩いているという、あのガガンボです。びっくりしました。

ちょっと文献を調べてみました。こんな解説がありました。

J. R. Schrock, Univ. Kansas Sci. Bull. , 38(2), 3 (1992).(ここからpdfがダウンロード可能)

ちょっと冗長な文章なのですが、やさしく書いてあります。

これによると、ガガンボの仲間ですが、翅はなく、また、胸背にあるV字の溝もありません。寒い冬に対応して、体液にグリセリンが入っていて、-6度くらいまでは活動できるようです。10-11月や2-3月の午後遅く、雪の上を探すと見つかるということですが、古木の下、ネズミの巣、枯れ葉の下などを探しても見つかるそうです。寿命は普通のガガンボが1週間から10日ほどなのですが、これは長生きで2ヶ月くらい生きるようです。なぜ、雪の上を歩くのかというと、少しでも活動域を広げて、別の遺伝子を持つ個体を探すためではないかということです。

なぜ、冬にだけ活動するのかというと、クモ、トンボ、アリ、カエル、サンショウウオなど多くの虫を食べる動物がいなくなるか、冬眠し、天敵の鳥も渡ってしまうからだろうと思われています。でも、冬に何を食べてるの、この質問には誰も答えられないとのことです。卵は8日から3週間で孵化し、夏は幼虫で過ごし、秋に蛹になり、冬に脱皮します。冬は寒いといっても、地表近くは意外に暖かく、気温が-2から-23度まで変化しても、地面近くは-1から+3度の範囲でしか変わらなかったというデータもあるそうです。

さて、「日本産水生昆虫」によると、分類的にはガガンボ科ヒメガガンボ亜科ホシヒメガガンボ族クモガタガガンボ(Chionea)属に属しています。九大の昆虫学データベースによると、Chionea属には3種登録されています。

カネノクモガタガガンボ Chionea kanenoi Sasakawa 北海道、本州
ニッポンクモガタガガンボ Chionea nipponica Alexander 北海道、本州
チビクモガタガガンボ Chionea gracilistyla Alexander 本州

このうち、C. kanenoiとC. gracilistylaについては、韓国の方の論文で検索表が出ていました。

S. Suh et al., Entomol. Res. 44, 86 (2014).

これでは、1. 脛節は先に行くほど太くなっていないこと、さらに、2. 触角の節数が7ならばC. gracilistyla、11ならばC. kanenoiということです。触角の節数はこの写真でははっきり分かりませんが、少なくとも7よりは多いので、C. kanenoiの方になります。残念ながら、C. nipponicaについては分からないので、このどちらかというところでストップです。

次はチャタテです。

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こんなチャタテです。翅脈がはっきり写っていたので、なんとかなるかなと思ったのですが、富田氏の検索表(1991)は翅だけの検索ではないので手が出せません。止むを得ず、田中氏の「屋内害虫の同定法 (5)チャタテムシ目」(2003)(ここからダウンロード可能)の検索表で検索してみました。これは何とかなって、ヒメチャタテあるいはカシヒメチャタテにたどり着きました。でも、ネット調べた外観はカシヒメチャタテはだいぶ違うようです。これもこの辺りでストップです。どれも途中で止まってしまいますね。(追記2015/12/26:翅脈はヒメチャタテとよく似ていますが、ケチャタテの方ではないかと疑っています

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蛾はこの2種。上はウスモンフユシャク、下はよく分かりませんが、クロチャマダラキリガではないかと思います。

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それにいつものヒメバチ。

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そして、これもいつもの小バエたちです。一番下の写真の個体は採集してきて、先ほど検索してみました。初めシマバエかなと思ったのですが、後単眼剛毛がほぼ平行なので、ヤチバエのようです。ホントかな?(追記:「原色昆虫大図鑑」の検索表でもう一度調べ直してみました。小さい覆弁が1枚だけあるのですが、これをあるとするのか、無い、あるいは、発達していないとするのかが判定できませんでした。小さな覆弁が1枚しかないので、覆弁は無いとして無弁翅類にすると、検索の結果はシマバエ科になりました。ヤチバエとシマバエの違いは、シマバエの後単眼剛毛は収斂し、交差することもあるのですが、ヤチバエなどでは平行、離反、または欠如するという点です。さらに、ヤチバエなどのCu融合脈はほとんど、あるいは完全に翅縁まで達しますが、シマバエは翅縁よりはるか手前で終わるということです。このハエでは、後単眼剛毛はほぼ平行なのですが、先端が内向きに向いています。また、Cu融合脈は短くて翅縁には全く達していないので、シマバエ科かなということになりました。有弁翅類だとすると、ヒメイエバエ科かイエバエ科あたりになるのですが、どうも違うようです。やはりシマバエ科のような気がします。ハエの検索は難しいですね)(追記:田中和夫氏の「屋内害虫の同定法(2)双翅目の科の検索表」、家屋害虫 22, 95 (2000)(こちらからダウンロード可能)をパラパラ見ていたら、シマバエ科の翅の基部にある小さな覆弁のことを上覆弁と書いてありました。「原色昆虫大図鑑」によると、上覆弁は端覆弁のことのようです。つまり、無弁翅類とは覆弁がないという意味ではなく、「基覆弁の発達が悪いかこれを欠く」種という意味でした)(追記:上から2番目の写真のハエはノミバエ科Megaselia属Aphiochaeta亜属のようです)(追記:覆弁が1枚は無弁翅類で間違いないと思われます

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これはササグモ

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これは何だか分かりませんが、以前、ナミハグモといった種に似ています。よく分かりませんが・・・。

冬は虫がいないかなと思ったのに、こんなにたくさん虫がいるのです。冬でも暇になりそうにないですね。

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クモガタガガンボとは面白いものを見付けましたね。
こういう変わり者を見付けたいんですが、出会いがめぐってきません。

こちらはウスバフユシャク以外はマエアカスカシノメイガのみ…風が強くて活動する虫も少ないんでしょう。
風避けにマンションに来るものも多そうですね。 削除

2015/1/8(木) 午後 11:45 [ 通りすがり ] 返信する

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私も驚きました。こんな変わった格好の虫は初めてです。ネットで見て雪の上でしか見つからないのではと思っていましたが、マンションにもやってくるのですね。そういえば、最近はちょこちょこ雪も降りますが・・・。昨日もちょこっと探しに行ったのですが、もういませんでした。

冬場は風と寒さを避けるために、マンションには越冬組がつぎつぎ集まってくるみたいですね。といっても、小さなハエが多いのですが・・・。それにしてもフユシャク亜科が少ない・・・。

2015/1/9(金) 午前 6:39 [ 廊下のむし ] 返信する

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すごいですえぇ。 クモガタガガンボ。
何を食べているか、わからないーー何も食べていないのでは?
とにかくこれにはびっくり。
珍しいものをありがとうございました。

2015/1/10(土) 午前 7:23 [ - ] 返信する

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私もびっくりしました。こんな虫がいるのですね。しかも、ガガンボだとは・・・。

2015/1/10(土) 午後 7:50 [ 廊下のむし ] 返信する

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