廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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また、小さなハエを調べてみました。あまり興味のある人はいないとは思いますが、自分の記録のためだと思って出しておきます。今回はフンコバエ科という科に属するハエです。

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先日、こんな小バエが廊下の壁に止まっていました。検索表で調べてみた結果、フンコバエ科に属することが分かりました。ネットで調べてみると、いくつかのサイトでマダラオオフンコバエ Crumomyia annulusと称しているハエとよく似ています。本当にそうなのかちょっと気になったので調べてみました。

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これは横から見た写真ですが、体全体がツヤのある黒です。脚は黄褐色で黒い帯状の模様があるのが分かります。体長は3.7mmでした。

「原色昆虫大図鑑III」のハエ目の検索表を使って調べてみます。まず、触角が短い短角亜目であることは上の写真を見れば分かるので、そこから先を調べてみました。なお、いつも言うのですが、素人がやっていることなので、間違っているところが多いと思います。そのつもりで見て下さいね。

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これは検索表のうち、フンコバエ科に至る項目の抜粋です。さらに、メバエ科やシュモクバエ科など特別な科だけを除外する項目を青色で書いています。これらは実際には確かめていきましたが、特殊な項目が多いので今回は省略しておきます。残りの部分を確かめていきます。

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まず、項目43の額囊類かどうかは上の写真を見てください。項目に関係する部分は黒い矢印と番号で示してあります。額囊溝ははっきりしていて半月板も見えるので、次の72に進みます。

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項目72は翅の基部に弁と呼ばれる膜状の構造が発達しているかどうかについてです。Fig. 2には基覆弁と思われる小さな膜状構造が見られますが、発達していないので、無弁翅類だと思われます。それで82以下に進みます。途中を飛ばして最後の87を調べてみます。これは重要な項目で、これでフンコバエ科かどうかが分かります。(追記:田中和夫氏の「屋内害虫の同定法(2)双翅目の科の検索表」、家屋害虫 22, 95 (2000)(こちらからダウンロード可能)をパラパラ見ていたら、シマバエ科の翅の基部にある小さな覆弁のことを上覆弁と書いてありました。「原色昆虫大図鑑」によると、上覆弁は端覆弁のことのようです。上の図で基覆弁と書いた部分は端覆弁と書くべきでした。つまり、無弁翅類は覆弁がないというわけではなく、「基覆弁の発達が悪いかこれを欠く」という意味でした

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87の最初の項目は後脚の跗節第1小節が肥大しているかどうかですが、Fig. 4で分かるように肥大しています。さらに、第2小節の長さより短いことも分かります。次は翅脈に関するものです。

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この写真で分かるように、Sc脈は途中で途切れていて不完全です。また、M3+4脈も途中で途切れています。このことからフンコバエ科であることは確かそうです。

次にマダラオオフンコバエの属するCrumomyia属に属するかどうかを調べてみました。このために、Manual of Nearctic Diptera, vol. 2(ここからpdfをダウンロード可能)というカナダで出されている本を利用してみました。この本の中にフンコバエ科Sphaeroceridaeの属への検索表も載っていて、しかも、カナダでもマダラオオフンコバエ Crumomyia annulusが記録されているようなので好都合です。ただし、原文が英語なので、私の拙い英語で訳してみました。訳が間違っているかもしれませんが、あしからず。

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これも長い表なのですが、Crumonyia属に関するところだけ抜書きしてみました。また、この表に関連するものについては図に赤い矢印で示してあります。まず、項目1は翅があり、平均棍があるので、2に進みます。2は翅脈に関するものです。この本では翅脈の名称が「大図鑑」とは異なっているので、改めて翅脈の図を載せます。

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項目2のcup室とbm室はFig. 6のように閉じています。さらに、M脈は翅縁まで達しています。貯精嚢については分からないので、パスします。次の下前側板刺毛はFig. 3のように生えていません。それで、次に進みます。項目3もFig. 6のように、CuA1脈はdm-cu横脈からわずかに伸びているだけで、それも翅縁のすぐ近くです。これで3の最初の項目もOKです。

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次の中胸盾板はFig. 7を見ていただけると分かりますが、剛毛が生えています。また、小盾板の端にも刺毛が生えています。さらに、Fig. 3を見ると分かりますが、中胸上前側板には刺毛はありません。項目3の最後の項目の触角については次の拡大図を見てください。

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触角の第3節には長い刺毛があり、それは柔毛で覆われています。これで項目3はすべて確認できました。最後はCrumomyia属の性質を示す項目39です。最初の觀刺毛と鬚刺毛はFig. 2に示してありますが、生えている方向が違うので、写真では直接長さの比較はできません。でも、半分よりは長いようです。次の後頭部の毛がちょっと問題でした。

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これは頭部の後ろ側を拡大したものですが、複眼の後ろには後頭刺毛がいっぱい生えています。問題は次の後単眼刺毛に関する記述です。Fig. 9を見ると分かるのですが、後単眼刺毛らしきものはありません。あるのは単眼刺毛だけです。この部分がちょっと不安材料として残ってしまいました。次は中脚に関するものです。

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中脚の脛節背面には刺毛が何本も生えています。最後は翅の横脈上に帯模様が出ることですが、Fig. 6のように暗い模様がありました。というので、いつものように不安材料を抱えながら、Crumomyia属らしいことが分かりました。ここから先の種への検索表はなかったので、ここまでになります。でも、マダラオオフンコバエでよいのかもしれないなと思っています。

後は検索に使わなかった写真を載せます。

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この写真は後脚で跗節第1小節が太くなっているところを見せています。

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これは頭部を上から見たところです。半月板が中央にあります。

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最後はいつものように刺毛の名前をつけてみました。体が黒いと刺毛も黒いので、写真にはうまく写りません。それに刺毛がだいぶ折れてしまったところもあります。こういうのを補填しながら、長い刺毛の位置を黄色で示しました。名前は適当です。間違っているところもあると思います。

ハエが小さいと写真がなかなかうまく撮れないので、ちょっと苦労しました。でも、こうやってきちんと調べてみると、その科の特徴がよく分かるので、いい勉強になるなと思いました。

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こういう作業を繰り返していると、見るべきところを覚えられますね。
と言うより、やらなきゃ覚えられないですね。
できる様にしないとなあ…う〜ん… 削除

2015/1/8(木) 午後 11:56 [ 通りすがり ] 返信する

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一昨年の冬はカメラばかりを、昨年の冬は検索をかじってみたというところだったので、今年は何をしようかと思っていたのですが、結局、ハエの勉強になってしまいました(笑)。でも、始めてみると、ハエは変化が多くてなかなか面白いですね。それに、少しずつポイントも覚えていけるみたいですし。まだ、顔の写真がうまく撮れなかったり、剛毛には悩まされていますが・・・。

2015/1/9(金) 午前 6:34 [ 廊下のむし ] 返信する

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