廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

全体表示

[ リスト ]

廊下のむし探検 第470弾

毎日毎日ハエばかりやっていて、早くハエの呪縛から逃れたいものだと思っていたのですが、昨日も廊下を歩くとやはりハエかフユシャクくらいしかいませんね。仕方なく、今朝もハエを調べてみました。

イメージ 1

この日目立ったのはこのハエでした。写したときはミバエかなと思ったのですが、いろいろと図鑑を見ても載っていません。そういえば翅脈がミバエと少し違うなと思っていたら、「学研生物図鑑 昆虫III」には載っていました。シモフリシマバエというシマバエ科のハエみたいです。

イメージ 2

イメージ 3

この2匹は今年の正月に見たミバエです。上がクロホソスジハマダラミバエ、下はクチジロハススジハマダラミバエかなと思った種です。比べてみると、ちょっと止まり方も違いますね。でも、翅脈を見ると決定的に違っています。

イメージ 4

これはシモフリシマバエの翅を拡大したものです。実は、赤矢印の部分が違うのです。

イメージ 5

これはクロホソスジハマダラミバエらしい種の翅の基部を拡大したものです。翅の上の端を走る脈を前縁脈(C脈)といいますが、これが赤矢印の部分で3ヶ所途切れています。特に、Sc脈が前縁脈に達するところをSc切れ目と呼んでいます。このSc切れ目があることがミバエの特徴で、さらに、Sc脈が直角に近く曲がってSc切れ目に向かっています。これがもう一つの特徴です。

イメージ 6

これはもう1種の方のミバエですが、やはり同じ特徴があります。これに対して、シモフリシマバエは前縁脈に切れ目がなく、Sc脈もゆるやかに曲がっています。ここが決定的に違うのです。

ちょっと趣味的に、クチジロハススジハマダラミバエかなと思った種のSc切れ目の部分を拡大してみました。

イメージ 7

切れ目の片側には刺毛が生えています。切れ目というのは脈だけでなく、翅の一部も切れているみたいですね。(追記:昨日、こんな図も作っていたのですが、出しそびれてしまいました。せっかくだから、出しておきます。

イメージ 14

「絵解きで調べる昆虫」の検索表を使ったシマバエ科とミバエ科の見分け方です。いろいろと書いてありますが、要はSc切れ目があるかないかというのが一番大きな違いです。でも、こんなもの見なくても、外見で分かるでしょうけど・・・。それでも、検索の流れが分かりやすくなったかなと自分では悦に入っています。ついでに、「原色昆虫大図鑑」の検索表も図式化してみました。これはだいぶ複雑です。

イメージ 15


この図では途中で特殊な科を除外するためだけの項目は除いています。ミバエ科が三箇所に分かれて入っているので、ややこしいです。でも、Sc切れ目はミバエ科には必ず入っています。
確かに、クロホソスジハマダラミバエらしき個体を見ると、Sc脈が直角に曲がっているというわけではないので、右側の枝に行ってからミバエ科にたどり着きそうです。親切といえば親切ですねミバエが三箇所に分かれているのが、亜科か族の違いによるものだといいのですが、それについてはなんとも書かれていないので分かりません

イメージ 8

次はこのハエです。この間からたびたび見ているのですが、あまりに小さいので、名前はおろか科も分かりませんでした。昨日はこれも採集してきました。小さい小さいハエです。体長は2mmしかありません。「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表で検索してみました。翅が薄いのか翅をピンセットでつまむとピンセットにくっついてしまい、それでピンセットをちょっと振ったら、今度は床のどこかに落ちてしまい、探すのも大変。でも、一応、科までたどり着きました。ノミバエ科のようです。Manual of Nearctic Diptera Vol. 2を見てみると、まさに同じような翅脈が載っていました。

イメージ 9

その本に載っていた翅脈の名称です。従って、「原色昆虫大図鑑」とは違っているのではないかと思います。変わった翅脈ですね。ついでなので、ちょっと顔のアップです。

イメージ 13

小さいくせにごつい感じのハエですね。(追記:Ziramさんから、「Metopininae亜科(トゲナシアシノミバエ亜科)ではないかと思います。[おそらくMegaselia属あたり] 」というコメントをいただきました。「『触角上棘毛が斜下方に湾曲している』のは確認出来ますし、全身図では(見え方的に完全な保証までは出来ませんが)見るからに『脚の脛節に(2本棘の特徴的な)独立剛毛を有しない』と見られるのでMetopininae亜科かと思います(中胸側板が2区画に分かれていればほぼ確定です)。」だそうです。

さらに、「Megaselia属と判断した理由といたしましては、まずMetopininae亜科に属するハエの半分ほどを占めるのではないかと推測されている、そして後脚脛節の後背部に氈毛列(微細な毛の集まりから成る線)を持つように見られるの2点です。」とのことです。また、「Megaselia属は未記載種だらけの属する種類の多い属で、現状としては約1600種程度の記載がありますが(未記載種を含めると)その10倍前後いるのではないかと言われていますので、種まで分類するのは困難かと思います。」とのことです。

このコメントで紹介していただいた、金子ほか、衛生動物 12, 238 (1961)(ここからダウンロードできます)に載っている検索表を見ると、確かにMetopininae亜科に属するようです。さらに、後脚脛節の背部に氈毛列のようなものもかすかに見えます。こんな小さなノミバエでもいろいろなことが分かってくるものですね。本当にどうも有難うございました
)(追記:ついでに、金子ほか(1961)の図に従って、頭部の各部の名称を付けてみました。

イメージ 16

ごついごついとしか表現できなかった頭部の各部に名前が付けられるようになってちょっと嬉しいですね)(追記:Ziramさんに教えていただき、もう少し詳しく調べてみました。この種はトゲナシアシノミバエ亜科メガセリア属アフィオカエタ亜属に属するかもしれません。詳しくはこちらを御覧ください

イメージ 10

これも小さいのですが、これは採集しませんでした。左右の複眼がつながっている感じなので、たぶん、クロバネキノコバエ科(クロキノコバエ科)かなと思います。

イメージ 12

後はフユシャクです。これはウスモンフユシャクだろうと思います。

イメージ 11

最後のこのフユシャク。撮影した時は、いつものシロオビフユシャクだと思っていたのですが、帰ってからよく見ると、全体に黒いし、白い帯模様の曲がり方が鈍角になっている感じもします。ひょっとしたらクロバネフユシャクの方かもしれません。クロバネフユシャクは昨年も1月後半に見ました。(追記:通りすがりさんから、「フユシャクはクロバネフユシャクですね。シロオビフユシャクとは前翅前縁部が反ることで見分けられますが、確か翅脈の違いが翅形の違いとなっていた筈です。」というコメントをいただきました。これは分かりやすい見分け方です。私は「標準図鑑」に書いてあるように、白い外横線のR1脈上での屈曲の様子で見分けていたので、なかなか判断がつきませんでした。「標準図鑑」によると、分布は、はじめ東京付近の雑木林に限定されていたが、関東を中心に福島、静岡、愛知でも見られているとあります。ちょっとネットでも探してみたのですが、近畿にはまだ記録がないみたいです。大阪北部にある私のマンションでは昨年も見られていたので、こちらではすでに定着しているかもしれません

この記事に

閉じる コメント(11)

顔アイコン

シモフリシマバエ、見事な模様ですね。秋の木漏れ日か、アラビアのランプシェードか、見事な美しさで、つぎのミバエの模様、けっこうおしゃれなのに、かすんでしまいます。自然には参りますね

2015/1/14(水) 午後 5:03 [ あおやまはるま ] 返信する

顔アイコン

こんにちは、あおやまはるまさん。
昨日は何もいないだろうなと思って歩いてみたら、何かはいるものですね。普段はハエには見向きもしないのですが、冬になって何もいなくなると、ついハエを撮ってしまいますね。でも、それなりに綺麗なハエもいますね。

2015/1/14(水) 午後 5:57 [ 廊下のむし ] 返信する

顔アイコン

こんなシマバエやミバエなら見付けると嬉しいですよ。

フユシャクはクロバネフユシャクですね。
シロオビフユシャクとは前翅前縁部が反ることで見分けられますが、確か翅脈の違いが翅形の違いとなっていた筈です。 削除

2015/1/14(水) 午後 11:42 [ 通りすがり ] 返信する

顔アイコン

通りすがりさん、コメント有難うございました。

クロバネフユシャク、これは分かりやすい見分け方ですね。どうして図鑑には出ていないのでしょう。昨年は採集したので、ちょっと翅脈を調べてみます。図鑑やネットでみても、分布は関東が中心で、近畿の記録が見つかりませんね。昨年も見つけたので、こちらに進出してきたのかもしれません。

ハエも綺麗な種がいるのでそれはそれで良いのですが、早くハエ以外も見てみたい気がしてきました。でも、もう少し頑張れば、ハエにも慣れてくるかもしれません。蛾の時みたいに。

2015/1/15(木) 午前 7:31 [ 廊下のむし ] 返信する

顔アイコン

通りすがりに失礼いたします。

ノミバエ科の写真、Metopininae亜科(トゲナシアシノミバエ亜科)ではないかと思います。[おそらくMegaselia属あたり] (続く)

2015/1/28(水) 午前 2:26 [ - ] 返信する

顔アイコン

翅脈に関しては綺麗に見えているのでノミバエ科で間違いないと考えられます。

そして、顔の写真を見ると「触角上棘毛が斜下方に湾曲している」のは確認出来ますし、全身図では(見え方的に完全な保証までは出来ませんが)見るからに「脚の脛節に(2本棘の特徴的な)独立剛毛を有しない」と見られるのでMetopininae亜科かと思います。(中胸側板が2区画に分かれていればほぼ確定です) (属解説に続く)

2015/1/28(水) 午前 2:27 [ - ] 返信する

顔アイコン

Megaselia属と判断した理由といたしましては、まずMetopininae亜科に属するハエの半分ほどを占めるのではないかと推測されている、そして後脚脛節の後背部に氈毛列(微細な毛の集まりから成る線)を持つように見られるの2点です。

「Metopininae」・「Megaselia」で検索したり、若干古いですが「衛生動物 金子(1961)」を確認したりして頂ければ似たようなハエに出会えるかと思います。[衛生動物 金子(1961)のPDFの2ページ目に中胸側板やMetopininae亜科の独立剛毛のスケッチもあるので参考になればどうぞ]

2015/1/28(水) 午前 2:29 [ - ] 返信する

顔アイコン

[最後に]
Megaselia属は未記載種だらけの属する種類の多い属で、現状としては約1600種程度の記載がありますが(未記載種を含めると)その10倍前後いるのではないかと言われていますので、種まで分類するのは困難かと思います。オオキモンノミバエ(Megaselia spiracularis)やクサビノミバエ(Megaselia scalaris)のような衛生害虫で知られている種なら同定も出来そうですが、色味も違いますので「この種だ!」と確定は出来ない可能性が高いです。

2015/1/28(水) 午前 2:30 [ - ] 返信する

顔アイコン

Ziramさん、はじめまして。

ノミバエに関する貴重なご意見と情報を有難うございました。大変勉強になりました。金子ほか、衛生動物 12, 238 (1961)も読ませていただきました。この論文の亜科への検索表を見る限り、仰るようにMetopininae亜科でよさそうです。

1/23日に違う色をしたノミバエの写真も載せました。

http://blogs.yahoo.co.jp/fushionotori1/54728462.html

こちらは側面や脚の写真も撮ってあるのですが、これもMetopininae亜科に属するようです。さらに、後脚脛節背面に剛毛列があり、中胸側板上には毛がないので、この亜科が論文にあるように2属だけであれば、Megaselia(Megaselia)属に属するかもしれません。小さいノミバエでもいろいろなことが分かってくるとたいへん面白いです。どうも有難うございました。

2015/1/28(水) 午後 0:00 [ 廊下のむし ] 返信する

[追記を見まして、若干の補足を]
学術誌「衛生動物」に載せられた金子ほか(1961)の論文は日本のノミバエ関連記載の中でも初期頃の論文だったはずです。事実、昔、私がまだノミバエ関連の世界に片足を突っ込んでいた頃には(名前が付いている・付いていないは別として)日本国内で少なくとも30〜40種程度はMegaseliaに属する種が確認されていたように記憶しています。前回も言いましたが、まだまだ調査の進んでいない属なので場合によっては新種である可能性もあります。こう言う所からでも身近な虫たちに興味を持って頂ければ幸いです。

2015/1/28(水) 午後 10:19 [ - ] 返信する

顔アイコン

Ziramさん、たびたびコメントを有り難うございます。

ハエ自体が難しいのですが、ノミバエはさらに難しそうな仲間ですね。でも、ノミバエ科だということが分かっただけでもちょっと嬉しくなりました。これからも少しずつ調べていきますので、今後ともよろしくお願い致します。

とりあえず、最近見た2種の顕微鏡写真を載せてみました。また、ご意見をいただけると幸いです。

http://blogs.yahoo.co.jp/fushionotori1/54737668.html

2015/1/29(木) 午後 5:25 [ 廊下のむし ] 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事