廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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この間からハエをいろいろと調べてきたのですが、ついでだからいろいろな科のハエの写真を撮っておこうと思って、捕まえたら顕微鏡で撮影しています。今日は一昨日捕まえたハナバエ科らしいハエについてです。

イメージ 1

対象とするのはこんなハエです。いかにもハエらしいハエで、あまり撮影意欲が湧かないのですが、それでもハナバエ科の写真は撮ったことがなかったので撮ってみました。体長は5.5mm、前翅長は5.0mmの小型のハエです。

どの部分の写真を撮ればよいのか分からないので、科の検索表に沿って撮っていくことにしました。検索表は「原色昆虫大図鑑III」にも出ていますが、今日は次の論文を使ってみました。

田中和夫、「屋内害虫の同走法 : (2)双翅目の科の検索表」、家屋害虫 22, 95 (2000).(こちらからダウンロード可能)

この中の検索表は、ポイントになるところにはすべて詳細な図が描かれていて、大変わかりやすく書かれています。ハナバエ科に至る部分を抜き出して書いてみると次のようになります。

イメージ 11

これはハナバエ科の中でもハナバエ亜科の部分です。どうやらこれに該当するようです。ちなみに「大図鑑」の検索表では次のようになります。(追記:中胸亜基節のところが間違っていました。訂正しておきました

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それではいつものように必要な部分の写真を載せていきます。なお、素人がやっているので、間違っているところも多いと思いますのでそのつもりで見てください。

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まず、これは有弁翅類という基覆弁が発達したグループの検索です。この図をみると、端覆弁と基覆弁が重なって見えていますので、確かに有弁翅類です。有弁翅類の特徴は、「大図鑑」の検索表には詳しいのですが、翅下瘤があり、触角梗節の背面に明瞭な縫線が走るという点です。前者は上の図に示してありますが、楕円形の瘤が見えます。なお、田中氏の論文には翅下隆起と書いてありましたが、「大図鑑」には翅下瘤となっていました。その他、「大図鑑」と名称が異なっていたものは( )内に書いてあります。

触角梗節の縫線は後でお見せすることにして、次に進みます。次は中脚の副基節に刺毛がないことですが、図の中副基節がそれに該当しています。ここには確かに刺毛はありません。次の亜小盾板と小盾板裏側の毛については次の写真を見てください。(追記:実は、『中副基節』なのか、『中基副節』なのかよく分からなくなりました。「原色原色大図鑑III」のハエ目第3図には前者が、第4図には後者が使われています。どちらも英語ではmid meronで同じなのですが・・・。本文と検索表では中脚の副基節となっていました。おそらく、中副基節が合っているのでしょうね。とりあえず訂正しておきます

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これは非常にうまく写真が撮れたと思って満足しているのですが、小盾板の下に小さい亜小盾板が見えます。また、小盾板の裏側に微毛が生えています。これがハナバエ科の中のハナバエ亜科の特徴です。

次は翅脈に関してです。

イメージ 4

いたって普通の翅脈です。この科の特徴はCuA+CuPと書いてあるCu融合脈が翅縁まで達している点です。これでイエバエ科とは区別できます。次の基覆弁については、Fig.1を見ると分かりますが、端覆弁とほぼ同じ大きさです。内額刺毛については後で写真を載せますが、どれを指しているかよく分かりませんでした。これは♀についての項目かもしれません。

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次の後肢脛節はこれを見ると分かりますが、脛節の背側中央部に剛毛が何本か生えています。最後の項目、「特徴の少ないハエ」を見て、ちょっとがくっと来ました。そうですよね。

後はついでに撮った写真を載せておきます。

イメージ 6

これは額の部分の拡大写真です。鬚剛毛や口器が見えます。両複眼の間が狭いのでこれは♂の方ですね。でも、ハナバエ科の中には、♂でも複眼間の距離が長いものもいるので要注意です。

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これは触角を拡大したものです。矢印で触角梗節にある縫線らしいものを示しています。

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翅の基部の写真です。ほぼ同じ大きさの端覆弁と基覆弁が見えています。

イメージ 9

これは腹部です。毛がいっぱい生えていますね。後腿節の剛毛は途中からですね。脛節の剛毛は結構規則正しく生えているようです。

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最後はいつものように、「大図鑑」の図を見ながら刺毛の名称を記入してみました。体が小さいわりには刺毛の多いハエです。ついでに、翅の部分を見ると、前縁脈に切れ目のある部分で翅が折れ曲がっていることが分かります。切れ目は折り目のためについているみたいですね。

イメージ 13

これは側面です。やはり毛が多いです。これで一応、ハナバエ科の特徴はおさえられたかなと思いますが、これから先の属の検索はかなり大変です。(追記:図の刺毛の名称が一部間違っていたので訂正しておきました。翅後刺毛→翅背刺毛

M. Suwa, "ANTHOMYIIDAE OF JAPAN (DIPTERA)", Insecta Matsumurana. Series Entomology. New series 4, 1 (1974). (こちらからダウンロード可能)

この論文とその後の1から7までのSupplementに日本産のハナバエ科については詳しく載っていますが、内容の理解できないところが随所にあって、ちょっと行き詰っています。もう少し頑張ってみます。

追記:上の写真は顕微鏡を使って、焦点位置を少しずつ変えていって合計30-70枚ほど撮った写真を、深度合成という方法を用いて合成しています。胸部側面のようにもともと平面的なものはこれでうまく表現できるのですが、顔写真のように大きさが小さくて、しかも、奥行きのあるものは実体顕微鏡写真では顔の周辺が乱れてしまってなかなかうまく表現できません。それで、生物顕微鏡を使っているのですが、対物鏡10倍だと顔をはみ出してしまって、どこを撮っているのか分からなくなり、対物鏡5倍にすると、なぜか全体に白くなってコントラストが極端に悪くなります。迷光が入っているのですね。いろいろと改良しなくてはいけないですね

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