廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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今日は寒かったですね。とても外へ出る元気はなくて、先日から宿題になっていたタマバエ科の顕微鏡写真を撮ってみました。なんせ小さくて、か弱いので扱うのが大変。

Wikipediaによると、タマバエは1-3mmほど大きさの外部寄生性のハエで、植物に虫こぶを作ったり、ハチ目に寄生したりするそうです。英語ではgall midgesとか、gall gnatsとか呼ばれていて、gallは虫こぶ、midgesやgnatsは小さいブヨのような虫を指しています。

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私がこの間見たタマバエ科はこのような格好の虫で、体長はわずか2.8mmでした。先日、採集したものが毒瓶に入れっぱなしだったので、実体顕微鏡で写してみました。

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拡大してみると、腹部が橙、脚の跗節が黒など、色がはっきりしていて、意外に綺麗です。これがタマバエ科であることは簡単な検索で分かります。

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これは「原色昆虫大図鑑III」の検索表のうち、必要な部分を抜粋したものです。触角が糸状の糸角亜目のうち、ガガンボ類でないもので、項目の13、14、15を満足したらタマバエ科のLestremiinae亜科になります。これを写真で確かめてみましょう(なお、ハエについては素人なので、そのつもりで見てください)。まず、翅の写真を見てみます。

イメージ 5

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上は翅全体の写真、下はその一部を拡大したものです。まず、項目13についてですが、前縁脈は翅の前縁を走る脈のことですが、これが翅を一周することを確かめます。上の写真でも分からないことはないのですが、ちょっと分かりにくいので、透過照明で撮影してみました。

イメージ 7

生物顕微鏡の5倍の対物レンズで撮影したら端がはみ出してしまいました。それでも、翅の周囲を黒い脈が走っていることが分かりますね。これが前縁脈です。前縁脈はR4+5脈が翅端に達するところまでは太いのですが、それから先は細くなっています。また、厳密にいうと完全に一周しているわけでなく、一か所切れ目が入っています。(追記:記述が間違っていました。正しくは、「前縁脈はM1脈が翅縁に達するところまでは太いのですが・・・」

イメージ 8

太かった前縁脈が細くなる境目の部分に矢印のように切れ目が入っています。(追記:記述が間違っていました。前縁脈が太いのはM1脈付近まででした。従って、ここは、「太い前縁脈がR4+5脈を過ぎたところで矢印のように切れ目が入っています。」というのが正しいです

次の項目14については、Fig. 1に示すように、第2跗小節の方が第1跗小節よりはだいぶ短くなっています。さらに、項目15については次の写真を見てください。

イメージ 9

この写真は頭頂部を写したものですが、確かに単眼があります。しかも、2つだけ。さらに、左右の複眼は長く伸びて中央で互いに接しています。手前の薄い橙色のビーズのようなものが重なっているのは触角の柄節と梗節です。ずいぶん変わった形ですね。でも、これでタマバエ科Lestremiinae亜科になりました。

これから先は、Manual of Nearctic Diptera Vol. 1(MND)(ここからダウンロードできます)に載っている検索表を利用しました。

イメージ 10

原文は英語で、適当に訳していますので、間違っているかもしれません。最初の項目のうち、単眼と跗節に関してはすでに調べました。次のM1+2脈はFig. 3に書き入れています。3番めの項目は有翅でOK、6番目もFig. 3を見るとすぐに分かります。いい忘れましたが、翅脈の名称はMND Vol. 1によっています。項目8のR5脈はR4+5脈のことだと思いますが、翅の2/3以上の長さはあります。触角については次の写真を見て下さい。

イメージ 11

鞭節は第3節以降ですが、6節よりは多くて、各節は幅よりは長そうです。最後の脛節末端の棘は写し忘れたのですが、Fig. 2を見る限りはなさそうです。項目9は微妙ですが、Fig. 4の拡大図を見て下さい。Rs脈とr-m横脈は共に短くて、どちらが圧倒的に長いということはなさそうです。また、M3脈は独立しています。最後の項目9は、M脈についてですが、分岐する前の長さと分岐してからの長さを見ると、分岐してからの方が長いので、これもOKです。さらに、単眼は2つです。ということで、Lestremiini族になりました。これから先は属の検索になるのですが、各属に属する種数が少ないものもあって、どこまで汎用性があるのか分からないので、ここで止めておきます。やはり、日本産の検索表が欲しいですね。

後はついでに撮影した写真です。実はMNDには触角の各節に感覚子という奇妙な形のセンサーがついている絵が載っているのですが、これを写せないかと苦労しました。

イメージ 12

これは生物顕微鏡10倍の透過照明で撮影したものです。照明をいろいろと変えてみたり、倍率変えてみたりしたのですが、結局、20倍で透過照明にして深度合成したものが一番良かったようです。

イメージ 13

この写真では、触角各節に長い刺毛と共に、短い不規則な形の感覚子らしいものが写っています。これがセンサーなのですね。それにしても、これを撮るのに半日かかってしまいました。(追記:英語のsensoriaを感覚子と訳したのですが、合っているかどうか分かりません。タマバエの属の検索をしていると、digitate sensoria(指状の感覚子)やU字型のsensoriaなどがあるかという項目があって、どういうものか気になっていました)(追記:ネットで調べると、sensoriaの訳として適当かどうか分かりませんが、感覚子という単語は使われているみたいです

イメージ 14

最後は交尾器です。これはおそらく♀の方でしょうね。触角に時間を取られてしまって、あまり綺麗に写っていませんが・・・。

タマバエは小さいので、扱うのも写すのも結構大変でした。それでも、特徴はだいたい掴めたのではないかと思っています。

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感覚子とは初めて見ました。
ここまで写せるとは羨ましい限りですが、流石に大変そうですね。 削除

2015/3/12(木) 午前 0:29 [ 通りすがり ] 返信する

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対物レンズの横から照明したら、触角が光ってしまってどこが感覚子だか分からなくなりました。透過照明だと触角が黒くなり、平面的になってしまいます。透過照明でちょっと横から照明してみたりとか、位相差を使ってみたりとかいろいろやっていたら、半日過ぎてしまいました。でも、何となく感覚子らしいものが見えて良かったです。

2015/3/12(木) 午前 5:46 [ 廊下のむし ] 返信する

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