廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第599弾

昨日の「廊下のむし探検」のうち、蛾以外の「むし」についてです。この日は久しぶりにケバエがいました。一つ調べてやろうと思って採集してきました。

イメージ 1

全体に真っ黒なケバエです。複眼が小さいので♀ですね。さらに、前脚の脛節末端に2本の刺が見えます。従って、Bibio属です。そこで、いつものHardy and Takahashi (1960) (HT)を使って検索してみました。

D. E. Hardy and M. Takahashi, Pacific Insects 2, 383 (1960) (ここからpdfがダウンロード可能)

いつものようにあっちウロウロ、こっちウロウロしながら検索してみると、最終的にBibio adjunctusという種にたどり着きました。その道筋だけ書いてみると次の表のようになります。

イメージ 15
これは上の論文にある検索表を適当に訳したものです。間違っているところがあるかもしれないので、そのつもりで見てください。迷ったところは翅が透明か着色しているかというところで、それ以外は比較的順調でした。まず、前脛節の刺と翅脈の写真を載せます。

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ケバエ科Bibio属には上の写真のように前脚脛節の末端に鋭い刺が2本出ています。この2本の刺の大小関係が検索では重要になります。また、翅脈の写真ではRsと書いた部分の脈とr-mと書いた部分の脈の長さを問題にします。この写真の場合は前脛節の刺については、先端が尖っていて、かつ、内側の刺(写真の上側)が外側(写真の下側)よりはるかに短いということから検索表の①、③、⑤をクリアできます。また、Rs脈とr-m脈の長さがほぼ等しいことから②と④がクリアされます。なお、この翅脈の名称はManual of Nearctic Diptera Vol. 1を参照にしてつけたので、「原色昆虫大図鑑」のつけ方とは違っていると思います(「大図鑑」に載っているやり方ではたぶん、A1脈と書いた脈がCuP脈になる?)。

検索項目の⑦、⑧、⑨については次の写真を見て下さい。

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上から口肢、平均棍、後腿節を写したものです。一番上の写真から口肢が長いことはすぐに分かります。口肢の末端節は触角鞭節の4−5節分に当たることもだいたい分かりますね。さらに、真ん中の写真から平均棍は黒です。⑨はM2脈とM3+4脈が翅縁まで届かないという内容ですが、たぶん、M3+4脈は翅脈の写真のCuA1脈に対応していると思われます。翅脈の写真を見るとこの2つの脈は確かに翅縁に届いていません。また、⑨の腿節の形については⑨の文が何を意味しているのかよく分かりませんが、一番下の写真と論文の図とを比べると確かによく似ています。

ということで、おそらくBibio adjunctusでよいのではないかと思っています。HTによれば、このケバエは北海道、本州で6月から7月に出現するとされています。また、この種は次の論文にも出ていました。

須島 充昭、「皇居赤坂御用地と常盤松御用邸のケバエ科昆虫」、国立科学博物館専報 39, 269-272 (2005). (ここからダウンロードできます)

この論文ではこの種にトゲナガアシブトケバエという和名をつけていました。また、「関東では5月下旬ー6月に発生する。他種のケバエに比して、夜、灯火に誘引される性質が強い。」とのことです。

追記:前脛節の刺を生物顕微鏡でも写してみました。対物鏡の倍率は10倍です。

イメージ 16

ちょっと趣味的ですが、こんな感じになりました


次からはそのほかの昆虫です。

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触角の一部が白く、また、脚の基部が黒いので、たぶんヒゲジロハサミムシではないかと思います。「学研生物図鑑 昆虫III」によると、4月から10月頃、本州から九州で見られるとのことです。

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カタビロクサビウンカです。最近、よく見ますね。

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これはアリバチ科のフタホシアリバチ♀だと思います。これの♂は普通通り翅が生えているのですが、♀はこのように翅がありません。

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マンションの外で死んでいました。たぶん、キイロスズメバチでしょうね。

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アオカミキリモドキだと思われます。この日は2匹見られました。一昨年は6月1日に、昨年は5月19日が初見日でした。

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後はイタドリハムシと、

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サビマダラオオホソカタムシです。

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最後はクモですが、この手のクモはどうもよく分かりません。(追記:MSWiさんから、シノノメトンビグモに見えるとのコメントをいただきました。確かに、そんな感じがします。どうも有難うございました

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ケバエの長い口肢がカマキリの鎌っぽく見えますね。
上から見たときと大分印象が違う…。

蜘蛛はシノノメトンビグモに見えますね。 削除

2015/6/4(木) 午後 9:30 [ MSWi ] 返信する

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MSWiさん、お早うございます。

観察力がまるでなくて、検索表に書いてあるので見てみたら、こんなに長い口肢をしていていました。写真を撮るときに気が付かなければいけなかったのに・・・。確かにカマキリの鎌のようにも見えますね。

シノノメトンビグモ、そういえば以前にも出てきました。どうも有難うございました。それにしても、MSWiさんは、蛾にも甲虫にもクモにも詳しいですね。驚きました。ネットや図鑑を見ていて、クモの同定には採集必須だと知ってから、最近、どうもクモに熱が入らなくなりました。ちょっと可愛いハエトリグモあたりから、採集でもしてみようかな。

2015/6/5(金) 午前 6:56 [ 廊下のむし ] 返信する

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