廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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5月末に採集したチャタテムシがそのままになっていたので、今日は顕微鏡写真を撮ってみました。先日、同定してみた結果リンゴチャタテ Psococerastis mali になったのですが、一応、記録のためにそのときの検索の過程をまとめておきます。

イメージ 1

対象としたチャタテムシはこんなに触角の長い種です。体の部分を拡大してみると次のようになります。

イメージ 2

前翅長は6.3mm。頭の部分に複雑な模様がありますね。これと翅の色や模様を手がかりに「原色昆虫大図鑑III」の図版を調べると、リンゴチャタテかオオスジチャタテあたりになりました。この予想を確かめるために検索をしてみました。検索表は次の論文のものを用いました。

富田康弘、芳賀和夫、「日本産チャタテムシ目の目録と検索表」、菅平研報12、35 (1991) (ここからダウンロードできます)

まず、亜目と科の検索をしてみます。その結果はチャタテ亜目チャタテ科になったのですが、検索表のその部分を書き出すと次のようになります。

イメージ 3

まず、①で触角は13節というので数えてみたのですが、どこに切れ目があるのか分からず、結局、よく分かりませんでした。チャタテ亜目に対抗するのは、コチャタテ亜目とコナチャタテ亜目で、前者の触角は20-50節で、そんなに多くはないのですぐに除外できますが、後者は11-17節なのでこのままでは除くことはできません。次に分かりやすい特徴は成虫の跗節数です。その部分の写真を載せます。

イメージ 4

ごみがだいぶついていますが、間違いなく2節です。コチャタテ亜目とコナチャタテ亜目はともに3節で、チャタテ亜目だけが2節なので、これでチャタテ亜目になります。その他の項目はよく分かりませんでした。

次はチャタテ亜目の科への検索です。②と③はすぐに分かります。④の爪の歯は次の写真を見てください。

イメージ 5

チャタテの爪は小さいので、写真がうまく撮れなかったのですが、上の矢印の部分が歯に相当します。従って、これもOKです。⑤から⑨までは翅脈についてなので、翅の写真を載せます。

イメージ 6

硬くなっていて翅が開かないので、そのままで写しました。さらに、後翅が前翅にくっついてしまうので、間に紙を入れています。翅脈の名称は次の論文を参考にしました。

K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)

検索表の⑤と⑥はArchipsocidaeとCalopsocidaeというやや特殊な科を除外する項目なので、この種についてはおそらくOKだと思います。⑦の後小室は上の写真に示してありますが、翅脈に囲まれた小さな部屋を指しています。さらに、⑧の「後小室は中脈と結合する」と⑨の「部分的に融合する」というのは、⑧⑨→で示してありますが、後小室の一辺がM脈と共有していることを示しています。また、図の中の⑨で示してありますが、M脈は末端で3つに分岐しています。これでチャタテ科になりました。

次は種への検索です。

イメージ 7

⑩の項目の後半部分は、触角が前翅長の約2倍あるという内容ですが、実測すると1.8倍ほどになりました。また、前半部分の小顎髭については次の写真を見て下さい。

イメージ 8

この写真から実測すると、小顎髭の末端節の幅と長さの比は1:1.92になり、2倍より少し短いようです。さらに、翅脈の写真の中の⑪→で示した部分の交差角が約60度であること、前縁脈(Sc脈)が途中で途切れているところ(⑪→で示してあります)からPsococerastis属であることは確かそうです。

後は翅の色や模様でだいたい決まります。まず、翅が透明なので、⑫'に進みます。次の⑬は縁紋の後縁が尖るかどうかですが、これが理解できませんでした。尖るを選ぶとスジチャタテ P. tokyoensisになるのですが、「原色昆虫図鑑III」には図があり、翅の模様がだいぶ違います。そこで、縁紋は尖らないという方を選ぶことにします。翅の褐色紋は小さく、基部の褐色帯は細く、さらに、斑紋部は狭く色も薄いので、結局、リンゴチャタテ P. maliに行き着きました。「大図鑑」によると、山地性で、7-9月に北海道と本州に出現するとのことです。合っているといいですね。

ついでに撮った写真も載せておきます。

イメージ 9

頭部と胸部を横から見たものです。面白い顔をしていますね。

イメージ 10

さらに、頭部を拡大したものです。何が何だか分かりませんが、頭部の複雑な模様は表面に描かれているようですね。

チャタテの検索を初めて試みました。普段見ているチャタテは小さいので、なかなか検索をする気が起きないのですが、これはやや大きめなので扱いは簡単でした。検索それ自体は翅脈に関するものが多かったので、項目が多いわりには比較的に楽でした。これからもどんどんやってみようかなと思っています。

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色々参考にさせていただいております。
もし、お時間ありましたら、訪問よろしくお願いいたします。
この虫はなんだろう?で検索かけていただけると幸いです。

2015/6/9(火) 午後 10:45 [ t_y* ] 返信する

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t_y*さん、はじめまして、かな?

ブログを拝見しました。ページを開くたびにいろいろな虫が登場して、ちょっと意外性がありますね。山口県は昔、泊まりがけで行って、車で遊び回ったことがあるのでちょっと懐かしいです。今後ともよろしくお願い致します。

2015/6/10(水) 午前 5:49 [ 廊下のむし ] 返信する

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