廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第620弾

昨日の「廊下のむし探検」の結果で、蛾以外の「むし」です。

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溝の隙間から覗いているのは誰でしょう?でも、この顔、見覚えがありますね。たぶん、シロコブゾウムシです。

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コクワガタがまたいました。いつも蜘蛛の巣だらけになっていますね。

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最近、ハナムグリがいるとひっくり返すことにしています。腹部が黒かったらコアオハナムグリでしたね。これは黒かったので、きっとコアオハナムグリですね。

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これはたぶん、サビキコリですね。その独特の形から、コメツキの中では唯一すぐに分かりますね。

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これはサビマダラオオホソカタムシです。

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小さなハムシですが、この間からよく見ます。アオバネサルハムシかなと思っているのですが・・・。

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最近、やや大型で翅が黒い羽アリをよく見ます。先日、フッカーSさんから、クロヤマアリ♀か、ハヤシクロヤマアリ♀だと教えていただきました。今日は朝から2,3日前に採集した個体を使って検索してみました。用いた検索表は

寺山守ほか、「日本産アリ類図鑑」、(朝倉書店、2014)

に載っていたものです。詳細はまた次回に載せますが、羽アリの検索でいつも引っかかってしまうのは中胸の気門の位置です。この位置が側面だったらオオアリ属、背面または背方よりだったらヤマアリ属などになるのですが、翅が生えているので側面なのか背面なのかよく分かりません。仕方なく、両方を進んでいくといつももやもやしてしまいます。でも、今日はクロオオアリだと思っている個体とこの個体は翅脈がまったく違うことに気が付きました。アリの翅脈については次の論文にちょっとした分類が載っています。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

これによると、ヤマアリ亜科ではIIIdとIVeという2つの翅脈タイプがあるのですが、クロオオアリはIVeタイプ、この個体はIIIdタイプでした。そこで、たぶん、オオアリ属ではなくてヤマアリ属だろうと見当をつけて、自信を持って検索を進めていったところ、結局、クロヤマアリ隠蔽種群という奇妙な名前の種群にたどり着きました。こんな奇妙な名前にしているのは、全国に分布するクロヤマアリの体表炭化水素を調べたところ、形態的には識別困難な4種からなる種群だと分かったからです。この4種のうち、近畿地方にいそうなのはニシクロヤマアリなのですが、はっきりしないのでクロヤマアリにしておきます。

追記:体表炭化水素というのが何を意味しているのか興味があったので論文を検索してみました。まず、クロヤマアリに4種いることを見つけたというのは次の論文です。

T. Akino et al., "Intraspecific variation of cuticular hydrocarbon composition in Formica japonica Motschoulsky (Hymenoptera: Formicidae)", Zool. Sci. 19, 1155 (2002). (こちらからダウンロードできます)

また、アリの体表炭化水素の季節変動に年周期があるということを見つけたという日本語の論文もありました。

石井 啓介ほか、「ガスクロマトグラフィー質量分析を用いたアリの体表成分分析―体表炭化水素組成比の季節変動―」、J. Mass Spectr. Soc. Japan 57, 61 (2009). (こちらからダウンロードできます)

これらの論文によると、アリの体表はワックス状表皮脂質に覆われていますが、その95-99%が炭素数23-50程度の直鎖アルカン、側鎖を持つ分岐アルカン、それに直鎖アルケンなどの炭化水素からできているそうです。この組成は種特異的で、また、コロニーによっても変化することが知られています。アリは触角にある微細毛でこの物質を取り込みその組成を判断し、同じコロニーのアリだと判断したときは味方として受け入れ、他のコロニーのアリだと判断すると敵として攻撃したり逃避したりするそうです。人でいうとちょうど匂いで見分けているようなものです。

最初の論文では、アリを冷凍して、その後、ヘキサンという有機溶媒に5分間浸し、体表の炭化水素を抽出します。さらに、ガスクロ−質量分析という分析装置で体表炭化水素の組成を分析します。日本全国の400コロニーでその組成を調べたところ、日本産クロヤマアリには明確に分離できる4種のタイプのあることが分かったという論文です。匂いの違うアリが4種類いたということですね。

次の論文は、横浜の大学構内でクロヤマアリのワーカーを各月1回採集し、その体表炭化水素を同様の方法で分析したところ、直鎖アルケンと分岐アルカンの組成比パターンは毎年規則的な変動を示すことを見つけたという論文です。季節によって匂いが変化するなんてことはあってもよさそうですね。アリ同士が敵味方を何かで見分けているという話は聞いたことがあったのですが、体表炭化水素だったのですね。少し勉強になりました


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小さな羽アリもいました。この翅脈もIIIdに似ているのでヤマアリ属かな。こうやって翅脈を見ていくのも楽しいですね。

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これは小さなハチです。以前見た種なのかどうかも分かりません。

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これも小さなカメムシです。写真で拡大しないと何の虫なのかも分からないくらいの大きさなのですが、ヒョウタンナガカメムシ科のヒナナガカメムシだと思います。

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これはカタビロクサビカメムシですが、なぜかよく見ますね。(追記:通りすがりさんから指摘していただきました。カタビロクサビウンカですね。どうも有難うございました

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スジチャタテだと思います。最近はよく見ますね。

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これも小さな小さなクモです。名前は分かりません。「むし」が少ないとついつい小さな「むし」も撮ってしまいますね。

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カタビロクサビウンカがカメムシになってますね。

アリの体表組成の話は忘れてましたね。
単純にクロヤマアリと言えなくなるのかなあ。 削除

2015/6/24(水) 午後 10:24 [ 通りすがり ] 返信する

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あれぇ、これは失敗でした。カメムシ目、カメムシ目と思っていたら、その通りになってしまいました。早速、訂正しておきます。どうも有難うございました。

今後、遺伝子レベルの分類が進んでくると、こういうことが次々と起こってくるでしょうね。外見ではわからないけれど、何種かが混じっていると・・・。それに次々と名前を付けられると今後どう呼んで良いかまったく分からなくなります。このクロヤマアリも北海道から本州東北部の日本海側に生息する種をあらためてクロヤマアリと呼ぶようにするということなので、混乱が起きそうです。従来までの名称は総称としてそのまま残しておいてもらえると有難いのですけど・・・。

2015/6/25(木) 午前 6:01 [ 廊下のむし ] 返信する

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