廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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羽アリの翅脈比べ

最近、マンションの廊下を歩いていても羽アリの姿をよく見かけます。昨年、これを捕まえてきて検索を試みたのですが、結局、挫折してしまいました。それからは羽アリがいるなと思うだけで、あまり注目しませんでした。でも、先日来、いろいろな方からコメントをいただき、羽アリも少しずつ分かってきたような気がします。

そんなとき、論文を検索していたところ、羽アリの翅脈を分類した論文が見つかりました。先日も紹介したのですが、ロシアの人の論文です。

K. S. Perfilieva, "Trends in Evolution of Ant Wing Venation (Hymenoptera, Formicidae)", Zoologicheskii Zhurnal 89, 965 (2010). (ここからダウンロードできます)

この内容がどれほどあてになるのかどうかは判断できませんが、それでも化石も含め、アリ科120属350種を調べたというので一見の価値はあります。これはアリ科21亜科のうち、17亜科にあたるそうです。著者は、これらの情報をもとに、アリ科翅脈の原型を考え、現在見られるアリの翅脈はその原型が少しずつ変化していったものだと考えました。そして、その変化の仕方に関して全部で5つのパターンを考え、それぞれに I からVまでの番号をつけました。さらに、それぞれのパターンに対していくつかのバリエーションを考え、全部で16の翅脈パターンに分類しました。詳細は論文のFig. 3を見てください。

折角、こんな論文が出ているので、私が採集した羽アリはいったいどのタイプにあたるのか調べてみました。

イメージ 1

まずはこの間から問題になっているクロヤマアリ♀らしい羽アリの翅脈です。どこを見たらよいか分からないと思いますが、中心にあるmcuと書いた翅室に注目します。この種の場合、mcuは四角形です。これから、翅脈パターンのIIかIIIということになります。次はRsとM脈の関係です。この写真の場合はこの2つの脈は一旦合流しRs+M脈となり、ついで、Rs脈とM脈に分岐します。この辺りの様子からIIIdというパターンにあたるのではないかと考えられます。このIIIdというパターンはいろいろなアリが持っていて、著者が調べた中ではカタアリ亜科の23%、ヤマアリ亜科の26%、フタフシアリ亜科の18%などが持っていたそうです。

イメージ 2

次は同じヤマアリ亜科でもクロオオアリ♂ではないかと思われる個体です。この場合はmcuという翅室はありません。このことから翅脈パターンのIVかVが該当します。さらに、Rs脈とM脈との関係を見てみると、先ほどとよく似たパターンをしています。このことから、IVeに該当するのではないかと思います。ヤマアリ亜科は基本的にIIIdかIVeのどちらかのパターンを持ち、その割合はIIIdが26%、IVeが74%だったそうです。その他にもこのパターンを持つものは多くて、カタアリ亜科の23%、フタフシアリ亜科の18%が持っているそうです。

イメージ 3

3つ目はこの間、コマユバチ科だと思って出したのですが、その後、フッカーSさんからオオハリアリ♂だと教えていただいた種です。この時に出した写真の向きを合わせ、翅脈の名称を統一したものが上の写真です。やはり、mcuという翅室がありますが、この場合は五角形です。ここが五角形だと I というパターンになります。さらに、r-mという横脈とrという横脈の位置がだいたい一致しているので、Ib というパターンに当たることが分かります。Ib というパターンをもつものはそれほど多くなくて、ハリアリ型亜科群の25%とカタアリ亜科の14%に限られます。翅脈のパターンからもハリアリの仲間だとおおよそのことは分かるのですね。

というわけで、手元にある3種について翅脈を比べてみました。なんせ数が少ないので、♂と♀の違いはどうか、同じ属なら一緒なのか、など知りたいことは何も分かりません。でも、これからは少しずつ注目していこうかなと思っています。

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長いこと拝見できずにおりました。一気に見ようと思ったら、内容が濃くて、全然時間が足りない・・・。
オオハリアリ♂にはびっくりしました。これがアリだとは!確かに横から見ればアリらしさがありますが、上から見たらアリだとは思いもしません。
翅脈のこともこれまで考えたことなかったのですが、これほど違うのですね。知らないことだらけです。 削除

2015/6/26(金) 午後 11:14 [ ほし ] 返信する

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ほしさん、いつも見ていただき恐縮です。

オオハリアリ♂は私もびっくりしました。コマユだと思っていたので、その日一日かなりのショックでした。やはり外観で判断しないで、検索をしてみるのが大切だなと思いました。

羽アリの翅脈にはこんなバラエティがあるのですね。文献を調べてみるといろいろと面白いことが載っていますね。今後ともよろしくお願いします。

2015/6/27(土) 午前 8:12 [ 廊下のむし ] 返信する

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