廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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廊下のむし探検 第630弾

一昨日の「廊下のむし探検」の結果です。最近、「むし」の数はそれほど多くないのですが、難しいのが多くて名前調べには結構手こずっています。

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今日の最初はこの虫です。何でもない虫のようですが、名前調べに時間がかかってしまいました。ちょっと各部を拡大した写真を載せます。

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ハエ目であることは間違いないので、「絵解きで調べる昆虫」に載っている検索表を手がかりにして、ちょっと調べてみました。まず、左上の写真を見ると、やや太い基部とその先の細い毛のような触角が見えます。従って、短角亜目であることが分かります。次に翅を見てみます。矢印のBで示したように先端の尖った翅室が見えます。これがあるとたいがい、○○アブという名前の仲間になります。次に矢印のCに示すように、この部分にM3室という翅室があります。これがあるとキアブモドキ科になります。「原色昆虫大図鑑III」の検索表でも検索してみると同じキアブモドキ科になりました。

ということで、たぶん、キアブモドキ科で間違いないのではと思っています。ついでに、「大図鑑III」には属と種の検索表も載っていました。まず、属の検索では、モモボソキアブモドキ(Xylomya)属になりました。でも、その先の種の検索で行き詰まってしまいました。後腿節がよく見えないのではっきりしたことは言えないのですが、検索表を進んでいくとどうやら後腿節の色が違っているようで、適当な種には至りませんでした。ここで挫折です。(追記2015/07/13:通りすがりさんから、「はなあぶNo. 11にキアブモドキ科Solva属とXylomya属の検索表、Solva属4種とXylomya属6種の標本画像が載っているのですが、みな触角鞭節が太く、分節したものであることが分かります。翅脈からキアブモドキ科と思いますが、未記載種か見当違いなのか…と言ったところです。」というコメントをいただきました。MNDで調べてみると、キアブ科にも同じような翅脈の種が見つかりました。触角を考えると、以前キアブ科に入っていたクサアブ科シギクサアブ(Dialysis)属なんかも可能性があるかもしれません

追記2015/07/15:その後、通りすがりさんから、クサアブ科の属への検索表と日本産Dialysis属2種の特徴を書いていただきました(コメント欄参照)。通りすがりさん、どうも有難うございました。この検索表と写真とを比べてみると、検索表の1 は合っていました。また、これは♀のようです。検索表の2 については顔と腹が見えないのでどうしようもないのですが、文献を調べてみるとWebが1983年に導入したNapemyiaに対して、その後、Nagatomi(1987)とWoodley(1993)がDialysisとシノニムだと主張していました。これらの論文の被引用文献を調べても、特に反論を書いている論文がなさそうなので、DialysisとNapemyiaは一緒だとすると、やはりこの個体はDialysisのようです。後は脚の色ですね。今のところ、イワタシギクサアブに近い種という感じがしますが、いずれにしてもここでストップですね。何にしろ採集していないのが致命的でした。Woodley(1993)の論文は次のところで読むことができます。また、Nagatomi(1987)の論文はA. Nagatomi, "Taxonomic notes on Coenomyiidae (Insecta: Diptera)", Zool. Sci. 4, 711 (1987)なのですが、定額制でダウンロードができませんでした。

N. E. Woodley, "Napemya Webb, A New Synonym of Dialysis Walker (Diptera: Xylophagidae)", Proc. Ent. Soc. Wash. 95, 635 (1993). (こちらで読めます)

この論文では何故かDialysisはキアブ科になっています。一方、次のNagatomi(1975)によるとクサアブ科に入っていました。

A. Nagatomi, "Definition of Coenomyiidae (Diptera). I Diagnoses of the Family", Proc. Japan Acad. 51, 452 (1975). (ここからダウンロードできます)

また、この論文によれば、Dialysisはもともとシギアブ科に入っていたとのこと。この辺り何だか混沌としていますね


イメージ 3

ユスリカもいたのですが、これはよく分かりません。はじめからギブアップです。(追記2018/02/15:ユスリカ亜科のヤモンユスリカ♀かもしれません

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これはヤマトヤブカ♂でしょうね。

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これは羽アリですね。今回は採集しませんでした。

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これはホタル科です。特徴は多いのですが、図鑑を見るとちょっとうんざりしてしまいます。似た種が山のようにあって・・・。翅の基部近くが赤くなる種だけを拾っても、キタベニ(Lopheros属)、ネアカヒシベニ(Dictyoptera属)、カタスジアミメ(Xylobanus属)、ネアカクロベニ、カクムネクロベニ、ユアサクロベニ(以上3種ともCautires属)などがあります。これも、「原色日本甲虫図鑑III」を見ると属の検索表が載っているので、ぱらぱら見てみました。

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ちょっと胸部を拡大してみます。複雑な構造になっていますが、全部で7室に分かれています。また、前翅の間室には2列の点刻があります。さて、Lopheros属は前胸背板の中央を貫通する縦隆起がありますが、写真の個体は途中までしかありません。従って、これは除外です。Dictyoptera属の前胸背板は5室なのでこれも除けます。次のXylobanus属は7室なのですが、前翅の間室には一列の点刻があるだけなのでこれも除けます。従って、Cautires属かなと思いましたが、そこから先が進めません。今回はここまででした。

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イメージ 9

これはヒゲコメツキ♀です。

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このコメツキは名前が分かりません。

イメージ 11

シマサシガメがいましたが、前から撮っていたら、さっさと逃げていってしまいました。で、写真はこれ1枚だけでした。

蛾とクモは次回に回します。

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モモボソキアブモドキ属はこちらで見付けたものも、正確な触角の長さが分からず不明種になってしまいました。
基節や腿節、ふ節などの色も合ってるんですが、胸部にも疑問が残ってしまって…どの属でも多くの種が居る訳ではないのに、難しいですね。
捕獲して標本にすれば良いんでしょうけど… 削除

2015/7/2(木) 午後 7:36 [ 通りすがり ] 返信する

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触角鞭節の長さは分かったのですが、その後の基節や後腿節の色などがはっきりしなくて、結局、迷宮入りです。採集しておけばよかったのですが・・・。気まぐれに採集しているので、分かりそうな種は逃してしまい、分かりそうにない種ばかり集まってきます(笑)。

2015/7/2(木) 午後 8:26 [ 廊下のむし ] 返信する

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この不明双翅目、自分のも含めてですが、また一歩後退してしまいました。
はなあぶNo. 11にキアブモドキ科Solva属とXylomya属の検索表、Solva属4種とXylomya属6種の標本画像が載っているのですが、みな触角鞭節が太く、分節したものであることが分かります。
翅脈からキアブモドキ科と思いますが、未記載種か見当違いなのか…と言ったところです。 削除

2015/7/13(月) 午後 5:51 [ 通りすがり ] 返信する

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これは弱りました。MNDを見てみると、キアブ科にm3室が閉じている種がありました(Rachicerus属)。でも、これの触角は羽毛のように広がっていました。MNDではキアブ科に入っていたシギクサアブ(Dialysis)属は今はクサアブ科に入っていますが、m3室が閉じているようです。おまけに触角は刺毛状になっているみたいです。科の検索表では、クサアブ科あるいはキアブ科とキアブモドキ科は前縁脈が翅端付近で止まるか、あるいは後縁に沿って伸びるかなのですが、後縁ではかなり弱いというので写真では見間違えるかもしれません。いずれにしても、採集しておけばよかったなと後悔しています。

2015/7/13(月) 午後 8:09 [ 廊下のむし ] 返信する

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クサアブ科(Coenomyiidae)の属の検索表(世界)

1. 触角は2+1節, 第3節は円錐形で無節, 細長の棘毛(あるいは茎)を持つ. 第4後室(fourth posterior cell)(M3脈が存在する時)と肛室(anal cell)は翅縁の前で閉じる(時に肛室は翅縁で閉じる). ♀の前額頭(frons)両側は平行・・・・・・・・・・・・2
― 触角は2+8節[この数は時に癒合して減少]. 第4後室は広く開く. 肛室は狭く開くか翅縁で閉じる. ♀の前額頭は触角に向かって広がる・・・・・・・・・・・・3
2(1). 亜側顔(=縫合線によって画された顔の側部)は裸. ♂の第10腹節の後縁中央は凹まない. ♂の第9腹板に薄膜の窓がある(Dialysis kesseli Hardy, 1948[California]は例外として窓がない)・・・・・・・シギクサアブ属Dialysis
― 亜側顔に毛が生える. ♂の第10腹節の後縁中央は凹む. ♂の第9腹板に薄膜の窓がない・・・・・・・・・・・Napemyia 削除

2015/7/14(火) 午後 8:50 [ 通りすがり ] 返信する

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シギクサアブ属(Dialysis)
日本に2種を産する. 日本産のこの属の研究は極めて不充分で, 各地の標本(南西諸島を含む)を多数集めて再検討しなければならない. 体色以外に種の特徴を究める必要がある.

アラカワシギクサアブ(D. arakawae):
黄褐色. 頭部は黒色. 触角は黄色で, 端棘は暗褐色. 口吻は黄褐色. 小楯板の基部両側は暗褐色. 翅は透明で, 黄褐色を帯びる. 翅脈は黄褐色. 縁紋は暗褐色. 平均棍は黄色.腹部は暗褐色で, 各節の後縁と両側は黄褐色, 第1節の両側は完全に黄褐色. 肢は黄色, 付節は暗褐色, しかし中肢と後肢の付節は先端部を除き黄色. (以上原記載に基づく).

イワタシギクサアブ(D. iwatai)
黒色. 肢の基節, 腿節, 脛節(通常, 後肢脛節と後肢腿節の先端を除く)は淡褐色か褐色. 翅は黒みを帯びる(特に翅脈の大部分). 縁紋はない. 平均棍は暗褐色. 削除

2015/7/14(火) 午後 9:09 [ 通りすがり ] 返信する

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これで手詰まりの様ですね。
こちらで見られるものは大部分がイワタシギクサアブに一致しますが、平均棍は淡褐色から褐色、小楯板の基部両側は暗褐色というオスと、まさしくイワタシギクサアブの記述に一致するメスですね。
この属の画像は学名で検索してもヒットしないくらいマイナーなものの様です(笑) 削除

2015/7/14(火) 午後 9:23 [ 通りすがり ] 返信する

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通りすがりさんへ。これは本気モードですね。よくこれだけの資料が集まりますね。後でゆっくり読まさせていただきます。それにしても、採集しておけばよかったと後悔しきりです。

2015/7/14(火) 午後 10:02 [ 廊下のむし ] 返信する

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まず書いていただいた属の検索表と写真を比べてみたのですが、1は合っています。これは♀の方なのですね。2については顔と腹が見えないのでどうしようもないのですが、文献を調べるとWebが1993年に導入したNapemyiaに対して、その後、Nagatomi(1987)とWoodley(1993)がDialysisとシノニムだという論文が出ていました。これらの論文の被引用文献を調べても、特に反論を書いている論文がないので、DialysisとNapemyiaは一緒だとすると、やはりDialysisになりそうな気がします。後は脚の色ですね。今のところ、イワタシギクサアブに近い種という感じがしますが、ここでストップですね。何にしろ採集していないのが致命的でした。

2015/7/15(水) 午前 7:10 [ 廊下のむし ] 返信する

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