廊下のむし探検

このブログではマンションの廊下にでてくる「むし」の紹介とカメラを使ったちょっとマニアックな趣味を紹介します

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先日来、「日本産アリ類図鑑」を用いて女王アリの検索を行っていたのですが、どうもうまくいきません。どうしてなのかなと考えてみたのですが、検索表は基本的に働きアリ用で、女王アリには適用できる部分とできない部分があるのではと疑っています。特に気になるのは、胸部あるいは前伸腹節の形や気門の形や位置に関してです。

そんなときに、次のような論文を見つけました。

S. Miyazaki et al., "Morphological difference among three female castes: worker, queen and intermorphic queen in the ant Myrmecina nipponica (Formicidae: Myrmicinae)", Sociobiology 46, 363 (2005). (ここからpdfをダウンロードすることができます)

この論文はカドフシアリを材料にして、働きアリ、女王アリ、それに、女王アリのように卵を産むことができるのですが、翅のないアリについて調べたものです。著者らはこの変わった女王アリを"intermorphic queen”と呼んでいますが、形態的には女王アリに似ているものもあり、また、働きアリに似ているものもあるという奇妙な女王アリです。アリのコロニーの中には女王アリを中心としたものもあれば、この奇妙な女王アリを中心としたコロニーもあるということです。いずれにしても、この論文の中でこれらのアリの形態を調べていました。

その中で、検索にも用いられる中胸気門についても書かれていました。これによると、女王アリの気門は中胸側板と後胸側板の溝の間にあり、クチクラの表面から陥入した状態にあるそうで、写真も載せられていました。一方、翅のない女王アリの場合は中胸側板と後胸側板の間に陥入した丸い穴の中にありますが、目立たないそうです。また、働きアリでは側板間に開いている場合も、クチクラで覆われている場合もあるとのことで、やはり、女王アリと働きアリではかなり違うようです。

また、次のような論文も見つけました。

R. A. Keller et al., "Evolution of thorax architecture in ant castes highlights trade-off between flight and ground behaviors", eLife 3, e01539 (2014). (ここからダウンロードできます)

この論文はアリの筋肉を調べたもので、女王アリでは飛翔のための飛翔筋が発達して中胸が大変大きくなっています。女王アリの胸部が平らに盛り上がっている部分はほとんど飛翔筋で埋まっているそうです。中胸が大きく発達することで、その胸部の形や気門の位置などは、当然、飛翔筋のない働きアリとはかなり変化することが予想されます。

こんなことを知って、この間から見ていたヒラアシクサアリとクロヤマアリの女王アリについて、胸部の気門の位置や形をもう一度調べてみたくなりました。

イメージ 1

まずはヒラアシクサアリの女王アリです。この中胸から前伸腹節にかけて拡大してみました。

イメージ 2

気門の位置はこの写真で示す部分だと思うのですが、中胸気門はどうもはっきりしません。

イメージ 3

これはさらに拡大したものです。前伸腹節の気門ははっきりしていますが、中胸気門と思われる部分には穴が見られません。(追記:今この写真を見ると、写真中央にある穴が気になりますね。今度、もう一度顕微鏡で見てみます

イメージ 4

さらに拡大してみました。やはり穴は見られません。穴が塞がれているのか、それとも、これは気門ではないのか。いずれにしてもはっきりしませんでした。

イメージ 5

一方、これは前伸腹節の気門です。穴ははっきりと見えています。検索表では、気門はほぼ円形と書かれているのですが、穴自体はどう見ても円形には見えません。しかし、穴を含む凹みの形はやや丸く感じられます。

イメージ 6

次はクロヤマアリの雌有翅アリです。働きアリは前胸背板が大きいのですが、雌有翅アリでは頭部のすぐ後ろに小さく収まっています。その代わり、飛翔筋の収まる中胸は盛り上がって丘のようになっています。これについても気門の部分を拡大してみました。

イメージ 7

やはり前伸腹節の気門ははっきりしていますが、中胸気門だと思っていた部分には穴が見られません。(追記:やはり写真中央に穴が見られます。これが中胸気門かもしれません

イメージ 8

さらにその部分の拡大してみました。やはり穴は見られません。これは違うのかな。

イメージ 9

こちらは前伸腹節の気門ですが、検索表では、気門は楕円形とされているものです。穴は細長いスリット状です。たぶん、この穴のことではなくて、穴を含む凹みが楕円形というのでしょうね。

ということで、今日は女王アリの気門を調べてみたのですが、残念ながらはっきりした結論は得られませんでした。特に、中胸気門と思っていたものは穴がなくて、ひょっとしたら違うのかもしれません。位置といい、色といい気門に間違いないと思っていたのですけど・・・。

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